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診断書の偽造がばれなかったことはある?犯罪に該当する行為や問われる罪を解説

監修記事

伊藤 実(てん@法律関係ライター)

弁護士資格保有

交通事故で治療を受ける場合や、後遺障害認定を受けるためには医師の診断書が必要です。

このときに、少しでも長く治療を続けたり、多くの賠償金を得たりするために、診断書の内容を書きかえてしまおうと考える人もいるかもしれません。

しかし、言うまでもなく診断書の偽造は犯罪です。

この記事では、診断書の偽造がばれたらどのような罪に問われるおそれがあるのかについて詳しく解説します。

診断書の偽造がばれたら罪に問われる

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

診断書の偽造は絶対に行ってはいけません。

診断書を偽造すると、民事上の賠償責任を負うだけでなく、刑事罰に問われるおそれもあります。

ここでは、診断書を偽造した場合の罪について、診断書を偽造したこと自体で問われる罪と偽造した診断書を用いて不正をはたらいた場合に問われる罪に分けて解説します。

診断書を偽造した場合に問われる罪

診断書を偽装した場合には、不正な目的で利用しなくても、偽造したこと自体で次の罪に問われるおそれがあります。

  • 有印私文書偽造および私文書偽造等行使罪
  • 有印私文書偽造罪

以下では、それぞれの内容を詳しく解説します。

有印私文書偽造罪および偽造私文書等行使罪

診断書は、公的な機関ではない医師が作成したものなので私文書に該当します。
私文書については、事実を証明する内容の文書を偽造した場合に私文書偽造罪が成立します。

診断書は、怪我の状態という事実を証明する内容の文書のため、診断書の偽造は私文書偽造に該当する行為です。そして、診断書には医師の署名があることから、有印私文書となるため、診断書の偽造には有印私文書偽造罪が成立します。

偽造した診断書を使用すると、有印私文書偽造罪に加えて、有印私文書偽造罪の行使罪も成立します。

有印私文書変造罪

有印私文書変造罪は、権限のない人が文書の内容に変更を加えることで成立します。診断書の内容を書きかえることは、偽造ではなく変造にあたる可能性もあります。

偽造と変造の区別は、一般人にとっては明確ではありません。

文書の同一性が失われるほどの変更は偽造、そうではない場合には変造とされていますが、明確なものではありません。

有印私文書偽造罪と有印私文書変造罪の刑事罰は同じなので、どちらに該当するかの区別は重要ではなく、診断書の偽造は、有印私文書の偽造罪や変造罪のどちらかに問われる可能性があると考えておけば良いでしょう。

偽造した診断書によって不正をはたらいた場合に問われる罪や処分

偽造した診断書を利用して不正をはたらいた場合には、偽造罪だけでなく、次の罪や処分に問われる可能性があります。

  • 詐欺罪
  • 民事上の損害賠償責任
  • 職場での懲戒処分

以下、それぞれの内容を見ていきます。

不正に金銭を受け取った場合は詐欺罪

偽造した診断書を利用して、保険会社から保険金を受け取るなど金銭的な利益を得た場合には、詐欺罪が成立します。

偽造した診断書を保険会社に提出するのは、保険会社からお金を騙し取る行為なのです。保険金詐欺は特に厳しく罰せられる傾向もあるため、診断書は決して偽造してはいけません。

損害賠償請求等の民事責任

診断書を偽造したことで誰かに損害を与えた場合には、刑事罰だけでなく民事上の損害賠償責任も負うことになります。

たとえば、保険会社から保険金を受け取った場合には、詐欺罪に問われるだけでなく、受け取った金額以上の損害賠償請求を受ける可能性もあるでしょう。

他には、診断書を偽造された医師から、名誉を傷つけられたなどとして損害賠償請求を受ける可能性も否定できません。

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

減給や解雇などの懲戒処分

会社に偽造した診断書を提出した場合には、減給や解雇などの懲戒処分を受ける可能性もあるでしょう。受ける可能性のある懲戒処分の内容は、就業規則によって決まるため、会社ごとにさまざまです。

診断書の偽造を理由に刑事罰を受けた場合には、それを理由に会社から解雇処分を受ける可能性も十分に考えられます。

POINT

診断書の偽造や不正利用で問われる罪や処分は多い

・有印私文書偽造および私文書偽造等行使罪
・有印私文書偽造罪
・詐欺罪
・民事上の損害賠償責任
・職場での懲戒処分

診断書の偽造に協力すると医師も罪に問われる

診断書の偽造がばれたら罪に問われる

医師が診断書の偽造に協力した場合には、医師自身も刑事罰を問われます

保険会社などに提出する診断書を偽造した場合には、本人と同じく私文書偽造罪が成立します。

さらに、役所などに提出する診断書を偽造した場合には、虚偽診断書等作成罪に問われる可能性もあるでしょう。

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診断書の偽造アプリ・サイト・代行業者を使いばれた事例もある

インターネット上には、診断書を偽造するためのテンプレートや偽造用のアプリが存在しています。当然のことながら、これらを利用して診断書を偽造すると刑事罰に問われる可能性があります。

実際、自宅のパソコンで偽造診断書を作成して不正に療養休暇等を取得したことで、刑事責任を問われた事例もあります。

インターネットで公開されているから問題ないなどと考えないようにしてください。

診断書の偽造がばれるケース

診断書の偽造がばれるケース

診断書の偽造はどのようにしてばれるのでしょうか。ここでは、診断書の偽造が発覚するケースについて解説します。

普段の勤務態度や診断書提出のときの挙動でばれる

普段から会社を休むことが多い人の場合には、本当に怪我をしているのかと問い詰められて発覚するケースもあるでしょう。

診断書の内容に不自然な点があれば、内容について問い詰められる可能性があるのは当然のことです。問い詰められた際の挙動に不審な点があれば、すぐに偽造が発覚してしまうでしょう。

発行元として記載されている場所に実際に問い合わされてばれる

診断書の提出先が診断書の記載内容に疑問を持った場合には、医師に直接問い合わせることで偽造が発覚するケースもあります。

交通事故の治療で加害者の保険会社から治療費を出してもらっているケースでは、保険会社が診断書の内容について医師に問い合わせることは珍しいことではありません。内容に疑問がなくとも、状況確認のために医師と面談をすることもあります。

そのため、交通事故の治療で医師の診断書を偽造しても、医師の協力がなければ発覚する可能性は極めて高いでしょう。

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診断書を偽造してばれるリスクを負うよりほかの解決方法を探す

3つ,三択,道路標識

ここまで説明してきたとおり、診断書の偽造にはリスクしかありません。診断書を偽造するという選択肢は頭から外して、別の解決策を探すようにしましょう。

診断書を偽造してまで会社を休みたい場合

保険金を請求するのではなく、会社を休むだけの場合でも診断書を偽造するリスクは大きいです。診断書の偽造がバレてしまうと、刑事罰に問われるのはもちろんのこと、会社を解雇されてしまう可能性もあるでしょう。

交通事故で怪我をしたのであれば、面倒でもしっかり病院で診断書を作成してもらうか、有給を消化するなどして、正規の方法で休むようにしてください。交通事故が原因であれば、休業補償を受けられる場合もあります。

関連記事交通事故後、仕事しながら通院が難しい時の対処法や休業補償を解説

解決策が見いだせない場合には専門家や窓口に相談も

医師に相談しても自分の思うような診断書を作成してもらえず、診断書を偽造してしまおうと考えているのなら、専門家に相談することをおすすめします。

交通事故の怪我や通院についての悩み事は、専門窓口や弁護士に相談することで解決できる場合があります。

「交通事故病院」は交通事故の怪我や通院についての相談窓口で、相談費用は無料となっています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

バツする男性

診断書の偽造は犯罪なので絶対にやめましょう

診断書の偽造をしてまで解決したい悩み事があるのなら、相談窓口や弁護士などに相談して、正式な方法で問題を解決しましょう。

この記事を監修したのは…

元弁護士の経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題を中心に執筆活動を行う。弁護士時代には、交通事故、債務整理、離婚など多数の案件を解決。読者の困りごとに寄り添う記事をモットーに執筆に取り組んでいる。

この記事の執筆者

ライター・元弁護士 / 伊藤 実(てん@法律関係ライター)
弁護士資格保有。元弁護士の経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題を中心に執筆活動を行う。 弁護士時代には、交通事故、債務整理、離婚など多数の案件を解決。読者のお困りごとに寄り添う記事をモットーに執筆に取り組んでいる。

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