交通事故の過失割合は治療費に影響する?決め方や計算事例を解説
監修記事
鍋谷 萌子
ビジネス実務法務検定3級
交通事故は、どれだけ気を付けても当事者になるリスクをゼロにはできません。
そのため、実際に交通事故の当事者となったときに、受けた被害をフォローしてくれるのが損害賠償金です。具体的には治療費や慰謝料、車の修理費用などがあたります。
また、その金額を決める重要な要素のひとつに「過失割合」があります。
今回は、過失割合と治療費や慰謝料のかかわりについて解説します。
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目次
交通事故の過失割合は慰謝料や治療費に影響する
交通事故には、加害者と被害者が存在します。
「加害者に100%の過失があり、被害者に落ち度はない」事故があれば、「加害者にも被害者にも落ち度がある」ケースもあります。
交通事故で双方に過失がある場合、それぞれの過失はどれくらいかを示す指標が「過失割合」です。
例えば、当事者双方に過失がある場合、「加害者の過失が6割、被害者の過失が4割」のように示されます。
この「過失割合」は、交通事故で発生する慰謝料や治療費といった金銭面にもかかわります。
過失割合は損害賠償金すべてに影響する
交通事故では、加害者側が被害者に対して、事故によって受けた損害を金銭によって埋め合わせます。(損害賠償)具体的には、慰謝料や治療費、車の修理費などがあげられます。
そして損害賠償金は、過失割合によって異なってきます。
POINT
「損害賠償金」と「慰謝料」は同じ?
しばしば「損害賠償金」と「慰謝料」は混同されますが、実は違います。
慰謝料とは、被害者の精神的な苦痛に対して支払われる、損害賠償金の一部です。
一方、損害賠償金とは、慰謝料や治療費、修理費など、加害者側が被害者へ支払うお金のことをいいます。
交通事故の過失割合はどう決める?
過失割合が1割違うだけで、支払われる損害賠償金は変わります。では、この過失割合は誰が決めるのでしょうか。
これには3つのパターンがあります。
- 当事者同士が話しあう
- 保険会社が決める
- 裁判所が決める
それぞれ解説していきます。
加害者や加害者側の保険会社との交渉で決める
過失割合は、当事者同士で話し合って決めることもできます。
しかし法的な知識がない人同士で話し合って過失割合を決めることは双方にとってリスクがあるため、基本的にはこの方法は推奨されません。
よく用いられている方法は、「代理人を通じて話し合う」ことです。特に、加害者と被害者、双方が加入している任意保険会社同士が交渉を進めていくケースになります。当事者が直接交渉のテーブルにつく必要がないため、当事者の負担が少ないのがメリットです。
ただ、保険会社同士での交渉の場合、納得のいかない結論になったり、適正とは言い切れない結論が出たりすることもあります。
弁護士へ交渉を依頼することで変わる場合もある
「保険会社から提示された過失割合に納得がいかない」場合、保険会社との交渉を弁護士に代行してもらうこともできます。
また、争いが裁判まで至った場合は、裁判官によって決められます。
過失割合は過去の事例をもとに決まる
そもそもの「過失割合を決める基準」についても解説していきましょう。
過失割合は、過去の交通事故の事例を参考にしています。別冊判例タイムズや、「赤い本」と呼ばれる本(民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準)などがよく用いられます。
また、交通事故は民事のため警察が過失割合を決めることはできません。
関連記事交通事故に多い骨挫傷の症状固定とは?後遺障害と慰謝料まで解説
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過失割合が決定した場合の具体的な計算事例
ここでは実際に、過失割合の違いでどれくらい金額に差が出るのかなどを解説していきます。
過失割合が1対9の場合
被害者の損害額が300万円で加害者の損害額が50万円のケースで考えてみましょう。
被害者の過失が1割とされた場合、被害者の請求できる損害賠償金額は、以下の通りになります。
- 被害者の損害賠償請求額:300万円×0.9=270万円
- 加害者の損害賠償請求額:50万円×0.1=5万円
また、実際には被害者の請求額から、加害者の請求額を差し引くため、
270万円-5万円=265万円となります。
被害者 | 加害者 | |
---|---|---|
過失割合 | 1割 | 9割 |
損害額 | 300万円 | 50万円 |
請求できる金額 | 300万円×0.9=270万円 | 50万円×0.1=5万円 |
実際に被害者が補償される金額 | 270万-5万円=265万円 | 0円 |
過失割合が4対6の場合
同様に、被害者と加害者の過失割合が4:6の場合も見ていきましょう。
被害者 | 加害者 | |
---|---|---|
過失割合 | 4割 | 6割 |
損害額 | 300万円 | 50万円 |
請求できる金額 | 300万円×0.6=180万円 | 50万円×0.4=20万円 |
実際に被害者が補償される金額 | 180万円-20万円=160万円 | 0円 |
このように同じ金額の損害を受けた状況でも、過失割合によって補償される金額に差があらわれます。
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交通事故における治療費にまつわるQ&A
最後に、交通事故の治療費に関するよくある質問について解説します。
被害者の過失割合が大きいときの治療費負担を減らすには?
「被害者側の過失割合が多いが、治療費も高額になりそう」な場合は、健康保険を利用するとよいでしょう。
例えば、病院に支払う金額が200万円で、被害者の過失が4割だったとします。
健康保険を利用しなかった場合、
- 加害者が支払う金額:200万円×0.6=120万円
- 被害者が支払う金額:200万円ー120万円=80万円
となります。
しかし健康保険(自己負担3割)を利用した場合、
- 健康保険を使用した場合の治療費:200万円×0.3=60万円
- 加害者が支払う金額:60万円×0.6=36万円
- 被害者が支払う金額:60万円ー36万円=24万円
となります。
なお、交通事故で健康保険を使用する場合は、「第三者行為による傷病届」の届け出が必要になります。必要な書類や手続きなどを確認しておきましょう。
関連記事交通事故の治療費に健康保険は適用される?使う方法やデメリットを解説
交通事故の治療費は慰謝料から引かれるの?
まず原則として、被害者側の過失が0の場合は、治療費は原則加害者側の保険会社によって支払われます。
しかし「被害者の過失割合が4であった」場合は、治療にかかった分の金額が慰謝料などから差し引かれることになります。
例えば、治療費が200万円だった場合、過失割合4割の被害者が支払うべき治療費は80万円(健康保険未使用時)となります。この80万円が、慰謝料などから差し引かれます。
まとめ
多くの方にとって初めての交通事故では、知識や気持ちが追いつかず、対応が後手になってしまうこともしばしばです。
そんな時のため、事前に知っておきたい知識のひとつに「過失割合」があげられます。
自身の受けた損害に対して、どのような補償がどれだけ受けられるかにも関わってきます。
交通事故に関する知識を身に着けて、もしもの事態に備えておきましょう。
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この記事を監修したのは…
交通事故関係、弁護士事務所・クリニック等でのコラム執筆を数多く経験。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「誰であっても理解できるかたちで」わかりやすく丁寧に解説していきます。
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