頚椎捻挫を悪化させないために!通院先と対処方法、後遺症について解説
監修記事
柿野 俊弥
理学療法士
交通事故による衝撃で、頚椎捻挫になることがあります。頚椎捻挫は、交通事故の被害にあった方の多くが負う怪我だといわれています。しかし、頚椎捻挫といわれても、難しくてどんな症状なのかわからないですよね。
そこで今回は、交通事故後にあらわれる頚椎捻挫の症状について解説していきます。
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目次
交通事故で負う頚椎捻挫って何?
交通事故後、首に違和感がある場合、頚椎捻挫である可能性があります。頚椎捻挫は、交通事故の衝撃によって首が鞭のようにしなり、首周辺の筋肉や靱帯などが損傷してしまうため、症状があらわれます。また、首が鞭のようにしなることから、「むちうち」とも呼ばれます。
頚椎捻挫になってしまうと、首の痛みや肩のこり、頭痛など様々な症状があらわれます。そのため、以下の4つの分類に分けることができます。
- 頚椎捻挫型
- バレー・ルー症状型
- 神経根症状型
- 脊髄症状型
頚椎捻挫型
首の骨周辺にある筋肉や靱帯などの軟部組織が損傷した場合、頚椎捻挫型に分類されます。4つの分類で最も発症する割合が高い型です。主な症状は、首の痛みや筋肉のこり、首の可動域制限などです。簡単に述べると、足首の捻挫が首に起こった状態になります。
バレー・ルー症状型
交通事故の衝撃で神経まで損傷した場合、バレー・ルー症状型に分類されます。後部交感神経と呼ばれる首の骨に沿って走る神経の損傷で、脳や脊髄の血流が低下してしまいます。それによって、自律神経のバランスが崩れ、様々な症状を引き起こすのです。主な症状は、頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気などです。
神経根症状型
神経根と呼ばれる脊髄から出ている神経が、引き伸ばされたり、圧迫されたりして異常が起こっている場合、神経根症状型に分類されます。主な症状は、首や腕の痛み、しびれ、倦怠感、後頭部や顔面の痛みなどです。神経はそれぞれに支配している領域が存在していて、どこを支配している神経が異常をきたしたかによって、症状が異なってきます。
脊髄症状型
交通事故によって脊髄が損傷した場合、脊髄症状型に分類されます。主な症状は、身体の麻痺や知覚障害、歩行障害などです。
頚椎捻挫の他に腰椎捻挫もある
頚椎とは首のことですが、頚椎捻挫の他にも、腰椎捻挫というものもあります。腰椎捻挫とは、簡単にいうと「腰のむちうち」です。腰椎捻挫になってしまうと、椎間板ヘルニアを引き起こすこともあるので、注意が必要です。
頚椎捻挫が悪化する!やってはいけないこととは
頸椎捻挫は生活に支障をきたす症状が多くあるため、早く治そうとさまざまなことに取り組むかもしれません。たとえば、次の2つです。
- 首を温める(発症後数日で)
- 自分でマッサージする・牽引する
しかし、これらは早く治るというよりも、むしろ悪化する可能性があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
症状が出て数日で首を温める
頸椎捻挫を起こしてから数日は、炎症が起きている時期です。そこで首を温めてしまうと、さらに炎症を促してしまい症状が悪化してしまいます。炎症の時期は「冷やす」のが正解です。凍傷にならないよう注意しながら、アイシングをしましょう。炎症が落ち着いた後は、温めることで頸椎捻挫の治りを早めることが期待できます。温めるタイミングに関しても自己判断は危険なため、医師に相談するとよいでしょう。
自分でマッサージする・牽引する
マッサージや牽引などを間違った方法で行うと、悪化する可能性があります。また、マッサージをする場合、強めにしてしまう方が多く、筋肉などの組織をより傷めてしまいます。
頸椎捻挫をした場合は、基本的に触らないようにしましょう。医師や理学療法士からストレッチやマッサージといったセルフケアの指導があった場合だけ、指導内容を忠実に守ったうえで行うことが大切です。
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交通事故による頚椎捻挫は後遺症になる
交通事故による頚椎捻挫は、後遺症が残ることもあります。頚椎捻挫の後遺症で多いのは、頭痛やめまい、しびれ、麻痺などの神経に関する症状です。
頚椎捻挫は、軽い症状から重い症状まで様々です。しかし、頚椎捻挫が軽い症状だからといって、放っておいてはいけません。頚椎捻挫の症状を放っておいても、自然に治ることはなく、かえって症状が悪化することもあります。
後遺症を残さないためには、医療機関で治療を受けることが大切なのです。
交通事故で負った頚椎捻挫を治療するには?
頚椎捻挫を負った場合、以下に挙げる2つの通院先で、治療・施術を受けるようにしましょう。
- 整形外科
- 整骨院
整形外科
整形外科では、MRIやレントゲンなどの検査、痛み止めや湿布の処方などを行ってくれます。そのため、事故後の身体に異常がないかを調べたり、痛みが酷い場合に薬を処方してもらいたいときに行くとよいでしょう。
整骨院
整骨院では、手技療法であるマッサージや物理療法である電気療法・牽引などの施術を受けられます。これらの施術は、循環を促進してしまう施術であるため、受傷直後は適さないといわれています。
しかし、痛みが引いてくると、炎症が落ち着いてきた証拠でもあるため、痛みのある部分にも触れられるようになり、整骨院での施術も受けられるようになります。整骨院で受ける施術には、以下のような効果が期待できます。
手技療法をメインとして、硬くなってしまった筋肉を覆う膜「筋膜」の柔軟性を高める筋膜リリースや神経系の出力を上げるテクニック、痛みの原因になっているポイントを見つけて治療する「トリガーポイント治療」などを用いてあらゆる痛みに対応し、患者様それぞれに適した施術を行います。また、超音波治療や体のゆがみを矯正するトムソンベッド、アクチベーター、キネシオテーピング、低周波治療器などを組み合わせていき、症状の緩和を目指していきます。
頚椎捻挫になったら慰謝料を請求できる?
交通事故で加害者によって頚椎捻挫を負って治療を受けた場合、加害者に慰謝料を請求することも可能です。加害者に請求できる慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。
入通院慰謝料は、交通事故が原因で入通院をしたことによる精神的苦痛の対価として支払われるものです。一方、後遺障害慰謝料は、交通事故が原因で後遺症が残ったことによる精神的苦痛の対価として支払われるものです。
被害者が後遺障害慰謝料を受け取るには、後遺障害等級認定の申請を受け、後遺障害の等級が認定されなければなりません。したがって、後遺障害慰謝料は、交通事故の被害者が必ず受け取れるものではないのです。
また、被害者に慰謝料が支払われるのは、人身事故で処理された場合のみとなっています。
慰謝料の対象は人身事故のみ?
どうして慰謝料の対象が「人身事故のみ」なのでしょうか。そもそも交通事故には、人身事故と物損事故の2種類あります。
人身事故とは負傷者がいる事故のことです。一方、物損事故は、負傷者がおらず、モノのみが壊れている事故のことです。
そのため、物損事故の場合、負傷者がいないため、被害者は大きな精神的苦痛を受けないと考えられています。したがって、慰謝料が発生しないのです。
もし下記のような場合は、物損事故から人身事故への切り替えを行い、加害者に慰謝料を請求しましょう。
- 「怪我を負っているのに、物損事故で処理されていた。」
- 「事故直後は痛みがなく物損で処理したが、後日痛みがあらわれてきた。」
頚椎捻挫が後遺症になった場合の手続き
もし頸椎捻挫が後遺症になったら、これまで請求できていた入通院慰謝料や治療費などを請求できなくなります。ただし「後遺障害等級」に認定されれば、代わりに請求できるようになるものがあります。そもそも後遺障害等級とは、交通事故による後遺症を部位や程度によって1~14級までの等級に分類したもののことです。
後遺障害等級に申請するには、まず医師に診断書を作成してもらいます。作成してもらった後は「事前認定」あるいは「被害者認定」で、後遺障害の申請をしましょう。申請から2~3ヶ月程度で結果が出ます。
後遺障害等級に認定されると「後遺障害」と認められ、後遺障害慰謝料や逸失利益が請求できるようになります。もし、認められなかった場合や認定等級が軽いと思った場合は、異議申し立ても可能です。
交通事故で負う頚椎捻挫についてのまとめ
交通事故の衝撃によって、首周辺の筋肉や靱帯などを損傷してしまうと、頚椎捻挫になってしまいます。
頚椎捻挫であらわれる症状は、首の痛みや肩のこりだけではなく、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りなど多種多様です。そのため、症状にあった治療・施術を受けることが大切です。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
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