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むちうちの症状固定とは?期間の目安や受け取れるお金の変化まで解説

監修記事

柿野 俊弥

理学療法士

むちうちの治療をしてきたけど、症状固定って言われた…」

症状固定と言われて、何をどうしたらよいか、わからなくなっていませんか?

そんな方に向けて本記事では、主に次のようなポイントを解説していきます。

  • むちうちの症状固定とは
  • 症状固定となる期間の目安
  • 症状固定と言われてからの動き方
  • 症状固定後の受け取れるお金の変化
  • むちうちの症状固定の注意点

本記事を読むとこれらについて理解でき、どう動けば良いのかがわかります。

分かりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間

交通事故に多いむちうちの症状固定とは

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

症状固定とは、これ以上治療を続けても、症状の改善が見込めない状態のことです。つまり「むちうちの治療を終了する」といった意味になります。

多くの病気や怪我で、症状固定があります。具体例を挙げていきましょう。

  • 脳出血:脳出血により生じる麻痺などの神経的な症状は、完全に元の状態に戻すのが難しく、およそ半年程度で症状固定と判断される場合が多い
  • 骨折や打撲などの痛み:骨折や打撲などで生じた痛みが慢性痛となり、その痛みが比較的安定した際に診断されやすい
  • 高次脳機能障害:記憶障害や注意障害など全般を言い、リハビリを重ねて行く中でこれ以上の改善が見られない場合に、症状固定と診断される

一度傷害を受けると、完全に元の状態に戻すのが難しい病気や怪我は少なくないのです。

症状固定で示談金が変わる

そもそも、交通事故によってむちうち症を発症した際の示談金には、次のようなものがあります。

  • 治療費
  • 入通院費
  • 入通院慰謝料
  • 交通費
  • 付添看護費
  • 傷害慰謝料
  • 休業損害 など

しかし、症状固定と判断されると示談金は変わります

  • 逸失利益(怪我や病気を発症しなければ減らなかったであろう収入の補償)
  • 後遺障害慰謝料

症状固定後の示談金として記載したものは、後遺障害と認定された場合です。認定されなかった場合は、すべて自己負担となります。

関連記事交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説<弁護士監修>

むちうちの症状固定となる期間目安

首を抑える後ろ姿の女性

むちうちの症状固定は、6か月が目安です。むちうちの症状によっては、最長1年6か月程度になる場合もあります。

ただ、症状固定になるのは比較的重度のむちうちです。交通事故などによってむちうちとなってから、1か月~3か月程度で治るケースも少なくありません。

加入している保険会社は、むちうちを発症してから3か月経過すると「症状固定にしましょう」などと伝えてくる場合があります。保険会社にとっては、治療費などを支払うのが負担となるからです。

診断するのはあくまで医師のため、医師が症状固定と判断しない限りは、承諾する必要性はないため、治療に集中しましょう。

また、後述する後遺障害等級の認定を受け「後遺障害慰謝料」を要求する手もあります。

むちうちで症状固定の診断を受けた後の流れ

むちうちが症状固定になったらすべきこと:後遺障害診断書を貰う・後遺障害等級認定を受ける

▲むちうちが症状固定になったらすべきこと

ここからは、むちうちが症状固定と診断された後、どう動いていけばよいのか解説していきます。

流れに沿って動けば悩まずに済むので、1つずつ焦らずに行っていきましょう。もし不明点があれば、医師や弁護士などに相談もできるので、気軽に相談してみてください。

後遺障害診断書を作成してもらう

後遺障害診断書とは?

▲後遺障害診断書とは?

後遺障害診断書を作成するのは「主治医」です。そのため、こちらで行うのは主治医に後遺障害診断書を願い出ることだけになります。

そもそも後遺障害診断書とは、症状固定と診断されたときに、後遺障害だと認めてもらうために必要な書類のことです。

「後遺障害等級」に認定してもらわなければ、自己負担が増え、損をしてしまいます。

認定してもらうためには必須な書類のため、作成依頼を忘れないよう注意してください。

関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!

後遺障害等級の認定を申請する

後遺障害診断書を作成するだけでは、後遺障害として認定されません。「後遺障害等級」の認定を申請する必要もあります。

申請の方法には、加害者が加入している保険会社を通す方法と、自身または弁護士が申請する方法があります。

弁護士に申請してもらう方が、保険会社を通すよりも適正な認定を受けられる可能性が高いため、弁護士への依頼の選択肢が優先度として高いです。

弁護士に依頼するのが手間に感じる方は、保険会社を通して申請するのもよいでしょう。

しかし、適正でない結果になる可能性を否定できないため、あまりおすすめはできません。

示談交渉を行う

交通事故の示談交渉とは交通事故の加害者と被害者が和解の為に行う話合いのこと

▲交通事故の示談交渉とは

後遺障害等級に認定された後は、加害者が加入している保険会社示談交渉をする必要があります。

示談交渉は、自身または弁護士が行います。知識の有無や自己負担、受け取れるお金を増やせる可能性の観点から、弁護士に依頼するのがよいでしょう。

保険会社は、自社の利益も考えなくてはならないため、こちらに有利な条件で賠償額を決めるのは難しいです。

そんな中、自身で交渉するのは困難なため、あらゆる面の知識を兼ね備えている弁護士に依頼すべきです。

むちうちの症状固定は後遺障害の等級認定を受ける

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

後遺症が残った場合「後遺障害」として認められる可能性があります。

後遺障害等級は、1級から14級まであり、1級が最も重篤な後遺障害です。

むちうちの後遺障害等級は、「12級13号」もしくは「14級9号」になる場合が多いです。当然ながら、症状がほとんど改善されていれば、後遺障害に該当しない「非該当」になるでしょう。

どの認定になるかは、事故の状況や症状の程度、所見によって変わってきます

もし、12級13号に認定された場合、次のような費目の請求が可能です。

  • 傷害慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 治療費
  • 休業損害 など

14級9号と比べると、当然ながらそれぞれの費目で受け取れる金額も増えます

交通事故でなったむちうちの症状固定の注意点

ポイント,注意点

むちうちの症状固定に関して、いくつか注意点があります。症状固定の有無は後遺障害等級の認定に大きな影響を与え、診断されるタイミングによって慰謝料にも影響を与えます。

注意点を意識し、これから起こす行動に気を付けましょう。

症状固定日による入通院慰謝料の変化

むちうちの場合、症状固定までの通院期間の長さによって、慰謝料に1.5倍以上の差が出てきます。つまり、症状固定の診断されるタイミングが早いほど、受け取れる慰謝料は少なくなるわけです。

慰謝料の額は、3つある基準のうち1つから決められ、最も高額になる可能性があるのは「弁護士基準」です。

交通事故の慰謝料3つの基準の解説

▲交通事故の慰謝料3つの基準

弁護士基準は過去の裁判での判定を参考に算出され、他の基準より高額になる可能性が高くなります。そのため、慰謝料の示談交渉では弁護士に依頼し、弁護士基準にて算出してもらいましょう。

後遺障害の認定への影響

むちうちの症状固定と診断されるタイミングが早いと、通院期間(治療期間)が短くなり、むちうちの重症度が低いとみなされてしまいます

そうなると、後遺障害等級の申請をしても、後遺障害があると認定されない可能性が高まるのです。後遺障害と認定されなければ、その後の治療において、自己負担額が増えます。

もし、症状固定の診断や後遺障害等級の申請した結果に対して不服のある場合は、弁護士に相談してください。

病院に何度通っても慰謝料は増えない

むちうちの症状を早く治したい方や重症度の高い方は、病院に何度も通うことになるでしょう。しかし、通う回数によって原則、慰謝料が増えることはありません。

慰謝料の算出するうえで、慰謝料の額に直接的に影響するのは通院「回数」ではなく、通院「期間」です。必要でないのにも関わらず通院を繰り返すと、治療費等の支払いが打ち切りになる可能性もあります。

POINT

治療期間が長引くと…

治療期間が長引いて通院回数が増えてくると、通院1回あたりの慰謝料は減りますが、慰謝料総額が減るわけではないため安心しましょう。

まとめ

checkmark,チェック

症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態のことでした。症状固定と医師が判断し、後遺障害の認定を受けると、むちうちの「後遺障害」とみなされます。

後遺障害になっても治療を続けるのは可能なため、ご安心ください。

むちうちが症状固定となれば、受け取れるお金にも変化があります。今までは、入通院慰謝料や治療費などを受け取れましたが、症状固定後には主に「後遺障害慰謝料」を受け取ることになるのです。

手続きを踏まなければ、受け取れないため注意が必要です。また、むちうちの場合は期間によっても、受け取れる慰謝料が異なります。

不明点があれば、弁護士に相談するとよいでしょう。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

この記事の執筆者

理学療法士 / 柿野 俊弥
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

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