交通事故で頭を打った | 脳震盪の症状や他の傷病、後遺障害について解説
監修記事
柿野 俊弥
理学療法士
「交通事故に遭ってから吐き気やめまいが見られる」
思い当たる方は、もしかしたら脳震盪かもしれません。スポーツで「選手同士がぶつかって脳震盪を起こした」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。脳震盪はスポーツに限ったケガではなく、交通事故でも起こります。
本記事では、脳震盪の症状や対処法、慰謝料の請求について解説します。脳震盪を疑っていて、これからどうしたらよいのか悩んでいる方はぜひご覧ください。
-
まずはお気軽にご連絡ください
- 電話受付時間 9:00~22:00
-
LINEで無料相談
(24時間365日、受付) -
WEBで無料相談
(24時間365日、受付)
目次
脳震盪の症状
そもそも脳震盪とは、頭部に衝撃が加わり、一時的に意識障害が現れたものです。しかし、脳震盪の程度が強いと、次のような症状が生じることがあります。
- 吐き気
- しびれ
- めまい
- 頭痛
脳震盪の症状がさらに強くなると、本格的に脳の機能に障害が生じて、ろれつが回らなくなったり、意識消失が起こったりします。また、呼吸の乱れや不整脈が見られる場合もあります。
上記のような症状が現れる原因としては、脳に衝撃が加わったことで、一時的な機能停止の状態になったか、脳細胞が損傷していることが挙げられます。
自然に軽快する様子がなく、吐き気や頭痛などの症状が見られる場合は、なるべく早い医療機関の受診が望まれます。
頭を強く打った場合に疑われる傷病
交通事故で頭を打ったとき、疑われるのは脳震盪だけではありません。
むちうちや脳挫傷、脳出血の可能性もあります。ここでは、それぞれどのような病気なのか、どのような症状が現れるのかについて解説していきます。
脳震盪
改めて、脳震盪は頭を強く打った際に一時的に症状が発生するものです。
症状として、頭痛やめまい、吐き気が主に生じ、重症化すると意識障害や記憶障害も発生することがあります。重度の場合は、慢性的な頭痛やめまいなど、後遺障害が残るケースも見られます。
むちうち
首がむちのようにしなり、周囲の筋肉や靭帯などの組織が損傷するものです。
「むちうち」は一般的な呼ばれ方で、正式には「頸椎捻挫」や「外傷性頸部症候群」と呼ばれます。主な症状は、首や肩の痛み、頭痛です。場合によっては、手足のしびれやめまい、視覚障害をきたすこともあります。
放置すると、痛みや組織の損傷から全身に影響を与えるため、後遺症が残りやすくなるため注意が必要です。
関連記事むちうちとは?原因から症状・治療法や慰謝料まで徹底解説!
脳挫傷
脳挫傷は、頭部に強い衝撃を受けた際に脳組織が損傷する状態です。
脳震盪と異なる点として、脳挫傷は強い打撲をともなっているもので、出血による脳内圧の異常や頭蓋骨の損傷も起こることがあります。
つまり、脳震盪よりも脳挫傷の方が物理的なダメージがあるわけです。当然ながら、症状も脳挫傷の方が重度のケースが多く、強い頭痛、吐き気、めまい、意識障害、言語障害が見られ、重症化すると昏睡状態に陥ることもあります。
脳内出血
脳内出血は、脳の血管が損傷し、脳内に血が流れ出る状態を指します。
損傷した血管の場所や血が流れ出て溜まった場所によって症状は異なりますが、急激な頭痛や意識の混濁、視覚障害などが見られます。
重症化すると意識消失や神経機能の障害が発生します。後遺症として認知機能の低下や運動神経障害が見られるケースは少なくありません。
脳震盪が疑われる場合の対処
交通事故の後、脳震盪が疑われた場合は、すぐに仰向けにして体を動かさないようにしてください。
もし、吐き気がある場合は横向きに寝て、嘔吐物が詰まらないようにすることが大切です。その上で、意識の状態や他に症状がないかを調べましょう。
そこで意識が無い場合や状態が悪いと医療機関をすぐに受診しましょう。
先にも説明したように、脳震盪が重度になると、脳の機能や生命の維持機能(呼吸や循環など)に異常をきたします。放置すると、症状が残るリスクが高まります。
さらに最悪の場合、生命をおびやかすこともあるため、受診は早めに行いましょう。受診先は、脳の専門である「脳神経外科」になります。
また、一定期間経ってから診断すると、事故との関係性が認められない場合があります。
事故との関係性が認められない場合、交通事故の被害者であっても加害者に対して慰謝料や治療費を請求できない可能性があるのです。
そのため、症状がなくても診察を受けることが大切です。警察に人身事故として届け出ることも忘れないようにしましょう。
医師監修頚椎捻挫でMRI撮影は必要?受けるメリットや注意点について解説
脳震盪の後遺症と後遺障害等級
脳震盪の治療を一定期間行っても、症状の改善が見られなかった場合「後遺症」として扱われます。基本的に脳震盪は、自然に軽快しますが、重度の脳震盪だった場合は後遺症が残ることもあります。
ここで注意したいのが、後遺症として扱われるようになるとこれまで加害者に請求できていた治療費や慰謝料を請求できなくなることです。
費用の請求を維持するには「後遺障害等級」に認定される必要があります。後遺障害等級とは、交通事故のケガによる後遺症を1~14級に分けたものです。
それぞれに明確な基準が定められており、申請者は基準を満たした等級に振り分けられるか、基準を満たさなかった場合は適用外となります。
関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!
脳震盪後症候群
脳震盪後症候群は、脳震盪の後遺症と捉えて問題ありません。意識障害を生じるような重度の脳震盪の後、身体症状や精神症状をきたすことがあり、その状態を脳震盪後症候群と呼んでいます。
具体的な症状としては、記憶障害、音・光への過敏性、慢性的な疲労感、頭痛などが挙げられます。
CTやMRIといった画像検査では異常が見つからないため、医師による診察や症状に応じた検査を基に、総合的に判断されます。認められる可能性のある後遺障害等級は、9級、12級、14級です。
高次脳機能障害
高次機能障害とは、交通事故による脳の損傷や脳出血、脳梗塞といった脳の異常で、記憶や思考、言語、注意などの機能に障害が生じたもののことです。
損傷が生じた箇所によって症状が大きく変わります。また、症状が完全に元の状態に戻ることは難しいとも言われているのが現状です。
診断は、MRIに加えて症状に応じた検査が行われます。
例えば、注意機能の低下が疑われる場合には、1~25の数字を順に線で結んでいったり、数字と平仮名を交互に結んで行ったりする「TMT検査」や、読み上げた何桁かの数字を復唱する「WAIS数唱検査」などにて判別します。
高次脳機能障害が後遺症として残った場合は、後遺障害等級の1級、2級、3級、5級、7級、9級に認定される可能性があります。
脳震盪になった場合の慰謝料請求
脳震盪の原因となった交通事故で、相手に過失があれば、慰謝料を請求することができます。
慰謝料額は、過失割合や交通事故の程度などから決められますが、その計算方法には3種類あります。
- 自賠責保険基準:ケガによる損害、後遺障害等級、死亡による損害でそれぞれ限度額が定められており、対象となる日数によって慰謝料額が増える
- 任意保険基準:加害者側の保険会社が独自に定めている基準で慰謝料を計算する
- 弁護士基準:過去の判例をもとに弁護士や裁判所が計算する
3つの中で、最も適正であり高い慰謝料を請求できるのは「弁護士基準」です。弁護士に依頼することで、加害者側の保険会社との示談交渉を任せることもできます。
関連記事交通事故で通院したら慰謝料はいくらもらえる?計算方法も解説<弁護士監修>
事故による怪我の受診で不安があるなら相談を
脳震盪の多くのケースは自然に軽快しますが、重症化して後遺症が残ったりするケースもあります。このような状態を避けるためには、脳震盪が疑われた最初の段階で適切に対処することが大切です。
自己判断が難しければ、迷わず医療機関を受診することをおすすめします。
-
まずはお気軽にご連絡ください
- 電話受付時間 9:00~22:00
-
LINEで無料相談
(24時間365日、受付) -
WEBで無料相談
(24時間365日、受付)
この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
この記事の執筆者
カテゴリ一覧
交通事故に関する知識や通院について
無料でサポートいたします。