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坐骨神経痛でやってはいけないこととは?治し方や慰謝料の請求についても解説

監修記事

世良 泰

医師(整形外科他)

交通事故が原因で坐骨神経痛が現れる場合があります。

坐骨神経痛があるときに、やってはいけないことがあるとご存じでしょうか。場合によっては坐骨神経痛が悪化し、後遺症として症状が残ってしまうかもしれません。

本記事では、坐骨神経痛が出ている際のやってはいけないことに加え、できるだけ早く治す方法についても解説しています。症状に悩んでいる方はぜひご覧ください。

坐骨神経痛の人がやってはいけないこととは

坐骨神経痛の人がやってはいけないこととは

そもそも坐骨神経痛は、腰周辺に起きた異常で、腰を通る神経が圧迫されたり損傷したりすることが原因となる場合が多いです。

坐骨神経痛の人が次のようなことを行うと、神経の圧迫や損傷を悪化させ、坐骨神経痛の症状が強くなるおそれがあるため、避けなければなりません。

  • 重いものを持つ
  • 闇雲に体を動かす
  • 柔らかすぎるマットレスで寝る
  • 動かなさすぎる/じっとしすぎる
  • 体重を増やす

重いものを持つこと

重いものを持つのは、どうしても腰に負担がかかります。特に、床に置かれた重いものを「膝を伸ばした状態」で持ち上げると腰周囲の筋肉に負担がかかり、筋肉の下にある腰の骨が圧迫されてしまいます。

骨が圧迫されると、骨と骨の間にあるクッションの役割をしている「椎間板」が飛び出し(椎間板ヘルニア)、神経を圧迫するおそれがあります。

このような事態を避けるために、正しい身体の使い方を習得しましょう。

重いものを持ち上げるときは、腰への負担がかからないよう、膝を曲げて持ち上げることが大切です。

闇雲に身体を動かすこと

闇雲に身体を動かすと、坐骨神経痛による足の痛みやしびれの症状が悪化します。そのため次のような動作は避けましょう。

  • 突発的に動く
  • 腰を捻る動作を繰り返す
  • 膝を伸ばした状態で前かがみになる
  • 腰に負担のかかる無理な筋トレ、ストレッチをする

坐骨神経痛が出ているのにもかかわらず無理な動きを繰り返すと、症状が長引く原因になります。

坐骨神経痛が現れているときには、痛みの出ない範囲で動くことが大切です。

動かなさすぎる(じっとしすぎる)こと

坐骨神経痛だからといって動かさないままいると、筋肉が硬くなったり血液の循環が滞ったりします。坐骨神経痛の悪化に繋がるため、長時間同じ姿勢でいるなど安静にしすぎるのはよくありません。

軽いウォーキングや全身運動などの適度な運動を取り入れるようにしましょう。

しかし、運動中や運動後に痛みが強くなる場合は、早急に中止して安静にするか痛みの出ない運動に切り替えてください。

柔らかすぎるマットレスで寝ること

柔らかすぎるマットレスで寝ると、体の重みのある部分が沈み込みます。

仰向けであれば、肩周囲やお尻が沈み込むため腰は「く」の字になり、腰周辺の筋肉が常に緊張した状態が続きます。

そうすると「朝起きたら坐骨神経痛が悪化している」ことが起こってしまうのです。

マットレスのチェックポイント

マットレスが柔らかすぎないかどうか、以下の点をチェックしてみましょう。

  • 寝返りがしづらくないか
  • 仰向けで寝たときに体が沈み込みすぎていないか(背中が底についている感覚がないか)

体重を増やすこと

腰の骨は、前方に湾曲した構造となっています。体重が増えると、湾曲した構造に対して上からの圧力が強くなるため、腰への負担が増強し、坐骨神経痛の悪化につながります。

また、体重増加で膝に負担がかかり痛みを生じれば、膝の痛みをかばうために腰の筋肉がこわばり、坐骨神経痛につながるおそれがあります。どちらにしても、体重の増加は腰の負担になるため、体重を増やさないように注意しましょう。

交通事故による坐骨神経痛はいつまで続くもの?

交通事故による坐骨神経痛はいつまで続くもの?

交通事故が原因で、腰を打ちつけて生じた打撲や炎症であれば、「やってはいけないこと」を避けることで、1〜2週間程度で痛みはおさまります。

しかし、交通事故の状況や怪我の程度によっては、さらに時間がかかる場合もあります。例えば、腰に強い衝撃が加わったことで発症した腰椎椎間板ヘルニアや腰椎捻挫に伴う坐骨神経痛です。

原因の改善に時間を要するため、坐骨神経痛の症状も長引きやすくなります。

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坐骨神経痛をできるだけ早く治す方法はある?

坐骨神経痛みをできるだけ早く治すためには、大前提として「患部に負担をかけない生活をする」ことが大切です。そのうえで、坐骨神経痛の元になっている原因を軽減していきましょう。

これから、実際に取り組むべきことを紹介します。

身体や症状にあったストレッチを行う

坐骨神経痛の症状を軽減するために、身体状態や症状に応じたストレッチを行うのは有効です。こわばった腰の筋肉を緩めれば、神経の圧迫も軽減され症状の緩和につながるでしょう。

しかし、自己流でのストレッチはおすすめできません。適切なストレッチを行わなければ、かえって症状を悪化させるため、理学療法士などの専門家にみてもらいましょう。

生活習慣を改善する

先述した「やってはいけないこと」を含めた、生活習慣の改善が必要です。例えば、栄養バランスや生活内における身体の使い方、睡眠時間や睡眠の質などです。

可能であれば、専門家にアドバイスをもらうと改善を早められるでしょう。

また、専門家にアドバイスを求める際は、自身の生活習慣を細かく伝えると、より適切なアドバイスを受けられるはずです。

交通事故で坐骨神経痛となった場合には慰謝料の請求が可能

交通事故で坐骨神経痛となった場合には慰謝料の請求が可能

交通事故に遭ったことで坐骨神経痛を生じた場合、加害者側の保険会社に治療費や慰謝料を請求できます。ここでは、請求できる慰謝料の中でも「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」を解説します。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故によって入院や通院をしなければならなくなったことによる「精神的苦痛」に対して補償されるものです。

何が原因で坐骨神経痛となっているのか、坐骨神経痛の程度などによって入通院期間や治療内容は大きく変わります。入通院慰謝料は、入通院期間の長さや実際に通院した回数が増えるほど請求額も増えます。

入通院慰謝料の算出方法は、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準によって異なります。

交通事故の慰謝料3つの基準の解説

▲交通事故の慰謝料3つの基準

弁護士監修交通事故で通院したら慰謝料はいくらもらえる?計算方法も解説

後遺障害慰謝料

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級認定を申請し、後遺障害があると認められた場合に請求できる慰謝料です。坐骨神経痛では、14級または12級1で認定されるケースが多くなっています。

該当する後遺障害等級の14級と12級の要項は、以下の通りです。

  • 14級9号…局部に神経症状を残すもの
  • 12級13号…局部に頑固な神経症状を残すもの

それぞれの違いは残存した神経症状が「頑固」なものかどうかです。MRICTなどの画像検査や神経学的所見(神経症状に対する検査によって得られた結果)などの医学的に証明できる症状が「頑固な神経症状」とみなされ、12級13号に該当します。

関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!

坐骨神経痛のときはやってはいけないことを守り適切な治療を

坐骨神経痛のときはやってはいけないことを守り適切な治療を

坐骨神経痛のときは、骨や筋肉、神経に負担のかかる行為は避ける必要があります。

避けたうえで適切な治療を受けることができれば、治癒までの期間を縮められるでしょう。

この記事を監修したのは…

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。

池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/

日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター

TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員

AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー

この記事の執筆者

理学療法士 / 柿野 俊弥
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

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