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事故後のむちうち症状を簡単セルフチェック!頭痛や吐き気も見逃さず早期対応を

監修記事

河野 裕也

理学療法士

交通事故によりむちうちを患うとさまざまな症状が出現します。その中でも、頭痛や吐き気は出現しやすい症状であり、放置すると後遺症として残ってしまう可能性があります。

頭痛や吐き気が長く続くと食欲が減退し、体力が低下したり活発な行動ができなかったりと日常生活に大きく支障をきたします。精神的な苦痛も大きくなります。そのため、医療機関を受診し適切な治療が必要となります。今回は交通事故後の頭痛や吐き気について解説します。

交通事故後のむちうち症状のセルフチェック

交通事故後の頭痛や吐き気のセルフチェック

交通事故では、身体に大きな衝撃が加わり、頭が急激に揺さぶられることで首に大きな負担がかかります。このため、首の周囲の筋肉や靭帯、関節包に加え、頚椎から出る神経の根元や自律神経にダメージが生じることがあり、首や背部の痛み、頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、しびれなどのいわゆる「むちうち」の症状が現れることがあります。

むちうち症状のセルフチェック

  1. 症状の増悪・寛解はあるが長期間続いている
  2. 痛みの部位が変化することがある
  3. 軽い運動でも症状が出現することがある
  4. 以前よりも集中力が低下している
  5. 頭痛、めまい、不眠、疲労感などが事故前より多い
  6. 気候の変化により症状も変化をする

6項目のうち2項目に当てはまる場合はむちうちの可能性が極めて高くなります。

交通事故後の頭痛や吐き気の原因

交通事故後の頭痛や吐き気の原因

交通事故後に頭痛や吐き気が起こる原因として、首周囲の筋肉や靭帯を損傷することによる頚椎捻挫、頚椎の間から出る神経を損傷することによる神経根症状、自律神経の障害によるバレー・ルー症候群、脳脊髄液の異常による脳脊髄液減圧症、そして頭部を強く打ったことによる頭部の打撲などが挙げられます。

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頚椎捻挫

むちうちの約70%〜80%は頚椎捻挫です。交通事故の衝撃により、頭が急激に揺さぶられることで、首周囲の筋肉、靭帯、関節包などの軟部組織が損傷します。

首周囲の筋肉が損傷されることで、筋肉の間にある神経や血管が圧迫され、頭痛や吐き気を引き起こすことがあります。首は頭を常に支えているため、通常でも多少の負荷がかかっています。そのため、症状が軽くても長期間の治療が必要となる可能性があります。

神経根症状

頚椎捻挫では、軟部組織だけでなく神経組織が損傷することがあります。首は7つの骨が積み重なってできており、上下の骨の間から神経が出ています。

神経が圧迫されたり損傷されると神経の伝達が阻害され、放散痛やしびれが生じることがあります。重症化すると、麻痺や感覚障害などが後遺症として残る可能性があります。

バレー・ルー症候群

首の周りには自律神経の交感神経があります。交通事故の衝撃により首へ負担がかかることで交感神経にも障害が生じ、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、難聴、視力低下、不眠などさまざまな症状が現れます。

このように首周りを損傷することによって自律神経症状を主体とするものをバレー・ルー症候群といいます。自覚症状が中心でレントゲン所見上では骨折や脱臼などがなく、他覚的な所見に乏しく交感神経ブロックによって症状の改善がみられます。

脳脊髄液減圧症

脳と脊髄は脳脊髄液という液体で満たされた脳脊髄腔という閉鎖空間の中に存在します。

交通事故などの強い衝撃により脳脊髄腔に穴が空いてしまうことがあり、その穴から脳脊髄液が持続的または断続的に漏れ出ることで脳脊髄液が減少し頭痛や吐き気、めまい、耳鳴り、倦怠感、視覚異常などさまざまな症状が出現します。

特に脳脊髄液が減少しているため起き上がった際に脳が下がることで生じる起立性頭痛が特徴的です。

頭部の打撲

頭部を打撲している場合には重篤なケースもありますので注意が必要です。衝撃により脳が頭蓋骨に強く当たったり揺さぶられたりすると脳を包む膜(硬膜)の下で出血し血が溜まる場合があります。

急性硬膜下血腫といって急速に溜まった血液によって脳が圧迫されることがあります。ぶつけた直後は症状がなくても数時間後に急に状態が悪化することもあります。

また、頭部を打撲してから1、2ヶ月くらい経ってから脳と頭蓋骨の間に血液が徐々に溜まって血腫を形成する場合があります。これを慢性硬膜下血腫といって血腫が徐々に脳を圧迫して頭痛や麻痺、意識障害を発症します。

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交通事故後の頭痛や吐き気が悪化する理由

交通事故後の頭痛や吐き気が悪化する理由

交通事故に遭ってからしばらくして頭痛や吐き気などの症状が出現する場合があります。その原因の1つに、むちうちによる首周囲の筋肉の損傷による血流不良や神経の圧迫があります。

交通事故の衝撃により頭が急激に揺さぶられることで、頭を支える首の筋肉が損傷すると筋の緊張が高まり、筋肉の間を通る血管や神経を圧迫することで頭痛や吐き気の症状が悪化します。

また、首は常に頭を支えているため日常的に負担がかかっています。そのため、むちうちにより首にダメージを受けた場合、通常の負担にさらに負担が加わり、症状が悪化することが考えられます。

そのため、交通事故後の頭痛や吐き気の症状に対して、首への治療が必要な場合があります。

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交通事故後の頭痛や吐き気でかかる医療費

交通事故後の頭痛や吐き気でかかる医療費

交通事故後の頭痛や吐き気でかかる医療費は自賠責保険が適用されるため、基本的には医療費の負担はありません。ただし、自賠責保険が適用されるためには、交通事故と症状の因果関係をしっかりと証明する必要があります。

そのためには、医師が作成する診断書が必要です。この診断書は医師しか発行することができません。また、交通事故に遭ってから期間がある程度経過してからの受診では、交通事故と症状の因果関係に確実性が持てない場合があります。

そのため、交通事故に遭った場合には、なるべく早く整形外科などの病院を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。

交通事故後の頭痛や吐き気で受診すべき場所

交通事故後の頭痛や吐き気で受診すべき場所

交通事故にあった場合には医療機関を受診しましょう。症状が軽度であったり、直後は無症状であったとしても、数日から数週間後に症状が出て悪化する場合もあります。

また、交通事故と症状の因果関係を明確にする必要があるため、事故後にすぐに医療機関を受診することが重要です。症状が軽度な場合は整形外科を受診し、頭を強く打っている場合には神経内科または脳神経外科を受診しましょう。

整形外科

交通事故後はむちうちを発症することが多く、首の痛みや頭痛、吐き気、めまいなどの症状が出現します。また、事故直後は無症状であっても、数日から数週間後に症状が出る場合もあるため、無症状でもまずは整形外科でレントゲンやMRIなどの検査と医師の診察を受けましょう。

頭を強く打っている場合には脳の異常を検査する必要があるため、頭を打った後に少しでも異常を感じた場合には神経内科または脳神経外科を受診しましょう。

神経内科

整形外科を受診し、レントゲンやMRI検査などで異常が見られず、頭痛やめまいの原因がはっきりしない場合には、神経内科で診察してもらうと良いでしょう。神経内科では、MRI検査の他にCT検査を受けることができます。

交通事故の衝撃で脳にダメージを受けている可能性があり、硬膜下血腫やくも膜下出血脳出血などCT検査はMRI検査に比べて脳の出血に関する診断がより明確になります。脳の損傷が軽度の場合は、神経内科で治療を受けることができます。

脳神経外科

神経内科で検査を行った結果、脳の損傷が重症であった場合には、脳神経外科を紹介されることがあります。脳神経外科では、脳や脊髄の疾患に対して手術を行うことが可能です。

頭を強く打っている場合には、脳の損傷も考えられますので神経内科または脳神経外科を受診しましょう。

整骨院

整形外科などの医療機関を受診後、整骨院などに通うことも可能です。整骨院では、むちうちを専門にやっているところや、遅い時間や休日も施術を受けられるところもあります。交通事故後の施術には時間がかかる場合もありますので、ご自身のライフワークにあわせて通いましょう。

交通事故後の頭痛や吐き気と後遺障害

交通事故後の頭痛や吐き気と後遺障害

交通事故後に頭痛や吐き気などの症状が残る場合、「後遺障害」として認定を受けることができます。ただし、頭痛や吐き気の症状と交通事故の因果関係が明確であるという医師の診断が必要です。

そのため、頭痛や吐き気がある場合は、医師に申告する必要があります。頭痛や吐き気は、他の人が見てもはっきりとわかるわけではないため、後遺障害の認定を受けることは簡単ではありません。

そのため、事故直後に病院を受診し、必要な治療を受け、状況を医師に報告することが大切です。

交通事故に遭ったらすぐに病院へ行こう

交通事故に遭ったらすぐに病院へ行こう

今回は交通事故後の頭痛や吐き気について解説しました。交通事故では、身体に想像以上の強い衝撃が加わります。そのため、症状が軽度であったり、事故直後は無症状であっても、徐々に症状が悪化する場合があります。

特に頭を打った場合には、脳の障害を患っている可能性がありますので、医療機関でしっかりと検査を受ける必要があります。また、後遺症として症状が残る場合には、後遺障害の認定を受けることができます。

しかし、後遺障害の認定を受けるには、事故と症状の因果関係が明確であるという医師の後遺障害診断書が必要です。そのため、事故に遭った場合はすぐに医療機関を受診し、適切な検査と継続的な治療を受けましょう。

この記事を監修したのは…

国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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