むちうちの自覚症状は事故の後から出てくる?通院先や治療内容も解説!
監修記事
島谷 柚希
看護師
交通事故にあった方の中にも、むちうち症状が後からあらわれつらい思いをされている方も多いのではないでしょうか。症状が後からあらわれることは、むちうちではよくあります。
この記事では、交通事故後になぜ痛みがあらわれるのか、症状があらわれてからの対処法について解説しています。
事故後の痛みや通院先に悩まれている方は、ぜひ一読ください。
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目次
むちうちの症状があとから出てくるのはなぜ?
むちうちによる症状が時間がたってから表れることがあるのは、事故当時は脳が興奮状態にあるためです。
事故直後にはアドレナリンやエンドルフィンというホルモンが放出されて神経を高ぶらせ、痛みや苦痛を感じにくくします。アドレナリンは麻酔薬の成分にも入っており、エンドルフィンは脳内麻薬ともいわれ、いずれも鎮痛作用があるホルモンです。
たとえば追突事故などで、実際には事故直後から頚椎付近の筋肉などが傷ついたり、炎症を起こしたりしたとします。しかし、事故のショックにより脳内が興奮状態にあるため、本来ある痛みや苦痛を自覚できないことがあるのです。
時間が経過し、興奮状態が落ち着いて脳内ホルモンなどの作用がおさまってきたときに、痛みを自覚できるようになります。
症状の出現には事故の状況などにより個人差があります。しかし、整形外科に来院される患者さんは、事故の翌日から3日以内に頚部(首部分)の痛みや違和感に気が付いて受診される方が多い印象です。
むちうちがあとから出たらするべきこと
交通事故によるむちうちの症状が、あとから出てきたらまず何をするべきでしょうか?
まずは整形外科を受診して診断書を取得する
まずは整形外科を受診しましょう。
人身事故へ切り替えるために必要な診断書も医師でなければ作成できません。
そのため、最初に整形外科へ受診するようにしましょう。
物損事故で処理している場合
あとから痛みを感じた場合、物損事故のままでは治療費や慰謝料などの損害賠償が十分に支払われなくなってしまう可能性もあります。
ご自身が不利な状況にならないためにも、物損事故と人身事故の違いについて理解しましょう。
- 物損事故
被害対象が人ではなく、車などの物のみに被害が起きている交通事故のことです。 - 人身事故
被害対象が人であり、怪我や死亡にいたる結果が起きている交通事故のことです。怪我の大きさに関わらず、怪我をしていれば人身事故となります。
事故後、痛みがあらわれたのであれば早急に物損事故から人身事故へと切り替えましょう。
人身事故へ切り替える期限について
人身事故への切り替えは、明確に期限が定められているわけではありませんが、事故発生から1週間以内が良いでしょう。
交通事故後に病院で取得した診断書を警察に提出することで、人身事故の切り替え手続きを行ってくれます。
しかし、事故発生から時間が経ちすぎている場合、事故と症状の因果関係を疑われることがあり、警察が対応してくれない可能性があります。
もし、警察が人身事故への切り替えに対応してくれなかった場合は、相手の保険会社から「人身事故証明書入手不能理由書」を取り寄せ、提出しましょう。
人身事故証明書入手不能理由書とは、何らかの理由により人身事故としての届出が行われなかった場合に、その理由を記載して保険会社へ提出する書類です。
人身事故証明書入手不能理由書を提出することで、人身事故と同等の損害賠償を請求できる可能性があります。
むちうちの症状に対する治療や通院先とは
むちうちは、症状や程度の個人差が大きい疾患です。
場合によっては後遺症が残ってしまうこともあるので、きちんと通院しましょう。
交通事故によるむちうちで通院できる場所を紹介します。
整形外科・病院
整形外科では、医師が診察・治療を行います。
むちうちの診断としては、問診後に頚椎のレントゲン撮影を行い、診察では患部に触れたり、首を動かした角度によってしびれなどが出現しないかをチェックします。
頚椎の異常が疑われる場合には、MRIなどさらに詳しい画像診断へ進むこともあるでしょう。
頚部の痛みがあり、頚部周辺の筋肉の安静が必要と判断された場合には頚椎カラーが処方されることがありますし、痛み止めや湿布の処方もあります。
むちうちでは首筋や背中の張り感が出現することがありますが、希望や症状に応じてリハビリの指示が出ることもあります。
ただ、リハビリは週に2回以上通院できることが条件ですので、通院可能かどうかは相談したほうがよいでしょう。
接骨院・整骨院
整骨院では、国家資格を持った柔道整復師による施術を受けられます。
柔道整復師は医師ではないため、治療はできません。
手技療法や物理療法、運動療法を中心に施術ができます。
また整骨院に通院し始めたからといって、整形外科への通院はやめてはいけません。通院指示は主治医の指示に従い、整形外科にも通院するようにしましょう。
痛みが改善されず後遺症が出現した場合、後遺障害診断が必要になります。後遺症診断書を作成できるのは医師だけです。整形外科への通院を怠ってしまうと、その期間の怪我の状況を把握できず、適切な後遺障害診断書の作成が難しくなってしまいます。
万が一、後遺症がでたときのためにも整形外科にも通院をしましょう。
むちうちになった場合に請求できる損害賠償
交通事故が原因でむちうちになった場合、加害者に損害賠償を請求ができます。
損害賠償の種類はさまざまですが、代表的な項目としては以下のようなものが挙げられます。
- 治療費
むちうちの治療にかかった費用のことを指します。保険会社が病院へ直接支払っているケースが多いです。 - 通院交通費
通院にかかった費用も加害者に請求できます。タクシー代については、必要性が認められれば支払われることがありますが、あらかじめ保険会社へ確認しておきましょう。 - 休業損害
交通事故によるむちうちが原因で働くことができずに、収入が減少したことによる損害です。専業主婦の場合も休業損害の請求が可能です。 - 入通院慰謝料
交通事故による精神的苦痛に対する補償です。 - 後遺障害慰謝料
交通事故による後遺障害に対する慰謝料。認定された後遺障害の等級に準じて請求できる。 - 後遺障害逸失利益
交通事故による後遺障害が残ったことで、労働能力が減少あるいは喪失し、将来的に得られるはずだった収入の減少をきたす損害のことを指します。
後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益については、後遺障害の等級認定を受けることで請求が認められます。
まとめ
事故直後は興奮状態にあるため、痛みを感じにくくなっていることがあります。
痛みを感じなかったとしても、数時間後に症状があらわれる可能性もあるため「痛みがないから大丈夫」とご自身で判断するのではなく、専門家のもとで指示を仰ぎましょう。
むちうちの通院先としては、整形外科と整骨院の2ヶ所あります。適切な治療を受け診断書を作成してもらうためにも、まずは整形外科を受診しましょう。
1日も早く痛みが改善することを願っております。
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この記事を監修したのは…
看護師として小児外科、整形外科、健康診断機関など医療現場などで勤務。
この経験を生かし、疾病の予防や健康増進に関する情報を発信する医療・健康ライターとしても活動をしている。
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