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交通事故による靭帯損傷の後遺症は?完治までの期間や放置のリスクを解説

監修記事

柿野 俊弥

理学療法士

交通事故による靭帯損傷後「症状がどのくらい続くのか」「後遺症は残るのか」について気になっていないでしょうか。

結論、損傷した部位や程度によって症状が完治するまでの期間は変わります。また、後遺症が残る可能性はあります。

本記事では次のポイントを解説しています。

  • 靭帯損傷にはどのような後遺症があるか
  • 靭帯損傷が完治するまでの期間の目安
  • 後遺症を放置するリスク
  • 後遺症がある場合は後遺障害等級認定の申請をするべき

これらのポイントを押さえ、交通事故による靭帯損傷に対して適切な対処をできるようになりましょう。

靭帯損傷の後遺症にはどういうものがある?

靭帯損傷の後遺症にはどういうものがある?

靭帯は、関節を支える重要な組織です。そのような靭帯が損傷して後遺症が残ると身体にさまざまな影響を及ぼします。具体的にどのような後遺症があるかを見ていきましょう。

痛みを伴う神経症状が続く

靭帯を損傷すると炎症が起こります。炎症が起こると腫れるため周囲にある神経を圧迫する可能性があります。それにより、痛みやしびれなどの神経症状が生じ、後遺症として神経症が続く場合があるのです。

足関節の靭帯損傷だと、痛みなどの後遺症は20〜40%の人に見られるとされています。痛み方としては、ピリッとした痛みやジンジンとした痛みなどが挙げられます。

関節の可動域が制限される

靭帯損傷を起こすと、関節の動く範囲が制限される場合があります。

みなさんも足首を捻挫し、いつものように足首を動かせなくなった経験があると思います。捻挫は靭帯の損傷により生じる怪我です。

捻挫では、痛みや腫れが生じるため関節の動く範囲が制限されてしまうのです。

可動域を制限する原因は痛みや腫れ以外にも、靭帯が硬くなったり安静にしたことから周囲の筋肉が硬くなったりなども原因となり得ます。

関節の安定性が失われる

靭帯は、骨と骨の間を取り持つように付き、関節の安定性を保つ働きがあります。靭帯を損傷すると関節が不安定となり、関節の不安感が生じます。

足部や膝の靭帯損傷だと、関節の不安定さによって、痛みを伴う関節の軟骨のすり減りや変形性関節症を発症するおそれがあるため注意が必要です。

部位別の靭帯損傷の後遺症をそれぞれ解説

部位別の靭帯損傷の後遺症をそれぞれ解説

ここからは、部位別に靭帯損傷の後遺症を解説します。

肘、膝、足首の靭帯損傷を解説しますが、それぞれの部位は可動性やもっている機能、靭帯の付き方などが異なるため、後遺症も異なります。

部位ごとの後遺症を把握して、今後の治療や対応に役立てましょう。

肘の靭帯損傷の場合

肘の靭帯損傷は、捻られたり強く引き伸ばされたりすることで生じます。後遺症は、変形性肘関節症や可動域低下、神経麻痺などが見られます。肘の可動域が低下すると、車の運転や荷物の持ち運びなど、日常生活への影響が強いです。

また、肘には指の動きや感覚を司る神経もあり、靭帯損傷によって神経が損傷し、指の機能が低下するケースもあります。

膝の靭帯損傷の場合

膝の靭帯損傷は、スポーツで強い力が加わった際に生じやすいです。特に、膝の内側にある靭帯や前・後十字靭帯が損傷しやすくなっています。

靭帯損傷に伴って、半月板の損傷を併発するケースもあります。治療を放置すると後々発症する場合もあるため注意が必要です。

膝の靭帯損傷では、痛みや関節の不安性から歩行に支障をきたします。医師の指示に従い、松葉杖などで体重をかけないようにして、場合によって補装具を使用しましょう。

足首の靭帯損傷の場合

足首の靭帯損傷は、スポーツや高齢者が歩行の際に足首を内側に捻ることで生じやすいです。理由は靭帯の構造として、足首の内側よりも外側の方が弱くなっているのが1つの原因になります。

足首の靭帯損傷後は「捻挫癖」がつく場合があります。特に足首を内側に捻ったことで生じた捻挫は、ただでさえ構造的に損傷しやすい外側の靭帯が緩んでしまい、捻りやすくなります。

繰り返した捻挫は、軟骨を傷つけたり足首の構造自体を変化させたりするリスクがあるため、捻挫した際の治療と再発予防は大切です。

靭帯損傷が完治するまでの期間を一覧表でチェック

カレンダー

肘・膝・足首での靭帯損傷が完治するまでの目安の期間を表にまとめたので、下記をご覧ください。損傷する靭帯によって大きく異なるため、ここでは各部位の代表的な靭帯損傷の期間を掲載しています。

肘の内側側副靭帯損傷

保存療法での治療の場合 約3か月
手術による治療の場合 約1年

膝の靭帯損傷

保存療法 約1~3か月

足首の靭帯損傷(捻挫)

軽い捻挫 約1週間
靭帯の部分断裂 約3~4週間
靭帯の完全断裂 約2~3か月

参照:医療法人社団 麗会 整形外科河合クリニック

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靭帯損傷の手術をしなかった場合の後遺症は

靭帯損傷の手術をしなかった場合の後遺症は

適切な治療を受けずに放置するのは、慢性的な痛みや他の身体への悪影響が出現するリスクがあります。

靭帯損傷は、関節の不安定性を生じるため関節に負担を与え、変形する可能性が考えられるため、適切に治療を行いましょう。

靭帯損傷の程度や受傷者が置かれている状況(今後もスポーツを行いたいなど)によって手術が必須かどうかは異なります。手術が必須でない場合は、保存療法を行ってください。

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靭帯損傷による後遺症がある場合は後遺障害等級の認定を受けられる

靭帯損傷による後遺症がある場合は後遺障害等級の認定を受けられる

交通事故が原因の靭帯損傷で後遺症がある場合、後遺障害等級認定の申請をすることで「後遺障害等級の認定」を受けられます。

後遺障害の認定を受けるメリットは、認定された後遺障害の等級に応じた後遺障害慰謝料を請求できる点です。

医師からこれ以上の改善は見込めないと判断されると、治療終了となり加害者側の保険会社による治療費の支払いを受けられなくなります。

後遺症が後遺障害だと認められれば、後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害等級の認定を受けるための判断基準

後遺障害等級には、それぞれの認定基準があります。

靭帯損傷の認定基準は、痛み・可動域制限・関節の不安定性の3つがポイントです。

症状 ポイント
痛み 自覚症状に加えて、裏付けされる検査結果があるかどうか
可動域制限 関節を動かす際の範囲が制限されていないかどうか
関節の不安定性 靭帯による関節の安定性が損なわれ、常々もしくは時々補装具が必要かどうか

後遺障害等級認定を受けるには専門家に相談

後遺障害認定の申請を自身で行う場合には、書類の手配をはじめとした多くの負担が発生します。
場合によっては、弁護士への依頼も視野に入れるとよいでしょう。

まとめ

靭帯は身体を支えるうえで非常に重要な役割を果たしているため、靭帯損傷を起こすと身体に多大な影響を与えます

靭帯損傷による後遺症では、日常生活に支障をきたすため適切な治療を受けましょう。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

この記事の執筆者

理学療法士 / 柿野 俊弥
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

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