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追突事故を起こしてしまった!罰金と処分の流れについて解説

監修記事

河野 裕也

理学療法士

交通事故を起こした加害者となってしまった場合、やるべき3つの義務についてご存知ですか?義務を怠ると、懲役刑や罰金刑を科せられる可能性があります。この記事では、加害者として行うべきことについて解説しています。

追突事故を起こしてしまった!違反点数や罰金、処分の流れとは

交通事故を起こしてしまった場合の違反点数や罰金、処分などについて予め知っておくことでトラブルを起こすことなく対処することができるでしょう。

一般的な交通事故の違反点数

交通事故の違反点数には基礎点数と付加点数の2つがあります。基礎点数とは交通違反に対する違反点数で安全運転義務違反や速度違反などがあります。例えば脇見運転は2点、速度超過は12点、0.25mg以上の酒気帯び運転は25点となります。

事故直後の対応が不適切であると、基礎点数が増える恐れがあります。特に救護義務違反(ひき逃げ)は35点と違反点数が大きくなります。付加点数は相手方のケガの負傷程度や過失割合などで決まる点数です。例えば治療期間が15日未満では3点、1カ月以上では9点などになります(過失割合で点数は異なる)。追突事故では基礎点数と付加点数がともに2点以上とされているため、違反点数は最低でも4点となります。

追突事故による一般的な罰金と賠償金について

人身事故を起こした場合は罰金に加えて相手に対して賠償金を支払うことになります。賠償金は保険会社を含めた被害者側と加害者の話し合いによって金額を決めていくことになります。その内訳には治療費、入院費、後遺障害の慰謝料などが含まれます。

金額を決める基準は

  1. 自賠責基準
  2. 任意保険基準
  3. 弁護士基準

の3つがあります。

交通事故の慰謝料の3つの基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)

▲交通事故の慰謝料の3つの基準

自賠責基準は自賠責保険会社が最低限の補償をするために用いる基準です。任意保険基準は任意保険会社が独自に定めている基準です。弁護士基準は過去の裁判例を基に算出された弁護士や裁判所が用いる基準です。賠償金の相場は軽傷の場合で数10万円〜200万円程度、後遺障害が残った場合は数100万円〜1億円、死亡した場合は数1000万円〜1億円となっています。

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

追突事故の処分の流れ

人身事故を起こしてしまった場合、以下の流れで処分が進んでいきます。

  1. 人身事故発生
  2. 実況見分:警察による現場での事故の状況についての取り調べ
  3. 事情聴取:警察署、検察庁での取り調べ
  4. 起訴:起訴された場合は裁判所の判決または※略式命令を受ける
  5. 罰金:罰金の納付書が検察庁から届く
  6. 罰金の納付

※略式命令とは通常の裁判とは異なり、書面での審査のみで行われる簡易的な手続きで人身事故の場合の多くは略式命令による手続きで処分が科されます。

追突事故の加害者になった場合に負う責任は3つ

交通事故の加害者は、法律で定められている民事上の責任刑事上の責任行政上の責任という3つの責任を負うことになります。

以下の内容で、3つの責任について詳しく説明します。

民事上の責任

民事上の責任とは、いわゆる損害賠償責任のことを指します。
交通事故の被害者に何らかの損害が発生した場合、加害者は被害者が負った損害を金銭で賠償する責任があり、これを損害賠償責任といいます。

損害賠償項目について

損害賠償は、強制保険とも呼ばれている自賠責保険より支払われます。自賠責保険での支払いだけでは不十分な場合、任意保険に加入していれば保険会社が補ってくれるため加害者自身が自己負担する必要はありません。

自賠責保険とは、自動車やバイクを所有する全ての人に、加入が義務付けられている強制保険。交通事故の被害者の救済が目的で、補償対応は人身事故の被害者。そのため、物損事故あ対象外となる。また、請求できる賠償金には限度額が定められている。

▲自賠責保険とは?

ただし、任意保険に加入していなければ加害者本人が負担しなければなりません。

損害賠償は、慰謝料だけでなく様々な項目があります。慰謝料の他に、どのような賠償が請求されるのか説明します。

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

  • 治療費   :治療が終了するまでの治療費
  • 通院交通費 :通院時にかかった交通費
  • 入院雑費  :入院した場合に、買った飲み物などの雑費
  • 付添看護費 :医師の指示により付き添いが必要となった場合の看護費
  • 休業損害  :事故が原因で仕事を休むことになった減収分
  • 入通院慰謝料:事故で負傷したことで治療が必要となり、精神的苦痛に対しての費用

上記に加え、万が一被害者に後遺症が残ってしまった場合や死亡してしまった場合には、逸失利益や後遺障害慰謝料、死亡慰謝料といったものも請求されます。

刑事上の責任

交通事故の加害者となり、被害者を死傷させてしまった場合、過失がゼロでない限り過失運転致死傷罪が成立します。過失運転致死傷罪では、7年以下の懲役・禁固、または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

また、加害者の悪質または危険な運転により死傷させた場合、過失による犯罪ではなく、故意に起こした犯罪として考えられます。傷害及び傷害致死を起こしたとし、危険運転致死傷罪という重大な犯罪として処罰されます。

行政上の責任

民事上の責任や刑事上の責任とは別に、交通事故を起こしたことに対して行政上の処分を受ける必要があります。

行政上の処分では、運転免許証の停止及び取消、反則金や点数の加点が行われます。

交通事故違反があった場合、違反内容に応じて一定の点数が加算されることになります。一定の点数までたまってしまうと、免許停止や免許取り消しといった処分が下されます。

追突事故を起こしてしまった際に、その場でやるべきことは3つ!

赤と青の車の追突
交通事故を起こしてしまった加害者には、道路交通法により定められている3つの義務があります。義務を怠った場合、5年以下の懲役または50万円以下の罰金を受けることになります。

ここでは、交通事故後に加害者が行うべき3つの義務について説明します。

怪我人の救護

まず第一に、相手が負傷しているかどうかを確認する必要があります。
負傷している場合は、自力で病院へ行くことができるのか確認し、場合によっては救急者を呼ぶなどの対応をしなければいけません。

救護を怠ってしまうと、道路交通法72条の規定のもと救護義務違反となってしまいます。

もしも、怪我人の救護と警察への報告義務を怠った場合、「ひき逃げ」とみなされてしまいます。
仮に「逃げていない」からひき逃げではないと主張される方もおられますが、その場から逃げたかどうかではなく、救護義務を果たしたかが問われます。そのため、相手方が「軽症だから大丈夫」と言っていたとしても、後々悪化する場合も考えられるため病院を受診するように勧めましょう。

交通事故が発生したことを警察へ報告

物損事故で警察を呼ばなかったら?

▲物損事故で警察を呼ばなかったらどうなる?

道路交通法72条により、交通事故を起こした場合は警察へ報告する義務があります。
報告義務を怠ると、報告義務違反となり3ヶ月以下の懲役、または5万円以下の罰金や保険が適用されない可能性もあるので、必ず報告を行いましょう。

具体的に電話をした際に報告すべきこととして、以下3つが挙げられます。

  • 事故の発生場所や時間
  • 現場の状況や負傷者の有無
  • 事故により損傷したもの

警察から質問をしてくれるので、落ち着いて報告しましょう。

現場の安全を確保する

負傷者の救護と警察への報告を済ませたら、二次被害を防止するために事故車両を安全な場所に移動させましょう。
さらに、「危険防止の処置」として車のハザードランプの点滅や発煙筒、三角表示板を使って後続車へ知らせましょう。これらの対応も、道路交通法により定められています。

被害者への謝罪やお見舞いは慎重に!

基本的に謝罪やお見舞いは必要です。被害者が負傷している場合、連絡もせず放置してしまうと、悪い印象を持たれ、被害感情を悪化させてしまう要因になります。そのため、事故後一週間以内には一度連絡をいれましょう。
また、交通事故では示談の際に過失割合が問題となってくるため、必要以上の謝罪は過失を認めることに繫がりかねないのであまり勧められません。

過失割合とは?

▲過失割合とは?

お見舞いに行くタイミング

お見舞いに行くタイミングですが、事故後できるだけ早く出向くことがよいでしょう。
しかし、事故直後は被害者が面会できる状態でない場合や、謝罪やお見舞いを拒否する場合も考えられます。そのため、事前に電話にて承諾を得るほうがよいでしょう。

また、お見舞いの頻度は可能な限り行くことをお勧めします。しっかりと誠意を伝えましょう。

その他被害者へのケアとしてやるべきこと

被害者や被害者家族へは誠意のある謝罪をしましょう。保険会社がすべてやるから丸投げして何もしなくていいということはありません。保険会社はあくまで事故処理の代行で賠償金の示談交渉などを代わりに行うものであって、被害者心理からすると誠意のある謝罪が加害者本人からあるかないかで心情が大きく変わります。

まとめ

ひらめいた!
交通事故を起こした加害者になった場合、最初に行うこととして、けが人の救護、警察への報告、現場の安全確保が必要となります。気が動転しているかもしれませんが、しっかりと責任を持って対応しましょう。
また、民事上の責任、刑事上の責任、行政上の責任の3つの責任を、少しでも軽くするために、行うべきことはしっかりとやり遂げましょう。

この記事を監修したのは…

国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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