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交通事故のセカンドオピニオンは可能?すべきことや注意点を解説

監修記事

岡野 圭祐

理学療法士

交通事故により大きな怪我を負い、通院が必要となるケースは多いです。重症であるほど通院期間は長くなりやすく、場合によっては転院を希望する患者も存在します。

治療期間が長いと、現在の治療が適切であるのかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。また、提示された転院先では納得のいく治療を受けられるのか分かりません。

そこで今回は、これからの治療方針について納得ができるよう、セカンドオピニオンについて解説します。

交通事故の怪我の治療でセカンドオピニオンは可能

交通事故の怪我の治療でセカンドオピニオンは可能

セカンドオピニオンとは、これからの治療方法について患者が納得できるように、現在の主治医とは異なる医療機関の医師に意見を聞くことをいいます。

「治療経過が順調だと思えない」、「医師の説明に納得していない」などといった場合には、セカンドオピニオンを検討することがおすすめです。

また、主治医に不満がなかったとしても、「別の医師の意見も聞いてみたい」、「転院先の医師の考えが知りたい」といった理由で利用されることもあります。

ファーストオピニオンを理解しておくことが大切

セカンドオピニオンについて解説しましたが、まず大前提としてファーストオピニオンを理解しておきましょう。主治医から治療方針についての説明を理解できていなければ、セカンドオピニオンで別の医師の話を聞いたとしても、かえって混乱を招く可能性があるからです。

専門分野の話とはいえ、医師は患者を含め一般人に平易な言葉で説明します。ファーストオピニオンで理解できなかった内容はそのままにせず、繰り返し説明を受け、まずは現状を理解することから始めましょう。

交通事故後セカンドオピニオンで転院を決定した場合にすべきこと

ここでは、交通事故による通院中にセカンドオピニオンを受け、転院が決定した場合にするべきことについて解説します。しかし、その前にセカンドオピニオンを受ける流れについて知っておきましょう。

  • 主治医によるファーストオピニオンを確認し、よく理解する
  • ファーストオピニオンを理解したうえでセカンドオピニオンを希望する場合、希望する医療機関を決める
  • セカンドオピニオンを受ける医療機関を主治医に伝え、紹介状や検査データを用意してもらう
  • セカンドオピニオンを受け、話し合った内容や結果を伝えて治療方針の相談をする
  • 治療を受ける医療機関や治療方針を決定し、主治医に伝える

医療機関における流れは理解できたと思いますが、保険会社への対応はどのようにしたらいいのでしょうか。

交通事故で転院する方法は、まず保険会社と医師に転院したい旨を伝えます。次に、医師に紹介状(診療情報提供書)を作成してもらいます。注意点はできるだけ早めに転院することと、転院回数は最小限にとどめることです。

▲交通事故で転院する方法

保険会社に転院の了承を得ておく

転院が決定しましたら、第一に保険会社へ転院する旨を報告しましょう。保険を利用している場合、治療費は保険会社が負担しています。

保険会社は、転院や治療が必要なものであれば支払いに応じますが、過剰請求を疑ってしまうと支払いに拒否を示すことがあります。

POINT

転院したことを知らなければ

そもそも、転院したことを知らなければ、治療費の支払いもできません。保険会社との信頼関係を保つためにも、転院が決定したら保険会社に連絡をするようにしましょう。

通院中の病院で紹介状を作成してもらう

転院が決定した場合、保険会社への連絡とあわせて、主治医から紹介状を作成してもらいましょう。保険会社は治療費を負担していますが、それは治療の必要があると判断しているためです。

転院する理由はさまざまですが、治療の必要性が明確でなければ、保険会社は支払いを打ち切る可能性があります。

治療費の支払いを継続するためには転院の必要性を証明することが条件であり、そこで主治医の紹介状があると、保険会社も納得するケースが多いです。

交通事故後に転院を繰り返すのは避けるよう注意

交通事故後に転院を繰り返すのは避けるよう注意

セカンドオピニオンを受けて転院をしたとしても、新しい医療機関と折り合いがつかなければ、再度転院を希望する方もいるでしょう。

しかし、転院を繰り返すことはおすすめできません。ここでは、繰り返し転院することによるデメリットについて解説します。

後遺障害診断書の作成を引き受けてもらえない可能性

後遺障害診断書とは、交通事故と後遺障害の因果関係が成り立つ場合に作成される書類であり、基本的には初診時の主治医によって記載されることが多いです。

後遺障害診断書とは?

▲後遺障害診断書とは?

また、転院から短期間で症状固定とされる場合などは、本当に転院が必要であったのか、保険会社から嫌疑をかけられる可能性もあります。後遺障害診断書の作成を積極的には行わない医師も存在するため、協力的な医療機関であるのか確認しておく必要があります。

治療方針に納得できずに転院を選択したとしても、もともとの主治医とは円満な関係を築いておきましょう。

慰謝料の算定に影響をもたらす可能性

交通事故後に転院を繰り返すことによって、慰謝料の算定に影響をもたらす可能性があります。経由した医療機関同士でシームレスな情報共有ができているのであれば、患者の状態に適した治療が継続して行われます。

しかし、治療を受けた医療機関ごとに内容や記録は大きく異なり、断片的な内容から経過を把握しにくくなるため、後遺障害診断書を作成しても、申請時に影響を及ぼす可能性があります。

交通事故で後遺障害認定を受けるために必要な条件

後遺障害認定の条件5つ

▲後遺障害認定の条件5つ

転院を繰り返さない方がいいといった話をしてきましたが、どうしても治療方針に不満がある場合は、セカンドオピニオンを利用してもいいでしょう。

しかし、後遺障害認定を受けるために必要な条件に影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要です。

後遺症が交通事故と関連のあるものか

後遺障害認定を受けるうえで重要なポイントは、後遺症と交通事故の因果関係が明確であるということです。交通事故と症状の発症日が大きく乖離している場合は、因果関係はないと判断されてしまいます。

また、交通事故直後に医療機関を受診していることも重要なポイントになります。なぜなら、医師の診察による記録や検査結果がないと、患者の主訴に対する立証が困難になるからです。

転院後の新しい主治医では、交通事故直後の経過を直接確認していないため、後遺障害診断書への記載も不十分になる可能性があります。

交通事故のあと症状が継続的に続いているか

交通事故後の症状が変遷するものでなく、一貫して継続している場合は、後遺障害認定を受けやすくなります。治療をしても元に戻ってしまう、または回復しないといった「症状固定」が後遺障害認定の条件となるからです。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

治療がうまくいかないからといって転院をしてしまうと、医師によっては診断内容も変わってしまう場合があります。そうすると、症状の一貫性がないと判断されてしまい、後遺障害認定を受けにくくなります。

関連記事交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説<弁護士監修>

後遺症を医学的に証明できるか

患者の主訴で多いのは痛みですが、不定愁訴として扱われることも多く、医学的な証明が必要になります。医学的な証明としてはレントゲンMRIといった精密機器による画像検査、ジャクソンテストなどの整形外科テストがあります。

交通事故後に行われるレントゲン検査とCT・MRI検査の違い

▲交通事故後に行われるレントゲン検査とCT・MRI検査の違い

転院先によってはレントゲンのみの設備しかない、整形外科テストなどの手技が不十分であるといったケースも存在します。転院先の設備を確認しておかなければ、診断に必要な検査を十分に受けられず、後遺症を医学的に証明することが困難になる可能性もあります。

後遺症がいずれかの等級の基準を満たしているか

後遺症にはさまざまな種類があり、等級ごとに認定基準が存在します。後遺症を認めていたとしても、認定基準を満たしていなければ後遺障害認定を受けられません。

例えば、むちうち症は12・14級に該当する場合があり、「画像診断で後遺症の存在が医学的に証明されたもの」、「治療経過や神経学的検査の結果、後遺症が発生していると説明可能なもの」などといった条件を満たす必要があります。

まずは、自分の後遺症が該当しうる等級と認定基準を確認しておきましょう。

関連記事むちうちの症状とはどういったものなのか?治療方法についても解説

まとめ

まとめ

セカンドオピニオンを受けることで、納得のいく治療を受けることも可能になるケースが多いことを解説しました。

しかし、必要な手順を踏まなければ慰謝料の算定だけでなく、後遺症を認めた場合は後遺障害認定の申請に不利になることがあるので慎重に検討しましょう。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、大学病院、総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催などを経験。理学療法士としての可能性を広げるため、ライターとしても活動中。

この記事の執筆者

理学療法士 / 岡野 圭祐
理学療法士として、大学病院、急性期総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。 臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催など多岐にわたる経験がある。 理学療法士としての可能性を広げるため、ライター活動も行っている。

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