外国人が交通事故で逃げる?!泣き寝入りしないための保険活用や対処法を解説
監修記事

岡本 美紗子
ライター
国際化が進む現代社会で、外国人との交通事故は誰の身にも起こりうる問題です。
しかし、いざ当事者になると「言葉が通じない」「相手が無保険だったらどうしよう」「母国へ帰国して逃げるのではないか」といった、日本人同士の事故とは質の異なる多くの不安に直面します。
この記事では、外国人との交通事故に遭遇した際に、泣き寝入りを防ぐための具体的な保険の活用法や、事故直後から取るべき対処法について解説します。
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目次
外国人による交通事故で泣き寝入りが増えている背景とは?
近年、観光や就労で日本を訪れる外国人の数は増加しています。
それに伴い、不慣れな日本の交通環境で外国人ドライバーが引き起こす交通事故も増加しており、被害者が適切な補償を受けられずに泣き寝入りしてしまうという深刻な問題が浮上しています。
ここでは、その背景にある具体的なデータや事例を詳しく見ていきます。
訪日外国人ドライバーによるレンタカー事故が5年で約2.3倍
訪日外国人の数は年々増加しており、比例して外国人ドライバーが運転するレンタカーによる交通事故も増加の一途をたどっています。警察庁の「平成30年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況」によると、外国人ドライバーによるレンタカー事故は、わずか5年間で約2.3倍に増えたというデータも存在します。
さらに、産経新聞によると、訪日外国人ドライバーの事故率は、同期間の日本人ドライバーの約4倍にものぼるという報道もあります。
このような統計は、訪日外国人が日本の交通環境に慣れていないことに起因する事故のリスクが、非常に高い水準にある状況を示唆しています。
外国人による交通事故の増加は、もはや他人事ではなく、すべてのドライバーが直面しうる現実的な問題です。
実際に起きたニュース・事例紹介
実際に、外国人ドライバーによる痛ましい交通事故はニュースでもたびたび報じられています。
例えば、不慣れな日本の交通標識やルールを誤認したことによる重大事故や、国際免許証の取得制度(外免切替制度)の基準が国によって異なるため、十分な運転技量がないまま公道を走行し事故に至るケースなどです。
また、交通インフラが整っていない地方の観光地でレンタカーを運転する外国人が事故を起こす事例も後を絶ちません。
これらの事例は、単なる運転ミスだけでなく、日本と海外の交通文化の違いが事故の引き金になっている状況を浮き彫りにしています。
詳しい状況は、以下の参考記事をご覧ください。
産経新聞「おばあさんは外国人のダンプにひかれ死んだ 事故率は本当に高いのか」
産経新聞「埼玉県南の外国人交通事故、昨年も相次ぐ 飲酒運転時速125キロ逆走…川口市長ら要望書」
なぜ外国人との交通事故は「泣き寝入り」が多いのか?
外国人との交通事故で被害者が泣き寝入りに追い込まれやすい背景には、いくつかの原因が存在します。
事故直後のコミュニケーションを阻む「言葉の壁」はもちろん、加害者である外国人の経済的な事情や、事故後に連絡が取れなくなったり母国へ帰国して逃げるなどのリスクが挙げられます。
さらに、被害者側にも「外国人相手だから仕方ない」という諦めの心理が働き、本来請求できるはずの損害賠償を諦めてしまうケースも少なくありません。
ここでは、泣き寝入りにつながる具体的な原因を紹介します。
外国人は無保険の可能性がある
事後の相手が任意保険に加入していない「無保険」状態である可能性は、泣き寝入りに直結する大きな問題です。
在留外国人総合調査「在留外国人の自動車所有について」によると、日本に在住し、就労している外国人の任意保険加入率は93.2%と、日本人全体の加入率と比較しても遜色ないというデータがあります。
しかし、問題は短期滞在の旅行者や一部の留学生などです。これらの人々は任意保険に加入していない可能性があり、賠償能力が著しく低い場合があります。
相手が無保険で、かつ十分な資力がない場合、被害者は治療費や修理費を自賠責保険の限度額内でしか回収できず、それを超える損害は自己負担、つまり泣き寝入りせざるを得ない状況に陥ってしまうのです。
▲自賠責保険とは?
加害者の逃亡・帰国・不法滞在の壁
さらに深刻なのは、外国人が交通事故後に姿をくらます逃亡や、母国へ帰国して逃げるケースです。特に悪質な加害者は、賠償責任から逃れるために意図的に行方をくらますことがあります。
日本の法律では、日本国内で起きた事故の損害賠償請求は、原則として日本の法律に基づいて日本国内で行う必要があります。
そのため、加害者が一度自国へ帰ってしまうと、その後の追跡や法的な責任追及は極めて困難です。
また、加害者が不法滞在者であった場合、事故が発覚すると強制送還の対象となるため、賠償交渉の途中で連絡が取れなくなるリスクも考えられます。
外国人との交通事故で泣き寝入りを防ぐ保険請求の手順と注意点
外国人との交通事故で泣き寝入りを避けるためには、事故発生直後からの冷静かつ迅速な対応と、保険制度を正しく理解し活用することが不可欠です。
ここでは、泣き寝入りを防ぐための具体的な保険請求の手順と注意点を紹介します。
事故発生時にまず確認すべきこと
事故が起きたらパニックにならず、まずは落ち着いて以下の対応を順に進めましょう。
・負傷者の確認と救護
最優先事項です。ご自身や同乗者、相手方のケガの状況を確認し、必要であれば直ちに119番に連絡して救急車を呼びましょう。
・警察への通報(110番)
どんなに小さな事故でも、必ず警察に連絡してください。これは法律上の義務であると同時に、交通事故証明書を発行してもらうために必須の手続きです。
▲物損事故で警察を呼ばなかったらどうなる?
・外国人の身元情報の確認
免許証や在留カード、パスポートなどを提示してもらい、氏名、住所、連絡先、国籍などを正確に記録します。
・相手の保険情報の確認
相手が加入している自賠責保険と任意保険の会社名、証券番号、連絡先を確認します。
・事故車両の情報確認
相手車両のナンバープレート、車種、色などの特徴を記録します。
・目撃者の確保
事故現場の目撃者がいれば、協力を依頼し、氏名と連絡先を聞いておきましょう。
・その場で示談はしない
相手から「警察を呼ばずに現金で解決したい」などと示談を持ちかけられても、応じないようにしましょう。
▲交通事故の示談交渉とは
相手が無保険・任意保険未加入の場合の対応
外国人ドライバーが任意保険に未加入の場合でも、泣き寝入りを防止する複数の対応策があります。
まず、ケガをしている場合は必ず人身事故として警察に届け出るようにしましょう。物損扱いのままでは、治療費や慰謝料など適切な補償が受けられない可能性があります。
▲物損事故から人身事故へ切り替える流れ
相手が任意保険のみ未加入なら、加害者の自賠責保険に被害者請求を行います。自賠責保険も未加入の完全無保険状態であれば、政府保障事業を利用できます。同時に、自分の任意保険の補償内容を確認しましょう。
人身傷害保険は自分のケガに対して保険金が支払われ、無保険車傷害特約は相手が無保険でも死亡・後遺障害を補償します。
弁護士費用特約があれば、示談交渉や損害賠償請求の際の弁護士費用もカバーされます。
▲弁護士特約とは?
事故当日から翌日までに自分の保険会社へ連絡し「相手が任意保険未加入」であることを必ず伝えてください。これにより、人身傷害保険や無保険車特約の適用準備が進められます。続いて、損害額の確定と賠償請求の準備に取り掛かります。
車の修理代や治療費、休業損害、慰謝料など、事故によって生じた損害額を整理します。
相手が自賠責保険に加入していれば、そこから最低限の補償は受けられますが、限度額を超える損害については、自身の保険でカバーするか、相手に直接請求することになります。
相手への直接請求は、支払能力不足や帰国・所在不明のリスクがあるため慎重に行い、弁護士費用特約がある場合は専門家を介した交渉が安全です。現場での示談や現金解決には応じないよう注意が必要です。
具体的な保険の活用方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事もらい事故で自分の保険は使う?利用するケースやデメリットを紹介
関連記事自賠責保険と任意保険どっちを使うのが正解?状況別の使い方を解説
関連記事自賠責保険は使うとどうなる?任意保険との併用や手続き方法を解説
保険会社への連絡と必要な書類
交通事故後は速やかに自分が加入している保険会社へ連絡することが重要です。特に相手が無保険であったり、連絡が途絶えがちであったりする場合には、自身の保険会社が対応の道筋を示してくれます。
連絡する際には、事故の日時や場所、相手の氏名・連絡先といった基本情報に加え「相手が外国人であること」「任意保険に未加入の可能性があること」を伝えましょう。
これにより、保険会社は人身傷害保険や無保険車傷害特約の適用を念頭に置いた対応を準備できます。
その後の請求手続きには、以下のような必要書類があります。
- 交通事故証明書
- 診断書
- 修理見積書
外国人相手のトラブルでは、後から事実関係で争いになる可能性も高いため、こうした客観的な証拠を一つひとつ確実に揃えておくことが、自身の主張を裏付ける上で非常に大切です。
交通事故証明書と診断書のもらい方については、以下の記事を参考にしてください。
賠償請求や示談交渉で注意すべきポイント
外国人への賠償請求や示談交渉では、日本人同士の事故にはない注意点があります。
相手が短期滞在の旅行者や留学生の場合、帰国の予定が迫っている可能性があります。そのため、早い段階で相手の滞在予定を確認し、交渉のタイムリミットを把握しておくことがポイントです。
もし、相手の対応に誠意が見られない、あるいは交渉が難航すると感じた場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。
また、相手から強引な示談を持ちかけられても、応じないように注意しましょう。
その場で解決したつもりでも、後からより大きな損害が発覚するケースは多く、一度示談してしまうと追加の請求は極めて困難になります。
外国人ドライバー特有のトラブル事例と対処法
外国人ドライバーとの交通事故では、日本人同士の事故では想定しにくい特有のトラブルが発生しがちです。
ここでは、よくある事例とその対処法を具体的に見ていきましょう。
・その場での示談を持ちかけてくる
事故現場で、相手の外国人から「警察は呼ばないでほしい」などと、その場での解決を持ちかけられることがあります。しかし、警察への届け出を怠ると、保険金の請求に必要な交通事故証明書が発行されず、後から治療費などの損害賠償を請求できなくなります。
・身元や連絡先が不十分・虚偽である
相手が口頭で伝えてきた電話番号や、渡された名刺の連絡先が後になって繋がらない、というケースも少なくありません。特に短期滞在の旅行者や技能実習生など、日本での社会的基盤が不安定な場合にこのリスクは高まります。
・任意保険未加入で支払い能力がない
前述の通り、特に短期滞在の外国人ドライバーは任意保険に未加入の割合が高い傾向にあります。自賠責保険だけでは、特に大きな人身事故や物損事故の損害を到底カバーしきれません。相手に支払い能力がなければ、差額は被害者の自己負担となり、泣き寝入りにつながります。
・帰国予定があり、逃げられる恐れがある
事故対応の途中で、相手の外国人から「もうすぐ帰国する」と告げられることがあります。一度帰国されてしまうと、損害賠償の請求や回収は法的に、また物理的に極めて困難になります。このような場合は一刻も早く弁護士に相談し、法的な手続きを検討する必要があります。
・言語が通じず、話が進まない
相手が日本語も英語も理解できず、意思疎通が全く図れないという状況も起こりえます。このような場合は、警察官や保険会社の担当者に通訳の手配を依頼できないか相談してみましょう。
これらのトラブルに対処するには、弁護士特約を活用し、弁護士に対応を依頼することが有効な手段となります。また、裁判よりも簡易な手続きで紛争解決を目指すADR機関を利用する方法もあります。
泣き寝入りを防ぐには「早期受診」が重要
外国人との交通事故において、適切な補償を受け、泣き寝入りを防ぐために最も大切な行動の一つが、事故後すぐに医療機関を受診することです。
ここでは、早期受診がなぜ泣き寝入り防止に不可欠なのか、その理由と病院選びのポイントについて紹介します。
早期受診が泣き寝入り防止につながる理由
事故後、速やかに病院へ行くべき理由は、事故とケガの因果関係を医学的に証明するためです。
▲交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由
むちうちのように、事故から数日経過した後に痛みやしびれなどの症状が現れるケガは少なくありません。
事故から受診までの期間が空いてしまうと、保険会社から「その症状は本当に今回の事故が原因ですか?」と因果関係を疑われ、治療費の支払いを拒否されるリスクが高まります。
事故発生後はできるだけ早く、理想的には事故当日から数日以内に医師の診察を受け、診断書を取得しておくことが大切です。
▲交通事故治療における診断書の内容と役割
この診断書こそが、ケガが事故によるものであることを示す証拠となり、後の損害賠償請求や示談交渉を有利に進めるための土台になります。
特に相手が帰国したり連絡が取れなくなったりするリスクがある外国人ドライバーとの事故では、客観的な証拠を早期に固めておくことが重要です。
病院選びのポイント
事故によるケガで最初に受診すべき診療科は「整形外科」です。
▲交通事故後の整形外科受診
レントゲンやMRIといった画像検査を通じて、骨や神経の異常を正確に診断してもらえます。
その上で、病院を選ぶ際には、交通事故治療の実績が豊富で、保険制度に詳しい医療機関を選ぶことが望ましいです。
交通事故の治療や後遺障害の認定手続きは専門的な知識を要するため、そうした分野に精通している医師やスタッフがいる病院であれば、スムーズな手続きが期待できます。
ホームページなどで交通事故治療について積極的に情報を発信している病院は、一つの目安になるでしょう。
通院先に迷う場合は、交通事故病院相談窓口へお気軽にご相談ください。交通事故に詳しい相談員が、事故後の通院先選びを無料でサポートいたします。
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外国人との交通事故でよくある質問(FAQ)
ここでは、外国人との交通事故に関して、特に多い質問と回答をまとめました。いざという時のために、ぜひ参考にしてください。
Q.泣き寝入りを選んだらどうなりますか?
もし泣き寝入りを選んでしまうと、事故によって生じた損害のすべてを自分自身で負担することになります。
具体的には、ケガの治療費や通院にかかる交通費、壊れた車の修理費などが全額自己負担となります。
また、法律上、損害賠償を請求できる権利には時効があり、人身損害は事故から5年、物損は3年で消滅してしまいます。
Q.無保険の加害者と連絡が取れない場合はどうすればいいですか?
加害者が無保険で連絡が取れなくなった場合は、自分が加入している保険会社に相談してください。
このような状況では、相手方への直接請求は極めて困難であるため、主な解決策は自分自身の保険を活用することになります。
保険会社の担当者は、あなたが利用できる「人身傷害保険」や「無保険車傷害特約」がないかを確認し、請求手続きをサポートしてくれます。
保険の詳細や、万が一相手が連絡不能になった場合の対応については、以下の記事もご確認ください。
関連記事交通事故の相手が無保険で泣き寝入り?被害者が取るべき対策を解説
外国人と交通事故にあったら早めの行動で泣き寝入りを防ごう
外国人と交通事故にあった場合、言葉の壁や相手が無保険・任意保険未加入であること、さらには加害者が帰国してしまうリスクなど、さまざまな困難が伴います。
しかし、泣き寝入りを避けるためには、事故直後の警察への通報や相手の身元確認、証拠の確保、そして早期の医療機関受診が欠かせません。
万が一、相手が無保険や逃亡した場合でも、自身の人身傷害保険や無保険車傷害特約を活用し、専門家の助けを借りながら対応を進めることが大切です。早めの行動が泣き寝入りを防ぐ最善の手段となります。
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14年以上にわたって医療事務の職に就き、2022年8月に退職。現在は、Webライターとして活躍中。健康、医療、美容関連の記事制作を得意とする。幅広い読者層に向けたわかりやすく、興味深いコンテンツを提供することを意識して、常に読者の視点に立った記事作成に取り組む。所持資格:登録販売者、MOSワードスペシャリスト
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