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整形外科のリハビリをやめるタイミングは?目安が異なる理由を解説

監修記事

岡野 圭祐

理学療法士

交通事故で怪我を負って、整形外科のリハビリに通っている人は多いでしょう。最初は痛みやしびれなどの症状に悩まされますが、リハビリを継続することで時間の経過とともに回復に向かいます。

しかし、どのタイミングでリハビリをやめるべきか判断に悩んでしまいますよね。実際には、怪我の種類や症状の程度によって治療期間は異なります。

今回は、交通事故後に整形外科の通院をしている人が、適切なタイミングで通院を打ち切ることができる内容を紹介していきます。

整形外科のリハビリをやめるタイミングは人によって大きく異なる

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整形外科のリハビリを通院していると、どのタイミングでやめるべきか判断に悩む人は多いでしょう。怪我の種類や重症度によっておおよその期間は予想できますが、全員に当てはまるものではありません。

基本的には専門医や担当の理学療法士と期間を相談する必要がありますが、症状が残っているうちは症状固定と診断されるまで通院をするべきです。その他に通院時期を決定する要素をいくつか紹介していきます。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

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症状がどの程度か・どんな症状か

症状に変化があるうちは専門医の診察と並行してリハビリを継続する必要はありますが、変化がない場合は自覚している症状によって継続の必要性を検討します。足にしびれがあっても仕事や日常生活に支障をきたしていない場合は、無理に通院をする必要はありません。

しかし、痛みはなくても手が十分に挙がらず、家事動作や仕事に支障をきたしているような場合は通院の継続をおすすめします。このように、生活に支障をきたす症状がなければ通院を打ち切っても良いでしょう。

痛みを感じている期間はどれくらいか

感じている痛みが急性期か慢性期によって、治療を要する期間は異なります。急性期であれば炎症を伴う痛みの可能性があるので、まずは専門医に原因を精査してもらいましょう。

むちうちの急性期と慢性期における対処法の違い

▲むちうちの急性期と慢性期における対処法の違い

組織の損傷であれば、その程度によって1ヶ月あたりで改善する人が多いです。しかし、半年以上続くような慢性期の痛みは、体の使い方や筋肉量・筋肉の硬さによるアンバランスが原因であり、調整に時間を要するので5ヶ月程度かかります。まずは感じている痛みの時期を確認しましょう。

怪我をした部位

怪我をした部位は、治療期間を決定するうえで重要な要素です。

骨折の場合、仮骨が形成され時間をかけて骨癒合が進んでいき治りますが、骨折した部位によって機能回復に要する時間は大きく異なります。

例えば上腕骨近位端(付け根)では機能回復に2〜3ヶ月の時間を要しますが、大腿骨頸部骨折では骨癒合だけでも最大で半年程度かかります。

しかし、この期間は手術をしない保存療法に限りますので、専門医が手術を必要と判断した場合は指示に従うことが完治への近道です。

年齢

怪我の治りには年齢も関係します。高齢者で他の病気も抱えている場合は治りが遅くなりますが、一般的には若い人の方が治りは早いことが多いです。

また、若い人は怪我をする前から活動レベルが高いため、怪我による筋力が多少低下していても日常生活への復帰に時間を要しません。

しかし、年を取るにつれて筋力や体力が落ちている人は、怪我をして活動量が低下するとさらに筋力が落ちるので、回復が遅くなる傾向があります。

整形外科のリハビリ終了の目安は患者のゴール設定による

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リハビリのゴールは患者の状況によって異なります。

例えばスポーツ復帰を目指す場合は高いパフォーマンスにゴールを設定しなければなりません。

日常生活レベルを目指すのであれば、歩行や家事動作の獲得が終了の目安となります。

高齢者であれば、ご家族の援助がどの程度得られるかによってゴール設定は異なるので、患者自身が必要とする目標を共有しておきましょう。

しかし、保険の範囲内でリハビリを受けられる期間は国に定められているので注意が必要です。

運動器リハビリテーションの期間は診断を受けた日から150日

保険の範囲内でリハビリを受けられる期間は、患者の疾患によって異なります。

例えば、内科治療により衰弱した場合は「廃用症候群リハビリテーション(120日)」、肺炎は「呼吸器リハビリテーション(90日)」などです。

交通事故による怪我のほとんどは「運動器リハビリテーション」に分類され、その標準的算定日数は150日であり、受傷日(起算日)から数えます。

しかし、150日を超えても1ヶ月の通院回数を制限することで通院の継続は可能です。

脳血管疾患等リハビリテーションの期間は診断を受けた日から180日

交通事故後の怪我のほとんどは運動器リハビリテーションに分類されます。

しかし、脳出血や脊髄損傷などの脳脊髄疾患患者は「脳血管疾患等リハビリテーション」に分類され、標準的算定日数は180日です。

自分の標準的算定日数を知っておくことは、リハビリの目標を立てるうえで重要な要素になります。脳や脊髄の損傷は回復に時間を要するので、症状固定とされるまでは期限内にしっかりとリハビリを受けるようにしましょう。

POINT

リハビリ終了の目安

・運動器リハビリテーションの期間は診断を受けた日から150日
・脳血管疾患等リハビリテーションの期間は診断を受けた日から180日

整形外科のリハビリ通院にまつわるQ&A

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交通事故により整形外科のリハビリを通院するにあたって、さまざまなことを不安に思う人も多いのではないでしょうか?

特にリハビリ通院の頻度や料金、効果についてはよく聞く質問なので、ひとつずつ紹介していきます。

整形外科のリハビリは週何回・何ヶ月くらい通うもの?

怪我の種類や程度によって治療方法は異なるため、担当の理学療法士が評価をして通院頻度を提案してくれることが多いです。

例えば、急性期などの症状が強い場合は、1週間に2回ほどで治療を進めていきます。

症状が落ち着いてきたら1週間に1回、2週間に1回と徐々に通院頻度を減らしていきます。軽症であれば1ヶ月程度ですが、重症例では半年以上になることも。再発予防も含めて指導が完了したら卒業のタイミングになります。

整形外科のリハビリでかかる料金の目安は?

整形外科のリハビリは1単位を20分として、単位数で運動器(脳血管疾患等)リハビリテーション料を算定しています。

つまり、介入する単位数によって料金は異なっていきますが、多くは1単位から2単位の介入であることが多いです。

疾患や治療時間、患者の自己負担額別による料金については下の表を参考にしてください。こちらで提示している金額は、あくまで保険診療内で実施されたリハビリに限ります。

疾患別のリハビリ単位数 1割負担 3割負担
運動器リハビリテーション料(1単位) 185円 555円
運動器リハビリテーション料(2単位) 370円 1110円
脳血管疾患等リハビリテーション料(1単位) 245円 735円
脳血管疾患等リハビリテーション料(2単位) 490円 1470円

整形外科のリハビリで効果ないと感じたらどうしたらいい?

整形外科のリハビリは体の使い方を正しい方法に導くために、リラクゼーションや運動療法を患者に提供します。マッサージを主体とする施術者もいますが、マッサージは対症療法であって根本的な解決にはなりません。

リハビリ通院を続けても効果を感じられない方は、体の問題により症状固定の状態であるか、間違った治療を受けている可能性があります。その場合は通院をやめるか、他の整形外科や整骨院などを検討することもひとつの方法です。

関連記事交通事故で起こりやすい怪我とは|通院先や損害賠償請求も解説!

まとめ

まとめ

今回は、交通事故後に通院中である整形外科のリハビリを、継続しようか考えている人へ向けて解説しました。リハビリ通院の期間は症状や重症度によって異なるので、主治医や担当の理学療法士と相談する必要があります。

リハビリを受けるにあたって、最初のうちにゴール設定を担当者と共有しておきましょう。なぜなら、保険診療内で整形外科のリハビリを受けられる期間は国で定められているので、期限内に達成が可能かどうか検討するべきだからです。

リハビリの通院は急性期では頻度を多く設定し、徐々に頻度を減らしていきます。最終的には再発予防までの指導を受けたら卒業ですが、効果が感じられない場合は通院を中断するか、別の整形外科や整骨院などを検討するのも良いでしょう。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、大学病院、総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催などを経験。理学療法士としての可能性を広げるため、ライターとしても活動中。

この記事の執筆者

理学療法士 / 岡野 圭祐
理学療法士として、大学病院、急性期総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。 臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催など多岐にわたる経験がある。 理学療法士としての可能性を広げるため、ライター活動も行っている。

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