交通事故で保険会社が嫌がることは?通院や示談をする前に注意点を確認
監修記事
岡野 圭祐
理学療法士
交通事故で怪我を負ったときは慰謝料の請求について保険会社と相談するものですが、保険会社が嫌がることを知っているでしょうか。
トラブルにより保険会社の言いなりになってしまい、泣き寝入りしたくない人は多いと思います。
だからと言って不必要に保険会社と対立してしまうと、被害者にとってマイナスになることがあります。
この記事で保険会社が嫌がることについて知り、トラブルを未然に防いで円滑に交渉できるようになりましょう。
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目次
交通事故で保険会社が嫌がることは?
保険会社の言いなりになってしまうと正当な慰謝料を受け取れない可能性があり、泣き寝入りしてしまう可能性があります。
そのため保険会社が嫌がる対応策を知っておくと良いでしょう。
- 交通事故の正しい知識がある
- そんぽADRセンターへ苦情を入れる
- 裁判を起こす
- 通院を継続する
- 弁護士に相談する
交通事故の正しい知識がある
加害者側の保険会社が最も嫌がることは、被害者が交通事故の正しい知識を持つことです。
保険会社は交通事故の対応に慣れていますが、被害者は交通事故に対して初心者であり、情報量に格差があります。そのため、あらゆる方法を使って支払いを抑え込もうとします。
しかし、交通事故に対して正しい知識を持っていれば自分が不利になるような提案があったとしても見抜くことが可能であり、保険会社も今後は安易な対応を控えるでしょう。
そんぽADRセンターへ苦情を入れる
加害者側の保険会社は、「そんぽADRセンター」に苦情を伝えられることも嫌がります。
そんぽADRセンターとは、日本損害保険協会が設けている被害者対応窓口です。
被害者は交通事故の示談交渉について中立的な立場で相談を受けることができます。さらに、保険会社の対応に不満がある場合は苦情窓口の役割を受け持つため、不正な対応があった場合には苦情解決手続きを申し立てましょう。
保険会社は苦情に対応しなければならないので、今後の被害者に対する態度が変わるかもしれません。
裁判を起こす
保険会社は裁判を起こされることを嫌いますが、その理由は2つあります。
1つめは裁判を起こされることで時間や手間がかかってしまうからです。裁判は長いと1年以上もかかるので、早く示談交渉を終えたい保険会社にとってはストレスになります。
2つめの理由は、裁判に負けた場合に保険料の支払いが増えるためです。
弁護士基準で計算した高額な賠償金を支払わなければならないので、時間や金銭面の負担は計り知れません。
通院を継続する
保険会社と対立するときに問題となるのが治療費の打ち切りですから、正当性を伝えるためにも通院は継続しましょう。
治療費の打ち切りは、他覚症状がなかったり、受傷から遅れて症状がでたりする「むちうち」で特に多い事案です。
受傷直後にめまいやしびれの症状があっても医師に伝えず、数ヶ月後に症状が悪化したと報告をしても保険会社はその因果関係を疑うでしょう。
大事なことは、たとえ軽症であっても症状は早い段階で医師に伝えて記録に残すことであり、結果として後の慰謝料の請求や後遺障害申請に役立ちます。
弁護士に相談する
弁護士は交通事故の示談交渉において専門的な知識を有するだけでなく、交渉力にも長けています。
被害者は不利にならないようにサポートを受けられるだけではなく、弁護士基準による高い賠償金で示談することが可能です。
POINT
裁判になったときには
確定遅延賠償金や定期金賠償が発生することがあり、どちらも支払うことが決定すれば保険会社にとっては非常に大きな損害になるため、交渉の切り札にもなるでしょう。
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保険会社が嫌がることでやってはならないこと
保険会社の言いなりにならないように対策を立てることは重要ですが、場合によっては被害者にとってマイナスになることがあります。
ここでは、被害者にとって悪い意味での保険会社が嫌がることを以下にわけて紹介します。
- 加害者への直接連絡
- 法的に認められない内容の要求
- 根拠のない賠償請求
加害者への直接連絡
交通事故に遭って不自由な生活を強いられると、加害者に憤りを感じて直接連絡をしてしまうケースがあります。
しかし加害者が任意保険に介入している場合、相談窓口は加害者側の保険会社です。
治療費の支払いは加害者側の保険会社が負担するものであり、加害者に直接連絡しても支払われることはなく、態度によっては恐喝罪に問われてしまう可能性があります。
また、相手が弁護士を選任してしまうと被害者が不利になってしまうため、加害者への直接連絡は避けるべきです。
法的に認められない内容の要求
相手の保険会社と示談交渉を進めるうえで、法的に認められない内容の要求は避けましょう。
例えば、「修理しても不具合が出たら困るから、治療費の代わりに新車を購入してほしい」、「修理費だけでは損をしている気分になるから余分に支払いをしてほしい」などです。
自分の要求に固執してしまうと交渉が長引いてしまい、保険会社と対立してしまうこともあります。必要であれば、要求が法的に認められるものなのか弁護士に相談しましょう。
根拠のない賠償請求
保険会社と示談交渉をするうえで、客観的な資料があるとスムーズに進むことが多いです。
しかし医師の診察を受けていなかったり、通院記録が不明など根拠がない賠償請求では、保険会社が支払いを拒否することがあります。
また、他覚症状がないのにも関わらずに慰謝料目的で不必要に通う場合は不正請求に該当し、詐欺罪に問われることもあるので注意しましょう。
客観的な資料を用意し、医師と相談して必要な治療を受けることでスムーズに交渉ができます。
関連記事交通事故の慰謝料は通院日数が少ないとどうなる?期間や金額を詳しく解説
交通事故で保険会社が不誠実に対応する理由
加害者側の保険会社が交通事故の示談交渉において不誠実に対応することがあります。
会社の性質上は仕方がない部分もありますが、その理由を3つにまとめたので紹介していきます。
- 利益のため
- 担当事故数が多いため
- 加害者の代弁者のため
利益のため
交通事故の治療費は加害者側の保険会社が負担するものであり、自社の利益のために不誠実な対応をすることがあります。
被害者の要求を全て受け入れてしまっては保険会社は多大な損害となるでしょう。あくまでも営利企業であるため、保険会社は利益を確保できるように交渉をします。
例えば治療費の打ち切りを提案したり、自賠責基準や会社独自の任意保険基準で示談交渉を進め、会社の支出を減らそうとするでしょう。
担当事故数が多いため
交通事故による示談交渉を担当する事例が多く、個別の案件に時間をかけられないことも不誠実な対応になってしまう理由のひとつです。
示談交渉が長引いてしまうと他の案件にも支障が生じてしまうため、加害者側の保険会社は早く打ち切るように対応してしまうため、被害者は不誠実な対応をされたと感じることが多いでしょう。
保険会社とのトラブルを避け、スムーズに交渉するための対策として、社内の決裁を取りやすい内容を提示することなどが挙げられます。
加害者の代弁者のため
保険会社は被害者に治療費を支払いますが、顧客である加害者と契約をした代弁者の立場にもなります。
被害者の主張を聞き入れますが、加害者を弁護しなければ顧客からの信頼を失ってしまうので、加害者側の意見に寄ってしまうことがあるでしょう。
被害者は自分の意見が聞いてもらえないからといって、被害者に直接連絡をしたり、過剰請求をしないように注意が必要です。相手の立場を理解し、冷静に交渉していきましょう。
まとめ
今回は、交通事故の示談交渉において保険会社が嫌がることについてまとめました。
相手の言いなりになって泣き寝入りを防ぐために対策が必要ですが、行動によっては被害者が不利益を被ることもあります。基本は加害者側の保険会社が相談窓口であるため、加害者への直接連絡や過剰請求は避けましょう。
相手が不誠実な対応であるならば弁護士に相談することも必要です。トラブルを未然に防いでスムーズな示談交渉をできるようになりましょう。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、大学病院、総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催などを経験。理学療法士としての可能性を広げるため、ライターとしても活動中。
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