交通事故で顎関節症に?顎の痛みの治療法や後遺障害について解説
監修記事
オオクマ サキコ
看護師
「交通事故にあってから顎が痛いのは顎関節症?」
「交通事故後に顎の痛みがある場合は、どこに通院すればいいの?」
とお悩みではありませんか?
交通事故で顎関節症を発症してしまうことがあります。また、むちうち等の症状で顎の痛みが出てくることもあります。「後遺症にならないかな…。」など不安にもなってしまいますよね。
もしも事故後に顎関節症の症状があらわれたら、早期に病院や口腔外科を受診し治療を行いましょう。
今回は、以下の内容を解説していきます。
- 顎関節症とは
- 交通事故後に顎が痛い場合の通院先や治療法
- 後遺障害への対応
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目次
交通事故でも発症することがある顎関節症の症状
交通事故後、顎に違和感がある場合は顎関節症の可能性があります。
顎関節症とは、
- 顎の痛み
- 口が開かない
- 顎を動かしたときに音がする
などの症状をまとめた診断名のことです。
上記3つの症状は、具体的にどの部分の負傷が原因であらわれる症状なのか解説していきます。
顎の痛み
顎関節症によって顎が痛む原因は、顎の筋肉と顎関節が痛む場合で異なります。顎の筋肉が痛む場合、神経が損傷を負っている可能性があります。
一方、顎関節が痛む場合、炎症を起こしている可能性があります。
口が開かない
顎関節症によって口が開かなくなる原因は、以下の3つです。
- 関節円板がずれ、関節の動きが制限されている
- 痛みが酷く、口を開けることができない
- 口を大きく開けれない状態が続いたことで、顎関節や咀嚼筋の可動域が制限されている
※関節円板とは、顎関節の骨と骨の間にあるクッションの役割を担っている組織。
顎を動かしたときに音がする
顎関節症になると、顎を動かしたときに音が出る原因は、2つあります。
1つ目は、関節円板がずれている状態で、顎を動かしたときに引っかかってしまうからです。
2つ目は、顎関節を構成している骨が変形してしまったことで、擦れてしまうからです。
交通事故で顎関節症が生じる原因
交通事故で顎関節症が起こるのかと疑問に思われるかもしれませんが、発症する原因として2つの要因が挙げられます。
- 衝撃など一次的要因による発症
- むちうちなど二次的要因による発症原因
何が原因であるのか自己判断するのは難しいため、受診をして検査することが大切です。
衝撃など一次的要因による発症
交通事故で突然の衝撃を受け、左右どちらかの顎関節部を強打すると、関節円板と呼ばれる上顎と下顎の関節の付け根部分が、ズレや変形を起こす場合があります。
関節のズレや変形が原因で、顎関節症が発症するケースがあります。
むちうちなど二次的要因による発症原因
交通事故による直接的なものではなく、事故により他の箇所を受傷したことによって、顎関節症が発症するケースもあります。
主に、咀嚼筋の硬直やむちうち(頚椎捻挫)などによる頚椎の損傷が原因と考えられます。
関連記事むちうちとは?原因から症状・治療法や慰謝料まで徹底解説!
顎関節症を相談するべき診療科は?
顎の痛みなど顎関節症のような症状があらわれた場合の通院先は、主に2つあります。
- 整形外科
- 口腔外科
それぞれの医療機関で特徴が異なるため一つひとつ解説します。
整形外科
整形外科は運動器の機能改善のために治療をする診療科です。頭から足先まで、骨・軟骨・筋・靱帯・神経・せき髄などの体の内側の疾患や傷に対して対応しています。
骨折などの診断のためには、レントゲンやMRIなどの画像検査を行い、投薬だけでなく、注射等の処置や、外科的手術も行います。
顎関節症と診断されれば、次に説明する口腔外科が専門となりますが、むちうちなど、頸椎の損傷による二次的要因が顎関節症の原因となっている場合、整形外科での診断も必要となってきます。
他にも、顎関節症以外に関連する骨・軟骨や筋などの異常を否定するために整形外科を受診することは選択肢の一つです。顎関節症が疑わしい場合は、口腔外科の受診を勧めてもらうことができます。
関連記事整骨院と整形外科の違いは?どっちがいいか症状やケースにあわせて解説!
口腔外科
口腔外科は、口の中、あご、顔面と隣接している部位の疾患を取り扱う診療科です。一般に認識されている歯医者の歯科治療も、口腔外科の領域となります。
食べ物をかみ砕いたり、発音や会話が難しいといった障害は、あご周囲につながっている外科的疾患が関係している場合があります。交通事故による顎関節症は後天的に発生したもので、レントゲンやCTの検査画像で骨の異常を診断し、MRIでは骨格の構造などを確認することがあります。
受診の際は、画像の検査ができる口腔外科を選択することをおすすめします。口腔外科のある総合病院であれば、間違いはないでしょう。口腔外科のみの病院やクリニックであれば、顎関節症治療を専門としているかどうかを受診の判断基準にします。
後遺症診断書の記載が必要となった場合は、より顎関節症を専門としている口腔外科が良いでしょう。
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顎関節症はどのように治療する?
顎関節症を治すには、以下のように3つの手段があります。
- 理学療法
- 薬物療法
- アプライアンス療法
軽症の場合は上記の治療法で対応を行いますが、顎関節症が重症化し開口障害により食事をすることが難しくなった場合、関節の手術を行うケースもあります。
理学療法
理学療法には、医療従事者が行う「物理療法」と自身で行う「運動療法」の2種類あります。
物理療法の場合、マッサージや温熱療法、電気療法などの治療を行います。
一方、運動療法の場合、筋肉や靱帯などの柔軟性や伸張性を高めるストレッチや、顎関節の動きをよくして口の開ける範囲を広くする下顎可動化訓練などを行います。
薬物療法
薬物療法では、顎関節や咀嚼筋の痛みを抑えるための消炎鎮痛薬をつかいます。
ただし、消炎鎮痛薬を服用しても、痛みが抑えられない場合もあります。その場合は、他の治療を行うようにしましょう。
アプライアンス療法
アプライアンス療法とは、マウスピースやスプリントと呼ばれる器具を使った治療法になります。
一般的なアプライアンス療法は、スタビリゼーション型アプライアンスと呼ばれており、上顎または下顎の全歯列をマウスピースで覆う方法です。それによって、咀嚼筋の緊張をほぐしたり、顎関節部への負荷を軽減させることができます。
顎関節症が後遺症になった場合の対応
顎関節症は、後遺症が残ってしまう場合があります。交通事故による怪我が後遺症になってしまった際には、後遺障害の等級認定を受けます。
後遺障害の等級認定には医師による後遺障害診断書が必要です。後遺障害の等級認定を申請し、等級が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。
ただし、顎関節症は複数の症状をまとめた診断名のため、顎関節症として等級が認定されることはありません。後遺障害等級認定で等級が認定されるには、個別の症状で申請する必要があります。
関連記事交通事故の後遺症の種類とは?症状や後遺障害認定を受ける方法を解説
交通事故により顎関節症が発症した場合の後遺障害等級
顎関節症が後遺障害として医師に判断されるには、どのような症状が残っているかが重要になります。症状の状態により、1〜14級までに分類されます。
今回は、以下の3パターンに分けて解説します。
- 開口制限による障害の場合
- 顎の痛みの場合
- 顎を動かすと音がする場合
開口制限による障害の場合
口が開かない開口制限が症状固定となってしまった場合、状態に応じて第1級から第12級(相当)の7段階で認定される可能性があります。
認定基準として挙げられる状態は、以下の通りです。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
第1級2号 | 咀嚼及び言語の機能を廃したもの |
第3級2号 | 咀嚼及び言語の機能を廃したもの |
第4級2号 | 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの |
第6級2号 | 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの |
第9級6号 | 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの |
第10級3号 | 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの |
第12級相当 | 開口障害などを原因として咀嚼に相当時間を要するもの |
咀嚼障害についての認定基準
上記のように、顎関節症が後遺障害として認定されるには、咀嚼障害が認められる必要があります。ここでは、それぞれの等級における咀嚼障害の程度について、具体例を紹介していきます。
- 咀嚼の機能を廃した
流動食しか食べられない状態 - 咀嚼の機能に著しい障害
粥食や準ずる程度の飲食しか口にできない状態 - 咀嚼の機能に障害を残す
固形物の中に噛めない、または十分に噛めないものがある状態 - 咀嚼に相当時間を要する
噛めるけれど相当な時間がかかってしまう食物がある場合
顎の痛みの場合
症状固定で顎に痛みが伴っている場合、症状の状態に応じて12級13号か14級9号に認定される可能性があります。
2つの等級の障害内容の違いについては、以下の通りです。
後遺障害等級 | 障害内容 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残す状態 |
14級9号 | 局部に神経症状を残す状態 |
障害内容の違いとしては、「頑固」な神経症状の有無ですが、2つの等級の大きな違いは、他覚症状があれば12級とし、自覚症状のみであれば14級となる点です。
顎を動かすと音がする場合
開口時に、雑音またはクリック音などの音が鳴る症状は後遺障害として認められません。
開口時の音が咀嚼機能に支障をきたすとは考えにくいため、認めがたいとされています。
交通事故後に発症する顎関節症の対応まとめ
交通事故で顎関節症が発症することも考えられます。顎関節症になると、「顎の痛み・口が開かない・顎を動かしたときに音がする」といった症状があらわれ、場合によって後遺症が残る可能性もあるでしょう。
症状の状態により治療法が異なるので、まずは整形外科や口腔外科へ受診し、医師や歯科医師に相談しましょう。理学療法・薬物療法・アプライアンス療法といった顎関節症の治療方法があるので、症状の緩和を目指せるといいですね。
顎関節症になったからといって、後遺障害が認められる訳ではありません。自覚症状を医師にはっきりと伝えて主張することが重要です。
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この記事を監修したのは…
看護学校卒業後、総合病院にて外科病棟、救急病棟、外来等、急性期看護を経験。結婚・出産を経て、看護師として臨床以外でスキルを磨けるライターに魅力を感じ、活動を開始。現在、医療福祉系の記事を中心に執筆中。
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