ダッシュボード損傷の症状と後遺障害認定|保険適用の可否と対応の注意点
監修記事

柿野 俊弥
理学療法士
交通事故で膝をダッシュボードにぶつけた後、痛みや腫れ、歩きにくさなどの症状に悩まされていませんか?
放置すると将来的に関節の変形や慢性的な痛みにつながることもあるため、早めの対処が肝心です。
この記事では、以下の内容を解説します。
- ダッシュボード損傷で起こりやすい5つの怪我とそれぞれの症状
- 医療機関での診断・治療の流れ
- 治療期間の目安
- 症状が残った場合の後遺障害認定 など
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目次
ダッシュボード損傷とは
ダッシュボード損傷とは、交通事故時に膝がダッシュボードに強く打ち付けられることで生じるさまざまな外傷のことです。「dashboard injury(ダッシュボード・インジュリー)」とも呼ばれています。
急停車や衝突によって体が前に移動し、膝がダッシュボードにぶつかることで発生します。シートベルトを着用していない場合やエアバッグが正常に作動しなかった際に起こりやすい特徴があります。
軽い打撲から重篤な骨折、靭帯の損傷まで、さまざまな怪我が含まれます。とくに多いのは股関節と膝関節、膝の靭帯の損傷です。複数の症状を同時に発症することもあります。
ダッシュボード損傷によるケガの種類
ダッシュボード損傷では、衝撃を受けた膝から力が伝わることで、下肢(足)のさまざまな部位が怪我をする可能性があります。交通事故で起こる怪我の中でも、むちうちと同じくらい気をつけるべき怪我です。
怪我の種類は一つだけではなく、軽い打撲から骨折、靭帯の損傷まで多岐にわたり、同時に複数の怪我をする可能性があります。
ここでは、ダッシュボード損傷で起こりやすい代表的な怪我について解説します。
股関節の脱臼や骨折
膝を曲げた状態で車に乗っているときに前方から強い衝撃が加わると、膝がダッシュボードに激しくぶつかります。衝撃は膝から太ももの骨である大腿骨(太ももの骨)を通じて股関節まで伝わり、大腿骨の先端部分(大腿骨頭)が、後ろに押し出されて股関節から外れることがあります。これが股関節脱臼です。
さらに、脱臼の際に骨盤側の受け皿も骨折してしまうことがあります。脱臼と骨折が同時に起こると、激しい痛みで自力での移動はほとんど不可能です。
また、大腿骨頭壊死のリスクがあります。脱臼や骨折などで大腿骨頭への血流が妨げられると、大腿骨頭に栄養や酸素が行き届かなくなり、壊死する可能性があります。大腿骨頭の壊死を防ぐためには、股関節を正しい位置に戻す整復術や、骨をつなげたり人工骨に変えたりする手術が必要です。
医師監修交通事故による股関節の脱臼とは?症状の一覧や後遺障害等級について解説
膝蓋骨の骨折や靭帯の損傷
ダッシュボード損傷による膝の損傷には、主に膝蓋骨骨折と後十字靭帯損傷があります。
膝蓋骨骨折は膝関節の前にある、いわゆる「膝のお皿」に衝撃が直接加わることで生じます。膝蓋骨は、筋肉の力を効率よく使えるようにするのが一つの役割です。そのため膝蓋骨が損傷すると、激しい痛みとともに、歩行困難、膝の曲げ伸ばしができない、立ち上がることができないなどの症状が現れます。
後十字靭帯損傷は、膝の前後の動きを制御する役割をもちます。膝への衝撃により脛骨(すねの骨)が後ろに押されると、後十字靭帯が引き伸ばされて損傷します。損傷すると膝の不安定感、ぐらつき、膝関節の動く範囲の異常な拡大などが生じます。
医師監修交通事故による靭帯損傷の後遺症は?完治までの期間や放置のリスクを解説
大腿骨の骨折
膝を曲げた体勢で車に乗っている際、前方から強い衝撃を受けると、膝がダッシュボードに激しくぶつかります。その力が大腿骨に伝わり、骨折を起こすことがあります。
ダッシュボード損傷では、衝撃が加わる部位や方向により、大腿骨のさまざまな部位で骨折が発生する可能性があります。
主な骨折部位としては以下のとおりです。
- 大腿骨骨頭骨折:大腿骨の先端、関節部分
- 大腿骨頚部骨折:大腿骨の頭部と本体の連結部
- 大腿骨転子部骨折:大腿骨上部の隆起した部分
- 大腿骨転子下骨折:大腿骨転子部のすぐ下
- 大腿骨骨幹部骨折:大腿骨の真ん中の筒状部分
- 大腿骨顆上骨折:大腿骨下部の関節近く
- 大腿骨顆部骨折:大腿骨下部の関節部分
部位によって症状の現れ方や治療方法、回復期間は異なります。とくに股関節に近い部分の骨折は、血液の流れが悪くなりやすく、深刻な合併症を引き起こす危険があるため、できるだけ早い治療が必要です。
手術が必要な場合も多く、金属プレートやネジでの固定、場合によっては人工関節への置換が行われることもあります。
医師監修骨折を早く治す方法とは?治癒を助ける生活習慣や対処法を解説
足首の捻挫や骨折
正面衝突事故では、運転手は衝突の瞬間にブレーキペダルを強く踏み込みます。ペダルやフットレストから足部に強い力が加わることで、足首の捻挫や骨折が生じます。
とくにスピードが出ていた場合の事故では、衝撃を少しでも和らげようと両足で踏ん張るため、より大きな力が足首にかかるため、骨折が生じやすいです。
足首は小さな骨が複雑に組み合わさって作られているため、骨折の仕方もさまざまです。足首の骨が折れるだけでなく、関節が外れてしまうこともあります。
症状としては、激しい痛み、腫れ、変形、体重をかけられないなどがあり、軽い捻挫から手術が必要な骨折まで、損傷の程度にも幅があります。
早めに適切な固定と治療を行わなければ、関節の不安定さや関節が変形する変形性関節症の発症につながる可能性があります。
医師監修捻挫は何日で治る?早い完治を目指すための応急処置や治療方法について解説
足の打撲
交通事故の怪我:打撲とは?
交通事故の衝撃により足がダッシュボードにぶつかることで、膝や脛に打撲が生じることがあります。打撲は筋肉や血管が損傷する怪我で、一見すると軽い怪我に思えますが、実は注意が必要です。
事故当時は興奮状態にあるため痛みに気づかず、時間が経ってから強い痛みが現れることもあります。さらに重症の打撲では、皮膚が暗赤色に変色し、強い痛みと腫れを伴い、歩行困難などの機能障害を起こすこともあります。
軽い打撲だと思って放置すると、後から症状が悪化することもあるため、早めの受診と適切な処置が大切です。
関連記事交通事故で打撲をした!後遺障害認定のために知っておくべきこととは
ダッシュボード損傷への対応の注意点
交通事故でダッシュボード損傷を生じた場合、最初の対応が回復速度を大きく左右します。事故の直後は興奮状態で、痛みを感じにくいこともありますが、時間の経過とともに症状が現れることが多いため、軽視せずに適切な対応を取ることが重要です。
症状の悪化を防ぎ、後遺症のリスクを最小限に抑えるためにも、対応における注意点を踏まえて早めに行動しましょう。
放置しないのが大前提
ダッシュボード損傷の放置は避けるべきです。放置により痛みや体の動きにくさが長引き、慢性的な症状として定着してしまう場合があります。
また、関節が不安定な状態のまま放置すると、また同じ怪我をしやすくなり、悪循環に陥ります。
さらに、軟骨や靭帯の状態が時間とともに悪化し、将来的に変形性関節症などの関節の病気につながる可能性があります。
階段の昇り降りや長時間の歩行が困難になるなど、日常の動作に支障をきたし、生活の質が著しく低下したりする方も少なくありません。
早めの診断と適切な治療で、後遺症のリスクを減らせます。後遺症を残さないためにも、事故直後から医療機関を受診することが大切です。
受診前に応急処置をする
事故現場での応急処置は、症状の悪化を防ぎ、回復を早めるために極めて重要です。基本となるのは「動かさない」「冷やす」「固定する」の3つの原則です。
まず、怪我をした部分はそのままの状態で保ちます。無理に動かすと症状が悪化する可能性があるため、とくに注意が必要です。
次に、氷や冷却シートを使って患部を冷やします。直接皮膚に当てず、必ずタオルなどを間に挟みます。15〜20分冷やしたら同じ時間休憩するサイクルを繰り返します。
骨折の可能性がある場合は、板や厚紙などで固定します。きつく縛りすぎないよう注意し、指先の色の変化や痛み、しびれがないか確認します。腫れに備えて少し余裕を持たせることも大切です。
応急処置はあくまで一時的なものです。処置後は必ず病院を受診しましょう。
可能な限り早く受診する
ダッシュボード損傷を起こした場合、できるだけ早く受診しましょう。受診先は整形外科が基本です。
▲交通事故後の整形外科受診
救急外来でも初期対応は可能ですが、専門的な検査や治療が必要な場合は、整形外科専門医の診察を受けることをおすすめします。
また、膝に明らかな症状がある場合でも、膝だけでなく下肢全体の検査を受けることが大切です。ダッシュボード損傷では、衝撃が膝から股関節まで伝わるため、複数の部位に損傷が及んでいることが多いためです。
早めに受診することで、後遺症のリスクを減らせます。リハビリの開始タイミングも早められるため、より回復が促され、日常生活への復帰も早まる可能性が高いです。
さらに、保険請求に必要な診断書も早く取得できるため、経済的な面でも安心して治療に専念できるでしょう。
整骨院でも対応してもらえる
整形外科での治療と並行して、整骨院で施術を受けることもできます。
▲整骨院の交通事故施術内容の種類
整骨院では、電気療法による痛みの軽減、アイシングによる炎症の抑制、手技療法による血行促進と回復の促進などが受けられます。サポーターやテーピングで患部を固定し、日常生活での負担を軽減することも可能です。
整骨院で施術を受けるメリットは、病院よりも通いやすい点です。夜間や土日祝日も営業している院が多く、仕事で忙しい方でも通院を続けやすくなっています。待ち時間も比較的少なく、予約が取りやすいのも特徴です。
ただし、整骨院へ通院する前に必ず主治医への相談が必要です。診断書の作成、投薬、手術、MRIなどの画像検査は、医師が在籍している医療機関でしか行えません。整形外科で正確な診断を受けたうえで、整骨院での施術を併用することで、より効果を期待できます。
保険会社への連絡も忘れずに行い、適切な手続きを踏んで通院しましょう。
▲交通事故の怪我で整骨院と整形外科を併用通院する為のステップ
通院先を探すなら交通事故病院相談窓口へ
早めの受診が大切だとはいえ、通院先はどこが良いのか、交通事故による怪我は対応してもらえるのか、整骨院と併用して通院できるのかなど、さまざまな疑問や不安を抱える方も多いでしょう。
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ダッシュボード損傷の診断・治療
ここでは、交通事故でダッシュボード損傷が生じ、医療機関を受診したらどのような流れで進むのか、どんな治療を受けられるのかについて解説します。
診断方法
ダッシュボード損傷の診断では、医師による問診や視診から始まります。事故の状況、痛みの場所や程度、動かせる範囲などについて確認し、その後、状態に応じた検査を行います。
脱臼や骨折の診断には、レントゲン検査で骨の位置関係や骨折の有無を確認します。必要に応じて、CTやMRIで詳しい検査をすることもあります。
▲交通事故後に行われるレントゲン検査とCT・MRI検査の違い
一方、靭帯損傷の場合、靭帯はレントゲンには映らないため、医師が手で膝に力を加えて不安定さがないかを調べます。不安定さが疑われる場合は、MRI検査で靭帯の状態を確認します。
場合によっては、靭帯が付着している骨の一部が剥がれていないかを確認するため、レントゲンで骨の状態もチェックします。
治療方法
診断結果をもとに、治療方法を決定します。
軽症の場合は、基本的に保存療法を行います。安静を保ち、痛み止めの服用や湿布薬による炎症の軽減などが中心です。
中等度の損傷では、前述した治療と並行して、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを行います。可動域訓練、筋力トレーニング、日常生活動作の練習などを段階的に行います。
重症の場合は、手術が検討されます。骨折部位の固定術、靭帯の修復・再建術、場合によっては人工関節への置換術などが行われます。
手術後は集中的なリハビリテーションが必要となり、日常生活や仕事に復帰するまで長期的な治療が必要です。
治療期間
ダッシュボード損傷の治療期間は、怪我の重症度や治療法によって大きく異なります。
軽度の打撲や捻挫の場合は、約2~4週間で日常生活に復帰できることが多いです。
中等度の靭帯損傷では、約6~8週間の治療期間が必要となります。靭帯の修復に時間がかかるためで、リハビリを含めた総合的な治療期間となります。
重度の骨折や手術を行った場合は、約3~6か月という長期間の治療が必要です。骨の癒合に2~3か月、その後のリハビリテーションに2~3か月を要し、完全復帰までにはさらに時間がかかることもあります。
後遺症を残さないためにも、医師の指示に従って継続的に通院することが大切です。
ダッシュボード損傷は保険の補償対象
交通事故によるダッシュボード損傷は、自賠責保険および任意保険の補償対象です。自賠責保険は、すべての自動車に加入が義務付けられている強制保険で、人身事故の被害者救済を目的としています。
▲自賠責保険とは?
補償される主な内容としては、以下のとおりです。
- 治療費:診察料、入院費、手術費、薬代など
- 休業損害:怪我により仕事を休んだ期間の収入の補償
- 入通院慰謝料:精神的苦痛に対する補償
加害者が任意保険に加入している場合は、自賠責保険の限度額を超える部分についても補償を受けられます。
請求するには医師の診断書が必要となるため、必ず整形外科を受診し、適切な書類を準備しましょう。
弁護士監修交通事故の治療費は誰が支払う?手続きの流れや打ち切りの打診について解説
ダッシュボード損傷による後遺障害認定の種類
治療しても症状が残ってしまった場合、後遺障害として認定される可能性があります。後遺障害として認定されると、等級に応じた慰謝料や逸失利益の請求が可能です。
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
ダッシュボード損傷で、後遺障害として認定される可能性のあるものには、関節機能障害、神経障害、変形障害、短縮障害、高次脳機能障害などがあります。
ここでは、それぞれの障害と認定される可能性のある等級について解説します。
関節機能障害:関節の動きに障害が残る
正常な関節と比べて、どれだけ動きが制限されているかによって等級が決まります。関節機能障害で認定される可能性のある等級は、8級7号、10級11号、12級7号の3つです。
8級7号は「下肢の主要関節の用を廃したもの」で、以下に該当すると判断された場合に認定されます。
- 関節が完全に固まって動かない
- 関節が完全に麻痺し、力が入らない状態、またはそれに近い状態
- 人工関節や人工骨頭を挿入し、動く範囲が健康な側の半分以下に制限
つまり、股関節や膝関節の機能が完全に失われた状態です。
10級11号は「下肢の主要関節の機能に著しい障害を残すもの」で、以下に該当すると判断された場合に認定されます。
- 関節の動く範囲が健康な側の半分以下に制限されている状態
関節の機能は完全には失われていませんが、著しく障害されていて、日常生活に大きな支障をきたした状態です。
12級7号は「下肢の主要関節の機能に障害を残すもの」で、以下に該当すると判断された場合に認定されます。
- 関節の動く範囲が健康な側の4分の3以下に制限されている場合
- 障害が比較的軽く、日常生活にある程度の不便がある状態
6か月以上経っても症状が改善しない場合、12級7号が認定されるケースが多いとされています。
医師監修交通事故の後遺症の種類とは?症状や後遺障害認定を受ける方法を解説
神経障害:ケガをした部分に痛みが残る
骨や関節は治っても、神経の傷で痛みやしびれが残ることがあります。神経障害は、12級13号と14級9号のいずれかに認定される可能性があります。
12級13号は「局部に頑固な神経症状を残すもの」で、以下に該当する場合に認定されます。
- 股関節の痛みや坐骨神経損傷による麻痺症状がある
- 画像検査や神経伝導速度検査で症状を医学的に証明できる
つまり、激しい痛みが残り、その原因が客観的に証明できる場合です。
14級9号は「局部に神経症状を残すもの」で、以下に該当する場合に認定されます。
- 画像検査で変形性股関節症や坐骨神経損傷の所見がない
- しかし、治療経過から神経症状の存在が推測される
画像で異常が見つからない場合でも、症状の一貫性や治療経過から認定される可能性があります。
神経症状は目に見えない障害であるため、継続的に通院した記録と症状の訴えの一貫性が認定の重要なポイントとなるわけです。
変形障害:骨がきれいに治らない
骨折後、骨が元通りにくっつかず変形したまま治ってしまった状態を変形障害といいます。
変形障害で認定される可能性のある等級は、7級10号、8級9号、12級8号の3つです。
7級10号は「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」で、以下に該当する場合に認定されます。
- 骨折部が関節のように動いてしまう状態(偽関節)
- 硬性補装具を常に必要とする
8級9号は「偽関節を残すもの」で、以下に該当する場合に認定されます。
- 偽関節があるが、硬性補装具を常には必要としない
12級8号は「長管骨に変形を残すもの」で、以下のいずれかに該当する場合に認定されます。
- 大腿骨または脛骨の直径が3分の2以下に減少した
- 大腿骨が外側に45度以上、または内側に30度以上ねじれて癒合している
変形の程度はCTスキャンで詳しく評価され、見た目だけでなく機能的な問題も考慮されます。骨の変形は将来的に関節への負担増加につながる可能性があるため、適切な評価が重要です。
短縮障害:足の長さが短くなる
骨折の影響で、怪我をした側の足が短くなってしまう障害です。わずかな差でも歩行バランスに大きな影響を与えます。
短縮の程度によって8級5号、10級8号、13級8号の3つの等級が認定される可能性があります。
それぞれの等級と基準は以下のとおりです。
- 8級5号:片方の下肢を5センチメートル以上短縮したもの
- 10級8号:片方の下肢を3センチメートル以上短縮したもの
- 13級8号:片方の下肢を1センチメートル以上短縮したもの
長さは骨盤の出っ張った部分から足首の内側のくるぶしまでの距離「SMD(棘果長)」をメジャーで測定します。高齢者の骨折では3センチメートル程度の短縮は珍しくありません。
また、大腿骨や下腿骨が短縮していなくても、骨盤骨のゆがみによって下肢が短縮している場合も後遺障害として認定される可能性があります。
高次脳機能障害:認知機能に障害が残る
大腿骨などの長い筒状の骨が骨折すると、まれに脂肪塞栓症という合併症を起こし、脳に障害がおよぶことがあります。
骨が折れると、骨の中の脂肪が血管に流れ出し、血液と一緒に全身を巡ります。その脂肪が脳の血管に詰まると脳梗塞となり、記憶力の低下や感情コントロールの困難などの高次脳機能障害が残ることがあるのです。
高次脳機能障害で認定される可能性のある等級は、症状の重さにより1級1号から14級9号まで幅広くあります。
高次脳機能障害が認定されるための条件は以下の3つです。
- 脳外傷の診断名がついている
- 治療を続けても症状が改善しなくなった時点で、CTやMRIで脳の損傷が確認できる
- 受傷直後に意識障害があり、一定時間継続している
認定される等級は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの程度により判定されます。
1級や2級の重度の場合は、日常生活に常時または随時の介護が必要な状態となります。
まとめ:ダッシュボード損傷は早急な対応が大切
ダッシュボード損傷は放置すると後遺症につながる可能性があります。治療費は自賠責保険が適用されるため、経済的な心配をせずに治療に専念しましょう。
また、症状が残った場合も適切な後遺障害認定を受けることで、必要な補償を得られます。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
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