むちうちの正式名称とは?外傷性頚部症候群の症状や治療法を徹底解説!
監修記事
河野 裕也
理学療法士
むちうちとは交通事故など身体への強い衝撃により、頭が大きく揺さぶられ首がむちのようにしなり大きな負担がかかることで生じるさまざまな症状を総称したものです。むちうちは交通事故の直後に症状がなくても2、3日経ってから症状が現れることもあります。また、症状により治療法や治療期間が多岐に渡ります。
そのため、交通事故に遭った場合にはすぐに医療機関を受診し医師の診察を受けましょう。今回はむちうちの正式名称や症状などを解説します。
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目次
むちうちの正式名称は「外傷性頚部症候群」
むちうちの医学的な正式名称は「外傷性頚部症候群」といいます。交通事故の追突事故のように身体へ強い衝撃が加わったときに頭が前後に大きく揺さぶられることで首は急激な伸展(上を向く方向)や屈曲(下を向く方向)に通常では動かない範囲以上の動きが強制されます。
そのため、首周囲の筋肉や靭帯、神経などが損傷し首や肩、背部の痛みや頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、しびれなどさまざまな症状が出現します。外傷性頚部症候群は「頚椎捻挫」と呼ぶこともあります。
医師の診察およびレントゲン検査や症状によってはCT検査、MRI検査などを行って総合的に診断されます。そのため、事故に遭った場合には整形外科などの病院を受診してしっかりと検査をして診断を受ける必要があります。
むちうちの由来
「むちうち」という言葉が使われ出したのは、1914年からの第一次世界大戦の頃からになります。
戦闘機のパイロットが飛び立つときの急加速や着艦時の急減速などによって生じる首への負担によって首の痛みや頭痛、吐き気、耳鳴り、しびれなどの症状を訴え出し、これが頭が前後に揺さぶられ首がムチのようにしなり打つ動きのようだとして「むちうち」という言葉が使われ始めました。
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症状が認められた時期
むちうちが日本で多く見られるようになったのは高度成長期の1955〜1973年頃からになります。この時期に日本では自動車が急激に普及しました。
しかし、自動車の知識や交通ルールの整備、運転技術の不足などにより自動車の追突事故も続出し、むちうちを患う人も急増しました。日本でむちうちの研究が進められ出したのはこの時期からになります。
POINT
ヘッドレストが増えた
当初、自動車の背もたれはヘッドレスト(頭を支える部分)がなく、肩くらいしかありませんでした。研究が進んでからヘッドレストが装着されるようになりました。
むちうちの診断で使われる正式名称
むちうちとは交通事故など身体への強い衝撃により、頭が大きく揺さぶられ首がむちのようにしなり大きな負担がかかることで生じるさまざまな症状を総称したものです。むちうちは一般的に使われていますが、医学的な正式名称ではありません。
医学的な正式名称には「外傷性頚部症候群(頚椎捻挫・頚部挫傷)」「神経根症(頚椎椎間板ヘルニア・頚椎症性神経根症)」「脊髄損傷」などがあり、症状の程度によって治療方法や治療期間が多岐に渡るため医師による診察やレントゲン検査、MRI検査などによる専門的な診断を受ける必要があります。
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むちうち(外傷性頚部症候群)が起きるメカニズム
追突事故のような交通事故などにより急激に頭が大きく揺さぶられることで首に前後方向の大きな力学的ストレスが加わります。
首は周囲の筋肉や靭帯、関節を包むこの力学的ストレスにより首周囲の筋や靭帯、関節包、神経などの組織が損傷され首や背部の痛み、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、しびれなどさまざまな症状が出現します。
むちうち(外傷性頚部症候群)は交通事故で起きやすい
むちうちは首に大きな負担が加わった際に生じやすい疾患です。一般的に多いのが追突事故のような交通事故になります。例えば後方から追突された場合、衝撃により乗っていた人の身体は進行方向に移動しますが、頭は元の位置に留まろうとするため、首には伸展方向(上を向く方向)の動きが急激に生じます。
そしてその反動で今度は頭が前にもっていかれ屈曲方向(下を向く方向)にも通常では動かない範囲以上の動きが急激に生じます。正面衝突の場合にはその逆の動きとなります。
いずれの場合も首には大きな負担が加わり、首を支えている周囲の筋肉や靭帯、神経などが損傷し首や肩、背部の痛みや頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、しびれなどさまざまな症状が出現します。
むちうち(外傷性頚部症候群)の種類
むちうちはどの部分を損傷したのか、どのような症状なのかによって大きく5つのタイプに分類されます。タイプに合わせた適切な治療を行うことが重要です。
頚椎捻挫型 | むちうちの約70%を占めるといわれている。首周囲の筋肉や靭帯の損傷により首の痛みや可動域の制限をきたす。 |
神経根症型 | 首の骨の間から出る神経根と呼ばれる部分の障害でその神経の支配する領域の知覚障害や筋力低下、反射異常、放散痛などの症状が生じる。 |
脊髄症状型 | 脚のしびれや知覚異常など首よりも脚の症状が目立つタイプである。脊髄が障害されるため歩行障害や排泄障害などの症状が生じる。 |
バレー・リュー症候群型 | 自律神経系の交感神経に異常をきたし、頭痛や首の痛みとともにめまい、耳鳴り、吐き気、視力低下、聴力低下などの症状が生じる。 |
脳脊髄液減少型 | 脳と脊髄を覆っている硬膜がやぶれ、その中に髄液が漏れ出すことで頭痛やめまい、吐き気、全身倦怠感などの症状が生じる。 |
むちうち(外傷性頚部症候群)で起きる症状
むちうちでは首を中心とした症状が一般的ですが、全身症状の場合もあります。また、筋肉や靭帯の損傷だけでなく神経根や自律神経が障害されると症状は多岐に渡ります。
痛み | 頭部、首、肩、肩甲骨、背部、腕にかけての痛み |
神経根症状 | しびれ、放散痛、知覚障害、反射異常、筋力低下 |
自律神経症状 | 頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、聴力低下、視力低下、全身倦怠感など |
合併しやすい症状
むちうちに合併しやすいものには交通事故などが原因で脳と脊髄を覆っている硬膜がやぶれ、その中に髄液が漏れ出し脳脊髄液が減少することで頭痛やめまい、耳鳴り、倦怠感、集中力の低下などの症状があります。
通常のむちうちでもこのような症状が起こるため、症状が長く続くようであれば医師に相談しMRI検査などの頭部の詳しい検査をしてみる必要があるかもしれません。
関連記事むちうちの症状とはどういったものなのか?治療方法についても解説
むちうち(外傷性頚部症候群)はレントゲンでわかる?
むちうちは首周囲の筋肉や靭帯の損傷による症状の場合が多いため、通常骨の状態を確認するレントゲン検査では異常を認めることはありません。
しかし、交通事故などでは身体へ想像以上の強い衝撃が加わっているため、医師による神経学的所見を含む診察所見および病状によって重篤な疾患(脳や脊髄の損傷、骨折など)が疑われる場合にはレントゲン検査やMRI検査などの精査が必要となります。
▲レントゲン検査とは
症状の伝え方
むちうちは検査などではっきりと捉えることができる他覚的所見に乏しいため、ただ「首が痛い」というだけでは伝わりにくく正しい診断がされない可能性があります。
そのため、痛みの場所が局所的か広範囲といった「痛みの部位」、眠れないほどの痛みや動けなくなるほどの痛みといった「痛みの強さ」、振り向くと痛いなどの「痛む動き」、一時的な痛みか持続する痛みなのかの「痛みの持続性」、鈍い痛みなのか針で刺されたような鋭い痛み、ズキズキ痛いなどの「痛みの種類」といったようにできるだけ細かく、具体的に伝えることが重要となります。
むちうちは医療機関への受診が大切
今回はむちうちの正式名称や症状などについて解説しました。むちうちという言葉は一般的に広まっていますが、重症度や症状は多岐に渡り、同じむちうちでも一人一人治療法や治療期間も異なります。
また、むちうちの症状は慢性的になりやすく後遺症として残ってしまう可能性もあります。そのため、交通事故に遭った場合はまずは整形外科などの医療機関を受診し、医師の診断をしっかりと受けましょう。
そして、重症度と症状に合わせた適切な治療を行うことが重要です。
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
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