物損事故で警察を呼ばなかった場合どうなる?交通事故では早めに届出しよう
監修記事
伊藤 実(てん@法律関係ライター)
弁護士資格保有
軽い物損事故を起こしてしまった場合など、物損事故の内容によっては警察を呼ばずに当事者同士の話し合いだけで済ませてしまおうと考える方もいます。
しかし、どのようなに軽微な物損事故であったとしても、警察への通報を怠ることは加害者だけでなく被害者にもリスクがあります。
道路交通法では交通事故発生時の通報義務が課されており、どのような交通事故であっても警察へ通報しなければなりません。
この記事では、物損事故で警察を呼ばなかった場合にどのようなリスクがあるのかについて詳しく解説します。交通事故はどなたにとっても突然起こりうるものです。いざという時のために最後までご一読ください。
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目次
物損事故で警察を呼ばなかった場合どうなる?
物損事故が起こった場合に警察を呼ばないと、被害者にも加害者にもリスクがあります。ここでは、物損事故で警察を呼ばなかった場合にどうなるのか、具体的なリスクを5つ紹介します。
道路交通法違反に該当する
道路交通法では、交通事故の当事者双方に警察への報告義務を課しています。報告義務を怠ると、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金という刑罰が科される可能性もあります。
交通事故が発生したら、当事者での話し合いで済ませようとはせず、まずは警察に通報しなくてはなりません。
POINT
義務違反に問われる恐れがある
報告義務は、当事者双方に課された義務なので、報告を怠ると加害者だけでなく被害者であっても義務違反に問われる恐れがあります。
自損事故の場合にも当て逃げ扱いとなる
被害者のいない自損事故についても、警察への報告義務があります。被害者がいないため、自損事故には報告義務がないと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、自損事故にも報告義務はあり、報告を怠ると当て逃げ扱いとなり、違反点数が加算されたり、別途道路交通法違反を問われたりする可能性があります。
さらに、車両保険についても、警察への報告なしには利用できないものがありますので、この点からも自損事故であっても、まずは警察へ通報することが重要と言えるでしょう。
物損事故から人身事故への切り替えができない
交通事故を警察に届け出ると、交通事故証明書の発行を受けることができます。
交通事故証明書は、交通事故の発生を証明するもので、保険金の請求など交通事故関係の様々な手続きに利用する重要な書類です。
警察への届け出を怠ると、交通事故証明書の発行を受けることができませんので、後に身体の痛みが出るなどしても人身事故への切り替えができない可能性があります。
交通事故で代表的なむちうちは後から症状が出てくる特徴があります。また、上記のアンケート結果のように、交通事故では思いもよらない症状が現れる可能性もあります。
事故が発生した直後でなくとも警察への届出は可能ですが、事故から時間が経つと、事故の状況を把握できない、交通事故と怪我との因果関係がわからないなどの理由で保険金の請求を巡るトラブルに繋がることも多いです。
損害賠償請求がスムーズに進まない
交通事故で怪我を負った場合、被害者は加害者に対して慰謝料などの損害賠償請求ができます。
しかし、警察への届け出を怠ると、交通事故証明書の発行を受けられません。
そのため、交通事故が発生したことや交通事故によって怪我を負ったことを証明することができず、損害賠償請求ができなくなる可能性があります。
関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!
保険を使えない
自損事故でガードレールなどを壊してしまった、自動車同士の事故で双方が怪我をしてしまったといった場合、通常は任意保険を利用して修理費用や治療費などを補填することになります。
しかし、警察への届け出がなく交通事故証明書の発行を受けられないと、交通事故の発生を証明できず、保険が一切使えなくなる可能性もあります。
交通事故による損害は大きな額となることが多いです。せっかく加入している保険が利用できなくなるリスクを避けるためにも、警察への届け出は怠らないようにしましょう。
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物損事故に関するよくある質問
物損事故で警察を呼ばないリスクについて解説しましたが、ここでは、それ以外での物損事故に関するよくある質問に回答します。
物損事故で警察を呼ばなかった場合、後日連絡でも大丈夫?
結論としては後日連絡でも大丈夫です。しかし、交通事故から時間が経つと、事故の痕跡が消失してしまうなどのリスクがあります。
また、事故の相手方と連絡がつかなくなると事故状況の説明も難しくなります。
そのため、警察へは事故が起きたらすぐに連絡すべきです。やむを得ず当日に連絡できなかった場合でも、できる限り早く連絡するようにしましょう。
時間の経過によっては、交通事故としての取扱いが認められない危険性もあります。
関連記事追突事故の怪我で通院することに…通院期間と慰謝料の関係を解説!
いつまでも物損事故の届け出をしなかった場合は後日呼び出される?
自発的に警察への届け出をしなかった場合、警察から後日呼び出される可能性はあります。呼び出されるケースは、次のようなケースです。
- 刑事事件発生の可能性による捜査が必要なとき
- 行政処分を下す必要があるとき
- 事故状況を確認するため調書を作成する必要があるとき
警察への届け出をしなくても、警察が自ら交通事故を発見し呼び出しを受ける可能性があります。
この場合、事故を発生させたことだけでなく、報告を怠ったことについても処罰を受けることになってしまうでしょう。
物損事故の届けはいつまでに出せば良い?
道路交通法の報告義務との関係では、物損事故の届けはできる可能な限り早くしなければなりません。
また、物損事故の交通事故証明書の申請期限は事故の発生から3年以内とされており、それ以降に届け出ても交通事故証明書の発行を受けることはできません。
事故証明は何日で発行される?
交通事故証明書は、各都道府県の自動車安全運転センターの事務所で発行してもらえます。
警察からセンターへ事故の通知が届いていれば申請日に即日で受け取ることが可能です。警察からの通知が未了の場合には、後日郵送で受け取ることができます。
警察では、当事者から交通事故発生の報告を受け、実況見分などを行ったのちにセンターへ事故の通知を行います。
そのため、手続きがスムーズに進む場合でも、事故の発生から1週間程度は必要です。
物損事故で警察を呼ばない場合のメリットはある?
物損事故の被害者の中には、加害者からお願いされて警察を呼ばずに示談を成立させてしまう方もいます。面倒な手続きなく示談したい場合には有効な手段とも言えそうです。
しかし、警察を呼ばずに示談に応じても、本記事で紹介した5つのリスクを負うだけです。
後に身体に重大な障害が発生しても泣き寝入りするしかなくなってしまうため、後日になってでも警察への届け出は怠らないようにしましょう。
まとめ
物損事故で警察を呼ばないとどうなるかについて解説しました。物損事故で警察に通報すると、調書の作成など面倒な手続きもあるため、当事者同士の話し合いで簡単に済ませてしまおうと考えるのは無理もありません。
しかし、甘い考えで警察に届け出ずにいると、損害賠償を受けられないだけでなく、刑事罰を受けてしまう可能性もあります。事故当日に届け出ができなかった場合でも、とにかく早めに警察に届け出るようにしましょう。
交通事故を起こしてしまい、警察には知られたくないと考えている場合でも、届け出をすることなく後に警察に呼び出されると、より重い処分を受けることになります。処分を最低限で済ませるためにも、早めの届け出が重要です。
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この記事を監修したのは…
元弁護士の経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題を中心に執筆活動を行う。弁護士時代には、交通事故、債務整理、離婚など多数の案件を解決。読者の困りごとに寄り添う記事をモットーに執筆に取り組んでいる。
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