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保険会社が治療の打ち切りを連絡してきたら?理由と対処法を解説

監修記事

伊藤 実(てん@法律関係ライター)

弁護士資格保有

交通事故による怪我の治療をしていると、保険会社から治療の打ち切りの連絡を受けることがあります。打ち切りの連絡には必ず従わなければならないのでしょうか?

打ち切りの連絡を受けても、怪我の症状が残っており治療を継続したいと考える方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、保険会社からの打ち切り連絡の仕組みについて解説したうえで、打ち切りの連絡後も治療を継続するための対処法について解説します。

保険会社からの打ち切り連絡への対応にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

保険会社による治療の打ち切り連絡とは

打ち切り連絡

交通事故の被害者となってしまった場合、多くの方は、加害者の任意保険で治療費を支払うことになります。治療を継続していると、保険会社から「治療費の支払は今月末までとします。」などとの治療の打ち切りの連絡を受けることがあります。

ここでは、治療の打ち切り連絡にはどのような意味があるのか、治療の打ち切り連絡を受けるとどうなるのかについて解説します。

治療費の打ち切り時期は保険会社が決定できる

交通事故の治療費は、保険会社から病院などへ直接支払われますが、これは保険会社による任意の対応であり保険会社の義務ではありません

本来の仕組みとしては、被害者が治療費を負担したうえで、その額を加害者に請求することになりますが、保険会社は便宜上、直接支払いをしているのです。

そのため、保険会社が治療費を支払うのか、支払いを打ち切るのかは保険会社の判断で行います。保険会社は、これまでの類似事例から適切な治療期間を判断し、打ち切り連絡をしてくるのです。

治療費の打ち切りが決定すると自費通院となる

治療費の支払が打ち切られた後も通院を継続する場合、患者は自費で治療費を負担しなくてはなりません。健康保険に切り替えて通院を継続する方法もありますが、基本的には、全額自費負担で通院することになります。

症状固定までは保険会社に治療費の支払いを請求できる

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

交通事故で通院治療を行う場合、治療を継続してもこれ以上の症状改善が見込めない状態になるまでは相手方から治療費の支払を受けることができます。

治療を継続してもこれ以上の症状改善が見込めない状態のことを症状固定と言います。

POINT

症状固定に至るまでの治療費については請求可能

保険会社から一方的に治療費を打ち切られた場合であっても、症状固定に至るまでの治療費については請求可能です。その場合は、保険会社に治療費の支払を継続するよう交渉するか、自費で治療費を負担した後に、保険会社に対して治療費を請求することになります。

保険会社が治療費の打ち切りを連絡してきた場合の対処法

加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されたらどうする?

▲加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されたらどうする?

治療費の打ち切りは保険会社が判断できる事項です。そのため、保険会社が打ち切り連絡をしてきた場合には、それに従わなければならないとも考えられます。

しかし、怪我が症状固定にいたっていない場合には、結局のところ、保険会社が治療費を負担しなければなりません。そのため、症状固定までは保険会社の打ち切り連絡に素直に応じる必要はありません

以下では、症状固定の前に保険会社が打ち切り連絡をしてきた場合の具体的な対処法について解説します。

症状固定までにかかる治療期間を医師に確認

怪我が症状固定の状態にあるか否かは主治医が判断することになります。そのため、保険会社から打ち切り連絡を受けた場合には、まずは主治医に治療状況を確認することが重要です。

医師に症状固定までにかかる期間を確認し、必要に応じてその内容で診断書を作成してもらうようにしましょう。医師の診察を受ける際には、現在の症状について詳しく説明し、それに基づいて症状固定までにかかる期間を判断してもらいます。

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

保険会社に治療費の支払いを交渉

主治医に確認しても、症状固定ではないと判断された場合は、保険会社と治療費の支払い継続についての交渉をします。この場合、保険会社も主治医への確認を行うことがほとんどですが、主治医の診断書があると交渉しやすいでしょう。

保険会社は、主治医の意見だけでなく、類似事例や保険会社の医師による判断も参考にして、あらためて治療の継続もしくは打ち切りの判断を行います。その結果、主治医の判断が妥当とされれば、治療費の支払い継続が認められます。

保険会社との治療費支払い交渉を弁護士に依頼

主治医の見解を伝えても、保険会社が治療費の支払い継続に応じないこともあります。その場合、治療費の支払い交渉を専門家である弁護士に依頼する方法もあります。

弁護士に依頼すると高額の費用が必要と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、弁護士保険特約に加入している方であれば、弁護士費用は保険で支払うことが可能です。支払い交渉でお悩みの方は、一度弁護士に相談してみてください。

弁護士特約とは?

▲弁護士特約とは?

保険会社の治療の打ち切りの目安

保険会社の治療の打ち切りの目安は、打撲で1ヶ月程度、むちうちで3ヶ月程度、骨折で6ヶ月程度です。しかし、実際の治療にはより長い時間がかかることもあります。

ここでは、症状ごとの治療期間の目安についてより具体的に解説します。

打撲は1ヶ月程度

交通事故の怪我:打撲とは?

交通事故の怪我:打撲とは?

打撲は交通事故の症状として最も多いものです。打撲は比較的軽度な症状と言うことができ、症状固定までの期間は1ヶ月程度となります。

また、捻挫も交通事故において多く見られる症状の1つです。捻挫の症状固定までの期間は症状によって様々です。

軽度の捻挫であれば1週間程度で完治するものもありますが、動かすこともできないほど重度のものであれば、3ヶ月以上の期間が必要なものもあります。

関連記事交通事故で起こりやすい怪我とは|通院先や損害賠償請求も解説!

むちうちは3ヶ月程度

むちうちの症状とは?むちうちが原因で起こる症状の例

▲むちうちが原因で起こる症状の例

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等むちうちの症状固定の目安は3ヶ月程度です。しかし、むちうちの症状である痛みやしびれなどの神経症状は外部からの判断が難しく、症状の残り方も様々です。

治療から3ヶ月を経過してもしびれなどの神経症状が残る場合、治療を継続すれば症状が改善する可能性もあり、症状固定の状態にあると判断することはできません。

また、症状固定にいたっても後遺症が残る場合には後遺症障害認定の手続きを行うことになりますが、その場合には最低でも半年間は治療を継続していなければ認定を受けることは難しいです。

そのため、むちうちの治療は3ヶ月が目安となりますが、神経症状などが残る場合には最低でも半年間は治療を継続できるよう保険会社と交渉するようにしましょう。

関連記事むちうちの症状とはどんなもの?治療方法についても解説

骨折は6ヶ月程度

交通事故による骨折の特徴(30日以上を要する重症が多い・患部の強い痛みや腫れ等が特徴)

▲交通事故による骨折の特徴

骨折の症状固定までの目安は6ヶ月程度です。

ただし、骨折は部位や重度、年齢などによって症状固定までの期間は大きく異なります。

指を1カ所骨折したなどの軽度なものであれば、3ヶ月程度で症状固定となる場合もありますが、手術を伴うものである場合などは半年から1年近くかかる場合もあるでしょう。

骨折で手術を伴う治療が必要な場合には、後遺障害認定も視野に入れて治療を継続することも重要です。

保険会社による治療の打ち切りにまつわるQ&A

打ち切り連絡

ここでは、保険会社からの打ち切りの連絡を無視するとどうなるかなど、これまでに解説してきたこと以外での保険会社による治療の打ち切りにまつわる質問について回答します。

打ち切りの連絡を無視するとどうなる?

保険会社からの打ち切りの連絡を無視し続けると、こちらからの回答を待たず保険会社は治療費の支払いを終了します。

保険会社から治療費が支払われるものと考えて治療を継続していた場合、病院が保険会社から支払いを受けられなくなった治療費を負担しなければならない可能性もあります。

保険会社から打ち切りの連絡があった場合は、無視をすることなく結論をはっきりさせなくてはなりません。

打ち切りが不本意であれば保険会社と交渉をする必要がありますが、無視をしていては交渉の機会まで失われてしまいます。

症状固定と診断されたらどうしたらいい?

症状固定と診断された場合には、それ以降の治療費について保険会社からの支払いを受けることはできません

症状固定となっても症状が残る場合には、後遺障害認定の申請を行うことで、後遺障害慰謝料逸失利益の賠償を受けることができます。

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

後遺障害認定とは、交通事故の後遺症を後遺障害として認定してもらうことです。後遺障害は症状ごとに等級で分けられており、後遺障害認定を受けると等級に応じた賠償を受けることができます。

後遺障害認定の申請は専門的な知識がなければ難しい面もあるため、手続きに不安のある方は専門家に相談してみることもおすすめです。

まとめ

打ち切り連絡 まとめ

保険会社による治療の打ち切りについてまとめました。

治療の打ち切りの連絡を受けても、症状が残っているのであれば素直に応じる必要はありません。医師に相談のうえで、症状固定までは適切な治療を受けられるよう交渉するようにしましょう。

症状固定後も後遺症が残る場合には後遺障害申請の制度もあります。後遺障害認定がされると多額の賠償金を得ることも可能です。

保険会社から打ち切りの連絡を受けても、この記事を参考に泣き寝入りすることなく、適切に治療を受けられるようにしてください。

この記事を監修したのは…

元弁護士の経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題を中心に執筆活動を行う。弁護士時代には、交通事故、債務整理、離婚など多数の案件を解決。読者の困りごとに寄り添う記事をモットーに執筆に取り組んでいる。

この記事の執筆者

ライター・元弁護士 / 伊藤 実(てん@法律関係ライター)
弁護士資格保有。元弁護士の経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題を中心に執筆活動を行う。 弁護士時代には、交通事故、債務整理、離婚など多数の案件を解決。読者のお困りごとに寄り添う記事をモットーに執筆に取り組んでいる。

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