むちうちはどんな痛み?治し方や放置するリスクを解説
監修記事
河野 裕也
理学療法士
むちうちは交通事故など身体へ強い衝撃が加わることで発症します。
特に衝撃により頭が前後に揺さぶられることで首に大きな負担が加わり頚部の関節、筋肉、靭帯や頚椎の間から伸びてくる末梢神経、頚部の周囲にある交感神経などの神経系にも影響を及ぼすため、広い範囲のさまざまな症状が出現します。
この記事では、
・首や肩、腰に痛みがあるけどこれは「むちうち」なのか?
・痛み以外の症状もむちうちが原因なのか?
・むちうちを治すにはどうすればいいの?
など、むちうちの可能性のある痛みの解説や、対処法について紹介しています。
あわせて、むちうちを放置するリスクについてもお伝えしていますので、ご参考ください。
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目次
むちうちにはどのような痛みがある?
むちうちは交通事故など身体に大きな衝撃が加わり、首の痛みや頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、手足のしびれなどさまざまな症状を誘発させます。
軽度のものは1週間程度、重症なものは3ヶ月から半年以上も改善するまでにかかることがあります。特に首の痛みがなかなか改善しないケースが多いです。
むちうちには実際にどのような痛みがあるのでしょうか。
ズキズキとする痛みや鈍い痛み
受傷直後は衝撃により首周囲の組織が損傷し炎症を起こしている可能性があります。その場合はズキズキするような痛みが出現します。
炎症が落ち着いてくると徐々に重く鈍い痛みに変わってきます。首周りの重だるさや筋肉の張りを感じることがあります。また、受傷直後には痛みなどを感じず、数日経ってから痛みが出てくる場合もあります。
安静にしている状態で痛みを感じるケースもある
首の痛みの場合、下を向いたり上を向いたり、左右に回したりするときに痛みが誘発されやすくなります。また、首は頭を支えているため実際に動かさなくても首には負担がかかります。
そのため、動いていないときでも持続的な重い痛みを感じたり、デスクワークのような同じ姿勢でいると首が前方に傾いていき、首の筋肉などに負担がかかり痛みが出てきます。
寝ている状態で頭の重さがかからない状態でも痛みを感じる場合もあります。この場合は炎症による痛みの可能性が高いです。
むちうちで痛む可能性のある部位
むちうちでは首の関節、筋肉、靭帯だけでなく末梢神経や交感神経といった神経系にも影響を及ぼすため広い範囲のさまざまな症状が現れてきます。
- 首の痛み
- 背中の痛み
- 腰の痛み
- 肩こり
- 腕や手の痛みやしびれ
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 吐き気
- 倦怠感
- 不眠
交通事故など強い衝撃により頭が大きく揺さぶられることで首に大きな負担が加わります。そのため、頚部周囲の筋肉や靭帯などの組織を損傷し痛みが出現します。
首から肩にかけての筋肉が過剰に緊張すると肩こりが生じやすく、首から背中にかけての筋肉を痛めた場合には背中にも痛みが出現します。
頚椎の間から腕に向かう神経が伸びてくるため、腕や手に痛みやしびれが出現する場合もあります。また、頚椎の近くには自律神経の交感神経も通っているため、交感神経が刺激され過剰になり頭痛やめまい、耳鳴り吐き気、不眠などのさまざまな症状が誘発されます。
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むちうちの痛みはすぐに出る?
むちうちの症状が発症するタイミングには個人差があります。実際に受傷直後から痛みを感じる場合と、直後は何も感じなくても数日から数週間後に痛みが出てくる場合があります。
痛みが出るタイミングには個人差がある
ではなぜむちうちの場合は痛みが出現するタイミングに個人差があるのでしょうか?交通事故の場合、日常では体感することのない大きな衝撃が身体に加わります。
そのため、人は防衛本能により交感神経が極度の興奮状態となります。交感神経の極度の興奮によりアドレナリンという物質が血液中に放出され、身体が闘争状態となり痛みが一次的に感じにくくなります。
交感神経の作用や交感神経の興奮が落ちつくのには個人差があるため、交通事故の当日に痛みが出る人もいれば、翌日から数週間後に痛みが出る人など個人差があります。
交感神経が優位になることで痛みが遅れて出るケースも多い
アドレナリンの他に痛みをコントロールするドーパミンシステムという脳の仕組みも痛みを感じにくくする作用があります。
このドーパミンシステムはもともと脳に備わっている機能であり、痛いはずの状況にあっても、ドーパミンという脳内物質が大量に分泌され痛みを感じにくくすることで身体を守るという機能です。
人にはこのような突発的な状況から身を守る防衛本能が備わっており、これらが働くことでその場では痛みを感じにくく後から遅れて感じることがあります。
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むちうちで痛み以外にみられる症状
むちうちでは首の痛み以外にも腕や手のしびれ、めまい、吐き気、肩こり、疲労感や倦怠感などさまざまな症状が見られることがあります。
首の関節や筋肉、靭帯の他にも末梢神経や自律神経といった神経系にも影響を及ぼすため広い範囲のさまざまな症状がみられます。
腕や手のしびれ
腕や手のしびれが出現している場合には腕や手を支配している神経が圧迫されたり損傷されている可能性があります。頚椎の間から腕に向かう神経が伸びているため、首への衝撃により神経にも負担がかかります。
また、首の筋肉の間を神経が通っていくため筋肉が緊張すると間を通る神経が圧迫を受ける可能性があります。損傷したり圧迫を受けた神経はそれより先を支配する領域に痛みやしびれといった症状を誘発させます。
そのため、腕や手のしびれや痛みがある場合にはより注意が必要です。
めまい
むちうちではめまいも出現しやすくなります。めまいには「回転性めまい」と「浮遊性めまい」の2種類があります。回転性めまいとは実際には動いていないにも関わらず、自分自身または周囲が動いているように感じ、特にぐるぐる回っているような感覚になります。
これは耳の奥にある平衡感覚を司る前庭の異常により起こりやすくなります。浮遊性めまいとは自分自身がふわふわと浮いているような感覚となり、立っていたり座っていたりするような同じ姿勢を保てなくなり歩くことも難しくなります。
これは脳の異常により起こりやすくなります。また、脳へ血流を送る頸部の横を走る椎骨動脈の障害によっても起こりやすくなります。
吐き気
むちうちの症状では吐き気を伴うこともあります。自律神経の異常が吐き気の原因の1つと考えられます。交感神経が過剰になると首の両側を通る椎骨動脈の血行不良が生じ、脳への血流量が低下する可能性があります。
その場合、脳に存在する嘔吐中枢が刺激され吐き気を催すことが考えられます。また、自律神経のバランスが崩れることで胃や腸といった内臓の働きも悪くなることで消化不良が起こることもあります。強い肩こりやめまいからくる吐き気もあります。
肩こり
交通事故の衝撃で首周囲の筋肉を損傷したり、自律神経に異常が生じたりすることで首や肩の筋肉が緊張して硬くなります。筋肉が緊張することで血管が圧迫され血流が悪くなります。
血流が悪くなることで筋肉へ酸素や栄養が行き渡らなくなり、老廃物が溜まりやすくなります。さらに血流が悪くなり疼痛誘発物質という痛みを感じさせる物質が生じてきます。
POINT
悪循環を引き起こす
痛みによってさらに筋肉が緊張をします。また、疼痛誘発物質は血管を縮こまらせる作用があるためさらに血流が悪くなることで肩こりを悪化させるといった悪循環が生じます。
疲労感や倦怠感
むちうちでは痛みやしびれ、めまい、吐き気、肩こりのような症状の他に身体のだるさや重さといった疲労感や倦怠感のような症状があります。
交通事故では身体に急激な衝撃が加わります。そのため、身体は防御反応として反射的に全身の筋肉を硬直させます。その全身の緊張はすぐには抜けず、事故後も続いてしまいます。
特に首や背中、腰周辺の筋肉の緊張状態が続区ため疲労感や倦怠感が生じます。また、背骨の間から出てくる神経が圧迫されたり損傷されることで筋力が低下し身体を動かしにくくなります。
むちうちの痛みの治し方
むちうちの痛みの治し方には時期や症状に合わせた適切な方法があります。
特に事故直後の急性期といわれる時期の対応が重要となります。この時期に適切な治療をすることでその後の症状の回復までの期間が変わってきます。
症状が出た直後は冷湿布やアイシングで患部を冷やす
症状が出た直後は主に炎症による痛みが生じます。そのため、まずは炎症をしっかりと抑えることが重要となります。入浴や温湿布のように患部を温めてしまうと炎症が治らず症状が悪化する可能性があるため温めることは控えましょう。
逆にアイシングや冷湿布で患部を冷やすことが重要です。冷やすことで炎症を早く抑えることが可能です。また、なるべく首を安静に保つことが重要となるため必要であれば頚椎カラー(首のコルセット)を使用し、安静を保ちます。
整形外科を受診する
むちうちを患った場合、最初に整形外科を受診しましょう。事故では日常では受けることのない大きな衝撃が身体へ加わるためたとえ症状が軽度であってもしっかりと検査をして医師の診断を受けます。
そして、しっかりと治すためにリハビリテーション(理学療法)を進めていきます。また、骨折や脱臼を伴っていたり、あまりにも耐え難い強い痛みがあるような重症な場合には状態に応じて手術も選択肢の1つになることもあります。
整骨院や接骨院でケアをする
むちうちの状態が慢性期に入った場合では整骨院や接骨院での施術により症状が改善するケースもあります。
むちうちの施術には長い期間必要になることが多いため、仕事帰りの遅い時間までやっていたり、土日にもやっている整骨院や接骨院で施術を受けることで継続したケアができます。
また、むちうちを専門としている整骨院や接骨院もあり、症状や状態に合わせた施術を受けることが可能です。
途中で施術を中断してしまうと症状が後遺症として残ってしまう危険もあります。ご自身のライフスタイルにあわせてしっかりと施術を継続しましょう。
むちうちの痛みが治るまでどのくらいかかる?
むちうちは事故の衝撃の強さによって重症度が異なり、痛みの程度も個人差があるため治療期間もそれにあわせて変わってきます。
軽いむちうちは1週間程度
軽いむちうちでは1週間程度で症状が改善する場合が多いです。しかし、「ほとんど痛みがない」「痛みい以外の症状がない」といった軽い場合でもまずは医療機関を受診しましょう。
交通事故では思っている以上の衝撃が身体へ加わっているためしっかりと検査をする必要があります。また、事故直後は症状が軽くても数日たってから症状が強くなる場合もあります。
そのため早期からしっかりと治療して悪化させないようにしましょう。
重度のむちうちは3カ月以上かかるケースも
重度のむちうちの場合には3ヶ月程度もしくは半年以上かかってしまう場合もあります。治療期間が長引いてしまう理由として医療機関で適切な診断と治療を受けていないことがあります。
むちうちの場合、受傷当初は症状が軽くても、徐々に症状が増悪してくることもあります。長引かせないためにもまずはしっかりと医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。
むちうちの痛みを放置すると慢性化してしまう恐れもある
むちうちは放置してしまうとなかなか症状が改善しない場合が多くあります。痛みが長く続くと痛みが別の痛みを引き起こすような慢性の痛みに変わってしまう場合があります。
むちうちの場合、頚部の近くに交感神経があり強い衝撃によりこの交感神経が緊張状態となります。交感神経が緊張すると筋肉の緊張が高まり血流が悪くなります。
血流が悪いと疼痛誘発物質という痛みを起こす物質が発生し、より痛みを増悪させます。また、この疼痛誘発物質は血管を収縮させる作用もあり、より血流を悪くさせるという悪循環が生じます。
痛みが長く続くと痛みに敏感になり不眠となったり恐怖や不安などからうつ状態になる可能性もあります。そのため、むちうちの痛みを放置してしまうと慢性化してしまうリスクがあるため、放置せずに早期から適切な治療を行うことが大切です。
まとめ
今回はむちうちの痛みについてや治し方、放置するリスクについてお伝えしました。交通事故による身体への衝撃は想像以上に強く、関節、筋肉、靭帯の他に末梢神経や自律神経などの神経系にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
通常の怪我とは異なりますので、受傷した場合はどのような軽度な症状でもまずは最初に医療機関を受診し適切な診断を受けましょう。
むちうちについて正しく理解し、適切な治療を早期から受けることで症状の慢性を防ぐことができます。
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
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