交通事故での病院受診の流れ|迷わず受診できる手順を解説
監修記事

世良 泰
医師(整形外科他)
交通事故に遭った際、早めに病院を受診してしっかりと診断を受ける事が重要です。
事故直後はショックや興奮状態により痛みを感じにくくなっていることが多くあります。そのため、後になって痛みが強く出てくることがあります。
事故直後は痛みをほとんど感じなかったからと適切な治療をせず放置していると、後遺症として残ってしまう可能性があります。そのため、なるべく早期に病院を受診する必要があります。
本記事では交通事故での病院受診の流れや必要な持ち物、治療の進め方について詳しく解説します。
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目次
交通事故被害で病院受診の基本的な流れ
交通事故発生~病院受診までの流れは下記の4ステップです。
- 警察に連絡する
- 加害者の連絡先を控える
- 保険会社に連絡する
- 病院を受診する
それぞれ詳細を解説していきます。
警察に連絡する
事故に遭ったらまずは安全な場所へ移動し、警察へ連絡をします。交通事故の当事者は、警察へ通報する義務がありますので必ず連絡しましょう。
連絡を怠ると、交通事故があったこと自体を証明できなくなってしまう可能性があります。
加害者の連絡先を控える
今後の為に加害者の連絡先を聞きましょう。事故後に控えておくべき項目としては下記の通りです。
- 加害者の氏名
- 住所
- 電話番号(自宅、携帯など)
- 車両ナンバー
- 加入している任意保険の保険会社
加害者の連絡先や加入している保険会社を控えておかなければ、損害賠償の請求や示談交渉ができませんのでしっかりと記録しておきましょう。
保険会社に連絡する
相手方(加害者側)の保険会社にどの病院に受診するかを連絡しておくことでその後の手続きがスムーズに進みやすくなります。事前に保険会社から病院に連絡してもらうことで、一括対応の場合に自己負担なく受診することができます。

任意一括対応とは?
また、事故の相手方の保険会社と話をするだけでなく、ご自身の保険会社にも連絡をして事故に遭って病院を受診する旨を伝えましょう。
病院を受診する
できる限り早めに病院(整形外科または総合病院)を受診し、交通事故で受診している事を伝えましょう。交通事故の日時や状況、症状を詳しく説明することが大切です。受付で問診票の記入があるはずですので、そこにしっかりと症状や状況を記載します。
症状を説明するときは、いつから痛いか、どこが痛いか、どんな時に痛いか(静止時や特定の動作など)、どのような痛みかを具体的に伝えると良いでしょう。
むちうちはレントゲンでは異常がみられないケースもあり、より詳細に検査する場合にはMRIやCT検査が必要となるため医師と相談するようにしましょう。
また、被害者は加害者側の保険会社へ治療費や通院費、慰謝料などを請求することができます。その際に事故と症状の因果関係を証明するために診断書が必要となり、これは医師のみ発行することができるため、診断書の発行も依頼しましょう。
その後、痛み止めの薬や湿布が処方され、必要であれば理学療法士によるリハビリを受けます。
自己判断で通院をやめてしまうと後から症状が悪化した場合に補償を受けにくくなる可能性があるため、医師の指示に従いながら適切な治療をしっかりと継続しましょう。
病院受診時に必要な持ち物
病院を受診する際には健康保険証、身分証明書、事故の記録、保険会社の連絡先などを用意しましょう。
交通事故では自賠責保険や相手の任意保険が適用されることが多いですが、場合によっては健康保険を使用することもあるため一応用意しておきましょう。
本人確認のために身分証明書が必要となるため運転免許証やマイナンバーカードなどを持っていきます。
事故の状況を記録した写真やメモがあると医師に事故の正確な情報を伝えやすくなりますので、あれば準備しておきましょう。
事故後の治療費の対応をスムーズにするために、加害者側と自分が加入している保険会社の連絡先を控えておく必要もあります。
病院で診断書の発行を依頼する
▲交通事故治療における診断書の内容と役割
交通事故治療では、治療費や通院費、慰謝料など適切な補償を受けるために診断書が必要となります。診断書は医師のみ発行することができるものです。
事故後のトラブルを防止するためにも早めに診断書を取得して各所手続きを行いましょう。
交通事故後に診断書が必要になる場面は主に下記の3種類です。
- 警察への提出用
- 相手の保険会社への提出用
- その他職場などへの提出用
警察への提出用
警察ははじめは事故を物損事故として処理をしている事があります。これを人身事故としての扱いに変更するには診断書を警察へ提出する必要があります。人身事故になっていない場合は、まず人身事故への切り替えを行いましょう。
診断書には負傷部位や治療期間の目安などが記載され、発行には数日かかることもあるため、最初に病院を受診した際に発行してもらうように伝えましょう。「警察に提出用の診断書が欲しい」と伝えればスムーズに伝わるでしょう。
相手の保険会社への提出用
相手側の保険会社に損害賠償を請求をするために、加害者側の保険会社に診断書を提出する必要があります。
損害賠償の請求方法は「一括対応」と「被害者請求」の2つに分類されており、どちらの方法を選択するかで診断書の提出先は変わってきますが、加害者が任意保険会社に加入している場合は、一括対応で請求するケースがほとんどですので加害者側の保険会社に診断書を提出します。
その他
怪我が原因で会社を休む場合は職場へ、自身が加入している保険を利用する場合は自身の保険会社への診断書の提出が必要になります。交通事故後は各所で手続き上診断書が必要になる場面がありますので、必要な枚数を取得しましょう。
関連記事交通事故で整形外科の診断書のもらい方とは?もらえない場合の対応も
交通事故での病院の選び方
交通事故にあった場合、診断書を発行してもらったり、場合によっては精密検査が必要な場合もあったりするためまずは整形外科を受診しましょう。
また、整形外科と併用して交通事故の対応に力を入れている整骨院・接骨院への通院も可能です。整形外科も整骨院もそれぞれ交通事故への対応に特徴があるため、ご自身の条件やライフスタイルに合わせて通院をしましょう。
▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い
ここでは、通院する整形外科や整骨院の具体的な選び方を解説します。
整形外科
交通事故は通常の怪我の手続きとは異なるため、通院する整形外科が交通事故の治療実績が十分にあるかを確認しましょう。
治療実績のある整形外科であれば、適切な検査や治療を受けることができ、交通事故後の保険制度にも詳しく、賠償請求や後遺症診断の際にもしっかり対応してもらうことが可能です。
特に、交通事故に多いむちうちなどは痛みやしびれといった自覚症状のみで客観的には症状がわかりにくいことも多く、医師が交通事故に詳しくないと適切な検査や治療を受けられないこともあります。
整形外科の中には交通事故後の対応に非協力的で賠償請求や治療の経過に差が出ることもあるため、ホームページなどで事故後の検査や治療についてよく確認してから通院すると安心です。
関連記事整形外科が交通事故の患者を嫌がるのはなぜ?対応してくれる病院の探し方関連記事交通事故でも転院はできる?病院を変えるメリット・デメリットも解説
整骨院・接骨院
交通事故後は整形外科等の病院と併用して、整骨院・接骨院に通院することも可能です。
交通事故による症状は長期的に継続して治療をしていく必要があるため、時間帯やライフスタイルによっては病院のみだとなかなか通院を継続できないことも考えられます。
そのため、自宅や職場から近く、受付時間にも柔軟性がある整骨院や接骨院に通うことも選択肢のひとつとして考えても良いでしょう。
▲交通事故治療で整骨院に通うメリット
交通事故の施術実績のある整骨院や接骨院もあり、保険の請求などもスムーズにやってもらえるところもあります。
整骨院や接骨院に通う場合には事前に整形外科の医師や保険会社と話をしてから通うようにしましょう。その後のトラブルの予防になりますのでしっかりと確認をしておきましょう。
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交通事故治療で病院受診した後のポイント
交通事故後に病院受診した後のポイントは大きく2つあります。
- 通院を継続すること
- 整骨院・接骨院との併用の検討
それぞれ詳しく説明していきます。
通院を継続すること
病院で診察を受けた後医師が治療方針を決定し、それに従って通院を開始します。
通院の頻度や治療の内容は症状の程度によって異なりますが、医師の指示に従い定期的に受診することが重要です。自己判断で勝手に通院を辞めてしまわないように注意しましょう。そのまま、完治または症状固定の段階まで通院を継続します。
完治とは症状が完全に回復し、日常生活に支障がなくなった状態を指します。
症状固定とはこれ以上治療を継続しても効果が期待できなくなった状態のことです。永遠に治療を受け続けることはできないため、医師の判断により治療の区切りをつける必要があります。そのタイミングが症状固定となります。
症状固定と判断された場合は後遺障害等級認定を申請し、認められると等級に応じた後遺障害慰謝料を請求することができます。
整骨院・接骨院との併用の検討
病院と整骨院・接骨院の併用も検討してみましょう。
▲交通事故治療で病院と整骨院の併用と注意点
交通事故で自賠責保険適用の場合、病院と整骨院の併用が可能であり、病院の診察だけでは十分な治療が難しい場合は整骨院での施術を併用することで回復が促進されることがあります。
また、整骨院は夜遅い時間や休日もやっていることが多く、ライフスタイルに合わせて治療を継続できるメリットがあります。整骨院を併用する場合には事前に医師に相談し、保険会社にもその旨を事前に連絡しておきましょう。
交通事故の病院受診に関するよくある質問
交通事故に遭った場合はまず病院を受診することが重要ですが、診断書の発行や保険対応、事故の扱いなどについて具体的にどうすれば良いのかわからないことも多いでしょう。
ここでは交通事故後の病院受診に関する疑問について解説します。
診断書の発行は必要?
診断書は事故と症状の因果関係を証明する重要なものです。
治療費や通院費、慰謝料を請求する際、保険会社は事故と症状の因果関係を重視するため、診断書がないと適切な補償を受けられない可能性があります。示談交渉や裁判になった際にも診断書は客観的な証拠として有効となります。
また、症状が後遺症として残る場合には後遺障害等級の認定を受け、認められることで等級に応じた慰謝料を請求できますが、その際にも診断書が必要となります。
診断書は医師のみ発行することが可能であるため、最初に病院を受診した際に診断書を発行してもらうようにしましょう。
事故後のトラブル防止のためにも、早めに診断書を取得することが望ましいです。
相手が保険に入っていない場合はどうなる?
交通事故が生じた場合、相手の任意保険会社が被害者に賠償する流れとなります。
しかし、相手が任意保険に加入していない場合には自賠責保険会社へ被害者が直接請求する被害者請求を行います。
被害者請求では示談交渉を待たずに補償を受け取ることができます。しかし、自賠責保険で受け取れる補償には上限があり、最低限になります。
また、無保険車傷害特約や政府保障事業が利用できないかも確認しましょう。
無保険車傷害特約は事故の相手が保険に加入していない場合に補償を受けられるもので、このような事態に備えてあらかじめ加入していれば利用することができます。
また、政府保障事業は事故の加害者が自賠責保険にも加入していない場合の被害者を救済するための制度で政府が加害者に代わって被害者へ補償を立て替えます。被害者へ補償された後に政府が加害者へ求償する仕組みです。
人身事故への切り替えは必要?
▲物損事故から人身事故への切り替え(方法と期限)
交通事故でケガをしているにも関わらず物損事故で処理されている場合があります。
物損事故ではケガに対する治療費や入通院費、後遺障害に対する補償などを受け取ることができません。そのため、物損事故から人身事故へ切り替える必要があります。
まずはすぐに病院を受診し、医師から発行してもらった診断書を管轄の警察署へ提出することで物損事故から人身事故へ切り替えることができます。
事故から時間が経過してしまうと切り替えが難しくなるため、できる限り早めに申請手続きをしましょう。
転院はできるの?
交通事故であっても、病院の転院は可能です。
▲交通事故で転院する方法
通院先を転院する場合は、保険会社に「転院したい旨」を伝えなければなりません。
ただし、転院したい理由が正当なものでなければ、転院を認めてもらえない可能性があるので注意が必要です。
例えば…
- 通院先が遠く通院が難しい
- 患者が多くリハビリに入れない など
また、何度も転院しないようにしましょう。
何度も転院をしてしまうと、故意に行っていると判断され、加害者側の保険会社に治療費の支払いを打ち切られることがあります。
整骨院・接骨院と病院の併用に注意点はある?
整形外科と整骨院のように2つの通院先を併用する際は、以下2つの注意点があります。
- 併用する前に医師と保険会社へ同意を貰うこと
- 同じ日に2つの通院先で治療を受けないこと
先程の転院同様、必ず担当の医師と加害者側の保険会社へ「整骨院・接骨院にも通いたい旨」を相談して同意を貰いましょう。
また、同じ日に2つの通院先で治療を受けないようにしてください。同じ日に整形外科と整骨院で治療・施術を受けた場合、どちらか一方の治療費は支払ってもらえない可能性が高いためです。
早めの病院受診で適切な治療を受けましょう
交通事故に遭った場合、症状が軽いと思ってもまずは病院を受診することが重要です。後から症状が悪化する可能性もあり、適切な治療を受けないことで後遺症が残ってしまう可能性があります。
また、交通事故は一般的なケガの手続きと異なり、保険会社を交えた手続きが必要となります。
事故後は早めに病院を受診し、早期から治療を受けることで後遺症を防ぎ、適切な補償を受けるための準備をしましょう。
<参考文献>
政府保障事業|国土交通省
交通事故にあったらまずどうする?|国土交通省
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慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。
池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/
日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター
TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員
株式会社スポーツ医学 代表取締役
株式会社Mesign 顧問
株式会社うごきのクリニック 取締役
AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー
株式会社アルゴス 顧問医師
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