むちうちによる吐き気はいつまで続く?症状の原因や治らない時の改善方法について解説
監修記事
世良 泰
医師(整形外科他)
むちうちになると吐き気をもよおすことがあります。日常生活や仕事への影響も大きいため、早めに何とかしたいところでしょう。
本記事では、むちうちによる吐き気の改善方法や症状が続く期間、通院先を中心に解説します。吐き気に悩まされている方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
むちうちで吐き気がする原因とは?
そもそもむちうちとは、交通事故などで頸部を強くゆさぶらされたことにより、首周囲の筋肉や靭帯などを損傷する怪我のことです。
首や肩の痛み、しびれ、頭痛などの症状を引き起こすイメージが強いですが、吐き気や嘔吐といった消化器系の症状も起こることもあります。
むちうちによる吐き気の原因は明確にされていませんが、現状で考えられている内容をお伝えします。
頚部・背部周辺の筋緊張によって自律神経系に乱れが生じ、内臓器の活動に影響を与えるため、息苦しさ・胸やけ・消化不良などと共に吐き気の症状があらわれることがあります。また、むちうちの影響でめまいなどを併発した場合は、めまいが要因となることもあります。
出典:みんなの鍼灸整骨院 本院 長谷川先生
自律神経の異常
むちうちによる吐き気は、自律神経の異常が一つの原因として考えられています。
むちうちは「5つの型」に分類されているのですが、そのうちの一つに、交感神経が活発化してしまうことで、首を通る「椎骨脳底動脈」の血行不良が起き、脳への血流量が減少してしまう「バレー・リュー症候群型」があります。
脳が貧血を起こすと、脳に存在する「嘔吐中枢」が刺激されてしまい、吐き気を催してしまうのです。
筋肉の過緊張
むちうちによる首の怪我によって、首周りの筋肉の過緊張を起こします。さらに筋肉の過緊張は、交感神経を活性化してしまいます。
交感神経の働きとして消化器系の臓器を収縮させ、血液の循環量を減少させるため、胃腸をはじめとした消化器系の働きが悪くなります。それにより、吐き気や嘔吐を引き起こすと考えられているのです。
また、筋肉の過緊張で脳への血流が妨げられ、「自律神経の異常」で解説したようなメカニズムで吐き気がすることも原因として考えられます。
まとめると、むちうちによる吐き気は「自律神経の異常」が根本的な原因として考えられています。
自律神経の異常に至るまでには、交通事故のショックや精神的要因も含まれる場合がありますが、筋肉の過緊張が影響して吐き気の症状を引き起こしている可能性もあるのです。
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むちうちになった際に吐き気以外にみられる症状
むちうちになると、吐き気以外にもさまざまな症状が現れることがあります。ここでは、むちうちで見られる吐き気以外の症状を詳しく説明します。
めまい
交通事故後のむちうちでは、吐き気とめまいが約3割の確率で出現するといわれています。比較的高い頻度で現れることがわかります。
むちうちでめまいが起こる原因の一つとして、自律神経の異常が考えられます。むちうちになると交感神経が過剰に働きます。また、首のしなりによって周囲の筋肉が損傷されて「過緊張」の状態になることも交感神経の活動を助長していることが考えられます。
また、むちうちによって首の安定性が低下することで頭部の動きが制限されにくいことや、平衡感覚を司る「内耳」が損傷してめまいが生じたりすることがあります。
めまいが出現した方のうち、半分以上の方は1ヵ月程度で症状の改善が見られますが、長引く方も少なくありません。
頭痛
むちうちになると、首の筋肉や靭帯が損傷するため、頭痛が生じることがあります。頭痛にはいくつか種類がありますが、むちうちで生じやすいのは「緊張性頭痛」です。
頭を締め付けられるような圧迫感が特徴的な頭痛で、主に筋肉の緊張が原因とされています。首の筋肉の緊張が高まっているときはとくに、頭痛が強くなる場合があります。
また、筋肉の緊張は血液の循環にも悪影響を与え、脳への血液供給が不十分になることでも頭痛が生じる可能性があります。
腕のしびれ
むちうちによって首の筋肉や靭帯が損傷すると、首の筋肉が緊張し神経が圧迫されて腕のしびれが生じることがあります。
首の動きや姿勢によって一時的に強く症状が出る場合もあるため、日常生活では注意が必要です。腕のしびれを解決するためには、筋緊張の緩和は最低限求められます。
例えば、ストレッチ、マッサージ、温湿布、運動などが有効です。また、姿勢の改善や、適切な枕の使用なども、首の筋肉の緊張を軽減するのに役立ちます。
POINT
自己判断で行うと症状が悪化するリスクがある
上記方法を自己判断で行うと症状が悪化するリスクがあります。自分で対処する前に、医療機関を受診して指示を仰ぎましょう。
肩こり
むちうちでは首の筋肉や靭帯が損傷しますが、その影響が波及して、肩こりを生じることがあります。例えば、足を怪我してしまい、痛みを我慢するために肩に力が入ってしまったという経験をしたことはないでしょうか。
同じように、むちうちで首に痛みを感じると、肩に力が入り筋肉が緊張してしまいます。
また、むちうちで首の筋肉が緊張すると次のような悪循環に陥りやすくなります。
- 首の筋肉が緊張する
- 血管が圧迫されて血液の循環が悪くなる
- 筋肉内の酸素が不足
- 老廃物が蓄積される
- 老廃物の痛みを知らせる物質である「発痛物質」の放出を促す
- 痛みを感じてさらに首や肩などに力が入る
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むちうちの吐き気はいつまで続く?
むちうちによる吐き気の継続期間は、通常だと数日から1週間ほどで自然に改善することが多いです。理由としては、交通事故などの原因によって一過性に乱れた自律神経のバランスが戻ることが要因として考えられます。
しかし、個人によっては6ヶ月以上の間、吐き気が続くケースも見られます。慢性的に吐き気が続く場合や、めまい、頭痛など他の症状も見られる場合は、早めに医師の診察を受けた方がよいでしょう。
むちうちによる吐き気の改善方法
吐き気を感じた場合は、適切な医療機関を受診し、根本の原因を突き止めることが重要です。
医療機関を受診して適切な治療を受ける
吐き気は、むちうちが根本の原因です。早い段階で医療機関を受診し、むちうちの治癒に向けた適切な検査や治療を受けることが大切になります。
注意しておきたいのは、医療機関の受診までに自分で応急処置を行わないことです。市販薬の服用など、原因がわからない吐き気に対して対処するとかえって悪化させる可能性があります。自己判断での応急処置は行わずに、専門家の指示に従うようにしましょう。
頚部・背部の筋肉をほぐしたり、その周囲のツボや経絡を刺激することで、自律神経を安定させる効果が期待されます。
その他にも、指圧や低周波・超音波などの電気療法を行い、筋肉や周囲のツボにアプローチをかけ、頚部の負担を軽減させるためにテーピングを行ったり、場合によっては固定具を使うこともあります。
また、鍼灸の施術も保険会社さんと相談のうえ、可能であれば行います。
出典:みんなの鍼灸整骨院 本院 長谷川先生
むちうちで吐き気がしたときの通院先は?
むちうちだと、はっきりしている場合は「整形外科」が最適です。
ただ、むちうちと思っていても脳の病気である可能性も否定できないため、頭痛や手足の麻痺などを伴う吐き気の場合は「神経内科」も検討しましょう。一方、はじめから医師が在籍していない整骨院へ通院することはおすすめできません。
自身の健康を守るために、状況に応じて適切な医療機関を受診しましょう。
整形外科
むちうちにより吐き気がした場合は「整形外科」の受診をおすすめします。整形外科には、むちうちに精通した医師が在籍しており、医師による診察や検査を受けられます。
また、診察や結果が済むとすぐに結果に応じた治療へと移行できるのもメリットです。むちうちで吐き気が生じた場合には、最適な医療機関と言えるでしょう。
神経内科・脳神経外科
むちうちだと判明しておらず、吐き気がする場合は脳血管障害など、脳の病気である可能性があります。そのため、神経内科や脳神経外科も通院先として選択肢に入れるべきです。
とくに、吐き気とともに手足の動かしづらさや話しづらさといった症状がある場合は、優先して受診しましょう。手足の動かしづらさや話しづらさは、脳から筋肉に指令をする神経に障害が起きている証拠です。早急な対処が必要になります。
もし神経内科や脳神経外科を受診して脳に異常が見られなければ、取り越し苦労として安心材料にもなります。
整骨院・接骨院
整形外科の受診を経て、吐き気がする原因がむちうちによる筋肉の過緊張だと判明した場合は、整骨院・接骨院へ通うことを検討するのもよいでしょう。整骨院や接骨院では、柔道整復師による手技療法などの施術を受けられます。
ただし、根本の原因がわからない段階で整骨院・接骨院での施術は避けてください。最初は原因をはっきりさせるために整形外科または神経内科を受診し、必要な検査を行うようにしましょう。
吐き気が後遺症として残ったときの対処法
吐き気はむちうちの症状の一つですが、治療を受けても後遺症として残ることがあります。そのような場合は、次のような対処法があります。
まずは医師に相談する
吐き気が長引く場合、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。それでも改善しなかったり、納得のいく対応をしてもらえなかったりした場合は、別の医療機関の医師にセカンドオピニオンを求めることも一つの選択肢です。
普段診てもらっていない医師から、別の観点で診察および検査してもらうことで、むちうちの治癒に近づけるかもしれません。セカンドオピニオンの場合、整形外科ではなく、神経内科の医師に診てもらった方が有効な場合があります。
かかりつけ医に相談して、同じ整形外科に行くべきか、神経内科に行くべきかを相談してみるとよいでしょう。
後遺障害等級認定のために症状に対して詳細な検査を行う
吐き気が残ってしまった場合は「後遺障害等級認定」への申請をしましょう。後遺障害等級認定は、「損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所」という機関に、病気や怪我が正式に後遺症として認めてもらうための手続きのことです。
もし、交通事故の被害者としてむちうちになった場合に、後遺症として認めてもらうことで治療費や逸失利益を受け取れます。
後遺障害等級に認定されるためには、症状に対して詳細な検査を行い、後遺症があることを証明しなければなりません。
例えば、MRI検査や神経学的所見(反射テストなど)が例として挙げられます。後遺障害等級の認定には、時間がかかる場合があるため、早めに専門の医師に相談し検査を受けることが大切です。
まとめ
むちうちによる吐き気は、自律神経の異常や筋肉の過剰な緊張で起こるとされています。人によっては症状が6ヶ月以上続く場合もあります。
早期治癒を目指すには、早めに医療機関を受診し、むちうち自体の治癒を目指す適切な治療を受けることが重要です。
もし、むちうちの後遺症として吐き気が残った場合は、かかりつけ医やセカンドオピニオンとして別の医師に相談したり、後遺障害等級認定を受けるための行動を取り始めましょう。
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この記事を監修したのは…
慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。
池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/
日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター
TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員
AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー
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