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交通事故でむちうちの嘘はバレる?保険会社への対処法を解説

監修記事

岡野 圭祐

理学療法士

交通事故でむちうちになるといったことはよく聞くでしょう。むちうちは後遺症に発展することもあり、日常生活に支障をきたす恐ろしい症状です。

医師の診察や施術家による治療を受け、慰謝料を請求することができます。しかし、むちうちは発症時期や症状が人によって異なるので判断に悩むこともあるでしょう。

今回は、むちうちの症状を認めないにも関わらず嘘をついてしまうとバレてしまうのか解説していきます。

事故でむちうちの嘘がバレると保険詐欺にあたる

事故

むちうちは自覚症状が重要視されるため嘘をついてもバレにくいと考えてしまうかもしれませんが、嘘によって金銭を請求すると保険金詐欺にあたる可能性があります。

むちうちは受傷直後に症状を認めなくても時間が経過してから出現することがあります。また、症状は多彩であること、時間経過で変化していく場合があるので保険会社に嘘だと疑われてしまうことも。

実際にむちうちの症状を認めない場合、完治しているにも関わらずに嘘をついて過度に通院を繰り返してしまうケースが存在します。

多額の慰謝料を請求したいといった気持ちがあったとしても、不要な治療を続けてしまうことは絶対に避けましょう。

しかし、少しでも症状を認める場合には症状固定となるまで通院を怠らないようにしてください。

事故でむちうちの嘘がバレる理由

交通事故のむちうちが嘘だと疑われやすいケース(病院受診をしていない・証言に一貫性がない・症状を証明する書類が無い)

▲交通事故のむちうちが嘘だと疑われやすいケース

被害者がむちうちの痛みを訴えたとしても、相手側の保険会社から「嘘なのではないか」と疑われてしまう可能性があります。

なぜ痛みがあるのにもかかわらず、むちうちを嘘だと思われてしまうのか、代表的な以下3つの例を紹介します。

  • 交通事故直後に病院を受診していない
  • 交通事故の状況と症状がかみ合わない
  • むちうちを証明できるものがない

交通事故直後に病院を受診していない

むちうちを嘘だと疑われる1つの要因として、交通事故発生日から通院までの期間が空いてしまうことが挙げられます。

事故直後に痛みがあらわれなかったり、軽い痛みの場合、大したことがないと放置してしまうこともあるでしょう。また、お仕事や家事育児に追われていると、通院時間を確保できない方もいるかと思います。

しかし、期間が空いてしまうと、保険会社から見れば「今更通院しはじめたのか」と疑われ、事故との関係性を疑われてしまいます。

交通事故の状況と症状がかみ合わない

事故の状況と症状がかみ合わないとは、以下に該当するケースのことを指します

  • 事故により傷害を受けた部分と、痛みがあらわれている箇所が一致しない
  • 事故の程度と一致しない
  • 申告内容と一致しない

事故直後には肩を強打し痛みがあると申告していたのに、数日経過した頃に「首に痛みがある」と言い出した場合には、痛みの箇所が一致していないと言われてしまうケースがあります。

また、軽い交通事故のはずなのに怪我の範囲や内容がひどい場合には、今回の事故が原因なのかと疑われてしまうでしょう。

そして、事故直後には左腕が痛いと言っていたのに、ある程度治療が進んだ頃に、「右腕にしびれがある」などと言い出した場合、事故直後と事故後の話が一致せず、証言に一貫性がないことで嘘だと言われてしまうケースがあります。

こうした交通事故の状況と症状がかみ合わないケースでは、簡単に嘘がバレてしまいます

むちうちを証明できるものがない

交通事故により現れた症状

▲交通事故により現れた症状のアンケート結果

上記のアンケートグラフのように、重大でない交通事故の場合、多くの方が首の痛みを中心としたむちうちの症状を訴えます。

軽いむちうちの場合、レントゲン検査やMRI検査で異常が見つからず、症状を証明できる資料がないことがほとんどです。そのため、痛みや吐き気、めまい、だるさなどの症状を自己申告でしか証明できない状態になります。

症状を証明する資料がなければ、保険会社からは「症状が認められない」「嘘なんじゃないか」と言われてしまいます。

事故でむちうちが嘘だとバレるどうなる?

通院の領収証とお金

保険金目当てで不要な通院を続けてしまう人はいますが、嘘がバレてしまうと慰謝料の請求に応じてもらえない場合があります。

また、今後も怪我をしてしまっても疑われやすくなってしまうので注意しましょう。

慰謝料が減額される

交通事故によるむちうちが嘘だと疑われてしまうと、保険会社から支払われる慰謝料が減額される場合があります。その理由は、減額をすることで被害者の通院回数を減らすためです。

保険会社は嘘をついて不要な通院をしている人を何人も対応しているため、嘘はバレやすいと知っておいてください。

しかし、減額されたからといって早い段階で通院を中断してしまうと後遺障害等級に認定されない可能性があるので注意しましょう。

支払われない可能性がある

むちうちが嘘だと疑われてしまうと、慰謝料や医療費の支払いを保険会社から拒否されてしまう場合があります。

基本的に保険会社からの慰謝料は交通事故により治療が必要な人に支払われるため、不要な通院を続けている人は対象外です。

「長期間にわたって何度も通院をしている」「症状が治っているにも関わらずに不要な治療を受けている」と判断されてしまうこともあるため、症状を認める場合は嘘だと疑われないように注意が必要です。

むちうちを嘘だと疑われないためにできることは3つ!

交通事故のむちうちを証明しやすくする方法3つ(診断書を取る・一貫性のある証言、適切な検査を受ける)

▲交通事故のむちうちを証明しやすくする方法3つ

むちうちを嘘だと言われないために、被害者が出来る3つの対策方法を紹介します。

  1. 交通事故後はすぐに病院を受診する
  2. 主張する症状がブレないようにする
  3. 適切な検査を受けて資料に残す

①交通事故後はすぐに病院を受診する

軽い事故だったり、事故直後に痛みを感じなかったとしても、交通事故にあったのであれば整形外科を受診しましょう。

整形外科では医師の診断によって、レントゲンやMRIといった治療行為を受けることができます。また、人身事故へ切り替えるために必要な診断書を作成できるのも、医師のみになります。

物損事故から人身事故へ切り替える際は、医師が発行した診断書を警察に提出しましょう。

②主張する症状がブレないようにする

症状に一貫性がなければ疑われるという話をしましたが、実際にご自身の痛みを言語化することは難しいかと思います。しかし、難しいからといって何も意識せず、何となくで伝えることは避けましょう

症状が曖昧になり毎回主張内容が変わってしまうと、むちうちを嘘だと疑われてしまいます。症状が変わってきてしまいます。

症状の一貫性が重要となってくるため、「前はどのように痛みを伝えたのか」「どういう言葉にしたのか」などメモをして、伝える内容にブレが生じないようにするとよいでしょう。

③適切な検査を受けて資料に残す

交通事故後に適切な検査を行うことも重要になってきます。

上記でご説明したように、レントゲンやMRIの画像検査や神経学的検査を受けることで、むちうちの自覚症状を補完したり、症状を証明できるケースがあります。

神経学的検査とは、筋力や反射などについて調べる検査方法の1つになります。

この検査を受けることで、「むちうちは嘘なんじゃないか」と言われにくくなります。

事故でのむちうちの症状の伝え方

むちうちは自覚症状が重要視されるため、検査結果だけでは判断が難しいです。そのため、正確に症状を伝えなければむちうちの診断が受けられない可能性もあります

ここでは、むちうちの症状の伝え方を以下にわけて解説します。

  • 具体的に症状を伝える
  • 正確に伝えて誇張しない
  • メモをとっておく

具体的に症状を伝える

むちうち症状の伝え方4つのポイント①いつから痛いか②どこが痛いか③どんな時に痛いか④どのような痛みかをしっかりと伝える

繰り返しになりますが、むちうちは検査結果だけでは判断が難しいこともあるので、正確に自覚症状を医師に伝えることが必要です。

「痛い」や「しびれる」といった訴えだけでは症状の程度や部位、時間経過が不明瞭なため、何度も不足した情報を伝え続けると症状固定だと判断されてしまうことがあります。

例えば痛みなどの自覚症状は、位置や強さ、日常生活にどのような支障をきたしているかなどを明確にすると良いでしょう。

正確に伝えて誇張しない

自覚症状を正確に伝えることはむちうちの診断をするうえで必要にはなりますが、症状を誇張することは避けましょう。その理由としては、治療効果がないと判断されてしまうばかりではなく、手間がかかるケースだと認識されてしまう可能性があるからです。

例えば、「何度も治療を受けているけど改善が全く得られない」といった内容が該当します。自覚している症状を全て伝えることは重要ですが、「ありのまま」に伝えることを意識しましょう。

メモをとっておく

医師の診察となると緊張してしまい、正確に自覚症状を伝えられないといった経験をした方もいるでしょう。

診察が終わった後に伝え忘れてしまったことを思い出しても、なかなか医師にもう一度伝えることは困難な場合もあるため、できるだけ診察時に全ての症状を伝えることが重要です。

事前にメモをとっておくと漏れがなく伝えることができるので、問題ないと思っていても万が一に備えてメモを用意するようにしてください。

軽い交通事故でもむちうちになることはある

軽い 交通事故 むちうち

むちうちは強い外力を受けることにより首がしなり、筋肉や神経を痛めてしまう症状になります。

衝突に備えることができれば首を守ることもできますが、予測ができない場合には軽い交通事故でもむちうちになることが多いです。

つまり、むちうちの症状は事故の大きさではなく、首への負担の掛かり方が関係していることになります。受傷直後はむちうちの症状が平気であっても後から発症するケースもあるため、最初は症状がないからと軽視されてしまうので注意しましょう。

保険会社に最初は症状がなかったと伝えると、遅れて出現する症状が嘘ではないかと疑われてしまうことがあります。症状を我慢する必要はないので、ありのまま伝えるようにしましょう。

むちうちの代表的な症状は?

交通事故による中で、むちうちは最も発症しやすいといわれています。一般的な症状は首の痛みですが、衝撃の程度によって様々な症状があらわれます

むちうちの症状とは?むちうちが原因で起こる症状の例

▲むちうちが原因で起こる症状の例

ここでは、むちうちが原因で起こる代表的な症状についてご紹介します。

  • 首・頭部・頚椎・腕の痛み
  • 首・肩・背中のこり
  • 首の運動制限
  • めまい・目のかすみ・疲労感といった視機能障害
  • 吐き気
  • 握力の低下
  • 足や指先の麻痺
  • しびれ

上記のように、めまいや吐き気、しびれといった交通事故と無関係に思えるような症状もあらわれる可能性もあります。

むちうちになったときの通院先

交通事故のむちうちの主な治療先(病院・整形外科、整骨院・接骨院)

▲交通事故のむちうちの主な治療先

むちうちの症状を認めたとき、まずは整形外科がある病院の受診をおすすめします。整形外科ではレントゲンやCTMRIなどの精密機器による正確な診断が可能だからです。

また、後で慰謝料を請求する場合に必要な後遺障害診断書の作成は医師にしか行えないため、医師の診察は必須となります。

診断後の治療は整形外科だけでなく接骨院・整骨院でも可能なため、自分が通いやすい通院先で選択して施術を受けるようにしましょう。

むちうちの慰謝料打ち切りは慎重な判断が必要

交通事故によるむちうち等の症状で整形外科と整骨院を併用通院した期間

▲交通事故によるむちうち等の症状で通院した期間の集計結果

むちうちの治療期間は、平均して1〜3ヶ月だと言われていますが、これは一般的な目安になります。

症状の有無に関わらず、一定の期間が過ぎると保険会社から慰謝料の打ち切りについて相談をされますが、自己判断でそのまま終了としないように注意してください。

むちうちの治療期間はあくまで一般的なものであるため、症状が残っている場合は治療の継続が必要かどうかを医師と相談して慎重に判断する必要があります。一度慰謝料の打ち切りを承諾して示談に応じてしまうと、その後に同じ症状で通院・治療を継続しても治療費は全て自己負担になってしまいます。

自分が損をしないためにも、慰謝料打ち切りの時期については慎重に判断しましょう。

むちうちになった時に請求できる慰謝料

交通事故が原因でむちうちを発症した場合、加害者に損害賠償を請求することができます。

どのような費用を請求できるのか紹介します。

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

損害賠償で請求できる費用

  • 治療費:交通事故で負った怪我を治療するために掛かった費用
  • 通院交通費:公共交通機関にかかる料金の費用・自家用車のガソリン代や駐車場代
  • 入院雑費:入院中に掛かった、飲食代や電話代など入院するために掛かった費用
  • 付添看護費:入院または通院のために付添人が必要となった場合に掛かる費用
  • 休業損害:傷害によって休業したことで得ることが出来なかった収入
  • 入通院慰謝料:入通院による精神的損害に対して支払われる費用

後遺障害が残ったら?

交通事故の怪我が後遺障害として残ってしまったら、上記で紹介した損害賠償の他に請求できる費用が2種類あります。

  • 後遺障害慰謝料
  • 後遺障害逸失利益

上記2つの詳しい内容や申請方法について知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事追突事故の怪我で通院することに…通院期間と慰謝料の関係を解説!

まとめ

ひらめいた!

今回はむちうちが嘘であるとバレる理由や疑われるケースについて解説しました。慰謝料の請求を目的に過度な通院を続けると保険金詐欺として扱われ、慰謝料の減額だけでなく支払いを拒否されてしまうことがあります。

また、医師の診察を受けていなかったり、症状を正確に伝えられない場合には嘘だと疑われてしまうので、メモを取るなどして一貫性を持つことが重要です。主治医とよく相談して治療を受けるようにしましょう。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、大学病院、総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催などを経験。理学療法士としての可能性を広げるため、ライターとしても活動中。

この記事の執筆者

理学療法士 / 岡野 圭祐
理学療法士として、大学病院、急性期総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。 臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催など多岐にわたる経験がある。 理学療法士としての可能性を広げるため、ライター活動も行っている。

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