交通事故のむちうちによる手首の痛みの原因と治療方法について解説
監修記事
河野 裕也
理学療法士
交通事故は、身構える間もなく事故の衝撃を身体に受けてしまいます。そのため、様々な部分に事故の衝撃を受け、場合によっては手首が痛くなることもあるのです。
事故後から手首の痛みが続く場合、医療機関で治療を受けることをおすすめします。今回は、事故後にあらわれる手首の痛みに対する診断方法や治療について解説していきます。
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目次
交通事故後にあらわれる手首の痛みとは?
交通事故の衝撃は、予想しているよりも大きなものです。時速40kmで走行している場合、高さ6mから落とした車が地面に衝突するときの衝撃とほぼ同じくらいだといわれています。そのため、事故の被害にあうと様々な怪我を負うのです。
手首が痛くなる原因
交通事故では想像以上の強い衝撃が体へ加わります。そのためハンドルを握っている手首にも強い衝撃が加わり、手首を痛めてしまうことがあります。手首の小指側には三角形の隙間があり、そこには関節の適合性を良くするための軟骨である関節円板とその周囲の靭帯で構成される三角繊維軟骨複合体(TFCC)があります。
ハンドルを操作する際には小指側で軽く圧を加えていることが多いため、交通事故によりハンドルを握っている手首に衝撃が加わるとこの三角繊維軟骨複合体を痛めてしまうことがあります。三角繊維軟骨複合体の損傷では手首をついたり小指側へ手首を傾けたりするときに誘発される痛みやクリック音というぽきっと鳴る音が特徴です。
TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)について
交通事故で手首に負荷がかかると、手首にある靱帯や軟骨を損傷してしまい、手首に痛みがあらわれます。事故後、手首に痛みがある場合は、TFCC損傷の可能性があります。TFCC損傷は、「三角線維軟骨複合体損傷(さんかくせんいなんこつふくごうたいそんしょう)」とも呼ばれます。
TFCC損傷による痛みは、手関節、特に尺骨(※)側の痛みが多いといわれています。この痛みにより、「手首をひねる」「ドアノブを回す」「雑巾を絞る」といった動作を行うことが難しくなるのです。
※ 尺骨(しゃっこつ)とは、腕の前方にある2本の長い骨の1つ。
TFCC損傷かどうかの検査はMRIで
TFCC損傷の検査を受ける場合、MRIで行うことをおすすめします。TFCC損傷は、靱や帯軟骨の損傷であるため、レントゲンでは損傷を確認できないことがあります。しかし、MRIの場合、損傷している軟骨を目で確認することができます。
したがって、TFCC損傷の疑いがあるならば、一度MRIの検査を受けてみることをおすすめします。
こんな症状が出てきた場合は「むちうち」かも
手首の痛み以外に、首の痛みや頭痛、肩こり、めまい、吐き気、倦怠感、腕や指のしびれなどのような症状が出てきた場合には首のむちうちである可能性があります。交通事故の衝撃により首には大きな負担が加わります。そのため、上記のような症状もでてくるようであれば医療機関を受診し、しっかりと診断してもらいましょう。
手首の痛みに対する治療
手首の痛みを起こすTFCC損傷の治療方法は、以下の3通りです。
- 手術
- 消炎鎮痛剤を処方
- 損傷部分の固定
TFCC損傷で行う手術には、内視鏡を使った修復術や尺骨短縮術などがあります。そのため、MRIの検査結果で、損傷の程度にあった手術を受けることになります。
消炎鎮痛剤や損傷部分の固定は、保存療法という手術をせず出血させない治療方法です。消炎鎮痛剤は、炎症を抑えたり、痛みを和らげたりすることができます。一方、損傷部分の固定は、ギプスやテーピング、サポーターといったもので、痛みのある部分を固定します。重度のTFCC損傷の場合はギプスで、軽度の損傷の場合はテーピングやサポーターというように使い分けて固定していきます。
事故による手首の痛みは後遺症になる?
TFCC損傷による手首の痛みは、後遺症が残ることもあります。交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を申請します。
後遺障害等級認定は、「交通事故が原因で残った後遺症がどの等級に該当するか」という審査を行います。後遺障害等級認定で等級が認定された場合、事故の被害者は後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。
TFCC損傷による手首の痛みは、以下の等級に該当することがあります。
- 10級10号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
- 12級6号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
- 12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
- 14級9号:局部に神経症状を残すもの
したがって、TFCC損傷による手首の痛みで後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を申請することをおすすめします。
後遺障害等級認定を申請する際のポイント
後遺障害等級認定で等級が認定されるには、以下にある5つの条件を満たしていなければなりません。
- 定期的に医療機関へ通院していること
- 事故の状況と申告した症状の程度が一致していること
- 事故後からずっと症状があらわれていて一貫性があること
- 症状が医学的に証明できること
- 重度の症状で日常的にあらわれていること
後遺障害等級認定は、書類のみで審査が行われます。そのため、後遺症を医学的に証明するには、MRIやX線透視検査などの画像検査を受ける必要があります。
後遺障害等級認定を申請手続きについて
後遺障害等級認定の申請は、事前認定または被害者請求の2つの方法で行うことができます。
- 事前認定:加害者側の保険会社に、後遺障害等級認定の申請を任せる方法
- 被害者請求:被害者自身が直接、加害者側の保険会社に請求する方法
事前認定は、後遺障害診断書を提出すれば、後の手続きを加害者側の保険会社が行ってくれます。しかし、被害者請求は、被害者自身が申請手続きを進めていかなければなりません。そのため、後遺障害等級認定に必要な書類の作成・収集を行う必要があります。
後遺障害等級認定の被害者請求で、必要な書類は以下の通り。
書類名 | 取得方法 |
---|---|
自賠責保険金請求書 | 保険会社 |
交通事故証明書 | 自動車安全運転センター |
事故発生状況報告書 | 自分で作成 |
診断書 | 通院先 |
印鑑証明書 | 市区町村にある役所 |
後遺障害診断書 | 通院先 |
画像検査の結果 | 通院先 |
上記書類以外に、必要に応じて休業損害証明書や診療報酬明細書なども取得しましょう。
交通事故後の手首の痛みについてのまとめ
交通事故によって、手首に負荷がかかると、手首に痛みが生じることもあります。事故で負った手首の痛みは、TFCC損傷の可能性があります。TFCC損傷は、レントゲンに写らないこともあるため、MRIで検査して診断してもらうのがよいでしょう。
また、TFCC損傷は後遺症が残ることもあり、その場合は後遺障害等級認定を申請するようにしてくださいね。
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
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