むちうちの正しいストレッチ方法は?治療を受ける場所や注意点も解説
監修記事
柿野 俊弥
理学療法士
むちうちを早く治したいと考えたとき、「自分でできるストレッチは何かないかな」と考える方は少なくないでしょう。
そこで本記事では、むちうちでのストレッチ方法を紹介します。しかし、むちうちの状態や時期によってはストレッチが推奨されない場合があります。どのようなときにストレッチは行うべきなのかについても知ることができるので、ぜひ参考にしてください。
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目次
むちうちの時に試したいストレッチ
ここでは、むちうちに対して行う4つのストレッチ方法を紹介します。間違ったやり方で行うとかえって逆効果になる可能性があるため、丁寧に見ていきましょう。
手で頭を横に倒し筋肉を首を伸ばす
首の横に付いている筋肉を伸ばすストレッチです。やり方は簡単です。頭を手で横や斜めなどに角度を変えながら倒し、筋肉を伸ばします。
その際、ゆっくり気持ちの良い範囲で伸ばすことが大切です。むちうちの場合は、特に筋肉が硬くなっているため、急に頭を倒したり、無理に伸ばしたりと筋肉や靭帯を痛める可能性が高いです。無理のない範囲で行いましょう。
胸を開いて肩甲骨を動かすストレッチ
胸の筋肉や肩甲骨周囲の筋肉を伸ばすストレッチです。むちうちでは、首周囲の痛みや硬さが肩周りにも影響します。痛みや筋肉の硬さを放置すると、血液の循環が悪い状態が続き、むちうちの改善に時間がかかりやすい身体となってしまいます。
そのため、胸や肩甲骨のストレッチを行うことが大切です。
方法は次の手順で行いましょう。
- 両手を斜め上に挙げる(バンザイのポーズ)
- 胸を開き肩甲骨を真ん中に寄せる意識で両肘を曲げていく
ストレッチを行う際は、胸の前が伸びていることを意識するとより効果的です。
肘を持ち肩甲骨を伸ばすストレッチ
肩甲骨の外側を伸ばすストレッチになります。ストレッチのやり方は次の通りです。
- 伸ばしたい方の腕を挙げて肘を曲げる
- 反対の手で肘をつかむ
- やや斜め後ろに向けて引っ張る
胸が丸くなったり、頭が下がったりしないように注意しましょう。また、ストレッチする際には反対の手で無理に引っ張る必要はありません。気持ちのよい程度に行うことが大切です。
胸のこりをほぐすストレッチ
胸のこりとむちうちは、一見すると関係ないように思えるかもしれません。実は、胸の筋肉が硬くなることで肩が巻き込むような姿勢(猫背のイメージ)となり、連鎖的に首の筋肉が引っ張られて負担がかかります。
やり方は次の通りです。
- 伸ばしたい方の手~肘を壁につける
- その状態で体を反対側に回旋させて胸の前の筋肉が伸びていることを確認する
体を回旋させるときは、回旋する方向に首も回すとより筋肉が伸びます。あまり回しすぎると痛みが出るため、程よく回しましょう。
後頭部とあごのストレッチ
最後に、後頭部とあごの筋肉を伸ばすストレッチを紹介します。後頭部やあごは、首の痛みや筋肉の硬さが影響して、硬くなりがちです。無理なストレッチは、むちうちの悪化につながるため、無理のない範囲で行いましょう。
「後頭部のストレッチ」
- 両手で後頭部を抱える
- ゆっくり手で押しながら頭を下に下げる
「あごのストレッチ」
- 両手をあごの下に添える
- あごを下から押してゆっくり伸ばしていく
あごを伸ばす際は、手の平で顎下の「皮膚」を持ち上げる意識でゆっくりと行いましょう。急激な動きでストレッチをすると、むちうちの悪化につながるおそれがあるため、注意が必要です。
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むちうちのストレッチをしてはいけない時
むちうちでのストレッチ方法を紹介しましたが、医療機関を受診していない場合や患部に強い痛みがある場合、ストレッチは推奨できません。それぞれ詳しく解説します。
医療機関を受診していない
医療機関を受診していない状態でストレッチを行うのは危険です。理由は次の3つです。
- むちうちではない可能性があるから
- 骨折や脱臼を伴っていることがあるから
- ストレッチが適さないむちうちの状態の可能性があるから
インターネットでむちうちの症状を調べ「自分はむちうちだろう」という自己判断は危険です。検査を受けなければ本当にむちうちかどうかは分かりません。また、むちうちであっても、骨折や脱臼をともなうケースもあります。
骨折や脱臼をともなう状態でストレッチをすると、さらに状態が悪化するおそれが高いのです。むちうち自体が重度の場合も、ストレッチが逆効果になる場合があるため、医師に指示を仰ぐようにしましょう。
POINT
ストレッチが逆効果に
骨折や脱臼をともなう状態でストレッチをすると、さらに状態が悪化するおそれが高いのです。むちうち自体が重度の場合も、ストレッチが逆効果になる場合があるため、医師に指示を仰ぐようにしましょう。
患部に強い痛みがある
患部に強い痛みがある場合は、ストレッチは逆効果になるおそれがあります。強い痛みが起こっている原因としては「炎症が起こっている」もしくは「骨折や脱臼が伴っている」場合が考えられます。
どちらもストレッチが逆効果になるものなので、ストレッチは行わないようにしましょう。
むちうちの時にやってはいけないことは?
むちうちでは、症状の悪化を防ぐためにやってはいけないことがあります。逆に述べると、やってはいけないことを回避することで、むちうちの治癒を早める可能性があるため、きちんと把握し、日常生活の中に取り入れるようにしましょう。
交通事故後の痛みを放置する
むちうちは交通事故の後に起こる症状の一つであり、軽度の痛みや違和感程度の症状から始まることがあります。しかし、痛みが少ないからといって、放置することは危険です。
なぜなら、交通事故を起こしてから翌日~数日後など、時間が経過してから強い痛みや機能障害が発生する場合があるためです。
交通事故発生時には、興奮状態にあるため痛みの感じ方を鈍くする「アドレナリン」が出ています。それにより痛みを感じにくくなっているだけの可能性があるため、交通事故を起こしたらすぐに医療機関を受診することが大切です。
筋肉や関節にダメージを与える恐れのある運動を行う
むちうちの症状がある場合、筋肉や関節にダメージを与える恐れのある運動や活動を避けるべきです。例えば、激しいスポーツや過度な身体労働、無理な姿勢の維持などが該当します。
間違った運動療法やストレッチも、むちうちの症状を悪化させる可能性があります。医師や専門家の指導のもと、適切な運動や身体の使い方を学ぶことが大切です。
整形外科を一度も受診しない
むちうちの症状が出た場合、まずは整形外科を受診することが重要です。痛みがない、または少し痛い程度で病院を受診しないと、後々強い痛みや機能障害が現れる可能性があります。
整形外科の専門医が適切な診断を行い、必要な治療やリハビリを提案してくれます。痛みや不快感がある場合は、遠慮せずに早めに医療機関を受診しましょう。
むちうちの治療はどこで受けるべき?
むちうちはどこで治療を受けるべきでしょうか。結論、整形外科での治療がおすすめです。詳しい理由を見ていきましょう。
症状がなくても事故のあとは整形外科を受診する
むちうちの症状がなくても、交通事故や頚部の外傷を経験した場合は、事故後に整形外科を受診することが重要です。
なぜなら、症状がすぐに現れないこともあり、後々に強い痛みや機能障害が出現する可能性があるからです。整形外科の専門医が的確な診断を行い、必要な治療やリハビリを提案してくれます。
痛みが引かないときは整骨院で施術を受ける
むちうちの症状が続き、痛みが引かない場合は、整骨院での施術を受けることも考慮しましょう。整骨院は柔道整復師による施術が行われる場所であり、痛みの緩和や身体の調整を目的としています。
整骨院では、手技療法や物理療法などが行われ、筋肉や関節の状態の改善を促すことができます。整形外科との連携もあり、適切な施術を受けることができます。
まとめ
本記事では、むちうちのストレッチについて解説しました。正しいやり方でストレッチを行うことで、むちうちの症状改善や早期治癒を促せる期待がされます。
しかし、むちうちの状態によっては、逆効果になる可能性があります。整形外科を受診し、医師にストレッチを行っても問題ないかを確認してから行うようにしましょう。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
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