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骨折をしたら何科を受診する?診断方法から治療中の過ごし方までを紹介

監修記事

岡本 美紗子

ライター

骨折は誰でも突然に起こりうる怪我の一つです。不注意やスポーツ中に骨折をしてしまった場合、正しい対処方法が分からず不安に感じることもあるかもしれません。

この記事では、骨折の種類や判断ポイント、診断方法について詳しく紹介します。

骨折の治療には、適切なケアや正しい知識に基づいた対処が必要です。本記事を参考に、骨折に対する正しい知識を身につけて、怪我に備えましょう。

骨折が疑われる場合は整形外科を受診する

骨折が疑われる場合は、まずは整形外科を受診することが重要です。骨折には気づかないほどの小さなひびから、命にかかわる重症の骨折まであり、その状態によって治療法が異なります。

骨は基本的に丈夫な組織で、とくに若く健康な人の骨は日常的にかかる負荷より「数倍」の外力に耐えられます。しかし、体に強い衝撃があった場合や腫れや痛みが数日間続く場合は、すぐに整形外科を受診しましょう。

形成外科と整形外科の違い

整形外科 形成外科
運動器に関する治療 身体表面に関する治療
運動器(骨・関節・筋肉・神経)に関する治療、骨折・脱臼・関節炎・リウマチ・スポーツ障害等、生まれつきの異常・手術後の傷跡・やけど・腫瘍等 身体表面(皮膚・皮下組織・顔面骨)に関する治療、生まれつきの異常・手術後の傷跡・やけど・腫瘍等
運動器の機能回復を目的とする 見た目の改善だけでなく身体機能や精神面も考慮する

整形外科と形成外科は、外科的な治療を行う診療科ですが、扱う部位や目的が異なります

整形外科は、骨、関節、筋肉などの運動器に関する疾患や障害を治療する診療科です。骨折、脱臼、関節炎、リウマチ、スポーツ障害などが主な対象となります。整形外科では、運動器の機能を回復させることを目的とします。

一方、形成外科は、身体表面の見た目に関する疾患や障害を治療する診療科です。生まれつきの異常や手術後の傷跡、やけどや腫瘍などが主な対象となります。

骨折の種類交通事故で足を骨折した人

骨折の種類は、折れた骨の位置、方向、形状、および状態に基づいて分類されます。

骨折の種類 特徴
開放骨折 皮膚や軟部組織が切れてしまい、骨折した骨が露出してしまう
皮下骨折 骨折部位の皮膚に傷がない
完全骨折 骨が完全に折れてしまう
不全骨折 骨にひびが入った状態
外傷性骨折 通常の骨が一時的に強い外力を受けたことによって生じる骨折
疲労骨折 繰り返しの小さなストレスによって骨にひびが入り、時間の経過とともに骨折に進行する
病的骨折 骨に腫瘍や転移がんなどの疾患がある場合に起こる骨折

以下では、一般的な骨折の種類について説明します。

開放骨折

開放骨折は、特に深刻で複雑な骨折の一種です。皮膚や軟部組織が切れてしまい、骨折した骨が露出してしまいます。そのため、汚染された環境にあることが多く、感染のリスクが高まります。

治癒に時間がかかるだけでなく、重度の合併症を引き起こす可能性があるため、非常に深刻な状況です。また、出血が多くなり、病原菌が骨内や周辺に入り込んでしまうことがあり、治療が困難になることもあります。

皮下骨折

骨折の中でも、皮膚が破れていないタイプの骨折を「皮下骨折」または「単純骨折」と呼びます。骨折部位の皮膚に傷がないため、外観からは判断が難しいことがあります。ただし、内出血によりあざができることがあり、時間が経つにつれて変色することもあるため注意が必要です。

骨折は、病院で適切な治療やリハビリを行わなければ、後遺症が残ることがあります。そのため、骨折が疑われる場合には、速やかに整形外科を受診することが重要です。

完全骨折

「完全骨折」とは、骨が完全に折れてしまう状態を指す通常の骨折の一種です。通常、転倒や衝突などの外的な力が骨に加わり、その連続性が完全に断たれることで生じます。

完全骨折は、強い痛みと腫れを伴い、早急な治療が必要です。

不全骨折

不全骨折とは、骨にひびが入った状態を指します。この状態では、骨の一部の連続性が断たれていますが、骨全体の形状は保たれたままです。通常の骨折と同じく、転倒や衝突などの外的な衝撃が原因となって、外傷骨折とも呼ばれます。

激しい痛みや腫れが発生することが一般的です。

外傷性骨折

外傷性骨折とは、通常の骨が一時的に強い外力を受けたことによって生じる骨折です。完全に骨が折れてずれる場合もあれば、ずれのない場合もあります。また、完全に骨が折れずにひびの状態になることもありますが、この場合でも痛みが生じます。

症状としては、患部の痛みや腫れ、内出血、患部を押したときの痛み、骨折部が動く音、変形などが挙げられます。

疲労骨折

疲労骨折は、スポーツ選手などが同じ部位に継続して小さな力が加わることで起こる骨折です。大きな衝撃力ではなく、繰り返しの小さなストレスによって骨にひびが入り、時間の経過とともに骨折に進行することが特徴です。

初期段階では軽い痛みしかありません。痛みがあっても継続してスポーツを続けることができます。しかし、無理して活動を続けると、小さなひびが大きく広がり、やがて骨折に至ることがあります。

病的骨折

病的骨折とは、通常では考えられない程度の軽い力によって骨が折れる珍しい状態です。骨に腫瘍や転移がんなどの疾患がある場合は、骨の強度が低下しているため、微小な力でも骨折することがあります。

病的骨折の原因となる疾患の治療が必要です。骨折は、骨粗鬆症やがんなどの病気の進行によって起こることがあります。

関連記事肋骨の打撲と骨折の違いとは?症状や治療内容を詳しく解説

骨折を判断する際のポイント

整形外科を受診する前に、骨折かどうかを判断する方法を紹介します。

  • 圧痛や動かせないほどの激痛
  • 患部が変形している
  • 患部に内出血がみられる
  • 腫れが2週間以上引かない

圧痛や動かせないほどの激痛

外から見ただけでは骨折かどうかわからない場合は、痛めた部位をそっと押してみます。押したところの痛みが耐えがたく、生活に支障をきたすほど強い痛みがある場合、それは「圧痛」と呼ばれ、骨折が疑われます。

圧痛は、完全に折れているだけでなく、ひびが入った場合にも見られます。

患部が変形している

変形とは、骨が正常な形ではなくなってしまうことです。例えば、腕や脚が曲がってしまったり、ぐにゃりとしたりします。変形すると、すぐに腫れてきて、激しい痛みを感じます。

また、骨折のもう一つの特徴は異常可動性です。異常可動性とは、関節ではない場所で骨が動いてしまうことです。例えば、腕の真ん中で曲げられるようになってしまったりします。変形が見られなくても、異常可動性があれば骨折の可能性が高いです。

変形の種類については以下の表を参考にしてください。

変形の種類 特徴
曲線型 骨が曲線を描くように変形する
角型 骨が角を作るように変形する
回旋型 骨が回転するように変形する
短縮型 骨が短くなるように変形する

患部に内出血がみられる

骨折した部分から血が出て、内出血がみられることがあります。内出血は、皮膚の下に溜まってしまうことがあり、数日後にその部分が紫色や黒色に変わり、痣(あざ)となります。

痣は時間が経つと徐々に色が薄くなっていきますが、内出血の量が多すぎる場合は危険です。血液量が減ってしまうと、血圧が下がってしまい、頭がふらふらしたり、汗をかいたり、気を失ったりすることがあります。

腫れが2週間以上引かない

骨折すると、骨折した部分の周りが腫れてしまうことがあります。これは、血液や炎症のせいで起こります。腫れはすぐには治らないことが多く、2週間以上かかることもあります。

特に、大きな血管が傷ついた場合は、腫れが急にひどくなったり、気を失ったりすることがあります。このような場合は、すぐに救急車を呼び、骨折専門の医療機関で診察を受ける必要があります。

整形外科で骨折を診断する方法

整形外科で骨折を診断する方法

骨折の種類や程度によっては、手術やギプスなどの治療が必要になることもあります。

整形外科では、主に以下の2つの方法で骨折を診断します。

  • レントゲン写真での診断
  • CT検査での診断

レントゲン写真での診断

レントゲン検査とは

▲レントゲン検査とは

骨折の診断には、レントゲン写真を撮影します。レントゲン写真では、骨の形や位置がはっきりと見えるため、骨折の有無や種類、程度が分かります。ただし、X線写真だけでは診断できない場合もあります。

子どもの骨は成長途中で、成人と比較して柔らかいため、骨折の種類や程度が正確に診断できない場合があります。そのため、子どもの場合は、定期的に診察を受けることが重要です。

CT検査での診断

CT検査とは

▲CT検査とは

骨折の診断には、レントゲン写真が一般的ですが、骨折部位が複雑な場合や、細かな骨折を見つける必要がある場合は、CT検査が行われることがあります。

CT検査は、骨折の状態を正確に確認できるため、手術の必要性や治療方針の決定に役立ちます。

整形外科で行う骨折の治療方法

整形外科で行う骨折の治療方法は以下のとおりです。

  • 整復
  • ギプス固定
  • 手術治療
  • リハビリテーション

整復

骨折治療の基本となるのが「整復」です。折れた骨をもとの位置に戻し、固定することで、後遺症を残さずに治療できます。

整復方法 特徴
徒手整復 皮膚の上から医師の手を用いて整復する方法。麻酔を使用する。
牽引による整復 重りのついた牽引装置で持続的に引っ張り、骨を正常な位置に戻す方法。骨癒合が早い子どもには牽引だけで治癒することもある。
観血的整復 皮膚を切開して、直接骨に力を加えて正常な位置に戻す方法。

治療が遅れた場合、治癒までに時間がかかったり、骨の変形が残ったり、くっつかないままになることがあるため、適切な診断と治療が求められます。

外科手術

外科手術においては、骨折を治療するためにさまざまな方法があります。その中でも、金属製のネジやプレートを骨折部に移植することが一般的です。これにより、骨折部を固定することができ、骨の再生を促進できます。

また、骨折部に不足している骨を補うために、人工骨を移植することもあります。人工骨は、金属、ポリマー、セラミックなどで作られており、新しい骨を採取する必要がないため、欠損部が大きい場合でも迅速に対処できます。

内固定

骨折を治す方法には、内固定という方法があります。内固定は、骨折した骨を金属プレートや釘、ネジなどで固定する方法です。

内固定手術の主な方法は以下のとおりです。

骨折治療方法 特徴
ピンニング 骨折部位を針金(Kワイヤー)でつなぎ止める方法
Kワイヤーは先が尖っていて、骨に直接刺して固定する
プレート固定 骨折部位にプレートを当ててねじで止める方法
プレートをつけるには、皮膚を開けて骨が見えるようにして手術する
髄内釘固定 骨の中心に空いている穴に金属の棒を骨の端から差し込んで固定する方法
周りの筋肉や皮膚などを傷つけずに早く体重をかけられるというメリットがある

創外固定

骨折の治療には創外固定という方法があります。この方法では、骨折部位の両側にワイヤーやピンを使って骨を固定します。そして、金属の支柱を使って骨折を皮膚の外で強固に固定します。

この方法は、感染の危険性が高い骨折部に手をつけずに、正確に整復できるため、安全性が高く、いったん固定したあとからでも精密に整復しなおしできる利点があります。

骨折箇所の固定

骨折箇所の固定は、骨折部位に対して適切な固定器具を使用して固定することで、骨折部位を安定化させます。骨折箇所の固定は、骨折の種類や位置、重症度によって異なるため、整形外科医が適切な固定方法を選択します。

ギプスの種類 説明
石膏ギプス 包帯に石膏を含ませて固定する。かつて主流だったが、現在ではほとんど使われない。
グラスファイバーギプス グラスファイバーを原料としたギプス。現在主流。
シーネ ギプス包帯の副木(ふくぼく)。骨折した部位を固定するが、応急的な処置に用いる。
シャーレ ギプスのように完全固定ではないので、取り外しも可能。

骨折箇所の固定には、ギプス、スリング、ブレース、鉄骨、ピン、プレートなどが使用されます。固定期間は、骨折の種類や状態によって異なりますが、通常は数週間から数か月程度です。

なお、現在のギプスの主流は、軽量で丈夫で長持ちし、水にも強いグラスファイバーのギプスです。

骨折治療中の過ごし方

骨折を判断する際のポイント

骨折の治療中は、さまざまな制限や注意が必要になります。ここでは、骨折治療中の過ごし方について紹介します。

  • 患部を高く上げる
  • バランスの良い食生活を心がける
  • 適度に運動する
  • 積極的に入浴する

患部を高く上げる

ギプスで骨折部を固定すると、周りが炎症でふくらんだり、動かないせいで水がたまったりすることがあります。これを防ぐには、患部を心臓よりも高くすることが大切です。腕や手、足や脚の骨折では、ギプスの先端から先を高くして、腫れや水分のたまりを抑えましょう。

特に寝るときは、枕やクッションで高く支えます。ギプスの端が当たって血流が悪くならないように、枕やクッションの置き方に気をつけましょう。

バランスの良い食生活を心がける

骨折治療中は、適切な食生活が重要です。骨折した部位を修復するためには、一般的に以下の栄養素が良いと考えられています。

  • カルシウム
  • ビタミンD
  • ビタミンK
  • マグネシウム
  • たんぱく質
  • ビタミンB群

例えば、カルシウムは乳製品や豆腐、小魚などに多く含まれ、ビタミンDは日光浴や卵黄、マッシュルームなどに含まれています。タンパク質も重要な栄養素の一つですから、肉や魚、豆類などから摂取しましょう。

POINT

バランスの良い食生活を心がける

バランスの良い食生活を心がけることで、骨折治療が早く回復するだけでなく、将来の骨の健康にもつながります。

適度に運動する

骨折治療中には、適度な運動が必要です。運動によって、拘縮や筋力低下を防ぎ、治療の効果を高めることができます。ただし、無理をしてしまうと治療が遅れることもあるので、無理のない範囲で動かすようにしましょう。

例えば、足首を骨折した場合は、上半身の運動や軽いストレッチを行うことができます。また、リハビリに通うことも大切です。

骨折した部位が動かせなくても、他の部分で運動すると、血流が良くなって治療に役立ちます。専門家の指導のもと、正しい方法で運動を行い、治療を早めましょう。

積極的に入浴する

骨折治療中は、炎症が治まったら入浴がおすすめされるケースがあります。湯船につかることで、全身の血流が促進され、治癒が早まる可能性があります。ただし、骨折の種類や重症度、個人差によって異なるため、入浴前には主治医に相談し、適切な方法で行うようにしましょう。

また、鎖骨固定帯は、着替えやお風呂の際には外さなければなりません。医師の指示に従って、骨折した手に無理な力が加わらないように注意してください。

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まとめ

まとめ

骨折には、「開放骨折」「疲労骨折」「皮下骨折」など、さまざまな種類があります。骨折の種類や程度によって、手術やギプスなどの治療が必要になる場合もあります。ただし、後遺症を残すことがあるため、適切な診断と治療が求められます。

治療中の過ごし方については、患部を高く上げたり、バランスの良い食生活を心がけたり、適度な運動を行ったりすることが大切です。適切な運動は、拘縮や筋力低下を防ぎ、治療の効果を高めることができます。

もし違和感や痛みがある場合は、自己判断せずに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。

この記事を監修したのは…

14年以上にわたって医療事務の職に就き、2022年8月に退職。現在は、Webライターとして活躍中。健康、医療、美容関連の記事制作を得意とする。幅広い読者層に向けたわかりやすく、興味深いコンテンツを提供することを意識して、常に読者の視点に立った記事作成に取り組む。所持資格:登録販売者、MOSワードスペシャリスト

この記事の執筆者

ライター / 岡本 美紗子
14年以上にわたって医療事務の職に就き、2022年8月に退職。現在は、Webライターとして活躍中。健康、医療、美容関連の記事制作を得意とする。幅広い読者層に向けたわかりやすく、興味深いコンテンツを提供することを意識して、常に読者の視点に立った記事作成に取り組む。所持資格:登録販売者、MOSワードスペシャリスト

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