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腰椎捻挫は後遺障害認定を受けられる?認定基準や慰謝料も解説

交通事故が原因で、腰椎捻挫となってしまうケースは少なくありません。治療を続けても症状が残ってしまった場合は、後遺障害として認定を受けることは可能なのでしょうか?また、後遺障害等級の認定は、どのような基準で判断されるのでしょうか。
今回は、腰椎捻挫の場合に認定される可能性のある後遺障害等級や、認定を受けるための条件、後遺障害慰謝料の相場や計算方法について詳しく解説していきます。

腰椎捻挫の後遺障害とは

交通事故の腰椎捻挫は急激な痛みを伴う腰痛で動くときに痛むのが特徴

▲交通事故の腰椎捻挫とは

腰椎捻挫による腰の痛みが、治療を続けても治らなかった場合は、後遺障害等級の申請をすることが出来ます。後遺障害等級の認定を受けることにより、等級に応じた後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することが可能となります。

後遺障害認定の判断基準

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

腰椎捻挫の後遺障害認定は、以下のような要素から判断されます。

  • 事故の状況や、車両の損傷状況
  • 怪我の状態、事故直後の障害の程度
  • 初診時の診断、検査の内容
  • 治療の経過
  • 症状固定時に残っていた症状の内容
後遺障害認定の条件5つ

▲後遺障害認定の条件5つ

判断基準を踏まえた上で、腰椎捻挫の場合に認定される可能性がある等級は以下の通りです。

後遺障害等級 内容
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

12級13号の認定基準は、症状の存在が医学的に証明できるものとされます。
14級9号の認定基準は、症状の存在が医学的に説明できるものとされています。

腰椎捻挫の後遺障害等級について

腰椎捻挫の後遺障害等級は12級13号または14級9号と認定、あるいは非該当とみなされる可能性があると解説しました。
具体的に、どのような基準で12級13号、14級9号、非該当とみなされるのでしょうか。

12級13号

12級13号の認定基準は、「症状の存在が医学的に証明できるもの」とされています。
つまり、レントゲンやMRIなどの画像検査結果や神経学的検査から、他覚的所見が認められる症状が当てはまります。

レントゲン検査とは

▲レントゲン検査とは

他覚的所見とは

「他覚的所見が認められる」というのは、以下の2つが確認できた場合のことをいいます。

  • 画像所見:レントゲン、MRI、CTによる画像で客観的に異常が確認できた場合。
  • 神経学的検査:医学的な検査を受け、神経症状の存在が確認できた場合。

14級9号

14級9号の認定基準は、「症状の存在が医学的に説明できるもの」とされています。
他覚的所見が認められず、自覚症状の訴えのみである場合は、14級9号の認定を受ける場合があります。
14級9号として認定を受けるためには、症状固定とされるまで一貫して持続している症状があるか、症状に対して継続的な治療が行われていたかで判断されます。
したがって、交通事故後に怪我を負ったらすぐに病院へ行き、その後は定期的に通院をし続ける必要があります。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

非該当

非該当とみなされてしまう例として、このような場合が挙げられます。

  • 事故から長く日にちをあけてから、初めて病院を受診した
  • 治療の途中で、今までになかった症状を訴え始めた
  • 治療の途中で、症状が重くなったと訴え始めた
  • 治療期間中に通院を中断し、しばらく期間をあけてから通院を再開した

後遺障害等級認定のメリット

お金

始めに、後遺障害等級認定を受けることができたら、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することが可能になると解説しました。

後遺障害等級は、症状に応じて1~14級まで分けられています。等級に応じて、後遺障害慰謝料の金額も異なります。

冒頭で説明したように、後遺障害等級が認定された場合、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の請求が可能になります。したがって、後遺障害等級認定を受けることで、最終的に支払われる示談金が増額されるというメリットがあります。

後遺障害等級は、症状によって1級~14級まで分けられており、等級に応じて後遺障害慰謝料の金額が変動します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことで被害者に生じる精神的苦痛に対する賠償金のことです。
金額を算定するための基準は、自賠責保険基準任意保険基準弁護士基準の3種類があります。

交通事故の慰謝料の3つの基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)

▲交通事故の慰謝料の3つの基準

自賠責基準は、交通事故の被害者へ最低限の補償を行うことを目的とした、自賠責保険に基づいた算定基準です。
弁護士基準は、過去の交通事故の裁判例などを参考に算定される基準です。3つの基準の中では最も高い金額で慰謝料を獲得できるといわれています。
任意保険基準では各任意保険会社により金額が異なりますので、自賠責保険基準と弁護士基準における金額の相場をご紹介します。

後遺障害等級 自賠責保険基準 弁護士基準 労働能力喪失率
12級13号 93万円 290万円 14%
14級9号 32万円 110万円 5%

自賠責保険を適用するか、弁護士基準を適用するかで、慰謝料の金額は大きく変わってきます。
弁護士基準で慰謝料を請求するには法律の知識が必要とされるたため、弁護士に慰謝料請求の手続きを依頼することも手段の一つです。ただし、弁護士の依頼には費用がかかります。被害者やその家族が加入している保険に、弁護士費用特約が付帯しているか確認してから、弁護士への依頼を検討しましょう。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、交通事故による後遺障害が残ったために、労働能力が低下または喪失し、本来得られるはずであった収入が減少してしまう損害のことを指します。

後遺障害逸失利益の計算方法は、以下の通りです。

    後遺障害逸失利益=年収額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率で金額は大きく変わる

労働能力喪失率は、交通事故前の労働能力を100%として、後遺障害が残ったことで喪失した労働能力の割合を表した数値です。
後遺障害等級に応じて数値が定められており、12級は14%、14級は5%と、2.8倍もの差があります。この差は、最終的に受け取れる賠償金の金額にそのまま反映されます。

ライプニッツ係数とは

将来得られるはずだった収入は、原則一括払いの対応となります。被害者は一度に大きな金額を手にしますが、将来分のお金を運用すれば、本来よりも利益を上げることができてしまいます。それでは被害者と加害者の公平を欠く恐れがあるため、将来発生する利息による利益の増加分を、あらかじめ控除する必要があります。
その控除に用いる数値のことを、ライプニッツ係数といいます。

まとめ

書類3

交通事故による腰椎捻挫の症状が残った場合、状態によっては後遺障害として認定される場合があります。認定された後遺障害等級は、ご自身が受け取れる賠償金の金額に大きな影響を及ぼします。したがって、適切な認定を受けるためにも正しい知識をつけて申請手続きを進めることが大切です。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.N
大学を卒業し、出版社で取材や編集業務を経験。その後、WEBメディアの執筆に転向し、事故に関する様々な知識を多くの人に届けるべく、日々邁進中。現在は、交通事故専門士の資格を取得するために勉強をしている。座右の銘は、格物究理。

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