追突事故により椎間板ヘルニアが悪化…後遺障害は認定されるの?
監修記事
河野 裕也
理学療法士
追突事故で受けた衝撃により、椎間板ヘルニアが発症したり悪化したりすることがあります。
治療を続けても完治せず後遺症が残ってしまった場合や、過去にヘルニアを患っていたことにより再発し悪化した場合は、慰謝料を受け取ることができるのかと悩まれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、後遺障害等級認定を受けるためのポイントや分類される可能性がある等級、椎間板ヘルニアの症状についてまで解説しています。
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目次
交通事故でヘルニアになる?
そもそもヘルニアとは、身体にある組織が、本来あるべき位置からはみ出している状態のことをいいます。
交通事故の衝撃で、椎間板の中にある髄核が飛び出すため、ヘルニアになってしまうのです。
交通事故によって起こるヘルニアには、頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアの2種類があります。
頚椎椎間板ヘルニアとは
頚椎椎間板ヘルニアとは、頚椎と呼ばれる首に起こるヘルニアのことです。頚椎には7つの骨があり、その骨と骨の間にクッションのような役割をする椎間板があります。
椎間板は髄核というゲル状の組織とその周辺を包むようにある線維輪という組織で構成されており、椎間板が圧縮されるような負担がかかると髄核が行き場を失って線維輪を突き破るようにして外に飛び出してしまいます。
これをヘルニアといいます。この飛び出したヘルニアが近くにある神経を圧迫すると首や肩、背中、腕の激しい痛みやしびれ、握力をはじめとする筋力低下、感覚障害など様々な症状が出現します。
頚椎は可動性の大きい部位であり、構造上腰椎よりも負担に弱く、外力や姿勢の影響を大きく受けます。
腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎と呼ばれる腰に起こるヘルニアのことです。
腰椎には5つの骨があり、頚椎と同様にその骨と骨の間に椎間板があります。
腰椎の椎間板も髄核というゲル状の組織とその周辺を包むようにある線維輪という組織で構成されており、椎間板が圧縮されるような負担がかかると髄核が行き場を失って線維輪を突き破るようにして外に飛び出してしまいます。
この飛び出したヘルニアが近くにある神経を圧迫すると腰やお尻、腿の裏、ふくらはぎ、足の裏などに激しい痛みやしびれ、下肢の筋力低下、感覚障害など様々な症状が出現します。
場合によっては歩行が困難になってしまうこともあります。また、排泄をコントロールする神経にも影響を及ぼす可能性があります。
交通事故で椎間板ヘルニアが悪化することはある?
持病で元々ヘルニアがあった場合、事故の衝撃によって、再発や悪化の恐れがあります。
ただし、持病にヘルニアがあった場合は、交通事故が原因で再発・悪化したかという因果関係が認められにくいこともあります。事故との因果関係が認められなければ、加害者に慰謝料や治療費を請求できなくなってしまいます。
したがって、事故が原因で、持病のヘルニアが再発・悪化したという証明をしなければなりません。また、持病にヘルニアがある場合、後遺症が残ってしまうこともありますので、注意が必要です。
ヘルニアの検査
交通事故後にヘルニアの疑いがある場合は、検査を受けて調べてもらうことが大切です。ヘルニアの検査方法としては、以下の2つの方法があります。
- MRIやCTなどの画像検査
- 神経学的検査
MRIやCTなどの画像検査
ヘルニアの検査には、MRIやCTといった画像検査が行われます。特に、MRIによる検査を利用するところが多いようです。
MRIとは、磁力を使って身体の中を調べる検査で、神経や筋肉なども撮影できるといわれています。事故直後にMRIの検査を受けた場合、ヘルニアによる身体の異変が白く写ります。
神経学的検査
神経学的検査には、反射テストやFNSテスト、ラセーグテストなど様々な検査があります。中でも、ヘルニアを検査するために、SLRテストを利用するところが多いようです。
SLRテストは、仰向けに寝て、足をまっすぐ伸ばしたまま上に持ち上げ、痛みがあるかをみるテストです。
ヘルニアでなければ、70°以上まで痛みなく、上に持ち上げることができますが、ヘルニアの症状が強い場合は30°も足を上げられない場合があります。
交通事故のヘルニアを治療するには
交通事故によってヘルニアになってしまった場合、保存療法または手術による治療を行います。
保存療法
保存療法では、痛みのある部分に負担をかけないよう生活をすることが大切です。基本的には安静にし、コルセットや湿布、牽引、ホットパックなどの理学療法を中心に進めていきます。
保存療法の場合、すぐに治療効果が得られるというものではありません。そのため、長期にわたって治療を受けることになります。
手術
手術は、ヘルニアが重傷の場合や発症から3ヶ月以上経過しても症状が緩和しないときに行われることが多いです。
手術の種類は2通りでヘルニアを除去する手術と引っ込める手術があります。
ヘルニアを除去する手術
ヘルニアを除去する手術には、ラブ法や内視鏡下摘出術(ないしきょうかてきしゅつじゅつ)があります。
ラブ法は、背中から5㎝程切り開き、ヘルニア部分を取り除く手術です。手術時間は30分〜1時間程度で、1〜2週間程度の入院が必要になります。
内視鏡下摘出術は、背中を1〜2㎝程切り開いて細長い管を差し込み、内視鏡や器具を使ってヘルニア部分を取り除く手術です。手術時間は1〜2時間程度で、1〜5日程度の入院が必要になります。
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ヘルニアが後遺障害等級認定されるための5つのポイント
交通事故によりヘルニアが発症した場合、交通事故とヘルニアの因果関係を証明する必要があります。
しかし、ヘルニアは交通事故と関係なく元々発症している人も多いため、交通事故との因果関係を証明することが難しくなります。
そのため、交通事故から期間が経過してしまうと事故との因果関係のないヘルニアと判断される可能性があるため、できるだけ早期にMRIなどの適切な検査を受け、ヘルニアの診断を受ける必要があります。
後遺障害等級が認定される可能性があるポイントとして、以下の5つの項目が挙げられます。
- 交通事故との因果関係が証明できる
- 椎間板ヘルニアの症状を詳しく医師に伝える
- 椎間板ヘルニアの症状が仕事に支障をきたす状態
- 症状固定後の後遺障害ということがわかる
- 後遺障害が確実にあること
上記のポイントに注意し、後遺障害診断書を作成してもらい保険会社に診断書を提出しましょう。
椎間板ヘルニアの場合に認定される等級とは
交通事故が原因で椎間板ヘルニアが発症したと認められれば、12級13号か14級9号に分類されます。
また、どちらにも該当しないと判断されると非該当となるケースもあります。
12級13号と14級9号の認定基準の違いについて次に説明します。
12級の認定を受ける条件
12級の認定を受けるためには、他覚的所見として、医学的に証明できることが条件となります。
そのため、医師による医学的な知識をもとに、症状の存在を認めてもらわなければいけません。
症状を確認する方法として、CTやMRIなどの画像診断を受けたうえで、神経学的所見と矛盾がないか確認してもらう必要があります。
14級の認定を受ける条件
14級の認定を受けるためには、自覚症状があることが条件となります。
自覚症状しかなかったとしても、医学上障害の有無が説明可能であれば認定を受けることができます。
説明可能な状態とは、治療の経過から症状に連続性、及び一貫性が認められる状態となります。
過去に患った椎間板ヘルニアが再発・悪化した場合どうすれば良いか?
過去に椎間板ヘルニアになったことがある場合、交通事故の衝撃により再発する可能性があります。
ご自身では、交通事故によって再発したと主張されたとしても、保険会社からは事故との因果関係を否定されることも少なくありません。そのため、因果関係を巡って保険会社と争うケースも多くみられます。
このように、椎間板ヘルニアを後遺障害として認めてもらうことは簡単ではありません。
認定されるためには、過去の椎間板ヘルニアの症状は回復し治療も終了していたにも関わらず、事故の影響で症状が再発したという事実があれば可能性が考えられます。
また、椎間板ヘルニアの場合、素因減額の対象になってしまう事があります。素因減額とは、被害者の精神的・肉体的な要素が、後遺障害の発症や重症化の原因に関わっていると認められ、損害賠償額を一定の割合減額されてしまうことをいいます。
- 精神的要素:被害者の性格や社会適応状況、ストレス耐性、うつ病など
- 肉体的要素:椎間板ヘルニア・変形性頚椎(腰椎)症・骨棘の形成・脊柱管狭窄症など
減額の割合は、5%から80%以上と様々です。
追突事故でのヘルニア悪化の場合も諦めないで
交通事故とヘルニア発症の因果関係や元々のヘルニアが事故によって悪化したことを証明することは簡単ではありませんが、対応できることはあります。
後遺障害は症状が事故によるものだと医学的に証明できることが条件となりますので、事故後は時間を空けずになるべく早期に医療機関を受診しましょう。
また、しっかりと症状を伝えること、事故当初から症状が一貫していることも重要となります。
後遺障害の等級認定を受けるには医師による後遺障害診断書が必要となりますので医師が正確に記載できるように定期的に通院を続け、症状を正確に伝えましょう。
交通事故による後遺症としてのヘルニアや元々のヘルニアが事故で悪化した場合に関して、加害者側の保険会社との交渉が難しいことがありますが諦めずに対応していきましょう。
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
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