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追突事故の被害者になったら何をすべき?慰謝料の請求についても解説

監修記事

五十部 紀英

弁護士

追突事故にあった際、突然の出来事にどう行動すれば良いのか分からない方もいるかと思います。

この記事では、追突事故の被害者はどのような行動をするべきなのか、慰謝料の請求方法などについて解説しています。

追突事故後の被害者の対応

追突事故の被害にあった場合、思うように体が動かなかったり、気が動転してしまうかもしれません。

追突事故の被害者は、事故後の対応をしっかりと行わなければ、損害賠償の請求や示談交渉で揉めてしまうことがあります。

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

追突事故後に被害者がするべき対応としては、以下の通りです。

  1. 警察へ連絡する
  2. 加害者の連絡先を聞く
  3. 保険会社へ連絡する
  4. 事故後は必ず病院を受診する

それぞれ説明していきます。

1.警察へ連絡する

追突事故発生後は、まず最初に身の安全を確保し、車を安全な場所へ移動させます。そして、警察に「交通事故が発生しました」と連絡をしましょう。

また、どんなに軽い追突事故でも、必ず警察に連絡しなければなりません。

物損事故で警察を呼ばなかったら?

▲物損事故で警察を呼ばなかったらどうなる?

追突事故の発生後に警察への連絡を怠った場合、被害者には2つのデメリットがあります。

警察への連絡を怠った場合のデメリット(1)

1つ目のデメリットは、加害者に損害賠償を請求できないことです。

加害者に損害賠償を請求するには、交通事故証明書を提出しなければなりません。

交通事故証明書とは:交通事故が起きた事を証明する書類

▲交通事故証明書とは?

交通事故証明書は、事故が発生したことを警察に連絡しなければ、発行できない書類です。

そのため、交通事故証明書が取得できなければ、損害賠償を加害者に請求することができないのです。

警察への連絡を怠った場合のデメリット(2)

2つ目のデメリットは、警察への連絡を怠ると、刑罰に処せられる可能性があることです。

事故後の警察への連絡は、道路交通法で定められた運転者の義務であり、加害者・被害者問わず行わなければいけません。

もしも警察への連絡を怠った場合、報告義務違反として、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる場合があります。

2.加害者の連絡先を聞く

警察の到着を待つ間に、加害者の連絡先を聞くようにしましょう。

加害者の連絡先や加入している保険会社を控えておかなければ、損害賠償の請求や示談交渉ができません。

交通事故の示談交渉とは交通事故の加害者と被害者が和解の為に行う話合いのこと

▲交通事故の示談交渉とは

また、事故の数日後に痛みがあらわれて、加害者に連絡をとらなければならない状況になる場合もあります。

事故後に控えておくべき加害者の連絡先としては、以下の通りです。

  • 加害者の氏名
  • 住所
  • 電話番号(自宅、携帯など)
  • 車両ナンバー
  • 加入している任意保険の保険会社

事故現場での注意点

加害者の連絡先を聞き、警察の到着を待つ間に注意すべき点が1つあります。

それは、「事故現場で損害賠償についての示談をしないこと」です。

事故直後は、冷静な判断ができない状態である可能性があります。また、事故直後に気づかなかった痛みが、後日あらわれる可能性もあります。

事故現場での示談では、損害の内容や適切な賠償金額であるのか定かではありません。また、一度示談が成立してしまうと、原則として示談内容を変更することができないため注意が必要です。

3.保険会社へ連絡する

追突事故にあった被害者は、加害者側の保険会社と損害賠償の請求や示談交渉などに関するやり取りを行うことになります。

そのためにも、加害者が加入している保険会社へ連絡する必要があります。

また、加害者側の保険会社だけでなく、自身が加入している保険会社へ連絡することも大切です。

自身が加入している保険会社に連絡すると、事故対応などのアドバイスがもらえる場合があります。

場合によっては、自身の保険を使わなければならないときもあるため、事故後は自分の保険会社にも連絡するようにしましょう。

4.事故後は必ず病院を受診しましょう

交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

▲交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

追突事故の被害にあった場合、痛みや目立った怪我がなくとも、必ず病院へ行くようにしてください。

事故直後には、痛みに気づかない被害者の方が多くいます。なぜなら事故直後は体が興奮状態にあり、鎮静作用のあるアドレナリンなどが分泌されるためです。

また、事故直後に痛みがなく物損事故で処理していた場合、人身事故への切り替え手続きを行う際に診断書が必要になります。

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

診断書は病院の医師のみが作成できる書類のため、病院を受診して診断書を作成してもらいましょう。

上記のことから、事故後には必ず病院へ行くようにしてください。

追突事故で慰謝料は請求できるの?

治療費

追突事故の被害者かつ人身事故で処理されていれば、加害者に慰謝料を請求することが可能です。

物損事故で処理していた場合は、以下の手順で人身事故の切り替え手続きを行うことで、慰謝料を請求することができます。

  1. 病院で診断書を取得する
  2. 取得した診断書を警察へ提出する
  3. 警察による捜査(実況見分や事情聴取など)後に、認められれば人身事故に切り替えられる
  4. 加害者に慰謝料を請求する

注意点

事故からおおよそ2週間以内には診断書を取得する

人身事故へ切り替える際には、事故発生後からおおよそ2週間以内には、病院で診察してもらい、診断書を取得しましょう。

事故発生日からある程度の時間が経った後に病院で診察を受けても、加害者側の保険会社から、事故と怪我との因果関係が疑われるかもしれません。したがって、なるべく早く病院で診察してもらうことが大切です。

被害者が請求できる慰謝料は2つ!

追突事故の被害者が加害者に請求できる慰謝料は、主に以下の2種類です。

  • 入通院慰謝料
    追突事故の影響で病院に通院しなければならなくなったことにより受ける精神的苦痛に対して支払われる慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
    追突事故の影響で後遺障害が残ったことにより受ける精神的苦痛に対して支払われる慰謝料

ただし、後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級が認定されなければ請求することができません。

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

弁護士監修交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説

慰謝料の相場

さきほど紹介した2種類の慰謝料は、ある程度の相場を計算することができます。

慰謝料の相場を計算するためには、次の3つの基準が活用されます。

  • 自賠責基準
    自賠責保険会社が賠償金を計算するために用いる基準。
  • 任意保険基準
    任意保険会社が賠償金を計算するために用いる基準。
  • 弁護士基準
    弁護士が賠償金を計算するために用いる基準。
交通事故の慰謝料の3つの基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)

▲交通事故の慰謝料の3つの基準

自賠責基準

自賠責保険は、被害者の最低限の補償を目的としています。そのため、自賠責基準にもとづいて慰謝料を計算すると、最も低額な賠償金になり、実際の損害に見合った賠償を受けられない可能性があります。

自賠責基準では、下記のいずれかの計算式にもとづいて、入通院慰謝料を計算することができます。

  1. 4,300円(1日あたりの入通院慰謝料額)× 治療期間(初診日から完治または症状固定までの期間)
  2. 4,300円(1日あたりの入通院慰謝料額)×実入通院日数(実際に入通院をした日数)×2

※治療期間と実入通院日数は、日数が少ない方を適用します。
※2020年3月31日より以前の交通事故は、1日あたり4,200円で計算されます。

任意保険基準

任意保険基準は、各保険会社で算定基準が異なるため、慰謝料の金額に差があります。

任意保険基準は公表されていませんが、おおよそ自賠責基準と弁護士基準の中間くらいの慰謝料額になるといわれています。

弁護士基準

弁護士基準は、弁護士が慰謝料などを計算する際に用いる基準です。

これまでの裁判などで認められた金額を参考にしていることから、最も高額な慰謝料などを請求することができます。

しかし、慰謝料の請求を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が必要になります。そのため、負担する弁護士費用を差し引いても、他の基準で算出した賠償金額に比べて増額が期待できるような場合には、弁護士に依頼した方がよいでしょう。

ただし、自身が加入している任意保険に弁護士費用特約が付いていた場合、弁護士費用の一部を保険会社が負担してくれるため(一般的に、法律相談料10万円、弁護士費用300万円まで負担)、弁護士に依頼することをおすすめします。

まとめ

びっくりマーク,!

追突事故にあった場合は、第一にご自身の身の安全を確保するようにしましょう。

また、事故直後に痛みがなくても怪我を負っている可能性があるため、病院で診察を受けることが大切です。

突然起こった追突事故に戸惑うかもしれませんが、上記の内容を参考に落ち着いて行動をすることが大切です。

この記事を監修したのは…

弁護士法人プロテクトスタンスの代表弁護士。多くの病院や整骨院等の法律顧問に就任。医事法に関する研究部会に所属し、医療法制に精通。交通事故の示談交渉で豊富な解決実績があり、特に保険会社対応に定評がある。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.A
出版社に就職後、書籍や雑誌コラムの執筆・編集を経て、現在はフリーライターとして活動中。家族が交通事故の被害にあった過去の経験をもとに、怪我の治療先や手続きのコツなどをお届けしていきます。みなさんのお悩みが少しでも軽減されますように…。

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