交通事故で打撲をした!後遺症認定のために知っておくべきこととは
監修記事
島谷 柚希
看護師
今回の記事では、交通事故で負った打撲や擦り傷などの軽症の場合にとるべき行動や、慰謝料や後遺障害について解説します。
交通事故で負った怪我が、打撲や擦り傷など軽症の場合でも慰謝料を請求でき、必ず病院を受診する必要があるのです。
また、請求する慰謝料も3つの基準により相場が決められています。ご自身が、どの基準で請求するのかによって金額が大きく異なるため、しっかりと知識を得た上で対応することをお勧めします。
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目次
交通事故で起こる可能性がある打撲について
交通事故では身体の外側から外力が加わることで筋繊維や血管が壊れる打撲を受傷するケースが目立ちます。交通事故における打撲の軽症の場合・重症の場合について症状や対処法を解説します。
軽症の場合
打撲とは強い外力が患部に加わることで起こる筋組織や血管の損傷です。交通事故の打撲で軽症のものは「追突時、車内運転席でハンドルに胸部をぶつけた」「後部座席にいてドアに頭をぶつけた」などです。いずれも事故時に車などのスピードが出ておらず、身体に加わった外力も軽度の場合が軽症であるといえます。
打撲では患部の内出血や腫脹、痛みが症状としてありますが、軽度の場合は外から見ても皮膚色に変化がないか、変化があっても軽度に青くなる程度です。腫脹もわからないか軽度であることが多く、治療は患部に湿布を貼り、安静にして過ごします。
重症の場合
交通事故で重傷の打撲は「車対バイクでバイクの方が転倒して患部をアスファルトに打ち付けた」「追突された車の運転席におり、腹部を強くハンドルにぶつけた」など強い外力が患部にかかったときにおこるものです。患部の皮膚は中心が青く、ときに周囲が暗赤色に変色し、強い疼痛と腫脹を伴います。打撲が重症の場合、たとえば足に強く打撲を負った場合に歩行困難になるなどは機能障害を伴う場合もあります。
治療は患部の冷却・安静・消炎鎮痛作用のある湿布の貼付です。四肢など固定が可能な部位では包帯による固定で安静を図ることもあります。
交通事故の打撲は軽症でも病院へ行くべき理由
交通事故の被害にあった場合、打撲や擦り傷などの軽症であっても必ず病院を受診するようにしましょう。
自覚症状がない場合でも、身体は事故により強い衝撃を受けているため、数日後に痛みがあらわれることもあるのです。ご自身で判断するのではなく、必ず医師のもとで判断してもらいましょう。
次からは、病院へ行くべき理由について解説します。
人身事故に切り替えるための診断書を作成するため
法律上、医学上の専門知識をもとに診断や検査、治療などの医療行為は医師のみしか行えません。また、物損事故から人身事故への切り替えや、損害賠償請求の際に必要な診断書を作成出来るのも医師のみです。
交通事故直後は、自覚症状はなかったとしても数日後に痛みが現れた、というケースも珍しくありません。その場合、物損事故として処理している状態なので、警察へ診断書を提出し人身事故へと切り替える必要があります。
人身事故へと切り替えていないと、事実関係を証明できず、過失割合などで被害者なのに不利益を受ける可能性があります。
時間がたってから症状が出る場合もあるため
打撲は事故当日から3日以内の急性期におこる症状ではありますが、事故当時は神経が興奮しており、打撲した事実に気が付かない場合もあります。ぶつけた気がするが軽いと自己判断し、受診せずに過ごした場合、1~2日経過してから打撲痛が強くなることがあります。
頭部打撲後に手のしびれなどの神経症状が残った場合には、後遺症と診断されるケースがありますが、時間が経過してから受診をし、疼痛を訴えた場合には、事故との因果関係を疑われる恐れがあります。打撲が軽症だと感じても早めに受診しましょう。
加害者に請求できる賠償とは
交通事故の被害者になった場合、加害者に慰謝料を請求が可能であり、慰謝料のほかに加害者側に請求できる費用もあります。
そこで、慰謝料とそれ以外の費用についてそれぞれ内容を解説します。
慰謝料の相場・基準
慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償金のことで、交通事故に関する慰謝料は以下になります。
- 入通院慰謝料
交通事故の影響を受けた入通院での精神的損害を補償するもの - 後遺障害慰謝料
事故で負った怪我が、後遺障害として残されたことによる精神的損害を補償するもの - 死亡慰謝料
被害者が死亡したことによる精神的損害を補償するもの
慰謝料を算出する場合、相場が決められています。では、一体どのようにして相場が決められているのでしょうか。
ここでは、慰謝料を算出する基準について解説しています。
慰謝料を算出するための基準
慰謝料の金額は以下の3つの基準によって算出されます。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
適用する基準によって金額は大きく異なるため、それぞれの違いについて解説していきます。
1.自賠責基準
自賠責基準は、車の所有者に加入が義務付けられている自賠責保険が定める基準です。
自賠責保険を使った場合、被害者が受けられる保障は最低限となります。
そのため、自賠責基準を使って慰謝料の相場を算出すると、最も低い慰謝料額になります。
自賠責基準には、以下の通り2種類の計算式があります。両方の式で計算をした上で、低い金額の方が適用されます。
- 4,300円×治療期間
- 4,300円×実際に通院した日数×2
2.任意保険基準
任意保険基準は、損害賠償金が自賠責保険の限度額である120万円を超えたときに、足りない部分をカバーするための保険として、任意で加入する保険での基準です。
各保険会社で定められている基準が異なり、ほとんど公表されていませんが、請求できる金額は自賠責保険基準に比べて少し高いか同等であるといわれています。
3.弁護士基準
弁護士基準は、過去の裁判例などを参考にして、弁護士により公表されている基準です。最も高い金額で算定される基準ですが、弁護士に示談交渉を依頼しなければ適用することは難しいといわれています。
弁護士基準を利用して最適な慰謝料を請求するためにも、一度弁護士に相談してみるのも1つの手段です。しかし、弁護士に依頼する場合、費用が掛かるので注意が必要です。無料相談などを利用し、ご自身が損しないか確認するといいでしょう。
慰謝料のほかに請求できる費用
慰謝料のほかに、加害者側に請求できる費用の一部を表にしています。
治療費 | 交通事故で負った怪我を治療するために掛かった、必要な費用のこと |
---|---|
通院交通費 | 通院にかかった交通費。公共交通機関の代金や自家用車のガソリン代 |
休業損害 | 交通事故によって仕事を休んだ際の減収部分。専業主婦(主夫)でも請求できる場合がある |
痛みが残るなら後遺障害等級認定を
交通事故が原因で負った怪我が、長期間治療を続けても症状が残っている場合、医師に「症状固定」と診断されることがあります。
症状固定の診断をされた時点で残っている症状を後遺障害といいます。後遺障害の補償を受けるためにも、後遺障害等級認定を申請しましょう。
後遺障害等級認定を受けるメリットは?
後遺障害等級を申請すると、後遺障害の症状に応じて1~14級に分類されます。また、後遺障害等級が認定されると、等級に応じた金額の後遺障害慰謝料と逸失利益を受け取ることができます。
この後遺障害慰謝料と逸失利益は、入通院慰謝料や治療費などとは別に、後遺障害等級が認定されてから新たに請求できるようになる損害賠償です。
後遺障害等級認定を受ける手順
実際に、後遺障害等級認定を申請するにはどうすればいいのか悩まれている方もいるかもしれません。
申請を考えている方は以下を参考にしてください。
①後遺障害診断書を作成
症状固定と診断されたら、医師に後遺障害診断書を発行してもらい、後遺障害等級認定を申請する準備をしましょう。
注意点として、後遺障害診断書の作成には費用が掛かります。一般的な相場として、約5,000円~10,000円前後とされていますが、病院によって異なるため確認しましょう。
②保険会社へ郵送
後遺障害診断書の作成が終わり次第、加害者の保険会社へ送付します。
③保険会社が損害保険料率算出機構へ診断書を提出
保険会社へ後遺障害診断書が届いたら、保険会社が他の必要な資料を収集し、まとめて損害保険料率算出機構へ提出します。
提出された診断書や資料をもとに、損害保険料率算出機構は、後遺障害についての調査を開始し、後遺障害等級の審査を行います。
④保険会社へ認定結果が通知される
損害保険料率算出機構にて審査された結果が出たら、保険会社へ通知されます。保険会社は通知された内容に基づいて、等級の認定や損害賠償額の算出を行い、被害者へ結果を通知します。
⑤被害者が認定結果を確認
認定結果に納得が出来た場合は、賠償金を受け取ります。認定結果に納得がいかなかった場合は、「異議申立て」をすることも可能です。
異議申立てをする場合は、改めて医師の診断を受けるなどして資料を揃え、異議申立書と一緒に加害者側の保険会社へ送付しましょう。
まとめ
交通事故が原因で負傷した場合、打撲や擦り傷などの軽症であっても慰謝料を請求できます。慰謝料を算出する基準として3種類紹介しましたが、ご自身の怪我の状態に応じて弁護士基準を利用しましょう。
また、慰謝料を請求するためにも、交通事故の後から痛みや症状があらわれた場合、病院で診断書を作成してもらい、警察に提出をして人身事故に切り替えましょう。
長期間治療を続けても症状の改善が見込めず症状固定となった場合には、後遺障害等級認定の申請を検討しましょう。
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この記事を監修したのは…
看護師として小児外科、整形外科、健康診断機関など医療現場などで勤務。
この経験を生かし、疾病の予防や健康増進に関する情報を発信する医療・健康ライターとしても活動をしている。
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