交通事故で整形外科から整骨院へ行くのに紹介状はいる?変える際の流れや注意点を解説
監修記事

河野 裕也
理学療法士
交通事故後、整形外科から整骨院へ通いたいと考える方も多いと思います。その際、紹介状が必要なのか、どのような手続きが必要なのか迷うこともあるでしょう。
実際には、紹介状は原則不要ですが、医師の同意を得ることや保険会社への事前連絡が必要になります。
この記事では、整骨院に変更する際の流れや注意点、整形外科との併用のメリットなどについて詳しく解説します。
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目次
整形外科から整骨院に行く際に紹介状は不要
交通事故後、整骨院に通いたいと考えた場合、病院からの紹介状は必須ではありません。
紹介状があることで整骨院側も症状を把握しやすくなりますが、整骨院は医療機関ではなく柔道整復師による施術施設であるため、診療情報提供書(紹介状)の提出は義務ではありません。
しかし、交通事故に関連する通院の場合、整形外科での診察・診断は不可欠です。まずは整形外科で医師から発行される診断書を取得し、そのうえで整骨院に通う意思を医師に伝えて同意を得ることが大切です。

▲交通事故治療における診断書の内容と役割
また、保険会社へ治療費などの請求を行うには、医師の診断書が重要な証拠となります。紹介状よりも、症状と交通事故との因果関係を証明する診断書を取得することがその後の手続きのためにも必要となります。
「紹介状」は何のために必要?
紹介状とは、医師が作成する「診療情報提供書」のことを指し、患者の診療情報を他の医療機関と共有するための文書です。
具体的には、患者の基本情報、既往歴、現在の病状、検査結果、これまでの治療経過、今後の治療方針などが記載されます。
紹介状の目的は、医療機関間での情報連携をスムーズにし、継続的かつ適切な医療を提供することにあります。
整骨院や接骨院は医療機関ではなく柔道整復師が施術を行う場所であるため、紹介状の提出は基本的に求められません。
しかし、整形外科での治療内容や経過を共有したい場合には紹介状があると整骨院側も状況を把握できるため対応しやすくなります。
また、整形外科医と整骨院が連携を取ることで、重複治療を防ぎ、より効果的なリハビリが可能になります。
整骨院への通院を希望する場合は、紹介状があるとより安心ですが、それよりも医師の同意と診断書の取得が最優先となります。
交通事故で病院と整骨院・接骨院の併用は可能
交通事故後の治療において、整形外科と整骨院・接骨院の併用は基本的に可能です。
▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い
整形外科では医師の診察のもと、レントゲンやMRIなどの画像診断、痛み止めや湿布の処方、診断書の発行といった医療行為が行われます。
一方、整骨院や接骨院では柔道整復師による徒手療法、電気治療、テーピング療法、ストレッチ、マッサージなどの物理療法が中心となります。
整形外科では画像診断や手術などの医学的な治療が行える反面、仕事終わりや休日は受診できないといった通院の柔軟性に欠ける場合もありますが、整骨院では予約が取りやすく、夜遅い時間や休日も受付可能なところが多くあり、ライフスタイルに合わせて通院できます。
整形外科と整骨院・接骨院を上手に使い分けることで、身体の回復スピードも早まり、生活への早期復帰が可能になります。
併用の際は、トラブルを防ぐためにも整形外科医の同意と保険会社への事前連絡を忘れずに行うことが重要です。
関連記事交通事故で整形外科と整骨院は併用可?メリットや注意点を解説
整骨院・接骨院での施術が活きるケース
整形外科では目に見えない重篤な病態を早期に発見することが可能なため、まず最初に整形外科を受診する必要があります。
しかし、交通事故の治療は難渋するケースが多く、継続的な治療が必要となるため、整形外科と合わせて整骨院・接骨院での施術が活きるケースが多くあります。
ケース①画像診断では異常がなかったが症状がある場合
交通事故の直後に整形外科でレントゲンやMRI検査を受けた際、明確な骨折や異常が見られない場合でも、痛みやしびれなどの症状が続くケースがあります。
これは「むちうち症」など、画像には映らない筋肉や靱帯、神経の損傷が原因となっていることが多くあります。
▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等
整骨院では、このような筋・神経系の損傷に対し、手技療法や電気療法、温熱療法などの物理的アプローチで症状の改善を図っていきます。
レントゲンなどの画像で異常が見つからないからといって放置すると、症状が後遺症として残ってしまう可能性もあるため、早期の対応が重要です。
整形外科で定期的な診察を受けながら、整骨院で施術を行うことでより効果的な回復が期待できます。
ケース②継続的なリハビリが必要な場合
骨折などでギプス固定が取れた後、整形外科では治療が終了することがありますが、実際には関節の動きに制限があったり、筋力が低下していたりと機能回復が必要な場合が多くあります。
整骨院では、関節の可動域改善や筋力トレーニング、全身のバランス調整など、個別の状態に応じたリハビリが受けられます。
日常生活への早期復帰のためには、整形外科の診断と合わせて、整骨院での補完的なリハビリを継続することが有効となります。
関連記事交通事故のリハビリ内容|病院や整骨院への通院期間や頻度、慰謝料も解説
ケース③整形外科でリハビリができない場合
病院によっては、リハビリ施設が整っておらず、痛み止めや湿布の処方などの対症療法のみで終了することがあります。そのような場合、整骨院でのリハビリが選択肢としてあげられます。
▲整骨院の交通事故施術内容の種類
整骨院では、症状に合わせてストレッチ、手技療法、筋力強化、運動療法などを実施し、可動域の改善や疼痛緩和、筋力強化を図ることができます。柔道整復師によるきめ細かな対応により、整形外科だけでは補えない施術を受けることが可能です。
関連記事交通事故の治療は整骨院でも可能?通院の流れ・費用・注意点を解説
ケース④整形外科へ通うのが難しい場合
仕事や学校の都合で整形外科の診療時間に通院できない、あるいは事故後に受診した整形外科が遠方にあるといった理由で、通院を継続できないこともあります。
整骨院は夜遅い時間や土日などの休日も受付可能なところが多くあり、駅近や住宅地にもあるため職場や学校、自宅から通いやすい環境が整っています。
▲交通事故治療で整骨院に通うメリット
そのため、継続的なケアが必要な方にとって大きな助けになります。無理なく通える整骨院を選び、医師の同意とともに整形外科と整骨院・接骨院を併用することで治療効果がより高まります。
整形外科と整骨院を併用する流れ
交通事故後に整骨院への通院を希望する場合、まず整形外科で診察を受けて診断書を取得し、整骨院へ通いたい旨を医師に相談して同意を得ましょう。
また、保険会社に事前に連絡し、整形外科と整骨院を併用することへの了承を得る必要もあります。整形外科での経過観察も並行して行うことで、保険適用や後遺障害認定に有利になります。
①整形外科を受診する
交通事故にあった場合、まず整形外科を受診し、医師の診断を受けることが必要です。
交通事故と症状の因果関係を証明する「診断書」は病院の医師のみ発行することができるため、必ず診断書を取得しましょう。
診断書は物損事故から人身事故への切り替えや治療費、慰謝料などを請求する際に提出する非常に重要な書類です。これがないと、整骨院での施術費用が保険で補償されない場合があります。
事故後はなるべく早く整形外科を受診し、診断書を取得しましょう。
②整骨院へ通う同意を得る
整骨院への通院も希望する場合は、整形外科の医師に相談することが重要です。
勝手に整骨院に通い始めると、保険会社から治療の正当性が疑われることがあります。場合によっては整骨院での施術費用が補償されない可能性もあります。
医師に整骨院での施術を希望する理由を説明し、同意を得てから整骨院の通院を開始する必要があります。医師の同意があることで、整骨院での治療も医学的な根拠に基づいたものと認められやすくなります。
③整骨院(接骨院)に相談する
整骨院を選ぶ際は、交通事故の施術の経験が豊富な院を選ぶことが重要です。
通院回数や期間もある程度かかるため、自宅や職場からの距離や受付時間、休日も営業しているかなど通いやすさを考慮しましょう。継続的な治療のためにも通院しやすい環境を整えることが重要となります。
交通事故を専門に扱っている整骨院もあるため、口コミや実績も参考にしながら、自分に合った整骨院を選ぶことが大切です。
④保険会社に併用を伝えて了承を得る
整骨院に通い始める前に、相手側の保険会社に整形外科と整骨院を併用する旨と整形外科の医師の同意があることを伝えましょう。
保険会社に連絡をせず、無断で整骨院に通院した場合、状況を保険会社が把握できていないため治療費が補償されず自己負担となる可能性があります。
そのため、整骨院に通院する前に保険会社に連絡を入れてしっかりと了承を得ておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
⑤整骨院に通院しつつ整形外科で経過観察をする
整骨院に通いながらも、月に1〜2回程度は整形外科を受診して経過観察を受けることが望ましいです。
医師の診察記録が残ることで、整骨院での施術も交通事故の治療の一環として保険会社に認められやすくなります。
また、万が一後遺症が残ってしまう場合には後遺障害認定を申請する必要があり、これには医師の後遺障害診断書が必要となります。
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
そのため、定期的に医師に相談することで、症状の変化や後遺障害の認定にも対応しやすくなります。
整形外科の通院も途中で中断しないように注意しましょう。
関連記事交通事故で整骨院(接骨院)の通院だけではだめな理由や事例を紹介
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交通事故で病院と整骨院を併用した事例
実際に交通事故の怪我で病院と整骨院を併用して通院された方の事例をご紹介します。交通事故による怪我での通院は初めての方も多いかと思いますので、実際の体験談をぜひ参考にしてください。
事例①整形外科のリハビリの予約が取れず、整骨院通院を先生に相談
衝突事故により首の痛み(むちうち)、腰・肩の痛み、頭痛、しびれ、吐き気などの症状があった「かいろさん(30代・会社員)」の事例です。
通い始めた整形外科は、治療の予約がなかなか取れなくて大変だったそうですが、整骨院は夜も長くやっていたので仕事との両立もできたそうです。
整形外科の先生には『リハビリの予約が全く取れないので、整骨院を併用したい』と相談したところ、整骨院通院の許可がもらえました。それを保険会社に伝えて、通院を開始されました。
整形外科は月に1回通院を継続し、ロキソニン・胃薬・ロキソニンテープが処方されました。
整骨院は週4・5回通い、ウォーターベット、マッサージ、電気療法、レーザーの施術を受けると楽になったので、できる範囲で通院を継続しました。
かいろさんは整骨院の通院について、
「すごく良くしていただきました。仕事をして体がしんどくても施術をして頂いて、先生や、スタッフのみなさんに声かけて頂き、本当に励みになりました。」
とお話しされています。
かいろさんの通院事例については、下記の記事で詳細をご覧いただけます。
体験談追突事故で後から痛みが…整形外科と整骨院の併用通院〜示談まで
事例②整骨院は予約もできて隙間時間に通院可能
追突事故に遭い、事故の後から首の痛み(むちうち)、 肩・ 背中・腰の痛み、 頭痛などの症状が出てきた「まきさん(30代・会社員)」の事例です。
整形外科は予約制ではなかったこともあり、混み合うことが多く、かかる時間が読めないため、行く日は有給休暇をとっていたそうです。併用通院していた整骨院は家からの距離が近く、予約もできて、会社に行く前や仕事から帰ってきた後などの隙間時間に通うことができました。
整形外科は、最初の1ヶ月は週1、そのあとは2〜3週に1回通院し、最初はレントゲン検査をした上で、診察では握力測定と首の可動域のチェック、肩の上げ下げなどを行いました。問診では、痛みがどのくらい残っているかなどを聞かれた後、電気治療を行い、痛み止めと湿布薬が処方されました。
整骨院は週4〜5回通院し、毎回カウンセリングをした上で、今の痛みの具合、どの部分が痛むのか、首の可動域などのチェックのあと、電気療法、マッサージを受け、合計で15分くらいの施術だったそうです。
まきさんは整骨院の通院について、
「交通事故施術の知識があり、色々と話が通じる先生がいたので、今後の方針や施術の流れなどを教えてくれたので安心できました。営業時間が長い(平日の夜は8時まで)、休日もやっている、家から徒歩で行ける距離にある、という整骨院だったので、無理なく通うことができたのもありがたかったです。」
とお話しされています。
まきさんの通院事例については、下記の記事で詳細をご覧いただけます。
体験談追突事故で被害者に…後から痛みが出て人身事故へ切り替え
まとめ:整形外科から整骨院へ変える際に紹介状は不要
交通事故後、整形外科から整骨院へ通院を希望する場合、紹介状は不要ですが、医師の同意と診断書が必要となります。
整骨院での施術を補償してもらうためには、保険会社への事前連絡と整形外科での経過観察も重要です。
必要な手順を踏むことで、安心して治療に専念でき、その後のトラブルも防ぐことができます。
〈参考文献〉
一般社団法人 東京都交通安全協会 交通事故の相手保険会社から「医療照会に関する同意書」が送られてきたら?:https://www.tou-an-kyo.or.jp/soudanjirei/10_list_detail.html
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
この記事の執筆者
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