交通事故で診断書が全治2週間だと2週間しか通院できない?
監修記事

オオクマ サキコ
看護師
交通事故に遭った後、病院での診断書を受け取ると「全治2週間」といった記載を目にします。
この全治期間について、「決められた期間しか治療を受けられないのではないか」「2週間」今回は、診断書全治期間の意味や、実際の治療期間との関係について、事故後によくある疑問とともに解説していきます。
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目次
診断書が全治2週間でも2週間以上通院することはできる?
交通事故後の診断書には「全治2週間」「加療に2週間を要す」といった記載がよく見られます。これは医師が経験に基づいて予測した治療の期間であり、治療期間を制限するものではありません。診断時点での医師による大まかな見立てを示すものと考えてよいでしょう。
例えばむちうちや打撲、捻挫など比較的軽度の症状の場合、全治2週間と診断されることが多いですが、実際の治療経過に応じて期間が延長されることも珍しくありません。症状は受傷より遅れて発症することもあるからです。
そのため、医療機関の受診を自己判断で中断するのは危険です。症状が継続しているうちは、医師の指示に沿って通院を継続しましょう。
交通事故における診断書の役割とは?
▲交通事故治療における診断書の内容と役割
一般的に診断書とは、医師が患者の病気や怪我の名前や症状、状態等を記した書類の事です。ただし、交通事故の場合の診断書は病気や怪我の状態が記されるという以上の意味を持ちます。
交通事故の怪我の場合、診断書は慰謝料などの損害賠償額の算定において重要な役割を果たします。交通事故による怪我の内容や、通院期間、通院回数などの情報を基準により補償額が決定されます。
後遺障害が残った場合の等級認定においても、後遺障害診断書と呼ばれる書類が必要となります。
このように診断書は、適切な補償を受けるための重要な証明書類と言えます。
例え交通事故直後になにも症状がなかったからと言って、そのまま病院を受診せず、経過をみることはおすすめできません。必ず病院を受診し、医師の指示にそって必要時は診断書を記載してもらうことが大切です。交通事故より日数が経過してしまうと、診断書を記載してもらえないこともあります。
診断書に含まれる情報
交通事故の診断書は、加害者の処分や被害者の補償に大きく影響する重要な書類です。また患者側から診断書の請求があった場合には、これを記載・発行する義務がある(*1)と記載されています。
主な記載内容は発症日、治療内容、治療期間、身体所見および検査結果などが詳しく記載されます。
医師にどのような内容を記載してほしいのかを伝えながら、実際に起きている症状を事細かに伝えていく必要があります。なんかおかしいかも?といった症状でもまずは医師に相談してみましょう。
(*1)医師法第十九条二項:正当な事由がなければ、診断書や検案書、出生証明書、死産証書を交付する義務を拒むことはできない
診断書の日数の意味
診断書に全治2週間と記載された場合でも、診断した医師のこれまでの経験測による治療の目安期間というだけで、実際の治療期間を制限するものではありません。
症状の回復状況に応じて、記載された期間以上の治療が必要になることもあり、その場合は正しい治療を継続することが重要です。しかし、長く治療を受けたからといって、損害賠償の算定に対して有利になるというわけではありません。
診断書に全治2週間と書かれることが多い理由
交通事故の診断書で 記載される加療期間に、2週間が多い理由は、交通事故の賠償責任に関する重要な基準が関係しています。
交通事故の加害者は「自動車運転過失致傷罪」に問われますが、被害者の怪我が「全治15日以上」となった場合「重大な傷害」と判断され、加害者への処分が重くなります。そのため、医師はむちうち症(頚椎捻挫)や打撲、捻挫など、レントゲンやCTスキャンで骨の異常が確認できないケガの場合、「全治14日以下」と診断することが一般的です。
「全治2週間(以下)」という診断には、加害者の責任を慎重に判断するという配慮が込められています。
(*1)医師法第十九条二項:正当な事由がなければ、診断書や検案書、出生証明書、死産証書を交付する義務を拒むことはできない
むちうちの一般的な治療期間
▲交通事故のむちうちの治療期間の目安
むちうち症の実際の治療期間は、研究データによると約90%の方が3か月以内で完治すると言われています。中には 6ヶ月以上の治療が必要になるケース、さらには後遺障害が残るケースもあります。
出典「交通事故による いわゆる“むち打ち損傷”の治療期間は長いのか」より
保険会社からは3ヶ月を過ぎた頃に治療費の打ち切りを言われることがありますが、まだ症状が改善していない場合は治療を継続することができ、損害賠償として保険会社に請求することが可能です。
ただし、治療費の権利が補償対象として認められるとは限りません。特にむちうち症は、治療終了後も、痛みやしびれが残る可能性があるため、必要に応じて後遺障害等級の認定を受けることも検討しましょう。
実際にむちうち等の怪我でどのくらい通院しているの?
▲交通事故によるむちうち等の症状で通院した期間の集計結果
上記のデータは、実際に「交通事故病院」の相談窓口にご相談頂いた方々にアンケートを実施したものの集計です。交通事故後の怪我で通院したトータルの期間をお聞きしています。このアンケートではむちうちだけを対象にしたものではありませんが、多くの方が事故後の怪我ではむちうちを受傷していらっしゃいます。
上記のデータからも分かる通り、交通事故後のむちうち等での怪我の通院は2~3か月通われる方が最も多くなりました。これは一般的なむちうちの治療期間とも合致するデータです。
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交通事故で診断書が必要になる場面
交通事故の診断書が必要なタイミングは、警察提出用、加害者の保険会社用、そして遺障害等級認定申請用の3つです。それぞれ被害者を守る根拠のある信頼性の高い資料として重要です。
警察に提出用
警察提出用の診断書は人身事故の証拠として重要な書類です。傷病名、加害日、受傷日、加療(全治)期間が記載され、被害者処分を判断する際の重要な基準となります。
全治15日以上の怪我は「重大な傷害」とみなされ、加害者はより重い処分を受ける可能性が高くなります。そのため医師は、むちうち症や打撲など、画像診断で明らかな異常が見られない場合、注意を期して「全治14日以下」と診断することが一般的です。
適切な処分を検討してもらうためにも、受傷後、早い段階で警察に提出することが必要です。また交通事故発生直後に物損事故とし、後から人身事故へ切り替える場合は、切り替え時に診断書が必要となります。
加害者側の保険会社に診断書を提出する
むちうち症のように目に見えない怪我の場合、症状や治療の必要性を客観的に証明する手段として、診断書は重要な役割を果たします。そこで、傷病名や治療内容、通院回数など医学的な観点に基づいた適切な賠償額の算定が可能になります。
医師による診断書があれば、治療が予想以上に長かった場合でも、追加の治療費や通院費の請求を進めることができます。
また、後遺障害が残る可能性がある場合は、将来の補償交渉の基礎資料としても診断書が必要です。このように診断書は、交通事故の被害者が適切な補償を受けるための重要な証拠書類として機能し、公平な補償を実現するための基盤となります。
後遺障害診断書
▲後遺障害診断書とは?
後遺障害に関連する診断書の正式名称は自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書と呼ばれます。
後遺障害の診断書には、現在の症状だけでなく、将来的な症状の見通し等が記載されます。後遺障害の診断書は、後遺障害等級の認定や将来的な治療費、介護費用の見積りなど、長期的な補償を検討する上で重要な資料となります。
専門医による診断書があれば、症状の重症度や継続的な治療の必要性を客観的に証明することができます。後遺障害の可能性がある場合は、詳細な診断書作成を医師に依頼することをお勧めします。わからない場合は、自身の保険会社や医師に相談しましょう。
交通事故後は人身事故への切り替えを
交通事故直後は明らかな怪我の症状が現れないことも多く、特にむちうち症は事故から数日後に症状が出現することもあります。
そのため、事故当時は物損事故として処理したものの、その後から体調の異変を感じるケースも珍しくありません。このような場合、早めに医療機関を受診し、人身事故として切り替える必要があります。
また、後遺障害が残った場合の補償を受ける際にも、人身事故として対応されていることが必須となります。
人身事故と物損事故の違い
▲物損事故と人身事故の違い
交通事故は、人的被害の有無によって人身事故と物損事故に分類されます。
人身事故として対処された場合、車等の壊れたものに対する補償だけでなく、身体、または精神への損害を受けた場合も補償を請求することができます。
一方、物損事故は人的被害を伴わない、車両や物の損傷のみの事故です。 人身事故と物損事故では補償の範囲や保険の適用に大きな違いが見られます。
軽症なら人身事故にしなくても良い?
交通事故直後は症状が軽くても、むちうち症などは数日後から痛みが強くなることも珍しくはありません。また、軽症だと思っていた怪我が予想以上に長くなってしまったり、後遺障害につながる場合があります。
物損事故のままでは、後から症状が悪くても治療費や通院費の補償を受けることが困難になります。 時間が経ってからでは、人身事故への切り替えができないケースもあるので、たとえ軽症であっても、必ず医療機関を受診し、人身事故として処理をしてもらうようお勧めします。
人身事故にしない場合のリスク
事故より時間が経過してから人身事故への切り替えをするとなると、保険会社から事故との発生関係を疑われてしまうリスクが高まります。
そもそも、警察側が物損事故から人身事故への切り替えが認められない場合も出てきます。
最も問題となるのは、後遺障害が残った場合です。 物損事故のままでは、後遺障害に関する補償の申請もできず、将来的な治療等の費用が自費になってしまう可能性があります。
事故直後は軽症に見えても、万が一のために必ず医療機関を受診しましょう。
診断書が全治2週間の場合の交通事故の慰謝料
交通事故で「全治2週間」と診断された場合、あくまで目安となるだけで、慰謝料は、実際の通院日数を基準に算定されます。
自賠責保険の基準では、入通院慰謝料は日額4,300円で計算します。
入通院日数は「治療期間」と「実治療日数×2」のいずれか短い方が採用されます。治療日数が長ければよいと言うわけではありません。
例えば、2週間の治療期間中に6回通院した場合、実治療日数の2倍は12日となるため、通院日数は12日として計算され、慰謝料は51,600円【4,300(円)×12(日)】となります。
治療期間:2週間=14日
通院回数:6回(日)x2=12日 ←こちらが採用される
ただし、これは自賠責保険の最低基準であり、実際の示談交渉では任意保険から上乗せされることが一般的です。症状によっては治療期間が延長される可能性もあり、その場合は慰謝料も変動します。
全治2週間と書かれていても、通院は適切な期間通院しよう
交通事故による怪我の治療について、診断書に「全治2週間」と書かれていても、実際の症状や回復状況に応じて医師の指示のもとに適切な期間の通院を行うことが大切です。
例え事故直後症状がなにもなかったり、軽傷であっても病院を受診することだけは、忘れないようにしましょう。
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この記事を監修したのは…
看護学校卒業後、総合病院にて外科病棟、救急病棟、外来等、急性期看護を経験。結婚・出産を経て、看護師として臨床以外でスキルを磨けるライターに魅力を感じ、活動を開始。現在、医療福祉系の記事を中心に執筆中。
この記事の執筆者
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