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交通事故での腰椎捻挫や頭痛!整骨院の先生が原因と治療法を解説

監修記事

澤田 豊弘

柔道整復師

交通事故による代表的な怪我「むちうち」。
むちうちはレントゲンやCTには映らないことから、その症状のつらさをなかなかわかってもらえないもの。
実はこのむちうち以外に多いのが「腰椎捻挫(ようついねんざ)」と呼ばれる、腰痛。
多くの交通事故被害者は、首の痛みや腰痛、頭痛などの症状に悩まされています。
交通事故は、実際に被害にあっていなければ、その辛さや手続きの大変さはわからないものです。

今回は、通算30人もの交通事故被害者をみてきた、整骨院の先生にインタビューしてきました。交通事故によるむちうち、腰痛についての素朴な疑問や悩み、後遺障害の手続きなど、わからないことが解決してくれることを心から願っています。

整骨院、整形外科、整体院の違いとは?

交通事故によって怪我をしてしまったとき、一体どこで診てもらえばいいのか悩んだことはありませんか?実はこの悩み、意外と多いものです。
整骨院、整形外科、整体とそれぞれの違いについて簡単にまとめました。

  • ①整形外科…国家資格である医師免許を所有。薬や湿布の処方、手術やレントゲンなどが行える。保険が適用される。
  • ②整骨院… 国家資格である柔道整復師を所有。手技で、骨折や打撲を治すことができる。保険が適用される。
  • ③整体・マッサージ…資格がなくても開業が可能。指圧やマッサージでヒーリングを行うことができる。リラクゼーションが目的となるため、保険は適用されない。

話す西麻布整骨院澤田院長

西麻布整骨院/澤田先生の答え
「主に資格の内容と、治療・施術内容にあります。整形外科と整骨院の違いは、資格もさることながら、施術・治療内容がうんと違います。整形外科の場合は、医師免許ですから診断や治療、レントゲン撮影や手術を行うことができます。整骨院は同じ国家資格でも、柔道整復師ですので、手術や薬の処方はできません。整骨院と整体の違いは、資格があるかないか。保険が適用されるかどうか、ですね。」

about「柔道整復師」(柔道整復師とは…?)
柔道整復師とは、「骨折や捻挫、挫傷」の症状を緩和させることを目的に、柔道整復を用いて施術を行う国家資格の保有者のこと。公益財団法人 柔道整復研修試験財団が試験をおこなう、業務独占の国家資格です。一般的には、ほねつぎ、接骨師、整骨師として広く知られています。

交通事故の治療、整形外科と整骨院はどちらに行く?

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

交通事故で治療・施術を行うなら整形外科と整骨院はどちらに行けばいいのか…と悩む場合もありますよね。
どちらも資格や治療内容が違うことから、絶対整骨院でなければならない、整形外科が正解だ!ということは無いようです。

澤田先生の答え
「一概にどちらがいいと言い切れません。どちらも大切です。
整形外科は、もちろん医師免許を持っていますので、診断や診療といったものはしてくれます。自分が今どの状況に置かれているのかというのがわかります。整骨院は、手で触って、筋肉や骨の損傷を見つけ、痛みをラクに和らげるような施術を行います。その人の症状を見なければ治療を施したり、施術を行うことは難しいので、どちらも大切です。実際に、月に2回くらいのペースで整形外科にいって診断をしてもらい、定期的な施術は整骨院など、診断は整形外科、施術は整骨院と分けている方もいます。」

整骨院だけではなくて、整形外科に定期的に行くべき?

澤田先生の答え
「はい。その方が、のちの保険会社とのやり取りがスムーズに行くことがあります。整形外科の先生にちゃんと診てもらっている事実は、保険会社にとっても信頼につながる大きなポイントだといえます。」

▶︎参考:整骨院と整形外科を併用するにはどうすればいい?

整骨院の主な施術内容とは?

整形外科と整骨院の違いがわかったところで、整骨院の施術内容について述べていきます。整骨院は、実際にどのような施術をしてくれるのかを理解しましょう。
整骨院の主な施術内容は以下のとおり。

整骨院・接骨院の交通事故施術とは?

▲整骨院の交通事故施術内容の種類

  • ①柔道整復術…
    …手技(しゅぎ)。手を使ってどこが悪いのかを調べたり、指圧したりします。
  • ②牽引療法(けんいん-りょうほう)…
    …器具や手で、頚椎や腰椎を引っ張ること。狭くなった骨の隙間を広げ、骨同士の圧迫を軽減したり、骨のズレを矯正したりできる。
  • ③整体、ストレッチ…
    …筋肉を伸ばすこと。筋肉をほぐす。
  • ④電気療術…
    …筋肉を緩め、ほぐして、血行が良くなるようにすること。

西麻布整骨院手技

澤田先生の答え
「多くの柔道整復師は、手技(しゅぎ)を用いて施術をします。その人の症状に合わせて施術するので、マッサージやストレッチ、骨の強制など、全部トータル的にひっくるめてやるのが一般的ですけれど。施術配分も、その人によって違いますね。ストレッチが多い人もいれば、筋肉をほぐすために手技が多い場合もあります。」

交通事故で頭痛に…原因は?

骨のずれが原因

交通事故にあった直後は怪我もなかったのに、数日経つと頭痛がするといったこともあると思います。交通事故による頭痛の原因は一体なんなのでしょうか。

むちうちから来る頭痛の痛みの特徴:脈拍に合わせて痛む・後頭部~頭頂部が締め付けられるような痛み

▲むちうちから来る頭痛の痛みの特徴

澤田先生の答え
「どのような状況にあるのかにもよりますが、その人によって原因を見極めて、それに合った施術をすることが大切です。ただいずれにしても、交通事故による頭痛は、肩の張りや首の骨のずれといったことが原因の一つとして考えられます。
ですので、自分で治そうと考えるのは危険ですし、原因がわからずに治療や施術を続けてしまうのは絶対に避けた方がいいです。原因がわかった上で、どのような施術がいいのかを医療機関が見極めなければなりません。」

交通事故後のむちうちにも柔道整復師の施術は適用できる?

澤田先生の答え
「もちろんできます。整骨院(接骨院)も、国で認められた保険適用機関です。頭痛については、人によって指圧もするし、ストレッチもします。首の矯正もします。首の矯正は、優しく軽く、指圧します。そうすることで、痛みが少し軽減されますよ。」

交通事故で腰椎捻挫に…腰痛の原因とは?

交通事故の腰椎捻挫は急激な痛みを伴う腰痛で動くときに痛むのが特徴

▲交通事故の腰椎捻挫とは

腰椎捻挫とは?

文字通り、腰椎(※ようつい…腰の骨)を捻り、挫くこと。
交通事故において、首のむちうち同様に多くの方に現れる症状です。一口に“腰椎捻挫(ようついねんざ)”といっても、さまざまな症状があり、捻挫の痛み以外に、しびれが現れることもあるようです。

腰椎捻挫の原因は腰のひねり

西麻布整骨院澤田院長1

澤田先生の答え
「これも一概には言えませんが、交通事故にあった瞬間に力をぎゅっと入れてしまった時の筋肉のハリや、純粋に腰をひねってしまい、その強い衝撃によって骨がずれることが原因の一つといえます。その骨が神経を圧迫する、といった症状が連鎖的に出ることもあります。また別の原因として、筋肉の損傷が考えられます。つまり、その事故の状況や度合いによって、症状もいろいろと変わります。

僕らは整形外科医ではないので、レントゲンやCTといったものは使えません。ですので患部を触ったり、体の関節や筋肉を動かす徒手検査(としゅけんさ)を行って、筋肉や関節の動きをみて、筋肉が損傷していないかどうかなどのチェックをします。」

腰の痛みから他の部位に発展することはある?

澤田先生の答え
「腰の痛みが肩や首の痛みにまで発展するかというと、多分その前にもいろいろと発展しそうな原因となるものを持っているはずです。そもそも、もともと肩や首に痛みがあって、でも、今のところ腰のほうが痛みが強い。そうすると、肩の痛みってあまり感じなくなるですよ。それで腰の治療をしていき、腰の痛みが和らいでいくうちに、今度はもともとあった肩周辺の痛みが、パッと出てくる……。

人はいくつも痛みを感じるとストレスを受けます。多くの箇所から痛みを感じてストレスを受けないように、痛みの強いところから感知するようにできています。
結論、痛みが徐々に発展するということは考えにくいです。もちろん、普段の姿勢や歩き方といった体の使い方が変わってくるので、それによって、肩周りに負荷がかかって痛みが出る場合もあります。」

物損事故後に痛みがでてきたら?

「交通事故で物損事故扱いをしたけれども、2〜3日経ったら痛い。どうしたら良いかわからない」という方もいますよね。主な手続きは以下のとおり。

  • 診断書を取りに行く
  • 警察に診断書を持っていき、人身事故扱いにする
  • 通院を開始する
  • 保険会社に連絡する

▶︎参考:診断書を取得するときの注意点とは?

物損事故から人身事故へ切り替える手順・流れ

▲物損事故から人身事故へ切り替える流れ

澤田先生の答え
「まずは僕に相談してください…と、言いたいところですが(笑)、それは一旦置いておいて。これは、交通事故においてはよくあることだと思います。事故直後は痛みに気がつかないことは珍しくありません。数日経って痛みが生じた場合は、我慢せずに人身事故に切り替えましょう。
きっと、この「物損事故から人身事故に切り替える」手続きに大変そう、面倒だと思っている方もいらっしゃると思うんですよね。または、保険会社や加害者の人に申し訳ない、とか。でも、そのための保険ですからね。
まずは整形外科にいって、自分がどこが一番痛いかなど詳細に話して、診断書を取って来てください。物損事故から人身事故に切り替える場合は、診断書が必須書類になります。診断書がなければ、人身事故に切り替えることができません。」

初めて交通事故にあってしまった時には気が動転して、たくさんのことに目が向けられません。
そんな時には、交通事故の施術に特化した整骨院に相談してみるのもいいと思います。交通事故の被害者や加害者で怪我をしている方をたくさん見てきた整骨院であれば、弁護士、整形外科医と連携しているところもあります。整形外科や保険会社からも信頼を得ているところがたくさんありますので、もし「どうしよう…」と悩んでいるのであれば、一度相談だけでも行ってみてくださいね。

後遺障害認定までの流れは?

交通事故で怪我をしてしまった時、「この痛みはいつまで続くのだろう…」と不安になることもありますよね。あまりにも症状が軽くならなければ、「症状固定」といって、治療費の打ち切りになることがあります。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

症状固定というのは医師や柔道整復師が「これ以上治療(施術)を続けても、症状がよくならない」と判断した時になります。
事故によるむちうちや腰痛の症状と付き合ってかなければならない精神的な苦痛を対価で支払ってもらうことを、後遺障害慰謝料といい、後遺障害認定を受けた場合は、この「後遺障害慰謝料」を請求することができます。

交通事故の後遺障害認定メリットは?

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

後遺障害認定を受けるのは、どうも気がひける…という方も多いと思います。ここではまず、後遺障害認定のメリットについて述べます。

  • ①後遺障害慰謝料(※1)を請求できる
  • ②逸失利益(※2)を請求できる
  • ③交通事故による示談が解決した時の満足感を得ることができる

後遺障害慰謝料とは

後遺障害慰謝料とは、交通事故の被害者が、事故による怪我の後遺症を抱えて生きていくことに対する精神的苦痛を対価で表したものです。後遺障害認定を受け、加害者側の保険会社より被害者に支払われます。

逸失利益とは…

交通事故で怪我の後遺症になった時に、被害者がこれまでと同じように働けなくなることから、被害者が将来手にするはずだった暫定の収入のこと。原因について話す澤田院長

ー後遺症認定したほうがいいもの?
澤田先生の答え
「それはもちろん。後遺症が残るということは、やはり大変なことです。症状が辛ければその分通院しなくてはいけないし、これまでのように過ごすことが困難になります。お金も時間もかかりますから、その代償として後遺症認定の手続きをし、後遺障害慰謝料をしっかりと受け取って、金銭的に楽になるのは被害者の人にとっては、とても大切なことです。それによって、保険では適用できない施術や治療が受けらる可能性もありますから。」

後遺障害認定の手続き方法とは?

後遺障害認定の手続きには、ふた通りのパターンがあります。

  • ①加害者側の保険会社が申請する場合
  • ②被害者が自分で請求する場合(加害者が任意保険に入っていない場合など)

①加害者側の保険会社が申請する場合

通院→症状固定(後遺障害診断書)→後遺障害認定→等級認定→示談金受け取り

②被害者が自分で請求する場合

通院→症状固定→診断書・書類の収集、作成→自賠責保険請求→損害保険率算出機構→受け取り

万が一交通事故にあい、後遺症になってしまった時、後遺症と認定(症状固定)されてしまうと、その後の治療費は打ち切りになります。
「まだ痛いから」といって自費で通院を続けるのは、経済的にも精神的にも簡単なことではありません。心に大きなストレスを受けてしまいます。
そんな時、後遺障害認定を受けて、その精神的ショックを対価で支払ってもらうことで、納得した示談ができます。

後遺障害認定の条件5つ

▲後遺障害認定の条件5つ

後遺障害認定を受けた後、治る可能性は?

澤田先生の答え
「治療や施術を受け続けていて、治る可能性は十分あると思います。
自賠責や任意保険の中でできない治療や施術も、もちろんある訳で。後遺症認定を受けた後、これまでに受けられなかった治療や施術を受けられるチャンスがあれば、可能性はなくはないですよね。余談ですが当院では、後遺症認定を取った後も、ご自身の体調のために通院を続けている方がいます。やはり体調が少しでもラクになるっていうのは大切ですよね。」

交通事故で腰痛になってしまった時のまとめ

いかがでしたか。
抱えている不安が、少しは解消されたでしょうか。みなさんが笑顔で痛みや症状から解放されることを心より願っております。
どうかお大事に。

  • 整形外科、整骨院、整体院の違いは資格や治療内容
  • 柔道整復師は骨接ぎのプロ
  • 診断なら整形外科、施術なら整骨院へ
  • 骨のずれによって頭痛や腰痛が起きることがある
  • 整骨院はその人にあった施術プログラムを組んでくれる
  • 後遺障害認定を受けるとメリットがたくさん

今回取材に協力してくれたのは……

西麻布整骨院 澤田先生

西麻布整骨院澤田院長4
柔道整復師を目指したきっかけは?
「僕は昔から野球をやっていて、整骨院は、当時から自分が肩を痛めたときなんかに通院するといった身近な存在でした。大人になっても野球などのスポーツを続けていたのですが、自分が入っている草野球チームやコーチをしている少年野球チームを間近で見ていると、肩を壊したり、肘が痛いと嘆いたり…怪我の痛みで悩んでいるチームメイトが多かったんです。
せっかくみんなで楽しもうと思っているのに、腰の痛みや膝、首、肩の痛みが原因で、全力でプレイできないし、楽しめない…。この状況を間近で見ていたら、「だったら僕が治そう。そうすれば、みんな楽しいよね。そうすれば、みんなが楽しく全力で遊べる。」という思いが芽生えて。それで、柔道整復師を目指そうと思ったんです。」

実際にチームメイトを治したりも?
「もちろん。治している人も何人かいるんですけど、それより何より、怪我をする率が格段に下がりました。大怪我に繋がる前の痛みの時に僕がテーピングをしたり、姿勢について指導をしているからだと思います。あとはフォームが悪いとか(笑)。」

どんな施術を心がけていますか?
「僕はお客様との会話をすごく大事にしていています。そこから得れる変化があるからです。ちょっとしたことでも、僕が気づいたことに関してはお客様に伝えるようにしているし、お客様自身も、悩んでいることや思っていることを、こちらに言ってくれるように努めています。
交通事故による治療や施術というのは、すごく長い間通院しなくてはならないわけで、患者と先生の信頼関係がないと、他の不調に気がつかなかったりもあると思うんですよね。施術や治療をすることはもちろん大事だけれど、それ以前に、人と人との信頼関係によって、体が治ってくるプラス精神的にも安定するというか。頼れる存在でいれるように、そんな施術を心がけています。」

西麻布整骨院へのアクセス

東京都港区西麻布2丁目13-17辰巳レジデンス103
東京メトロ千代田線「乃木坂駅」5番出口より徒歩7分
東京メトロ日比谷線「六本木駅」より10分、「広尾駅」「表参道駅」より各徒歩15分

1年間に10人は交通事故の患者をみているという澤田先生。それぞれ違った悩みや症状を抱えている交通事故被害者に対して、的確な施術とアドバイスを心がけて来たそう。連携している弁護士もいるそうなので、不安に思っていることはぜひ相談を。

この記事を監修したのは…

交通事故による治療や施術というのは、すごく長い間通院しなくてはならないわけで、患者と先生の信頼関係がないと、他の不調に気がつかなかったりもあると思うんですよね。

施術や治療をすることはもちろん大事だけれど、それ以前に、人と人との信頼関係によって、体が治ってくるプラス精神的にも安定するというか。頼れる存在でいれるように、そんな施術を心がけています。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.N
大学を卒業し、出版社で取材や編集業務を経験。その後、WEBメディアの執筆に転向し、事故に関する様々な知識を多くの人に届けるべく、日々邁進中。現在は、交通事故専門士の資格を取得するために勉強をしている。座右の銘は、格物究理。

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