整形外科で診断書を書いてくれないとき、どうする?理由と対処法を解説
監修記事

柿野 俊弥
理学療法士
交通事故にあった後、整形外科で診察を受けても診断書を書いてもらえないケースがあります。
「診断書がないと保険会社への請求ができない」「人身事故として処理してもらえない」など、診断書が必要なのに発行してもらえない状況は非常に困ります。
そこで本記事では、整形外科医が診断書を書いてくれない理由と、その対処法について解説します。
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目次
整形外科の医師が診断書を書いてくれないのはなぜ?
整形外科の医師に診断書の作成を頼んでも、まれに対応してもらえないことがあります。主な理由は以下のとおりです。
● 診察が十分にできていない
● 治療期間が浅い
● 症状固定になっていない
● 症状固定してから受診した
● 後遺症がないと判断された
● 病院のルールで診断書の発行基準が厳しい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
診察が十分にできていない
医師が診断書を発行するためには、正確な診断が必要です。診察が十分でなかったり、症状が後から出てきた場合などは、診断書の作成を断らざるを得ないことがあります。
とくにむち打ちなどの症状は画像検査をしても写らないことも少なくありません。そのため症状がある場合はしっかり言葉で伝えることが大切です。
医師に対して痛みや違和感の部位、程度、いつ頃から感じているかなど、詳しく説明することで、適切な診断につながり、診断書を作成してもらえる可能性が高まります。
治療期間が浅い
後遺症が残っていることを証明する「後遺障害診断書」の場合、治療期間が浅かったり、治療の経緯を把握できていなかったりする場合は断られることがあります。
▲後遺障害診断書とは?
一般的に、医師は患者の症状や治療経過を十分に把握してから診断書を作成します。
そのため、数回の診察だけでは治療経過を判断するのに不十分と考え、診断書の作成を断ることがあるのです。
症状固定になっていない
症状固定とは、治療を続けてもこれ以上の回復を見込めない状態のことです。
▲症状固定とは?
後遺障害診断書の場合、症状固定に達していない場合や、まだ回復する見込みがある場合は診断書を発行できません。
症状固定してから受診した
受診したのが症状固定してからというケースや、極端に受診回数が少ないケースでは、後遺障害診断書の作成を断られることが多いです。
医師が、患者の初期の状態や治療の経緯をほとんど把握していない状況では、交通事故と怪我との因果関係もはっきりしません。
医師としては、交通事故と後遺症との因果関係がわからないものについて、診断書を書くわけにはいかないのです。
後遺障害がないと判断された
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
医師の判断で後遺障害がないと判断されれば、後遺障害診断書は作成してもらえません。
交通事故の後遺症には、骨折による骨の変形など外部から明らかにわかるものだけでなく、神経症状など本人でなければわからないものも多くあります。その場合は治療経過等から医師が判断しますが、医師が神経症状等もないとの判断であればその判断を覆すことは困難でしょう。
病院のルールで診断書の発行基準が厳しい
診断書は保険金や賠償金の算定に使われる資料となるだけでなく、裁判で証拠にもなる重要な書類です。
そのため、不正請求などに悪用される可能性を考慮して、発行の条件を厳しくしている病院もあります。
また、受診者と保険会社がもめている場合、診断書を書いた医師に意見書作成や裁判所への出廷が求められることがあります。こうした状況を避けたいと考える医師や病院が診断書作成を拒むケースもあります。
診断書とは?
▲交通事故治療における診断書の内容と役割
診断書とは、病気や怪我の程度などについて、診察した医師が作成する公的な書類です。
診断書を作成できるのは医師だけで、接骨院(整骨院)の施術者である柔道整復師は診断書を作成することができません。
診断書には主に以下のような内容が記載されます。
● 傷病者の基本情報
● 傷病名
● 症状の詳細・今後の見通し
● 治療開始日
● 治療期間
● 作成年月日
● 病院名
● 医師名
診断書は目的に応じて内容や形式が異なり、交通事故用、保険会社提出用、後遺障害認定用など、さまざまな種類があります。
診断書作成にかかる費用は、病院によって異なりますが、1通あたり3,000円から5,000円程度が相場です。
診断書の発行にかかった費用は、交通事故による損害として加害者側へ請求できます。一時的に立て替えなければならないときは、領収書を保管しておきましょう。
交通事故における診断書の役割とは?
交通事故における診断書は、被害者の権利を守るうえで重要になる文書です。診断書は主に3つの場面で必要となります。
①警察署への人身事故の届出において必要です。
診断書を提出することで、事故が人身事故として処理され、補償の請求ができるようになります。
②保険会社への治療費・賠償金請求の際に必要です。
医師の診断を証明する書類があれば、事故による怪我だと証明することができます。
③後遺障害が残った場合の後遺障害等級認定の申請では、後遺障害診断書が必要です。
後遺症に対する補償を受けるために欠かせない書類となります。
①警察署に人身事故として届けるため
交通事故で怪我をした場合、人身事故として警察に届け出ることが大切です。
交通事故には物損事故と人身事故があります。
▲物損事故と人身事故の違い
人身事故として届け出るのが重要な理由は、怪我をしているのに物損事故として処理されると、後の損害賠償金の請求に大きな影響が出るためです。
とくに慰謝料などの精神的損害の賠償は、人身事故として認められてはじめて請求できるようになります。さらに、人身事故の方が物損事故よりも賠償額が高くなることも理由の一つです。
人身事故として届け出る際には医師の診断書が必要となります。
提出のタイミングは、事故発生から7〜10日以内の提出が望ましいです。時間が経つほど事故と怪我の因果関係は証明しにくくなります。
もし、物損事故として処理された後でも、人身事故への切り替えは可能なため、7~10以内を目安に届出を行いましょう。
②保険会社に治療費や賠償金を請求するため
交通事故の治療費や損害賠償を請求する際にも、診断書が必要です。
保険会社との交渉では、怪我の程度や治療期間を証明できる診断書がなければ、適切な補償を受けることが難しくなります。
診断書の提出先は加害者の保険加入状況によって異なります。加害者が任意保険に加入している場合は任意保険会社に、加入していない場合は自賠責保険会社に提出します。
任意保険会社の場合は、診断書の取得手続きも保険会社が行ってくれることが多いです。被害者は同意書を提出するだけで済みます。
一方、自賠責保険への請求の場合は、被害者自身が診断書の作成を依頼し提出する必要があります。この場合、自賠責保険会社が指定した書式を使わなければならないため、事前に取り寄せておくことが大切です。
▲自賠責保険とは?
いずれの場合も、損害賠償請求には3年の時効があるため、早めに請求手続きを進めましょう。
③後遺障害認定の申請をするため
交通事故による怪我が完治せず後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受けるために「後遺障害診断書」が必要になります。
後遺障害等級認定は、事故で残った症状を後遺障害として認定するための手続きです。症状の程度を1〜14級に分類し、程度に応じて賠償金を受け取れます。認定を受けなければ、後遺障害に対する損害賠償請求はできません。
後遺障害診断書は症状固定(これ以上の回復が見込めない状態)となった後に作成され、保険会社から取り寄せた指定の書式を医師に記入してもらう必要があります。
自身での手続きが難しい場合は、弁護士に依頼することも可能です。弁護士は医師とのやり取りや、診断書の内容についてのアドバイスも行ってくれるため、後遺障害がある場合は専門家への相談を検討するとよいでしょう。
整形外科で診断書を書いてもらうにはどうしたらよいか
整形外科で診断書の作成を断られた場合、途方に暮れてしまう方も多いでしょう。
しかし、諦める必要はありません。診断書の作成を断られたときは、以下の方法で対処してみてください。
● 診断書が必要な理由を説明する
● 他の医療機関に作成を打診してみる
● 弁護士への相談を検討する
それぞれ見ていきます。
診断書が必要な理由を説明する
まずは、何のために診断書が必要なのかをしっかり説明することが大切です。警察への提出用なのか、保険会社への提出用なのか、後遺障害の認定のためなのかを明確に伝えます。
先述のとおり、医師の側にも発行できない理由があるため、発行できない理由を聞くことも大切です。
医師が「診断書を出すタイミングではない」と言っている場合は、通院を続けることで診断書を書いてもらえる可能性があります。あらかじめ「どのくらい通院すれば診断書を出してもらえますか」と事前に確認しておくと安心です。
また、医師法第19条では、医師は診断書の交付を求められた場合に正当な理由がなければ拒んではならないとされています。
医師と患者で意思疎通がうまく取れていない事も考えられますので、診断書を発行してもらえない理由が不明確な時は、率直に理由を聞いて対処するとよいでしょう。
他の医療機関に作成を打診してみる
後遺障害診断書の作成で、どうしても主治医に後遺障害診断書を作成してもらえないときは、他の医療機関での作成も検討してみましょう。手術を担当した病院が他にある場合には、そちらの医師に作成を依頼するのもよいでしょう。
また、転院する場合は既存の病院に紹介状を発行してもらいしっかりと転院の手続きを踏んで転院するようにしましょう。何度も病院を変更するのは難しいのでよく検討するようにしましょう。
弁護士への相談を検討する
弁護士に相談するというのも、選択肢の一つです。
弁護士から医師に依頼することで、医師がすんなりと応じてくれる可能性もあります。交通事故の事件を専門としている弁護士であれば、医師と提携している場合もあるでしょう。
また、交通事故の被害者さんであれば自身の保険等についている「弁護士特約」を使う事で、弁護士への依頼費用をまかなう事ができます。
まとめ
整形外科で医師が診断書を書いてくれないときは、何かしらの理由があるはずです。診断書を断られた理由が明確でない場合は、しっかりと理由を確認し対処をしていきましょう。
また、担当医と直接話をしても解決しない場合は、違う病院や弁護士への相談も考えてみましょう。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
この記事の執筆者
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