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事故後の通院をやめるタイミングとは?長引く治療に終止符を打つ方法

監修記事

鍋谷 萌子

ビジネス実務法務検定3級

交通事故で怪我を負った後、治療費がかさんでしまった経験はありませんか?そのような状況に直面した人々は、自己判断で通院をやめてしまうことも少なくありません。しかし、適切なタイミングで通院を終了することは、健康と将来の生活に大きな影響を与える可能性があります。

この記事では、治療費の負担に悩むあなたに対して、通院をやめるタイミングに関する重要な知識をお伝えします。なおここでは、主に「交通事故で怪我を負った人」を対象としてお話します。治療費の負担に悩む人にとって、通院をやめるかどうかの判断をする上での重要な参考になるでしょう。

費用がかさんで通院をやめるのはあり?

費用がかさんで通院をやめるのはあり?

「交通事故で怪我を負った。治療をしていたが、治療費用がかさんで生活費を圧迫してきたので、治療を途中でやめたい」と考える人は少なからずいます。しかしこれは危険な考え方です。

なぜなら、途中で勝手に治療をやめてしまった場合、保険会社が「この人は治療の必要がなくなったのだ」と判断して、治療費の支払いを打ち切る可能性が高くなるからです。治療費の支払いが打ち切られれば、本来は治るまで治療を続けられるはずだった怪我を治すことができず、のちのちまで苦しむことになりかねません。

治療を終わらせるタイミングは、基本的には「治療が終わり、怪我が完治した」あるいは「これ以上治療を行っても、症状の改善が見られないと判断された(後述します)」ときです。このような判断が医師から下されるまでは、しっかりと病院に通い続けましょう。

交通事故の通院終了のタイミングは完治もしくは症状固定の時期

上でも軽く触れましたが、交通事故によって受傷した場合の治療終了のタイミングは、「怪我が完治した」もしくは「これ以上治療を続けても、改善が見込めないと判断された」場合です。

後者は特に「症状(が)固定した(状態)」と呼ばれています。たとえば交通事故で四肢やその一部を切断することになった場合、失われた部位を完全に再生することはできません。そのため、切断した部分の処置や、集中的な治療が必要とされる時期が終わったら「症状が固定した」と考えられます。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

症状が固定したと判断された場合は、それ以上治療を続けても改善が見込めないため、この段階で「治療が終わった」「通院の必要がなくなったため、治療費を支払い続ける理由がなくなった」と判断されます。

通院をやめるかは医師が判断する

上でも軽く述べましたが、完治したという判断も、症状が固定したという判断も、下せるのは医師だけです。保険会社がこのような判断を下すことはできません。

そのため、通院の必要性などに関しては、医師による診察と診断が必要になります(ただし患者側から、「まだ痛みが続いている」などのように医師に相談することはできます)。

関連記事追突事故の怪我で通院することに…通院期間と慰謝料の関係を解説!

事故で通院を勝手にやめたらどうなる?気になるデメリット

事故で通院を勝手にやめたらどうなる?気になるデメリット

通院を自己判断で勝手にやめてしまった場合、以下のようなデメリットが生じます。

  • 治療費の支払いを受けられなくなる
  • 慰謝料を受け取れなくなる
  • 後遺障害等級を受けられなくなる

1つずつ見ていきましょう。

治療費の支払いを受けられなくなる

治療費の支払いは、あくまで「治療のために通院をしている場合(治療が必要な場合)」に支払われるものです。通院をやめてしまった場合、「もうこの人は治療の必要がないのだ」と判断されて、治療費の支払いが打ち切られる可能性が非常に高くなります。

その結果として、長く痛みに悩まされたり、日常生活に不便を感じるようになったりすることもあります。

加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されたらどうする?

▲加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されたらどうする?

慰謝料を受け取れなくなる

交通事故の被害者となった場合、加害者や保険会社から慰謝料が支払われます。この「慰謝料」は、怪我を負ったことへの精神的苦痛をフォローするために支払われるものです。

なおこの「精神的苦痛」は、被害者個人の感情による訴えではなく、通院日数などのような客観的な数字によって判断されるのが一般的です。見方を変えれば、治療途中で通院を打ち切った場合は、それだけ精神的な苦痛も少なかったと考えられ、もらえる慰謝料の総額が引き下げられる可能性があるということです。

後遺障害等級認定を受けられなくなる

交通事故によって後遺症が残った場合は、「後遺障害認定」を受けることが非常に重要となります。この後遺障害認定を受けることで、後遺障害が生じたことによる慰謝料や、逸失利益(事故がなければ得られたはずの利益のこと)の補填を請求できるようになるからです。

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

しかし勝手に通院をやめてしまうと、「この人は後遺障害が出るような怪我は負っていなかった」と判断されてしまいます。その結果として、本来はもらえるはずだった慰謝料や逸失利益を得られなくなる可能性が高くなります。

交通事故の治療を続けるためには「診断書」が必要

治療をやめるタイミングは、あくまで「その治療が完了したとき」です。そのため、相手側の保険会社から打診などがあった場合であっても、担当する医師が「治療継続の必要がある」と判断した場合は、治療を続ける必要があります。

なおこの際には、医師からの診断書を交付してもらうようにします。診断書は医師が「治療の継続がある」とした証拠となるものであり、強力な効果を発揮します。

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

ちなみにこの「診断書」は、医師以外には出すことはできません。接骨院などでは出してもらえないものなので、この点もあわせて注意しておきましょう。

治療費が負担なら保険会社と内払金の交渉を行う

「治療を続けなければならないが、治療費の負担が大きい」という場合は、保険会社と交渉して内払金などの支払いを求めるとよいでしょう。これは示談成立前に、交通事故によって負った損害に対する賠償を求められるものです。これを受ければ、金銭面での不安なく治療を続けることができるでしょう。

交通事故による通院をやめるに関するFAQ

交通事故による通院をやめるに関するFAQ

ここからは、「交通事故と通院」に関するよくある質問とその答えについて記します。

  • 通院すればするほど慰謝料は増えるのか
  • 通院が終わった後の流れとは
  • 示談成立までにかかる期間はどれくらい?
  • 通院が終了したら、保険会社に連絡する必要はあるのか

それぞれ見ていきます。

通院すればするほど慰謝料は増えるのか?

交通事故の被害者となった場合の慰謝料の算定には、「どれくらいの日数、通院しなければならなかったか」が考慮されます。しかし毎日通院したからといって、その分だけ慰謝料が増えるわけではありません

また、必要以上に通院した場合は、過剰診療とみなされて治療費の支払いを受けられなくなることがあります。

関連記事交通事故で起こりやすい怪我とは|治療先や慰謝料も解説!

通院が終わった後の流れとは?

交通事故で怪我を負った場合の流れは、以下のとおりです。

  • 事故が起きる
  • 通院(入院)によって治療を開始する
  • 完治あるいは症状固定までの間、治療を続ける
  • 示談交渉を行う
  • 示談金を受け取る

なお、怪我をした状況でこれらのやりとりを一人で行おうとするのは非常に大変です。また、感情的なあつれきが生じて、話し合いが難航する場合もあります。そのため、保険会社や弁護士など専門家を介して手続きを行うのが現実的です。

示談成立までにかかる期間はどれくらい?

交通事故の示談交渉とは交通事故の加害者と被害者が和解の為に行う話合いのこと

▲交通事故の示談交渉とは

交通事故によって示談交渉が必要になった場合、その交渉にかかる期間はおおよそ1か月(物損)~半年(人身)程度です。そして示談が成立してから示談金が振り込まれるまでの平均的な期間は、2週間程度であることが多いといえます。

POINT

あくまで一般的な目安

ただしこれは、あくまで一般的な目安にすぎません。ケースによっては、示談成立まで数年かかることもあります。なお、こじれることが予想される場合は、初めから専門家である弁護士の力を借りた方がよいでしょう。

通院が終了したら保険会社に連絡する必要はある?

交通事故による受傷での通院が終了したら、相手方の保険会社に連絡をする必要があります。これは、加害者側に対して損害を補うための支払いを請求するために行うものです。

なお、まだ治療が終わっていないあるいは症状が固定していない状況であるにも関わらず、相手の保険会社が「通院を終了するように」などの請求をしてきた場合は、毅然と対応することが重要です。

事故で通院をやめる前に相談を

事故で通院をやめる前に相談を

「事故で怪我を負ったが、通院を続けるためのお金がない」「加害者側の保険会社から、治療費の打ち切りを打診された」という場合でも、治療完了あるいは症状が固定するまでは通院をし続ける必要があります。

途中で通院をやめてしまうと、後々まで怪我に苦しめられたり、もらえるはずだったお金をもらえなくなったりするからです。また、このような状況に陥ったときは、早めに専門家に相談してください。

この記事を監修したのは…

交通事故関係、弁護士事務所・クリニック等でのコラム執筆を数多く経験。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「誰であっても理解できるかたちで」わかりやすく丁寧に解説していきます。

この記事の執筆者

ライター / 鍋谷 萌子
ビジネス法務検定資格取得者。赤本を元に交通事故関係の記事を多数作成してきました。弁護士事務所・クリニックなどでのコラム作成経験が非常に豊富です。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「だれであっても理解できるかたちで」、分かりやすく丁寧に解説していきます。

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