腰椎捻挫の後遺症を証明できる7つの検査とは?等級認定のコツも紹介
交通事故で負った怪我の痛みが残った場合は、後遺障害等級認定を受けるべきです。しかし、後遺障害等級認定で妥当な等級を認定してもらうには、適切な検査を受ける必要があります。
そこで今回は、腰椎捻挫による障害を調べるための検査について解説していきます。
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目次
腰部の後遺症を立証するための検査とは
交通事故による腰椎捻挫は、後遺症が残ることもあります。後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益といった損害賠償を受け取ることができます。
しかし、後遺障害等級認定は書面のみで、後遺障害の等級に該当するかを審査します。そのため、腰椎捻挫によって後遺症が残っていることを立証する必要があるのです。
しかし、腰椎捻挫によって腰部に後遺症が残ったとしても、外傷があるとは限りません。また、レントゲンやMRIなどの画像検査で、腰部に起こっている異常を発見できない可能性もあります。このような場合は、以下で紹介する7つの検査を受けることをおすすめします。
SLRテスト
SRLテストでは、腰部神経または坐骨神経にあらわれる、神経の障害の有無を確認することができます。SLRテストの手順は、以下の通りです。
- 足を伸ばしたまま仰向けに寝る
- 伸ばしたままの足を上に持ち上げていく
上記の手順で床からどの角度まで足を上げられるかで、腰部の障害の有無を判断します。腰椎捻挫でなければ、70°まで足を上げることができます。しかし、腰椎捻挫になると痛みから足が上がる角度が、70°以下になります。
FNSテスト
FNSテストでは、大腿部の神経根にあらわれる、神経障害の有無を確認することができます。FNSテストの手順は、以下の通りです。
- うつ伏せに寝る
- 片足の膝を90°になるように曲げる
- 膝を曲げたまま、股関節を伸ばすようにして足を上げていく
※足を上げる際に、検査する医師が片方の手でお尻の辺りを押さえる
上記の手順で太腿の前面に痛みがあらわれた場合は、大腿部の神経根に障害があると判断されます。
ラセーグテスト
ラセーグテストでは、腰辺りにある神経根にあらわれる、神経障害の有無を確認することができます。ラセーグテストの手順は、以下の通りです。
- 仰向けに寝る
- 股関節と膝関節を90°に曲げる
- 股関節と膝関節を曲げた状態から、膝を徐々に伸ばしていく
上記の手順で、太腿の後ろ側から下腿の後ろ側に痛みがあらわれた場合は、腰辺りにある神経根に障害があると判断されます。
腱反射テスト
腱反射テストとは、筋肉に伸展刺激を与えたときに起こる、筋委縮の反応を確認する検査です。腱をゴム製のハンマーで叩き、反射の程度を確認します。
正常な場合は、膝の頭を叩くと足が跳ね上がります。一方、腰椎捻挫によって神経に異常があらわれている場合は正常な反射が返ってこないため、脊髄または末梢神経に障害があると判断されます。
筋萎縮検査
筋萎縮検査とは、以前よりも筋肉が細くなっていないかを確認するための検査です。腰椎捻挫になってしまうと、痛みやしびれなどをかばいながら体を動かしてしまいます。そのため、動かさない部位の筋肉が細くなってしまうのです。
筋萎縮検査は、視診や触診で行われることもありますが、部位の周径を測定する方法で行うのが一般的です。周径を測定したときに筋肉が細くなっていた場合は、神経に障害があると判断されます。
徒手筋力検査
徒手筋力検査は、筋力の低下の程度を確認するための検査です。腰椎捻挫になってしまい、神経に異常があらわれると筋力が低下するため、徒手筋力検査が行われます。
徒手筋力検査では、以下の指標をもとに検査を行います。
指標 | 内容 |
---|---|
5 | 強い抵抗を与えても、可動域内を完全に動かせる |
4 | 抵抗を与えても、可動域内を完全に動かせる |
3 | 抵抗を与えなければ、重力に対して可動域内を完全に動かせる |
2 | 重力を除けば、可動域内を完全に動かせる |
1 | 筋肉の収縮はみられるが、関節を動かすことができない |
0 | 筋肉の収縮さえも見られない |
上記の指標で「5」以外と診断された場合は、神経に異常があると判断されます。徒手筋力検査は、検査する医師の主観によって評価されるため、注意が必要です。
知覚検査
知覚検査とは、皮膚の感覚器官(※1)に異常があらわれているかを確認するための検査です。針や毛筆などの道具を使い、皮膚に刺激を与える方法で検査を行います。皮膚に刺激を与えても、しびれや痛みなどで感覚が麻痺していた場合、神経に障害があると判断されます。
※1 皮膚の感覚器官とは、触覚や振動覚、痛覚、温度覚、位置覚などのこと。
検査は積極的に受けることが大切
腰椎捻挫の後遺症は、体の内側に起こる異常がほとんどです。腰椎捻挫によって後遺症が残っていることを証明するためにも、上記で紹介した7つの神経学的検査を受けることが大切です。
しかし、病院で行う検査として常に行われる検査ではありません。そのため、医師に神経学的検査を行って欲しいと申し出るようにしましょう。
後遺障害の認定を受けるためのポイント
後遺障害等級認定で妥当な等級を認定してもらうには、神経学的検査の他にも、以下のようにポイントがいくつかあります。
- 画像検査
- 継続的な通院
- 症状が一貫していること
- 過不足のない診断書の作成
画像検査
画像検査は、症状の有無を客観的に確認できる検査です。そのため、腰椎捻挫による後遺症があることを第三者にも伝えることができます。
腰椎捻挫の場合、骨に異常があるわけではないので、レントゲンではなくMRIの検査を受けることをおすすめします。
継続的な通院
腰椎捻挫の後遺障害等級認定において、継続的な通院はとても大切です。長い期間、定期的に通院していた場合、自覚症状があるということを裏付ける証拠になります。また、継続的に通院をしていたという事実が、症状の重さを表す指標にもなります。
腰椎捻挫の場合、週に2~3回通院するのが一般的です。ただし、腰椎捻挫の症状は個々で異なります。したがって、通院先の担当者の指示に従って、通院を続けるようにしてください。
症状が一貫していること
後遺障害等級認定では、事故直後から一貫した症状を医師に伝えることが大切です。
通院してから数ヶ月が経って、新たに症状があらわれたと伝えても、本当に症状があるのか疑われてしまうためです。また、新たにあらわれた症状が、事故によってあらわれた症状か判断をすることは難しいです。そのため、後遺障害等級認定で等級が認定されない可能性が高くなります。
したがって、事故直後から自身の感じている自覚症状を、詳しく伝えておくようにしましょう。
過不足のない診断書の作成
そもそも後遺障害等級認定は、書面主義で行われる審査です。そのため、書類のみで腰椎捻挫の後遺症があることを伝えなければなりません。したがって、医師にしっかりとした内容の後遺障害診断書を作成してもらうことが大切です。
過不足のない診断書を作成してもらうためには、医師とのコミュニケーションが重要です。医師とコミュニケーションがとれていないと、後遺障害診断書に自身の自覚症状がしっかりを反映されない可能性があります。
したがって、適切な後遺障害診断書を作成してもらえるよう、日頃から医師とのコミュニケーションをとることを心がけましょう。
交通事故の後遺障害で認定される等級
後遺障害等級認定で認定される等級は、1~14級まであり、症状に応じて決められています。後遺障害等級認定を申請して等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。
腰椎捻挫の後遺症は、12級または14級の等級が認定される可能性が高いです。
12級について
交通事故にあい、局部に頑固な神経症状が残ってしまった場合、後遺障害12級が認定されます。後遺障害12級が認定されるには、後遺症になってしまった神経症状を医学的に証明しなければなりません。画像検査や神経学的検査で後遺症があることを証明できれば、後遺障害12級が認定されます。
後遺障害12級と認定された場合に受け取れる後遺障害慰謝料の金額は、以下の通りです。
算定基準 | 後遺障害慰謝料の金額 |
---|---|
自賠責基準 | 93万円 |
弁護士基準 | 290万円 |
14級について
交通事故にあい、局部に神経症状が残ってしまった場合、後遺障害14級が認定されます。
後遺障害14級は、12級のように検査結果で異常がみられなくても、後遺症があることを医学的に説明できれば等級が認定されます。つまり、事故の状況や通院頻度、治療内容などから、後遺症が残ることを医学的に説明できなければなりません。
後遺障害14級と認定された場合に受け取れる後遺障害慰謝料の金額は、以下の通りです。
算定基準 | 後遺障害慰謝料の金額 |
---|---|
自賠責基準 | 32万円 |
弁護士基準 | 110万円 |
まとめ
腰椎捻挫の後遺症が残ってしまった場合、神経学的検査を受けることをおすすめします。
神経学的検査を受けることにより、後遺障害等級認定で等級が認定される確率が上がります。しかし、神経学的検査は一般的な検査ではないため、自分から医師に申し出るようにしましょう。
神経学的検査の他にも、後遺障害等級認定を受ける際のポイントがいくつあります。この記事を参考にし、後遺障害等級認定を行ってみてはいかがでしょうか。
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