漫然治療とは?交通事故の治療費が打ち切りにならないためにできること
監修記事
河野 裕也
理学療法士
自転車に乗っていたときのこと。
信号がない道路を渡るために左右確認をしていた。すると、交差点を一時停止せず、直進してきた車にぶつかった。
事故直後は、痛みがなかったのだが、数日後になって痛みが出てきた。そういえば、以前友人が、交通事故でむちうちになったことを思い出した。しかし、むちうちの治療をどう進めていいのかわからない。
こんなお悩みありませんか?今回の記事では、交通事故後の流れやむちうちの症状、治療までを説明します。
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目次
交通事故にあったらすべき6つのこと
初めて交通事故にあったとき何から始めるべきか悩みますよね。やるべきこと6つを簡単にまとめてみました。
警察へ連絡する
そもそも物損事故や人身事故に関係なく、警察に届けを出すことは義務です。警察に届け出を忘れると、3カ月以下の懲役・又は5万円以下の罰金(道路交通法72条1項)になるので注意しましょう。また、警察に届けを出さなければ、交通事故証明書を発行できません。交通事故証明書は、賠償金の請求のときに必要になります。したがって、警察への届け出はしっかりと行いましょう。
※交通事故証明書は、自動車安全運転センターで取得できます。しかし、事故の被害者や加害者しか申請できないので注意しましょう。
相手の連絡先を確認する
最低限、確認しておきたい項目は…。
- 住所
- 名前
- 電話番号
- 免許証
- 車検証
- 名刺
- 相手が加入している保険会社
目撃者を確保し、事故後の現場状況を記録する
目撃者は第三者なので、証言が警察や保険会社に信用されやすいです。したがって、目撃者を見つけたときには、連絡先を聞いておくようにしましょう。
また、事故現場の状況を写真やメモなどで記録しておくことは大事です。記録することによって、当時の状況を鮮明に残すことができ、重要な証拠となります。
保険会社に報告する
交通事故にあった後、加害者側の保険会社に連絡を入れましょう。
交通事故の被害者は、治療費を加害者側の保険会社に請求することができます。したがって、治療をする場合は、保険会社にその旨を伝える必要があります。
医師の診断を受ける
医師の診断を受ける理由は、診断書を書いてもらわなければならないからです。診断書は、人身事故に切り替える場合や賠償金を請求する場合に必要になります。したがって、必ず病院へ行き、診断書を取得してください。
治療を開始する
むちうちの治療を始めて、今ある症状を治していきましょう。むちうちの症状を放置したままにしておくと、後遺症になる恐れがあります。したがって、むちうちの治療をしっかりと行ってください。
交通事故の怪我の通院先と治療
むちうちの通院先は、以下の2つです。
病院・整形外科
医師による治療を受けることができます。
施術は、レントゲンやMRIなどの検査、痛み止めや湿布の処方など
整骨院・接骨院
柔道整復師による施術を受けることができます。
施術は、マッサージや整体、電気療法、牽引など
治療は転院や併用も可能
交通事故の怪我で通院をしていて
「仕事で転勤になったため、通院先を変更したい。」
「今の通院先は、自分に合わないかも…。」
「整形外科も整骨院も両方に通いたい。」
というお悩みがある方。
むちうちの治療で転院することや併用して通院することも可能です。転院や併用する場合の方法を以下にまとめました。
転院する場合は
- 交通事故の怪我の施術(治療)が得意な整骨院、整形外科を探す
- 通院を開始し、転院したい旨を相談する
- 保険会社に連絡をする
併用して通院する場合は
- 整形外科でしっかりと受診し、診断書をもらっておく
- 交通事故の施術を得意とする整骨院(接骨院)に相談する
- 保険会社に連絡する
※併用して通院する場合は、同日に整形外科と整骨院へ通うことはできません。
損害賠償について
交通事故の被害にあい、怪我を負うと加害者に対して治療費や慰謝料などを請求することができます。このような、治療費や慰謝料などを損害賠償(※2)といいます。
交通事故の損害賠償には以下の3種類があります。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
積極損害
積極損害とは、交通事故が原因で出費を余儀なくされたことに対して支払われるもの。
例:治療費、リハビリ費用、手術費用、通院交通費、入院費、装具・器具の購入など
消極損害
消極損害とは、交通事故の被害者にならなければ、得られたはずの利益を補うもの。
例:休業損害、逸失利益
慰謝料
慰謝料いとは、交通事故の被害者が負った精神的苦痛の対価として支払われるもの。
例:入通院慰謝料、後遺障害慰謝料
これらの損害賠償は、人身事故の場合に受け取れます。怪我を負っているのに、物損事故のまま処理されている方は、人身事故への切り替えを行う必要があります。
※2 損害賠償とは、違法行為によって他人に与えた損害を補うこと。
漫然治療とは
漫然治療とは、適正な検査をせず治療にも計画性がなく、客観的に治療の効果が期待できない治療のことをいいます。
例えば、同一のビタミン系の薬や湿布薬をもらい続けたり、頚椎カラーを長期間装着したままであったり、リハビリの内容がマッサージばかりになっていたりすると相手の保険会社が真剣に治療をおこなっていない漫然治療と判断することがあります。
漫然治療と判断された場合には治療費が打ち切られる可能性があります。
通常のむちうちの治療期間
むちうちの症状は、3ヶ月が治療期間の目安です。
しかし、症状が重症の場合は6ヶ月程の治療期間を要する場合もあります。したがって、治療期間はだいたい3ヶ月と覚えておきましょう。
むちうちはしっかりと治療をしなければ、後遺症になることがあります。そのため「完治または症状固定(※1)」になるまで治療を続けることが大事です。
また、症状固定になった場合は、後遺障害等級認定を申請しましょう。後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められれば、後遺障害慰謝料という損害賠償を受け取ることができます。
※1 症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の緩和がみられない状態のこと。(後遺症が残っている状態)
漫然治療に認定されると、治療費が打ち切りになる
損害賠償は、被害者が請求できるものです。
しかし、むちうちの場合は治療開始から3ヶ月過ぎると、保険会社から打ち切りを打診されることもあります。
治療費の打ち切りを打算される理由として、しっかりと通院していないことがあります。通院頻度が少ないと「すでに症状が良くなっているのではないか?」と加害者側の保険会社が疑問を持ち、治療費の打ち切りを考えます。特に理由なく1か月以上間が空いてしまうと打ち切られる可能性が高まります。
また、漫然治療が続いていると真剣に治療していないと判断され、打ち切られてしまう可能性があります。治療費が打ち切られるとその後の治療は自己負担になります。
また、症状が残っている場合でも後遺障害等級が認定されない場合があります。
漫然治療に認定されないためのポイント
漫然治療とは、症状の緩和を目的として、治療を真剣に行っているとはいえない治療のことを指します。そのため、保険会社に漫然治療と判断されないようにしなければなりません。
では、治療費の打ち切りを打診されないためにはどうすべきなのでしょうか。
打ち切りを打診されないよう、以下の2つのことに気をつけましょう。
通院頻度
むちうちの場合、少なくとも週3回は通院して治療をすべきです。
通院頻度が少なすぎると、軽い症状だと思われてしまう可能性があります。軽い症状であれば、すぐに治療が終わるだろうと保険会社も認識してしまうので通院頻度は大切です。
治療内容の説明
漫然治療と判断されないよう、担当医に治療内容をしっかりと説明してもらい、自分に必要な治療か判断することが大切です。
交通事故の治療に対するまとめ
交通事故にあったときの流れから治療に至るまでを説明してきました。
むちうちの治療は、病院・整形外科、整骨院・接骨院を選択することができます。しっかりと治療を行い、むちうちを治してください。
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
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