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むちうちが夜になると痛い…交通事故後の首の痛みを解説

監修記事

河野 裕也

理学療法士

交通事故にあった翌日の朝、目が覚めると首に違和感がある。
日中も違和感が消えず、夜になると痛みが増す。

その症状、もしかしたらむちうちかもしれません。

むちうちは、交通事故直後に痛みがあらわれない場合があります。

また、だるさや吐き気など、「風邪かな?」と勘違いしてしまう症状があらわれるのも、むちうちの特徴の1つです。

この記事では、

  • むちうちってどんな怪我?
  • 治療はどこに行けばいい?
  • どのくらいの期間で治るの?

などについて、詳しく述べています。

むちうちが起こる原因

「むちうち」とは?発症の原因や症状等

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等

むちうちは、交通事故やスポーツの衝撃で、首に不自然な力が加わることで起こる怪我の総称です。首に力が加わる際に、首が鞭のようにしなることから、「むちうち」と呼ばれています。

一般的にはむちうちと呼ばれていますが、正式名称は「頚椎捻挫(けいついねんざ)」や「頚部挫傷(けいぶざしょう)」といいます。

むちうちには種類がある

むちうちの5つの種類と違い

▲むちうちの5つの種類と違い

むちうちには、いくつかの種類があります。

それぞれで、あらわれる症状が異なります。以下では、種類別の症状を詳しく解説しています。

頚椎捻挫型

頚椎捻挫型は、いわゆる首の捻挫のことをいいます。むちうちになると、7~8割の人がこの「頚椎捻挫型」になるといわれています。

頚椎捻挫型の主な症状は、こちら。

  • 首の後ろや肩の痛み
  • 首や肩が動かしにくくなる
  • 首や背中のコリ

バレー・ルー症状型

バレー・ルー症状は、交通事故の衝撃が首の骨を通り越し、自律神経まで傷ついた場合に発症します。

バレー・ルー症状型の主な症状は、こちら。

  • めまい
  • 耳鳴り
  • 息苦しさ

神経根症状型

神経根症状型は、神経を支える根本部分が損傷された場合に発症します。

神経根症状型の主な症状は、こちら。

  • 首や腕の痛み
  • 後頭部や顔面の痛み
  • 腕のしびれやだるさ

脊髄症状型

脊髄症状型は、神経だけではなく脊髄まで損傷が及んだ場合に発症します。脊髄症状型は、むちうちの症状の中でも重症なものといえます。

脊髄症状型の主な症状は、こちら。

  • 下肢のしびれ
  • 知覚障害
  • 歩行障害
  • 排せつが困難になる

首の痛み以外のむちうちの症状

むちうちの症状とは?むちうちが原因で起こる症状の例

▲むちうちが原因で起こる症状の例

交通事故にあった後に、以下のような症状が1つでもあらわれたら、むちうちの可能性が高いです。

  • 体がだるい
  • 以前より眠りにつきにくくなった
  • 朝起きると頭痛がする
  • 首や肩を動かすと痛い
  • 首がひねりにくくなった
  • 天候や気温の変化で症状があらわれる

上記の症状があらわれた場合は、早急に医療機関へ行き、怪我の状態を診てもらいましょう。

むちうちが夜になると痛い理由とは

むちうち 夜になると痛い

寝ている姿勢によって首に負担がかかり夜痛みが強くなることがあります。

基本的に仰向けの姿勢で寝ると背骨がまっすぐになり首への負担が軽減されます。また、寝返りがしにくい枕を使用していると首に負担がかかります。

仰向けになったときと寝返りをして横向きになったときに首の角度がさほど変わらないような枕を使用すると負担を軽減させることができます。

コルチゾールによる影響

炎症を抑えるホルモン(抗炎症ホルモン)にコルチゾールがあります。

このコルチゾールの分泌は朝に最も多く、夜に少なくなる傾向にあります。

これは朝身体を目覚めさせるためと日中の活動するエネルギーを準備するためであり、夜間の分泌量は朝のピーク時の10分の1以下だと言われています。

そのため、夜間はこのコルチゾールの分泌量が減少し炎症を抑える作用が効きにくくなるため夜間に痛みが生じやすくなります。

自律神経による影響

自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあります。

交感神経は日中の活動時に働きやすく、副交感神経は夜睡眠にむけてリラックスしているときに働きやすい神経です。

しかし、自律神経のバランスが乱れてしまい、夜間に副交感神経が有意に働くはずが、交感神経が有意に働いてしまうと痛みが生じやすくなります。

交感神経は筋肉を緊張させたり血管を収縮させる作用があります。そのため、血流が悪くなり組織が酸欠状態となることで痛みが生じやすくなります。

むちうちの通院先

交通事故のむちうちの主な治療先(病院・整形外科、整骨院・接骨院)

▲交通事故のむちうちの主な治療先

むちうちの主な治療先としては、2つ。

  • 整形外科(病院)
  • 整骨院(接骨院)

それぞれの医療機関で、受けられる治療・施術内容が異なります。
一つひとつ、詳しく見ていきましょう。

整形外科(病院)

交通事故後の整形外科受診は①検査(レントゲン・MRI)②診断書の発行③痛み止めや湿布の処方等ができる

▲交通事故後の整形外科受診

交通事故にあったら、まずは整形外科を受診しましょう。

治療内容としては、レントゲンやMRIの検査機器を使って、精密検査を行います。治療を受けても痛みが引かない場合は、痛み止めや湿布の処方をしてくれます。

また、整形外科には医師が在籍しています。整形外科を受診すると、診断書の作成をしてもらえます。診断書は、「この怪我は交通事故によるものです」と証明するための、大切な書面です。

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

診断書の作成を行えるのは、医師のみです。

診断書は、交通事故と怪我との因果関係を明確にするだけではなく、保険金の請求をする際にも必要となります。また、物損事故から人身事故へ切り替えを行う際、警察に提出する必要があります。

整骨院(接骨院)

整骨院・接骨院で受けられる施術の種類

▲整骨院・接骨院で受けられる施術の種類

整骨院では、柔道整復師という国家資格を持った専門家が施術を行います。
手術をしない「非観血的療法(ひかんけつてきりょうほう)」によって施術を行うのが特徴です。

柔道整復師は、整復法固定法後療法という3つの手技を用いて施術を行います。

むちうちの症状は、レントゲンやMRIには写らない場合もあるため、整形外科では異常なしと判断されてしまう場合もあります。

整形外科へ通院を続けても症状が緩和されない場合は、整骨院と併用して通院することもできます。整骨院と併用通院する際は、保険会社からの許可を得てからにしましょう。

交通事故治療で病院と整骨院の併用はできる?

▲交通事故治療で病院と整骨院の併用と注意点

むちうちの治療期間

むちうちの治療を地道に続けていても、「早く治したい!いつ治るの?」というのが被害者の本音ではないでしょうか。

むちうちの治療期間は、一般的には3ヶ月といわれています。

交通事故によるむちうち等の症状で整形外科と整骨院を併用通院した期間

▲交通事故によるむちうち等の症状で通院した期間の集計結果

しかし、むちうちになったすべての人が3ヶ月で治るかといわれたら、そうではありません。衝撃の強さや、体の丈夫さによっては、6ヶ月~1年以上の期間を要する場合もあります。

結果的に、むちうちの治療期間は人それぞれです。大切なことは、治療を怠らず、しっかりと通院を続けることです。

むちうちの治療費はどうなるの?

通院先を考える際に「治療費や通院交通費は誰が支払うの?」という疑問が生まれるかと思います。

交通事故の被害者は、加害者に対して、損害賠償を請求することができます。

損害賠償とは、交通事故で様々な損害を受けた者(被害者)に対して、その損害を与えた者(加害者)が、損害の埋め合わせをすることをいいます。

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

被害者が請求できる損害賠償は3種類

被害者が、加害者に対して請求できる損害賠償は、以下の3つ。

  • 積極損害
  • 消極損害
  • 慰謝料

積極損害とは

積極損害とは、交通事故にあったことによって、出費を余儀なくされた場合に発生する損害のことをいいます。

治療費や手術費、通院交通費などは、積極損害によって補われます。

消極損害とは

消極損害には、休業損害逸失利益があります。

休業損害では、交通事故の怪我によって仕事を休まなければいけなくなった場合の、減少した収入分が補われます。

逸失利益は、交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことで労働能力が低下し、以前より収入が減少した場合の減収分をあらわします。

慰謝料とは

慰謝料とは、交通事故によって被害者が受けた様々な精神的苦痛を、加害者がお金で補ったものです。入通院慰謝料後遺障害慰謝料の2種類があります。

入通院慰謝料は、怪我の治療をするために入通院を強いられたことで、被害者が受けた精神的苦痛をお金で補ったものです。

後遺障害慰謝料は、交通事故による怪我が後遺障害になってしまった場合に、被害者が受けた精神的苦痛をお金で補ったものです。

後遺障害には1級から14級までの等級があり、その等級に応じて支払われる慰謝料の金額もかわってきます。

むちうちが後遺症として残ってしまったら…

交通事故による怪我は、定期的に治療を受けていたとしても症状固定と診断され、後遺症になってしまう場合があります。

後遺症になるとこれまで支払われていた治療費や慰謝料の支払いは行われません。

むちうちが症状固定になったらすべきこと:後遺障害診断書を貰う・後遺障害等級認定を受ける

▲むちうちが症状固定になったらすべきこと

後遺障害等級認定を申請する

後遺症になった後も慰謝料を受け取りたい場合は、後遺障害等級認定を申請する必要があります。

まずは後遺障害等級認定の申請準備をしましょう。

  • 症状固定まで通院を続ける
  • 後遺障害診断書を取得する

「これ以上治療を受けても、症状が良くなる見込みはない」と医師に判断されると、その怪我は症状固定(後遺症)となります。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

症状固定と判断されたタイミングで、医師に後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。

後遺障害診断書を作成してもらう際は、自覚症状を的確に医師に伝え、記載された内容を自身でも確認しましょう。

後遺障害等級認定で必要な条件5つ

後遺障害等級認定で後遺障害の等級を認めてもらうには、以下の5つの条件を満たしていなければ、等級が認定されるのは難しいでしょう。

  1. 治療のために通院を継続的に行っていたか
  2. 後遺症が残るような事故だったか
  3. 症状に一貫性と連続性があるか
  4. 自覚症状が医学的に証明できるか
  5. 症状が後遺障害等級の認定基準を満たしているか

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害等級認定の申請方法は、2つ。

  • 事前認定(加害者請求)
  • 被害者請求

事前認定は、加害者側の保険会社に、後遺障害等級認定の申請手続きのすべてを任せる方法です。

被害者が加害者側の保険会社に後遺障害診断書を提出すると、後の手続きは保険会社が行ってくれます。

被害者は手続きを行う手間を省くことができますが、どのような手続きが行われているのかを知ることはできません。

治療 怪我 通院

被害者請求は、被害者自身が加害者側の保険会社に直接、後遺障害等級認定の申請を行う方法です。

被害者は後遺障害等級認定の申請に必要な書類をすべて自分で集め、加害者側の保険会社に送ります。被害者自身が手続きを行わなければいけないため、加害者請求に比べると時間と労力を費やさなければいけません。

しかし、自分に有利になるように手続きを進めることができるため、後遺障害等級の認定がされやすくなる場合もあります。

むちうちの首の痛みについてのまとめ

交通事故の被害にあうと、7~8割の人がむちうちになるといわれています。

むちうちにはいくつかの種類があり、あらわれる症状は種類によって異なります。まずは整形外科で診断書を取得し、それから怪我の状態に合わせて通院先を選択しましょう。

被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。損害賠償を請求すると、被害者は治療にかかる費用を負担することなく、通院することができます。

この記事を監修したのは…

国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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