もらい事故の修理代は満額受け取れる?事故後の流れと注意点を解説
監修記事

河野 裕也
理学療法士
「もらい事故」は、交通事故の中でも被害者が予期せず巻き込まれることが多いケースです。赤信号で停車中に追突されたり、駐車場に停めておいた車にぶつけられたりなど被害者の過失のない事故です。
この記事ではもらい事故に遭った際の修理の流れや費用の請求、注意点などを詳しく解説します。泣き寝入りせずに適切な補償を受けられるようにしましょう。
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目次
車同士の「もらい事故」とは
車同士の「もらい事故」とは赤信号で停車中に追突されたり、対向車がセンターラインをオーバーしてきて追突されたり、相手が赤信号を無視して突っ込んできたり、駐車場に停車中の車にぶつけられたりなど、被害者は事故を回避することが極めて困難で被害者に過失がなく、加害者の過失が100%である事故のことです。
もらい事故の被害者は精神的、肉体的、経済的に大きな負担を強いられることが多く、治療費や慰謝料、車の修理費など適切な補償を受けることが重要です。
もらい事故に遭った際の修理の流れ
もらい事故に遭った場合、適切な対応をとることが重要です。
特に車の修理の流れは少し複雑になっており、警察や保険会社に連絡をし、怪我をしている場合には医療機関を受診してから事故車を修理工場へ運び、修理費用の見積をとってから示談交渉して損害賠償金を受け取るといった流れになります。
それぞれについて詳しく解説していきます。
①警察に連絡する
交通事故に遭ったら、まずは自身の怪我や同乗者の怪我、相手の怪我の状態を確認し、負傷者がいれば救護活動をします。
その後すぐに警察に連絡をしましょう。警察への連絡は法律で義務付けられています。警察への連絡を怠ると罰則を受ける可能性があります。
また、警察による現場検証と実況見分によって事故の状況が正確に記録され、適切な過失割合を判断することが可能となります。これは後日、損害賠償請求などを行う際に重要な証拠となります。
▲過失割合とは?
警察の記録がない場合、保険会社との示談交渉などが難航する可能性もあるため必ず警察を呼ぶようにしましょう。
②保険会社に連絡する
相手方が保険に加入している場合は保険会社に連絡をしてもらいましょう。通常相手方の保険会社が車の修理費に対応することになります。
また、ご自身が加入している保険会社があれば、こちらも速やかに連絡をしましょう。保険会社は事故の状況に応じて適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
使用可能な保険や補償内容、弁護士費用特約などが使えるか確認をします。弁護士に依頼することで、相手側の保険会社とのやりとりをお願いすることでスムーズな解決が期待できます。
保険会社に連絡をする際は事故の状況、相手方の情報、警察への連絡状況などを伝えると良いでしょう。
③医療機関を受診する
▲交通事故後の整形外科受診
交通事故に遭った場合、症状が軽度でも必ず医療機関を受診しましょう。
事故直後は症状が軽くても後から痛みやしびれなどが強く出てくることがあります。整形外科などの病院を受診しレントゲンやMRIなどの検査、医師の診断をしっかり受けましょう。
また、怪我と交通事故の因果関係を証明する診断書を警察や保険会社に提出する必要があり、この診断書は医師のみ発行することができます。
そのため、整骨院や接骨院ではなくまずはじめは整形外科を受診するようにしましょう。
後遺症が残ってしまった場合には後遺障害等級認定を受けることで適切な補償を受けることができますが、これにも診断書が必要となります。
医師監修交通事故後の病院受診は何科?症状別の診療科、受診の流れを解説
④修理工場に事故車を運ぶ
事故車は修理工場に運び、修理の見積を出してもらいましょう。自走不能な場合はレッカー移動が必要となるため保険会社へ連絡をして対応してもらいます。
修理工場はその車のディーラーや修理専門工場など信頼できる業者を選ぶことが大切です。修理工場に心当たりがない場合には保険会社に相談して紹介してもらうのも良いでしょう。
修理工場では車両の損傷状況を確認し、修理に必要な部品や工賃などを計算して見積を出します。修理期間やその間の代車の有無なども確認しておきましょう。
修理費用の見積が遅れると、示談交渉が長引く可能性もあるため修理工場へはなるべく早期に運ぶ必要があります。
⑤修理費用の見積もりを取る
修理工場で修理費用の見積を取ったら修理費用の内訳を確認しましょう。修理費用の見積は損害賠償請求の基礎となります。見積の内容に不明な点があればすぐに修理工場に確認をしましょう。
修理費用の見積は損害賠償請求の際に相手方の保険会社に提出する重要な書類です。この見積を元に修理工場とアジャスターが協議をして修理費用が確定します。
その際に注意しなければならない点として、工場から見積だけで手数料を請求されたり、保険会社と工場の見積が一致せず修理範囲や金額で争いが生じる可能性があります。その場合には保険会社と示談交渉で金額を協議しなければならなくなります
⑥示談交渉して損害賠償金を受け取る
▲交通事故の示談交渉とは
修理費用の見積が出たら、相手方の保険会社と示談交渉を行います。示談交渉では修理費用の他に代車費用や慰謝料などの損害賠償金についても話し合います。
示談が成立したら示談書を作成し、損害賠償金を受け取ります。
示談交渉では専門的な知識や交渉力が必要な場合があり、賠償金額や過失割合について争いが生じ、難航する可能性もあります。
そのため、示談交渉を弁護士に依頼することでより有利な条件で示談を進め、適切な損害賠償金を受け取ることができます。
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もらい事故の修理代は加害者が負担
もらい事故の場合、修理代は基本的に相手方の保険会社が負担することになります。被害者側の過失がゼロであるため、被害者は自己負担なく車の修理を行うことができます。
しかし、修理代が車の時価額を超える場合には全額が補償されないことがあります。これは車の時価額を超える修理に対して経済的に合理性がないと判断される可能性があるため注意が必要です。
損害賠償の対象となるのは車の修理代、治療費、通院費、慰謝料、休業損害など多岐に渡ります。しっかりと知識を持ち、適切な補償を受けられるようにしましょう。
▲交通事故の損害賠償の内訳
分損の場合は満額補償
車の損傷が一部分にとどまり、修理費用が車の時価額を下回る「分損」の場合、修理代は満額補償されます。
例えば車の時価額が100万円で修理費用が80万円の場合、修理代80万円は全額補償されることになります。
分損の場合は修理によって元の状態に戻すことができるため、修理代全額が補償されます。
全損の場合は時価額まで補償
車の損傷が大きく、修理費用が車の時価額を上回る「全損」の場合、修理代は車の時価額までしか補償されません。
例えば車の時価額が100万円で修理費用が120万円の場合、修理代は100万円までしか補償されません。残りの20万円は自己負担となります。
全損の場合は修理によって元の状態に戻すことが困難であるため、車の時価額が上限となります。時価額は年式や走行距離、車種、状態などによって異なります。
もらい事故で申請できる修理代以外の費用
もらい事故では修理代以外にも申請できるものがあります。
損害賠償には物損事故と人身事故の大きく2つに分けられ、車関係で請求できるものは物損事故になります。
修理代以外の費用には代車費用やレッカー費用、車両保管費用、積載物損害、評価損、休車損害などがあります。これらについて詳しく解説していきます。
代車費用
修理期間中に代車を利用した場合、代車費用を相手方の保険会社に請求することができます。
代車費用はレンタカー料金相当額が一般的です。代車費用は修理期間中の交通手段を確保するために必要な費用となります。
しかし、修理が長引いたり公共交通機関で代用できると判断された場合は支払いを打ち切られたり請求できなかったりする可能性もあります。
レッカー費用
事故車が自走できない状態の場合。修理工場までレッカーで移動しなければなりません。
その際のレッカー費用を請求することができます。レッカー費用は移動距離や車種によって異なりますが、一般的には1〜3万円程度が相場となります。
長距離のレッカー移動ではその必要性や妥当性で争いになることもあり、認められない可能性もあるため事前に保険会社と調整しておく必要があります。
車両保管費用
事故車は工場に一時的に預かってもらうことになります。
修理が前提であれば無料で保管してもらえることが多いですが、修理するか買い替えるかを決めていない状態で預かってもらうには車両保管費用がかかります。これも請求することが可能ですが、必要と認められる範囲に限られます。
車両保管費用は保管場所や期間によって異なります。
積載物損害
事故により、車に積んでいたものが破損した場合は積載物損害を請求することができます。
積載物損害は破損した物の時価額が補償されます。積載物の種類や状態によって損害額が異なります。
事故車に同乗していたペットが怪我をした場合にはその治療費も請求することができます。
よくあるトラブルでは事故の前から壊れていたのではないかと疑いを持たれることがあります。損害状況を写真などで保存しておくと良いでしょう。
評価損
事故車は事故歴が残るため、その車の価値が事故を起こしていない車に比べて下がってしまう可能性があります。
特に事故車を売ろうと下取りに出すと大幅に額が下がる可能性があります。その下がってしまった分は請求することができます。
評価損の費用は修理費用の10~30%が相場となっています。
休車損害
事故車が仕事で使用する営業車などであった場合、使用できないことで損害を被るため休車損害を請求することができます。
休車損害は営業車であれば休業期間中の逸失利益が補償されます。他の営業車が使用できる場合には逸失利益が請求できない可能性があるため注意しましょう。
関連記事もらい事故で自分の保険は使う?利用するケースやデメリットを紹介
示談交渉で泣き寝入りしないための交渉ポイント
示談交渉は専門的な知識やうまく交渉を進めないと適切な補償を受けられない可能性があります。
そのため、保険会社の提示した金額に安易に同意しないこと、もらい事故でもらえる金額の相場を把握しておくこと、弁護士に相談や依頼をするなど示談交渉で泣き寝入りしないためのポイントを解説します。
保険会社の提示した金額に安易に同意しない
保険会社は自社の負担を抑えるために、低い金額を提示してくることがあります。提示された金額があたかも相場のように言ってくる場合や高圧的な態度を取られることもあります。
法律の知識や交渉など一般の人には難しいことが多く、保険会社の提示した金額に安易に同意してしまうと本来受けられる適切な補償が受けられない可能性があります。
提示された金額が適切なものなのか判断しにくい場合は示談書にサインをする前に弁護士などの専門家に相談して判断しましょう。弁護士は法律に基づき、適切な賠償額を算出して交渉を有利に進めてくれます。
もらい事故でもらえる金額の相場を把握しておく
もらい事故でもらえる金額の相場を把握しておくことで、保険会社の提示額が妥当かどうかを判断することができます。車の時価を調べたり市場で取引されている同じ車種や年式、走行距離の車を探しておくと良いでしょう。
また、弁護士や交通事故紛争処理センターなどに相談すると把握することができます。
もらい事故の損害賠償額は事故の状況や被害者の状況によって異なります。弁護士や交通事故紛争処理センターに相談することで自分のケースにおける適切な賠償額を知ることができます。
弁護士に相談・依頼する
示談交渉が難航する場合や提示された金額に納得できない場合は弁護士に相談や依頼をすることを検討しましょう。
弁護士は法律の専門家として適切な賠償額を受け取れるように尽力してくれます。弁護士は示談交渉の代理人として代わりに保険会社と交渉することもできます。
加入している保険に弁護士費用特約があれば弁護士費用が補償されます。
▲弁護士特約とは?
弁護士費用特約がない場合は自費で依頼することになりますが、弁護士費用を支払っても賠償金でプラスになることもあるため、無料相談があれば一度相談してみると良いでしょう。
まとめ:もらい事故の修理代は損害賠償で補償してもらえる
もらい事故に遭った場合は修理代は損害賠償で補償してもらえます。
しかし、適切な対応を取らなければ十分な補償を受けられない可能性があります。適切な対応と知識を持つことが重要です。
また、示談交渉で不利にならないためにも弁護士などの専門家に相談をするなどしてサポートを受けることも検討しましょう。泣き寝入りせずに適切な補償を受けられるようにしましょう。
〈参考文献〉
経済産業省 自動車事故における損害調査業務(査定)などについて:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/jidosha_wg/pdf/037_b04_00.pdf
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
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