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整形外科が後遺障害診断書を書いてくれない理由は?具体的な対処法を解説

監修記事

伊藤 実(てん@法律関係ライター)

弁護士資格保有

交通事故での治療を終え、後遺障害認定の申請を行うには後遺障害診断書が必要です。後遺障害診断書は、一般的な診断書ではなく後遺障害認定のための特別の診断書のため、整形外科によっては、書いてくれない場合もあります。

「後遺障害診断書は一般的な診断書と何が違うのか?」、「診断書を書いてもらえない場合にはどうしたら良いか?」とお困りの方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、後遺障害診断書とは何かについて紹介したうえで、後遺障害診断書を書いてもらう方法を解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

整形外科で書いてもらう後遺障害診断書とは

後遺障害認定の条件5つ

▲後遺障害認定の条件5つ

交通事故では、治療終了後も後遺症が残ってしまうことがあります。後遺症が残った場合には、それについて後遺障害認定がされることで、後遺障害慰謝料逸失利益などの賠償を受けられます。

後遺障害診断書は、この後遺障害認定のために必要な書類です。

交通事故後に後遺障害等級認定の審査を受けるために提出する

後遺障害診断書は、後遺障害等級認定のための特別な診断書です。後遺障害認定の手続きでは、所定の書類を用意しなければならず、その1つが後遺障害診断書です。

後遺障害診断書には、後遺症が残った箇所、具体的な症状、治療期間中の通院日数など詳細な情報が記載されます。

例えば関節の機能障害が残る場合には、可動域も記載されるなど、後遺障害診断書の書式に従って記載すれば、後遺障害認定の判断に必要な事項が埋められるようになっています。

通常の診断書とは異なる

後遺障害診断書は、交通事故に遭った直後に作成されることが多い通常の診断書とは異なります。

通常の診断書は、交通事故に遭った直後の状態が記載されたものです。交通事故で怪我をした人は、警察や保険会社に診断書を提出し、事故の捜査や保険の手続きが行われます。

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

一方、後遺障害診断書は、交通事故での治療を終えた後に作成されるもので、通常の診断書より具体的な症状や、治療の経緯、治療期間などが記載されます。

関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!

整形外科の医師が診断書を書いてくれないのはなぜ?

整形外科で書いてもらう後遺障害診断書とは

後遺障害診断書を作成するには、通常は交通事故の治療を行った主治医に依頼することになります。しかし、医師によっては、後遺障害診断書の作成を拒むケースもあります。

ここでは、医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由として考えられるものを紹介します。

固定症状に達さず回復の見込みがあるため

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

後遺障害診断書は、症状固定となった後で作成されるものです。

交通事故の治療では、症状が完治しなくても保険適用での治療が終了となるケースがあります。治療を継続しても症状の回復が見込めない場合は、症状固定と判断され、交通事故の治療は終了します。

逆を言えば、治療の継続により回復の見込がある場合には、症状固定とはなりません。

後遺障害診断書は、症状固定とならなければ作成できないため、医師の判断で回復の見込があれば後遺障害診断書は書いてもらえないでしょう。

治療期間が浅いため

後遺障害診断書を作成するには、治療の経緯を把握していなくてはなりません

転院などのケースで、医師が治療の経緯を把握していない場合には、後遺障害診断書の作成を拒まれることがあるでしょう。

初めから同じ医師が診ている場合であっても、事故発生から期間が間もないなど、そもそもの治療期間が浅い場合にも、後遺障害診断書を書いてもらうのは難しいです。

関連記事交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説<弁護士監修>

症状固定してから受診したため

受診したのが症状固定してからというケースや、極端に受診回数が少ないケースでは、後遺障害診断書の作成を拒まれることが多いでしょう。

医師が初期の状態や治療の経緯をほとんど把握していない状況では、交通事故と受傷との因果関係もはっきりしません。

医師としては、交通事故と後遺症との因果関係がわからないものについて、診断書を書くわけにはいかないでしょう。

関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!

後遺障害がないと判断されたため

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

医師の判断で後遺障害がないと判断されれば後遺障害診断書は作成してもらえません。

交通事故の後遺症には、骨折による骨の変形など外部から明らかにわかるものだけでなく、神経症状など、本人でなければわからないものも多いです。外部から見えない症状については、治療経過などから判断するしかなく、医師により神経症状もないと判断されるのであれば、それを覆すのは難しいでしょう。

争い事に関わりたくないと思われているため

受診者と保険会社がもめている場合には、診断書を書いた医師に意見書の作成や裁判所への出廷が求められることがあります。

保険会社ともめていることを医師が把握している場合などは、争いごとに関わりたくないと考えて、後遺障害診断書の作成を拒むことは十分に考えられます。

整形外科で診断書を書いてもらうにはどうしたらよいか

診断書を書く医師

医師に後遺障害診断書の作成を拒まれてしまったとしても、泣き寝入りしてしまっては後遺障害認定の申請すらできなくなってしまいます

ここでは、作成を拒まれた場合の対応策をいくつか紹介していきます。

あくまで今の状態を書いてもらいたいだけと伝える

医師により後遺症がないと判断された場合や、医師が治療の経緯を把握していない場合には、今の状態だけでも記載して欲しいと伝えてみましょう。

後遺障害認定を行うのは自賠責保険であり、医師ではありません。医師が後遺障害に該当しないと考えるケースでも、自賠責保険が後遺障害と認定することは十分に考えられます。

自賠責保険とは、自動車やバイクを所有する全ての人に、加入が義務付けられている強制保険。交通事故の被害者の救済が目的で、補償対応は人身事故の被害者。そのため、物損事故あ対象外となる。また、請求できる賠償金には限度額が定められている。

▲自賠責保険とは?

後遺障害診断書は、後遺障害に該当するか否かの結果を記載するものではなく、あくまで今の症状について記載するものです。

他の医療機関に作成を打診してみる

主治医がどうしても後遺障害診断書を作成してくれないときは、他の医療機関で作成してもらうのも1つの方法です。

手術を担当した病院が他にある場合には、そちらの医師に作成を依頼するのも良いでしょう。事情を説明したうえで、他の医療機関で少しの期間治療を受けてから後遺障害診断書を作成してもらう方法もあります。

弁護士への相談を検討する

当事者同士の話では前に進まないときには、弁護士に相談するのも1つの方法です。

弁護士から医師に依頼することで、受診者からの依頼では応じなかった医師がすんなりと応じてくれる可能性もあります。交通事故の事件を専門としている弁護士であれば、医師と提携している場合もあるでしょう。

POINT

診断書を書いてもらうには

診断書を書いてもらうには、以下の3つから方法を選んで動き出しましょう。
・理由を伝える
・他の医療機関に依頼する
・弁護士に相談する

整形外科で診断書を書いてもらったらいくらかかるのか

整形外科で診断書を書いてもらったらいくらかかるのか

診断書の作成料については、一律の規定はありません。そのため、病院によって作成料はさまざまです。

一般的には、2,000円~10,000円程度の病院が多いです。

診断書は全額自己負担

診断書の作成料は、保険対象外となるため全額自己負担となります。

ただし、加害者側の保険で治療をしていた場合には、後遺障害診断書の作成料も、保険会社が支払ってくれることがほとんどです。

それ以外の場合でも、後遺症認定がされれば、加害者に対して診断書の作成料を請求できます。

まとめ

ポイント,注意点

後遺障害診断書は、後遺障害申請のために欠かせないものです。医師が作成に応じてくれない場合でも、簡単に泣き寝入りすべきではありません。

医師がどうしても作成に応じてくれない場合には、弁護士を利用してみることをおすすめします。

この記事を監修したのは…

元弁護士の経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題を中心に執筆活動を行う。弁護士時代には、交通事故、債務整理、離婚など多数の案件を解決。読者の困りごとに寄り添う記事をモットーに執筆に取り組んでいる。

この記事の執筆者

ライター・元弁護士 / 伊藤 実(てん@法律関係ライター)
弁護士資格保有。元弁護士の経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題を中心に執筆活動を行う。 弁護士時代には、交通事故、債務整理、離婚など多数の案件を解決。読者のお困りごとに寄り添う記事をモットーに執筆に取り組んでいる。

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