追突事故により椎間板ヘルニアが悪化…後遺障害は認定されるの?
監修記事

世良 泰
医師(整形外科他)
追突事故で受けた衝撃により、椎間板ヘルニアが発症したり悪化したりすることがあります。
治療を続けても完治せず後遺症が残ってしまった場合や、過去にヘルニアを患っていたことにより再発し悪化した場合は、慰謝料を受け取ることができるのかと悩まれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、後遺障害等級認定を受けるためのポイントや分類される可能性がある等級、椎間板ヘルニアの症状についてまで解説しています。
-
まずはお気軽にご連絡ください
- 電話受付時間 9:00~22:00
-
LINEで無料相談
(24時間365日、受付) -
WEBで無料相談
(24時間365日、受付)
目次
交通事故で椎間板ヘルニアになる?
そもそも椎間板ヘルニアとは、身体にある組織が、本来あるべき位置からはみ出している状態のことをいいます。
交通事故の衝撃で、椎間板の中にある髄核が飛び出すため、ヘルニアになってしまうのです。
交通事故によって起こるヘルニアには、頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアの2種類があります。
頚椎椎間板ヘルニアとは
頚椎椎間板ヘルニアとは、頚椎と呼ばれる首に起こるヘルニアのことです。頚椎には7つの骨があり、その骨と骨の間にクッションのような役割をする椎間板があります。
椎間板は髄核というゲル状の組織とその周辺を包むようにある線維輪という組織で構成されており、椎間板が圧縮されるような負担がかかると髄核が行き場を失って線維輪を突き破るようにして外に飛び出してしまいます。
これをヘルニアといいます。この飛び出したヘルニアが近くにある神経を圧迫すると首や肩、背中、腕の激しい痛みやしびれ、握力をはじめとする筋力低下、感覚障害など様々な症状が出現します。
頚椎は可動性の大きい部位であり、構造上腰椎よりも負担に弱く、外力や姿勢の影響を大きく受けます。
腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎と呼ばれる腰に起こるヘルニアのことです。
腰椎には5つの骨があり、頚椎と同様にその骨と骨の間に椎間板があります。
腰椎の椎間板も髄核というゲル状の組織とその周辺を包むようにある線維輪という組織で構成されており、椎間板が圧縮されるような負担がかかると髄核が行き場を失って線維輪を突き破るようにして外に飛び出してしまいます。
この飛び出したヘルニアが近くにある神経を圧迫すると腰やお尻、腿の裏、ふくらはぎ、足の裏などに激しい痛みやしびれ、下肢の筋力低下、感覚障害など様々な症状が出現します。
場合によっては歩行が困難になってしまうこともあります。また、排泄をコントロールする神経にも影響を及ぼす可能性があります。
交通事故で椎間板ヘルニアが悪化することはある?
持病で元々ヘルニアがあった場合、事故の衝撃によって、再発や悪化の恐れがあります。
ただし、持病にヘルニアがあった場合は、交通事故が原因で再発・悪化したかという因果関係が認められにくいこともあります。事故との因果関係が認められなければ、加害者に慰謝料や治療費を請求できなくなってしまいます。
したがって、事故が原因で、持病のヘルニアが再発・悪化したという証明をしなければなりません。また、持病にヘルニアがある場合、後遺症が残ってしまうこともありますので、注意が必要です。
ヘルニアの検査
交通事故後にヘルニアの疑いがある場合は、検査を受けて調べてもらうことが大切です。ヘルニアの検査方法としては、以下の2つの方法があります。
- MRIなどの画像検査
- 神経学的検査
MRIなどの画像検査
椎間板ヘルニアの検査には、MRIによる画像検査が多く利用されています。
MRIはMagnetic Resonance Imagingの略で、日本語では「磁気共鳴画像」という意味になります。MRIは磁力を使って身体の断面を撮ることができる機器で、神経や筋肉なども撮影できます。
MRIは高い精度で椎間板ヘルニアの診断ができると言われています。
神経学的検査
神経学的検査には、反射テストやFNSテスト、ラセーグテストなど様々な検査があります。中でも、ヘルニアを検査するために、SLRテストを利用するところが多いようです。
SLRテストは、仰向けに寝て、足をまっすぐ伸ばしたまま上に持ち上げ、痛みがあるかをみるテストです。
椎間板ヘルニアによって神経根が圧迫されていると神経の伸張刺激により臀部から足先にかけて痛みやしびれが生じます。
交通事故のヘルニアを治療するには
交通事故によってヘルニアになってしまった場合、保存療法または手術による治療を行います。
保存療法
保存療法では、痛みのある部分に負担をかけないよう生活をすることが大切です。基本的には安静にし、内服薬や湿布、コルセット、ホットパックなどの理学療法を中心に進めていきます。
保存療法の場合、すぐに治療効果が得られるというものではありません。そのため、長期にわたって治療を受けることになります。
手術
手術は、椎間板ヘルニアが重傷の場合や保存治療を3ヶ月以上行っても症状が緩和しないときに行われることが多いです。そのため、緊急性が無い限りまずは保存治療から始めていきます。
手術の必要性については、担当の医師に確認を行いましょう。
むちうち等、交通事故後の痛みや違和感でお困りではありませんか?
「交通事故病院」の相談窓口なら、交通事故後の通院先について無料相談できます。
質問・ご相談・ご予約、全て0円!
さらに、通院で最大20,000円のお見舞金もあり!(※お見舞金の詳細はこちら)
まずはお気軽にご連絡ください。
(電話受付時間 9:00~22:00)
ヘルニアが後遺障害等級認定されるための5つのポイント
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
交通事故によりヘルニアが発症した場合、交通事故とヘルニアの因果関係を証明する必要があります。
しかし、ヘルニアは交通事故と関係なく元々発症している人も多いため、交通事故との因果関係を証明することが難しくなります。
そのため、交通事故から期間が経過してしまうと事故との因果関係のないヘルニアと判断される可能性があるため、できるだけ早期にMRIなどの適切な検査を受け、ヘルニアの診断を受ける必要があります。
後遺障害等級が認定される可能性があるポイントとして、以下の5つの項目が挙げられます。
- 交通事故との因果関係が証明できる
- 椎間板ヘルニアの症状を詳しく医師に伝える
- 椎間板ヘルニアの症状が仕事に支障をきたす状態
- 症状固定後の後遺障害ということがわかる
- 後遺障害が確実にあること
上記のポイントに注意し、後遺障害診断書を作成してもらい保険会社に診断書を提出しましょう。
椎間板ヘルニアの場合に認定される等級とは
交通事故が原因で椎間板ヘルニアが発症したと認められれば、12級13号か14級9号に分類されます。
また、どちらにも該当しないと判断されると非該当となるケースもあります。
12級13号と14級9号の認定基準の違いについて次に説明します。
12級の認定を受ける条件
12級の認定を受けるためには、他覚的所見として、医学的に証明できることが条件となります。
そのため、医師による医学的な知識をもとに、症状の存在を認めてもらわなければいけません。
症状を確認する方法として、MRIなどの画像診断を受けたうえで、神経学的所見と矛盾がないか確認してもらう必要があります。
14級の認定を受ける条件
14級の認定を受けるためには、自覚症状があることが条件となります。
自覚症状しかなかったとしても、医学上障害の有無が説明可能であれば認定を受けることができます。
説明可能な状態とは、治療の経過から症状に連続性、及び一貫性が認められる状態となります。
過去に患った椎間板ヘルニアが再発・悪化した場合どうすれば良いか?
過去に椎間板ヘルニアになったことがある場合、交通事故の衝撃により再発する可能性があります。
ご自身では、交通事故によって再発したと主張されたとしても、保険会社からは事故との因果関係を否定されることも少なくありません。そのため、因果関係を巡って保険会社と争うケースも多くみられます。
このように、椎間板ヘルニアを後遺障害として認めてもらうことは簡単ではありません。
認定されるためには、過去の椎間板ヘルニアの症状は回復し治療も終了していたにも関わらず、事故の影響で症状が再発したという事実があれば可能性が考えられます。
また、椎間板ヘルニアの場合、素因減額の対象になってしまう事があります。素因減額とは、被害者の精神的・肉体的な要素が、後遺障害の発症や重症化の原因に関わっていると認められ、損害賠償額を一定の割合減額されてしまうことをいいます。
- 精神的要素:被害者の性格や社会適応状況、ストレス耐性、うつ病など
- 肉体的要素:椎間板ヘルニア・変形性頚椎(腰椎)症・骨棘の形成・脊柱管狭窄症など
減額の割合は、5%から80%以上と様々です。
追突事故でのヘルニア悪化の場合も諦めないで
交通事故とヘルニア発症の因果関係や元々のヘルニアが事故によって悪化したことを証明することは簡単ではありませんが、対応できることはあります。
後遺障害は症状が事故によるものだと医学的に証明できることが条件となりますので、事故後は時間を空けずになるべく早期に医療機関を受診しましょう。
また、しっかりと症状を伝えること、事故当初から症状が一貫していることも重要となります。
後遺障害の等級認定を受けるには医師による後遺障害診断書が必要となりますので医師が正確に記載できるように定期的に通院を続け、症状を正確に伝えましょう。
交通事故による後遺症としてのヘルニアや元々のヘルニアが事故で悪化した場合に関して、加害者側の保険会社との交渉が難しいことがあります。そのような場合は、交通事故の対応に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。
-
まずはお気軽にご連絡ください
- 電話受付時間 9:00~22:00
-
LINEで無料相談
(24時間365日、受付) -
WEBで無料相談
(24時間365日、受付)
この記事を監修したのは…
慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。
池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/
日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター
TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員
株式会社スポーツ医学 代表取締役
株式会社Mesign 顧問
株式会社うごきのクリニック 取締役
AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー
株式会社アルゴス 顧問医師
この記事の執筆者
交通事故治療の
病院・整形外科を探す
交通事故施術の
整骨院・接骨院を探す
カテゴリ一覧
-
交通事故の症状・治療について
-
交通事故施術に強い整骨院
-
交通事故治療ができる病院
- 交通事故の通院・手続きについて(その他)
- 交通事故の弁護士