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漢方薬はむちうちに効果的?症状ごとに適した漢方薬について解説

監修記事

島谷 柚希

看護師

交通事故による外部からの強い衝撃が原因で、むちうちになる場合があります。

むちうちや打撲などから生じる痛みや不調は、病院で行われる治療だけでなく、漢方薬も改善の効果が期待できる場合もあるのです。

今回は、むちうちで現れるさまざまな症状に適した漢方薬について詳しく解説します。

むちうちが原因の症状に効く漢方薬とは?

漢方薬

むちうちは、交通事故では後部などから強い外力が加わり、発症するケースが多くあります。受傷直後から医療機関で治療を続けても首コリや首後ろの違和感が残る事もあるのです。

長引くむちうちの症状には、駆瘀血(くおけつ)剤を服用することで、改善の効果が期待できる場合があります。

駆瘀血剤とは、滞っている血流を改善し、体内にとどまっている毒素を出す働きがあるといわれています。血流の改善がむち打ちに効果が期待できるようです。

むちうちの症状・体質別に適した漢方薬は以下の通りです。

体質 漢方 症状
実証 葛根湯
(かっこんとう)
項背部のこり、こわばり
桃核承気湯
(とうかくじょうきとう)
むちうちの初期段階で服用されることが多い
通導散
(つうどうさん)
打撲の初期段階に服用される
桂枝茯苓丸
(けいしぶくりょうがん)
葛根湯、桃核承気湯、通導散で処方される体質よりは、やや中間証の体質に用いられる
桂枝二越婢一加朮附湯
(けいしにえっぴいちかじゅつぶとう)
全身の筋肉や関節に痛みがある場合に服用される
治打撲一方
(ちだぼくいっぽう)
打撲やむちうち専用とされている
黄連解毒湯
(おうれんげどくとう)
突発的な打撲や交通事故で、精神が動揺しているときに服用される
中間証 桂枝去桂加茯苓朮湯
(けいしきょけいかぶくりょうじゅつとう)
首の後ろにコリがある、尿の出が悪いときなどに服用される

体質について

漢方では、体格や体質、病気に対する抵抗力の強弱が「実証」「虚証」「中間証」という3つのタイプに分けられています。それぞれの具体的な特徴は、以下の通りです。

実証

  • 筋肉質
  • 血行が良い
  • 疲れにくい
    など

虚証

  • 顔色が悪い
  • 低血圧
  • 疲れやすい
    など

「実証」と「虚証」の特徴を半分ずつ持っている、バランスのとれたタイプのことを「中間証」といいます。
漢方を服用するときは、ご自身の症状や体質に適したものを選ぶことが大切です。

むちうち症状の1つである「バレ・リュー症候群」とは

むちうちは「頚椎捻挫型」「神経根症状型」「バレ・リュー症候群」「脊髄症状型」など症状の種類がわけられています。中でも、むちうちによる首への外傷をきっかけに発症する自律神経症状は、「バレ・リュー症候群」に該当します。

バレ・リュー症候群の原因

バレ・リュー症候群は、交通事故やスポーツ時の接触による首の外傷をきっかけに、自律神経のうち、交感神経への刺激が大きな原因と考えられています。しかし、自律神経の乱れはレントゲンやMRIなどから客観的に把握することが難しいため、明確な原因は未だ解明されていません。

バレ・リュー症候群でみられる症状

代表的な症状としては、頭痛・めまい・聴力低下・耳鳴り・眼精疲労・吐き気・疲労感・発熱・不眠などが挙げられます。首の外傷がきっかけで発症するものの、症状は全身にわたり現れることがあるという特徴があります。

整形外科での治療

病院で行われる治療法は、交感神経節ブロック注射や筋弛緩薬、鎮痛剤、抗不安薬など症状に応じて用いられます。受傷して間もない急性期の段階では、まず整形外科を受診するとよいでしょう。慢性的な症状には、心療内科や耳鼻咽喉科、脳神経内科への通院となる場合もあります。

漢方薬を用いた治療法

それでは、漢方を用いた治療法について症状ごとに詳しく解説していきます。

  • 不安感や不眠が顕著に現れている場合:地黄(じおう)芍薬(しゃくやく)酸棗仁(さんそうにん)竜眼肉(りゅうがんにく)
  • 頭痛やめまいなど、頭部の症状:釣藤鈎(ちょうとうこう)天麻(てんま)菊花(きくか)
  • 憂鬱感や重い悩みによる食欲不振喉の詰まり感など:柴胡(さいこ)厚朴(こうぼく)半夏(はんげ)薄荷(はっか)枳実(きじつ)香附子(こうぶし)

病院を受診することも忘れずに

交通事故後の整形外科受診は①検査(レントゲン・MRI)②診断書の発行③痛み止めや湿布の処方等ができる

▲交通事故後の整形外科受診

交通事故後に頚部痛や頚部に違和感がある方は整形外科を受診されているかと思います。

むちうちと診断され、長引く頚部痛や頚部の違和感で困った時に、漢方薬などほかに考えられるものはないかと思ったときにはまずは主治医に相談しましょう。

事故後急性期におこる頚部周辺組織の強い炎症遅滞する治療は、整形外科医がしっかり行ってくれます。リハビリの指示が出ることもあるでしょう。

しかし、まじめに治療やリハビリに通院してもスッキリと治らないことがあるのがむちうちの厄介なところです。

どちらかというと「半年近く整形に通院しており、急性期のような首に激痛はないものの、何となく違和感があって気持ち悪い」という方に漢方薬が処方されるケースが目立ちます。

漢方の処方は医師の判断ですが、むちうちの経過が長引いてスッキリしない場合は漢方薬の処方について相談してみてもよいでしょう。

まとめ

ポイント

むちうちの長引く症状には漢方薬が効くことがあります。

急性期の治療を終えても症状がすっきりしない場合は通っている整形外科の主治医に相談してみましょう。適応があれば漢方薬を処方してくれる場合もあります。

あなたに適した改善方法を見つけていただければ幸いです。

この記事を監修したのは…

看護師として小児外科、整形外科、健康診断機関など医療現場などで勤務。
この経験を生かし、疾病の予防や健康増進に関する情報を発信する医療・健康ライターとしても活動をしている。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.N
大学を卒業し、出版社で取材や編集業務を経験。その後、WEBメディアの執筆に転向し、事故に関する様々な知識を多くの人に届けるべく、日々邁進中。現在は、交通事故専門士の資格を取得するために勉強をしている。座右の銘は、格物究理。

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