むちうちで弁護士費用特約を使うメリットとは?<弁護士監修>
監修記事
五十部 紀英
弁護士
交通事故において、数々の解決実績を持つ『弁護士法人プロテクトスタンス』の五十部先生に、交通事故に遭ってしまったとき、損をしないためのコツを伺い、連載形式でわかりやすくお伝えするこの企画。
連載第3回目は、治療費や弁護士費用特約についてインタビュー。
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目次
治療費が認められにくい!事故によるむちうち
交通事故にあった人の約8割の方が「むちうち」の症状を訴えるといわれています。
むちうちとは、首(靭帯や頚椎といった軟部組織)の捻挫のことをいいます。むちうち症は、首の骨ではなく軟部組織の損傷のため、レントゲンやCTでは損傷している箇所が証明しにくい怪我です。
しかしこれを放っておくと、のちに手足のしびれ・頭痛や吐き気といった不定愁訴(ふていしゅうそ)が後遺症になることもあります。
――人身事故で通院する場合に、国(厚生労働省)から認められている整骨院への通院が、保険会社には認められにくい理由はなんですか?
五十部先生:
「治療費としては認められます。しかし裁判になると、整骨院への通院が、通院慰謝料の算定基礎として認められないことが多いです。
保険会社もその例に従って、認め難いということになっています」
――なるほど。しかし整形外科だけでは満足のいく治療を受けられないというのも事実です。どうすれば完治まで通院できて、慰謝料も請求することができるのでしょうか。
五十部先生:
「“整骨院と整形外科を併用して通院すること”です。
『整骨院にも通った方がいい』ということを、整形外科の先生から、保険会社の方に説明してもらい、通院の必要性や有効性を分かってもらうことです。
裁判では、医師の指示があれば、整骨院に通院する治療費も入通院慰謝料として認められることが多いです」
――患者さん自身が担当医に「整骨院に通いたい」という事実を伝えるということですか?
五十部先生:
「手順としてはそうですね。ただ実際のところ、認めてくれないお医者さんがいることも事実です。
考えるべきは、自分の怪我を治すために何をすればいいのか、です。お医者さんに通院を止められてしまったからといって、痛みを我慢する必要はありません」
保険会社は治療費をいつまで支払ってくれる?
交通事故による怪我の治療費は、相手側の保険会社が通院先に一括で前払いをしてくれる場合がほとんどです。
その治療費を一体いつまで支払ってくれるのか気になりますよね。
保険会社が治療費を一括対応してくれるのは以下2つ。
- 完治(治癒)…症状がよくなる、治るまで。
- 症状固定(※1)…症状が治らないと判断されるまで。
(※1)症状固定…医師が「これ以上治療を続けても症状は改善しない」と判断すること。怪我の症状が後遺症として残ることをさします。
打撲やむちうち症の痛みで整形外科や整骨院に通院をしていると、「そろそろ治療費の打切りとなります」と言われることがあります。
まだ痛いのに、なぜ完治するまで通院させてくれないのだろう?と違和感を覚える人も多いはず。
症状固定は弁護士に相談するタイミング
医師から症状固定と判断された場合、保険会社からの治療費の支払いは打ち切りとなります。よくならない症状に対して支払い続けることは困難だからです。
怪我の障害が何かしら残ってしまうことを後遺症といいます。
※症状固定になった場合、「後遺障害の等級認定」を受けて、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益をもらうことができます。
――事故直後に相談できなかった場合は、症状固定のタイミングで相談したほうがいいですか?
五十部先生:
「そうですね、事故直後に弁護士が介入できなかった場合は、症状固定のタイミングで相談したほうがいいと思います。
プロテクトスタンスでは、弁護士が交渉することで適正な症状固定まで延ばすことに成功した方が多数いらっしゃいます」
保険会社は医療のプロではない
交通事故の怪我の治療期間の目安は、「打撲であれば1ヶ月、むちうち症であれば3ヶ月、骨折であれば6ヶ月(半年)」とおおよそ決められています。
関連記事なぜ打ち切りになる?保険会社と良好な関係を築くには?
ーー保険会社が治療費打ち切りの打診をしてくるのは、むちうち症だと3〜6ヶ月だと聞きました。
五十部先生:
「彼らはあくまでも“交通事故のプロ”であって、医療のプロではありません。被害者一人ひとりの怪我の状態を詳細に診てくれるわけではないのです。
ですから、交通事故の怪我に対する一定の基準に基づいて判断し、治療費の打ち切りを打診してくることがあります。」
ーーまだ痛いのに症状固定とされるんですか?
五十部先生:
「症状固定は、本人の痛みの愁訴によって、主治医が決めるものなんですね。
しかし実際には、初めて交通事故にあった被害者は『まだ痛い、苦しい、辛い』という症状をなかなか医師には訴えられないものです。
保険会社から『通院して6ヶ月たったので、そろそろ治療費の一括払いを打ち切りにします』と言われたら、交通事故の当事者たちは、それを真に受けてしまうんですね。
ですから症状固定と言われたとしても、被害者の方には体を治すことを優先に考えてもらって、我々が症状固定のタイミングを先延ばしできるように保険会社と交渉していきたいと思っています。
我々弁護士が、代わりに交渉してあげることで、被害者の負担を少しでも減らすことができるのです」
交通事故で、弁護士は何をしてくれる?
実際に交通事故に遭ってしまったとき、弁護士に相談したいと思っても、「費用がどのくらいか分からなくて不安」という方や、「ハードルが高い…」と感じる方は多いのではないでしょうか。
弁護士費用特約についても伺いました。
――交通事故で弁護士さんに相談すると、どんなことをやってくれるのですか?
五十部先生:
「弁護士は、多くのことを行います。
加害者側の保険会社との窓口を引き受けたり、交渉するためにかかりつけのドクターと連絡をとったり…場合によっては、症状固定と言われた後に、診断書や後遺障害診断書をドクターと一緒に作成することもあります。
これは、容易いことではありませんので、だからこそ弁護士に依頼した方がいいです」
――弁護士費用特約には入っておいたほうがいいですか?
五十部先生:
「はい、絶対加入しておいたほうがいいです。
もし現在加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いているのでしたら、躊躇せずに特約を使用した方がいいと思います。
プロテクトスタンスでは、弁護士費用特約を使ってご依頼いただく方が多数いらっしゃいます」
弁護士費用特約とは?
弁護士費用特約とは、弁護士に依頼した費用を、保険会社が全額(あるいは一部)負担してくれる補償の一つで、被害事故について弁護士費用が保険金として支払われるものです。
交通事故が起きた際の裁判や、示談交渉などで困った時に弁護士に依頼することができる特約のことです。支払いに当たっては、損害保険会社の同意を得なければなりません。
――弁護士費用特約は、どのように利用すればいいですか?
五十部先生:
「方法としては2つあって、加入している保険会社に懇意にしている弁護士を紹介してもらう方法と、被害者自身で信頼できる弁護士に依頼して、加入している保険会社に連絡を入れる方法です。
我々としては、被害者自身で信頼できる弁護士を探すことをおすすめします。なぜかというと、保険会社から紹介を受けた弁護士の場合、“交通事故に強い”とは限らないからです。
ですから、ご自身で交通事故を得意としている法律事務所を探してもらった方が最終的に納得できると思います」
交通事故に強い弁護士の探し方
交通事故に強い弁護士を探すポイントを3つにまとめていただきました。
以下順番に見ていきましょう。
- 解決事例が多数ある
- 専門部署を備えている
- 受付(電話)の対応がいい
―― “交通事故に強い弁護士“を見定めるポイントを教えてもらえますか?
五十部先生:
「はい、交通事故に強いかどうかを判断する1番の材料は、過去に解決実績がしっかりとあるということです。
それから、交通事故専門の部署があるかどうかです。
あとは、電話でも受付でも、丁寧な対応をするスタッフがいると感じられる弁護士事務所であること。もしもぶっきらぼうな対応をされたとしたら、依頼しないほうがいいかと思います。」
――なるほど。プロテクトスタンスは、過去に交通事故の解決実績が多くありますよね。
五十部先生:
「はい。数々の案件に携わってきましたし、交通事故の専門部署も構えています。それから、土日祝日も休まずに対応していますので、交通事故直後も相談しやすいと思います。お仕事されている方のためにも、平日は夜9時までお電話を受け付けています。
それから、交通事故に関する弁護士へのご相談が無料ですので、もしも交通事故の示談交渉で悩んでいるようでしたら、些細なことでもいいのでご連絡いただけたらと思っています。」
――弁護士さんに、「話すだけで相談料がかかる」と思っていました。
五十部先生:
「我々は、初回のみならず“相談であればずっと無料”です。
弁護士費用特約がついていない被害者の方なら、着手金なしの完全成果報酬で対応させていただきます。示談が成立し、示談金が入金される段階で、かかった費用を何%か引いて、お返しするという流れです。
被害者の方が損をしない形をとるのも、我々の役目ですから」
悩んでいるなら相談を
いかがでしたでしょうか?次回は『後遺障害の等級認定』について伺います。
どうやって申請するの?通らなかったらどうすればいい?など、素朴な疑問にお答えいただきました。
この記事を監修したのは…
- 五十部 紀英(いそべ としひで)先生
弁護士法人プロテクトスタンスの代表弁護士として、多くの病院やクリニック、整骨院等の法律顧問に就任。医事法に関する専門的な研究部会に所属しており、医療法制に精通するほか、一般社団法人予防医療普及協会の顧問も務める。交通事故の示談交渉における豊富な解決実績があり、特に保険会社への対応には定評がある。 - 経歴
上智大学文学部国文学科 卒業
中央大学法科大学院 修了(61期)
2012年 前身となる法律事務所を設立
2014年 弁護士法人として法人化
2017年 税理士法人を設立し、代表税理士に就任
2018年 行政書士法人を設立し、代表行政書士に就任
2018年 スポーツマネジメント会社を設立し、代表取締役に就任
2018年 社会保険労務士法人を設立し、代表社会保険労務士に就任
2019年 弁理士法人を設立し、代表弁理士に就任
会社概要
- 弁護士法人プロテクトスタンス(公式HP)
「優れた法律サービスと満足を全ての人に」という理念のもと、業界のルールや慣習から解放されたような、新しい法律事務所。テレビやラジオ出演、webサイトからのインタビュー・記事制作、ドラマ・映画・報道番組の法律監修や制作協力、書籍の執筆など、各メディアからも注目を浴びている。 - 住所
〒100-0006 東京都千代田区有楽町 2-10-1 東京交通会館10F - アクセス
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