交通事故で頭を打った…通院先は「脳神経内科」「脳外科」?
監修記事

世良 泰
医師(整形外科他)
交通事故で頭を打った場合、特に目立った外傷はなくとも「脳を損傷していないだろうか」と心配になる方は多いかと思います。また、病院では異常なしと判断されても頭痛やめまいなどの症状がある場合、「もっと専門的なところで診てもらった方がよいのでは?」と疑問に思いますよね。
そこで今回は、
- 交通事故でどのような時に脳神経内科や脳神経外科に行くべきか
- 交通事故の被害者が受け取れる損害賠償
- 後遺症が残ってしまった場合の手続き方法
などについてご紹介します。
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目次
交通事故で脳神経内科や脳神経外科に行くべきケースとは?
交通事故で最も多いのは頚椎や腰椎の捻挫ですが、頭部をケガすることもあります。車の中で頭を打撲・バイク事故で道路に倒れ頭をぶつけるなどです。
交通事故で初めに受診すべき医療機関や脳外科に行くケースなどについて解説します。
まずは整形外科へ

▲交通事故後の整形外科受診
交通事故後に意識がある・歩いて受診できる方がはじめに受診するのは整形外科であり、交通事故で多いむちうち・腰椎捻挫は整形外科の受診です。
交通事故は車対車、車対バイクまた歩行者などさまざまなケースがありますが、いずれも強い外力が人体に加わる危険性があります。外力は骨・筋肉などに損傷を与えることが多いため、専門である整形外科を受診するのです。
診察では問診を参考に損傷を受けた恐れがある体の部位を医師が視診し、レントゲンなどを撮影し骨折の有無などをみます。さらに痛みや痺れ・違和感のある部位の動きをみたり、神経学的所見がないかなどを確認。擦過傷など外傷があればその場で処置し、必要があれば再診の指示を出します。
脳神経外科(脳外科)
脳神経外科は頭部外傷・脳挫傷・脳内出血・頭痛・脊髄腫瘍などを診察する科であり、交通事故で頭部の症状がある時には脳神経外科を受診します。
たとえば事故のエピソードから頭部外傷が疑われるとき、頭痛など自覚症状がある時です。頭部の皮下血腫、頭部に傷があり出血している場合も受診します。診察では脳神経学的所見がないかを確認し、必要に応じてCTやMRIなど画像撮影も行います。
交通外傷がきっかけで髄液が漏れ出す脳せき髄液減少症も、脳外科での診察です。
脳神経内科
脳神経内科は「進行性の脳疾患」などを扱う科であるため、交通事故で受診する科の第一選択とはなりません。
脳神経は大脳をはじめとする中枢神経と脊髄などから分岐する末梢神経から成り立ちます。
脳神経内科は、脳の器質性変化を伴う疾患を診察する科です。たとえばパーキンソン病・進行性格上性麻痺・アルツハイマー病・筋萎縮性側索硬化症など。多くは脳の神経が委縮したり、脳神経細胞が減少したりする疾患です。頭部MRIや神経学的所見を確認し、疾患に応じて投薬治療などを行います。交通事故が原因の頭痛で脳神経内科を受診する可能性もあります。
病院を受診したら診断書を取得しよう
交通事故で脳外科受診の結果、脳損傷があると診断された場合、診断書の取得を忘れないようにしましょう。
▲交通事故治療における診断書の内容と役割
診断書は、交通事故の被害者が負った怪我を病院の医師が診断し、病名や症状などについて詳しく記載したものです。診断書を取得することによって、交通事故と怪我との因果関係を明確にできます。
診断書の作成ができるのは「病院の医師」のみです。したがって、交通事故で頭部に衝撃を受けた場合は、まず整形外科や脳外科、神経内科などの「医師」がいる医療機関を受診しましょう。
診断書は人身事故切り替えの際にも必要
診断書は、交通事故と怪我との因果関係を明確にするほか、様々な手続きを行う際にも必要となる書類です。
▲物損事故と人身事故の違い
交通事故直後に痛みがあらわれない場合や軽い追突事故の場合、「怪我人がいない」という理由で物損事故として処理されてしまう場合があります。しかし、交通事故による怪我は事故直後に症状があらわれるとは限りません。交通事故から時間が経過した後に痛みが出てきたけれど、物損事故として処理されている場合は、人身事故への切り替えを行いましょう。
人身事故へ切り替える際は、病院で取得した診断書を警察に提出する必要があります。人身事故への切り替えに法的な期間はありませんが、交通事故と怪我との因果関係をしっかりと証明するためには、事故後10日以内を目安に警察署へ行くとよいでしょう。
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交通事故による治療費は加害者へ請求!
交通事故で怪我を負い、整形外科や脳外科で治療を受けた場合、治療に関係する費用は損害賠償として加害者に請求することができます。
損害賠償とは、交通事故で様々な損傷を受けた被害者に対して、加害者がその損害の埋め合わせを行うことです。
▲交通事故の損害賠償の内訳
被害者に対して支払われる損害賠償は、3つ。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
積極損害
交通事故にあい怪我を負うと、被害者は医療機関へ通院し治療を受けなければいけません。治療を受ける際は、治療費や診察費はもちろんのこと、病院に行くまでの交通費や、場合によっては手術費や入院費がかかることもあります。
このように、交通事故にあったことによって被害者の出費を余儀なくされた場合の損害は、積極損害として補われます。
積極損害として被害者が請求できる代表的なものは、以下の通りです。
- 治療費
- 診察費
- 手術費
- 入院費(ベッド代、食事代 など)
- 入院雑費(日用雑貨、栄養補給費、テレビカード など)
- 付添看護費
- 通院交通費
- 装具・器具等の購入費 など
消極損害
交通事故にあい怪我を負ってしまったら、被害者は治療のために会社を休まなければいけなくなる可能性があります。交通事故が原因で仕事を休んでしまうと、被害者の収入や利益が減少してしまいます。
交通事故にあったことによって被害者が休業せざるを得なくなり、本来得られるはずであった収入や利益が減少した場合の損害は、消極損害によって補われます。
消極損害は、以下の2つに分けられています。
- 休業損害
交通事故が原因で仕事を休んだことにより、被害者の収入が減少した場合の減収分を補償。 - 逸失利益
交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことによって被害者の労働能力が低下し、本来得られるはずであった収入や利益が減少した場合の損失分。
慰謝料
交通事故の慰謝料とは、被害者が交通事故によって受けた身体的な傷害や精神的な苦痛に対して、加害者またはその保険会社が支払う補償のことです。慰謝料は、具体的な経済的損失(医療費、治療費、休業損害など)とは別に、痛み・苦しみ・生活への支障などの形では測れない精神的なダメージに対して支払われます。
被害者が加害者に対して請求できる慰謝料は、以下の3つ。
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
交通事故の怪我が後遺症と診断された場合
交通事故によって脳が損傷した場合、治療を受けても後遺症として何らかの症状が残ってしまう可能性があります。後遺症が残ってしまったら、後遺障害等級認定を受け、後遺障害慰謝料の請求を行いましょう。
まずは後遺障害診断書を取得!
医師に「症状固定」と判断されると、その怪我は後遺症になったということになります。症状固定とは、怪我の治療をこれ以上続けても症状の緩和が見込めず、またこれ以上悪化することもない状態のことを言います。
▲症状固定とは?
症状固定と判断された時点で、医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼しましょう。後遺障害診断書には、怪我の受傷日時や症状固定日、被害者の自覚症状などが記載されます。後遺障害診断書の内容によって、認定される後遺障害等級が左右されるといってもよいでしょう。
後遺障害等級は1級から14級まであり、1級が最も重く、14級が最も軽い症状となります。後遺障害慰謝料の金額は等級によって大きく異なり、症状が重くなるにつれて金額も上がっていきます。適切な後遺障害等級が認定されるためにも、被害者の納得がいく後遺障害診断書を取得するようにしましょう。
後遺障害等級認定を申請しよう
後遺障害診断書を取得したら、場合によっては他の必要書類も集め、後遺障害等級認定の申請手続きを行いましょう。
後遺障害等級認定の申請方法は、事故の立場によって加害者請求と被害者請求の二つがあります。それぞれの方法を見ていきましょう。
加害者請求
交通事故の加害者が、自分の保険会社に対して行う請求です。交通事故の加害者であった場合や自損事故の場合も含まれます。加害者が受けた車両の損害・治療費のほか後遺症診断を受けているケースでは、後遺障害の補償を請求できます。請求先は加害者が加入している自動車保険会社(任意保険)です。
被害者請求
被害者請求とは、被害者本人が加害者側の自賠責保険会社に対して、後遺障害等級認定の申請手続きを直接行う方法です。
被害者は、後遺障害診断書の他に必要書類を全て集め、加害者側の自賠責保険会社に送る必要があります。
被害者請求に必要な書類は、以下の通りです。
必要書類 | 取得できる場所 |
---|---|
保険金(共済金)請求書 損害賠償額請求書 仮渡金支払請求書 |
自賠責保険会社より取り寄せ |
交通事故証明書 | 自動車安全センター |
事故発生状況報告書 | 被害者が作成 |
医師の診断書 | 治療を受けた病院 |
診療報酬明細書 | 治療を受けた病院 |
印鑑証明 | 住民登録をしている市区町村(区役所等) |
後遺障害診断書 | 治療を受けた病院 |
被害者請求は被害者本人が手続きを行うため、加害者請求と比べて時間や手間がかかってしまうでしょう。しかし、被害者自身が納得しながら手続きを進めていくことができるため、内容の透明性が保たれます。また、後遺障害等級認定に有利になるような書面を付け足すことができるため、適切な後遺障害等級が認定される可能性も高まります。
交通事故で頭を打ち、特定の症状がある場合は脳神経外科(脳外科)へ
交通事故で頭部にダメージを負い、頭痛やめまい、吐き気などの症状がある場合は、脳神経外科(脳外科)での診察が可能です。交通事故後意識がある・歩いて受診できる方は基本は整形外科を受診しますが、そこで脳神経外科の受診を案内されたり整形外科だけでは解決しない症状がある場合は脳神経外科の受診を考えると良いでしょう。
また、もし後遺障害が残ってしまった場合は、後遺障害等級認定を申請し、後遺障害慰謝料の支払いを受けましょう。
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この記事を監修したのは…
慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。
池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/
日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター
TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員
株式会社スポーツ医学 代表取締役
株式会社Mesign 顧問
株式会社うごきのクリニック 取締役
AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー
株式会社アルゴス 顧問医師
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