追突事故後に眼の症状…眼科へ通院が必要?後遺障害等級も解説
むちうちは、首や肩に症状があらわれるというイメージを多くの方がお持ちだと思います。しかし、実際には腰や後頭部の痛み、眼の違和感・かすみ、頭痛や吐き気、倦怠感などの症状を伴う可能性もあります。
その中でも今回は、眼の症状について解説していきます。交通事故後の眼の症状には、むちうちが原因で起こる症状と、眼球が直接損傷を受けたことで起こる症状があります。
交通事故後に目の調子が悪い、眼に違和感を感じるという方は、ぜひご一読ください。
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目次
むちうちの症状が眼にあらわれるケースとは
交通事故後にあらわれる症状として、最も代表的なむちうちですが、首や肩、腰に痛みがあらわれるだけではありません。眼に症状があらわれる可能性もあります。
ここでは、むちうちにより眼にどんな症状があらわれるのか解説しています。
眼の痛み以外にも症状があらわれる
むちうちは、頚椎捻挫型・神経根症状型・バレー・ルー症候群・脊髄症状型という4種類の症状型に分類されます。それぞれで症状が異なり、眼の症状はバレー・ルー症候群の症状に含まれます。
バレー・ルー症候群の原因
バレー・ルー症候群とは、頚椎が損傷したことで自律神経が刺激を受け、バランスが乱れることによって発症します。主な症状は、眼精疲労・目のかすみ・二重にみえる・頭痛・手足のしびれ・発汗などです。
関連記事むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間
眼やその周辺が直接損傷を受けている場合もある
むちうちによる眼の症状は首の損傷が原因となる場合もあるが、ほかにも眼球が直接傷つくことが原因で症状があらわれることもあります。
この見出しでは、直接眼球損傷したときの症状について説明していきます。
視力低下に要注意!
交通事故の衝撃により、視神経が損傷した場合、視力低下の可能性もあります。
また、眼の障害には眼球の障害とまぶたの障害の2つがあり、分類される障害が異なります。
- 眼球の障害:視力障害・調節機能障害・運動障害・視野障害
- まぶたの障害:欠損障害・運動障害
眼に自覚症状がある場合は眼科を受診しましょう
交通事故後、最初に整形外科を受診される方も多いかと思います。しかし、眼に違和感や調子が悪いと感じていた場合、整形外科では異常なしと診断されることも珍しくありません。
そんな場合には、眼科へ受診し診断してもらいましょう。
眼科で検査を受けて原因を把握しましょう
交通事故後、眼に違和感を感じ眼科を受診した場合、症状が初期段階であれば眼球の縫合処置と細菌感染対策を行ってもらえます。
また、眼球破裂と診断された場合は、CT検査や超音波検査にて異物迷入がないか確認し手術を行います。
眼の痛みだけでなく、首や肩に痛みを感じたり、頭痛やめまい、吐き気などの自覚症状がある場合は、むちうちの可能性があります。その場合には、整形外科へ受診するようにしましょう。
ある程度通院期間が長くなってきたら症状固定へ
交通事故後、3ヶ月~半年以上通院が続く場合、担当医師より「これ以上治療を続けても改善の見込みがない」と判断される場合があります。この状態を、症状固定といいます。
一般的に3ヶ月以上通院が続く場合は、担当医師と相談し症状固定を検討しましょう。
症状固定後は後遺障害等級認定の申請を
症状固定とされたら、医師に後遺障害診断書の作成を依頼し、後遺障害等級認定の申請を検討してみましょう。後遺障害等級認定を受けることで、加害者側に後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できるというメリットがあります。
眼科に通った場合の後遺障害等級は?
後遺障害とは、交通事故と症状の因果関係が証明された上で、労働能力が低下したことを指します。その上で、怪我の箇所や程度によって1~14級までの「等級」に分類されます。
眼の症状に関しては、1~13級の等級にわけられます。
どのような症状が後遺障害になるか
後遺障害として認められる眼の症状として、以下の内容が挙げられます。
- 視力障害:矯正をしても、一定以上の視力の回復が見込めない状態をいいます。
- 調節障害:レンズのように焦点を合わせる機能が低下した状態をいいます。
- 運動障害:眼球に著しい障害を残すものとし、注視野が1/2以下に減じた場合を指します。
- 視野障害:正常な状態であれば見える角度の合計が60%以下なった状態を指します。
眼に後遺障害が残っていると立証するには、症状に合わせた検査を行う必要があります。どのような検査が行われるのか、それぞれご紹介します。
視力障害の検査
視力の低下を確認するために、万国式試視力表を用いた視力検査が行われます。
万国式試視力表とはアルファベットのCの形をしたランドルト環やアラビア数字を用いて作られたもので、切れ目の方向を答えさせることで視力を確認します。メガネやコンタクトレンズで矯正をしても、視力検査で視力の低下が確認された場合にはじめて後遺障害として認定されることになります。
ほかにも、以下のような検査が行われる場合があります。
- スリット検査
- 直像鏡による検査
- ERG検査
- VEP検査
むちうちにより視力低下が引き起こされることもありますが、むちうちと視力低下の因果関係を立証することは難しいといわれています。
後遺障害等級としては、むちうちによる神経障害が残ったものとして12級か14級の認定を目指すことになります。
調節障害の検査
アコモドポリレコーダーという装置を用いて、眼の調整力を測定します。
ただし、眼の調節機能は加齢によって失われることもあり、被害者が55歳以上であった場合は後遺障害として認められない場合もあります。
運動障害の検査
眼球の周りを囲んでいる筋肉の内、いずれかが麻痺したことで注視野が狭くなったり、複視で物が二重に見えることがあります。注視野を確認するには、ゴールドマン視野計という器具が用いられます。複視の場合は、ヘススクリーンテストが行われます。
ヘススクリーンテストとは、赤緑メガネをかけた状態で指標を見て両目の動きが正常に行われているかを調べる検査方法です。ただし、ヘススクリーンテストを行うための装置は一般的な眼科では取り扱われていない場合があります。受診した眼科に装置が取り扱われているか、あらかじめ確認しておきましょう。
視野障害の検査
ゴールドマン視野計を用いて視野を確認します。
日本人の平均的な視野は、耳側に約95度、鼻側に約60度、上側に約60度、下側に約70度といわれており、正常な状態とされています。これより60%以下に視野が狭まった場合、視野障害と判断されるということです。
後遺障害等級によって請求できる慰謝料は異なる
後遺障害慰謝料は、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準をもとに算出されます。それぞれの基準ごとで請求できる慰謝料の金額が異なり、最も低い金額が自賠責基準となり、最も高い金額で算出される基準が弁護士基準となります。
任意保険基準は、自賠責基準より高く弁護士基準より低い金額となりますが、保険会社により異なるため明確ではありません。
眼に後遺障害が残った場合、請求できる金額は以下になります。
等級 | 内容 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
第1級 | 両眼が失明したもの | 1,100万円 | 2,800万円 |
第2級 | 一眼が失明した状態、及び他眼の視力が0.02以下 両眼の視力が0.02以下 |
958万円 | 2,400万円 |
第3級 | 一眼が失明した状態、及び他眼の視力が0.06以下 | 829万円 | 2,000万円 |
第4級 | 両眼の視力が0.06以下 | 712万円 | 1,700万円 |
第5級 | 一眼が失明した状態、及び他眼の視力が0.1以下 | 599万円 | 1,440万円 |
第6級 | 両眼の視力が0.1以下 | 498万円 | 1,220万円 |
第7級 | 一眼が失明した状態、及び他眼の視力が0.6以下 | 409万円 | 1,030万円 |
第8級 | 一眼が失明した状態、又は一眼の視力が0.02以下 | 324万円 | 830万円 |
第9級 | 両眼の視力が0.6以下、又は一眼の視力が0.06以下 | 245万円 | 670万円 |
第10級 | 一眼の視力が0.1以下 | 187万円 | 530万円 |
第11級 | 両眼の眼球に著しい調節機能障害、又は運動障害を残す状態 両眼のまぶたに著しい運動障害を残す状態 一眼のまぶたに著しい欠損を残す状態 |
135万円 | 400万円 |
第12級 | 一眼の眼球に著しい調節機能障害、又は運動障害を残す状態 一眼のまぶたに著しい運動障害を残す状態 |
93万円 | 280万円 |
第13級 | 一眼の視力が0.6以下 | 57万円 | 180万円 |
自賠責基準と弁護士基準では、約2倍近く金額が異なります。
後遺障害でお困りの方は一度、弁護士に相談してみるのがいいでしょう。
まとめ
いかがでしたか。むちうちが原因とする眼の症状には、眼精疲労や目のかすみ、ものが二重にみえるなどの症状があらわれます。眼球を損傷している場合は、視力低下や眼球の運動障害といった症状がみられます。
ご自身の状態に合わせて、整形外科と眼科への受診を考えてみてください。
また、視力の低下や視野が狭まった、焦点が合わないと感じる場合、後遺障害の可能性があります。担当医師と相談し後遺障害の認定を受けることをお勧めします。
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