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圧迫骨折でやってはいけないことは?正しい動作とリハビリを解説

監修記事

柿野 俊弥

理学療法士

交通事故やスポーツ等が原因で圧迫骨折を負った場合、「圧迫骨折でやってはいけないこと」をみなさんはご存じですか?

この記事では、

・圧迫骨折でやってはいけない動作を知りたい方
・圧迫骨折を負ってしまった時の正しい動作とはどのようなものなのか知りたい方
・圧迫骨折の治療やリハビリについて知りたい方

など、圧迫骨折について知りたい方に向けて書いています。

交通事故やスポーツ等が原因で圧迫骨折を負った時、基本的に患部に負担をかけないようにして、症状の悪化を防ぐことが大切になってきます。その観点でやってはいけない事が下記5点です。

・仰向けに寝ること
・前かがみになること
・体をひねること
・30分以上椅子に座り続けること
・重いものを持つこと

それぞれ、なぜやってはいけないのか、どうするのがベターなのかも合わせてご紹介します。また、本記事では圧迫骨折時の正しい動作や注意点についても解説しています。

圧迫骨折の治療やリハビリについて学び、なるべく早い治癒を目指しましょう。

圧迫骨折とは

圧迫骨折とは

圧迫骨折とは、縦方向の力が加わることで骨が圧迫され骨折した状態です。

交通事故やスポーツ等が原因で起きたり、加齢で骨の密度が減る高齢者に多い骨折でもあります。骨折時に痛みがない場合もあり、「気づいたら骨折していた」といったケースは少なくありません。

圧迫骨折後は、寝返りや起き上がり、前かがみの動作で背部に強い痛みが現れます。放置すると、骨の変形から背骨全体のゆがみとなる可能性があります。

背骨の変形は、日常生活の動作に悪影響を与えるため、何か異変があればすぐに病院を受診することが大切です。

圧迫骨折でやってはいけないこと

圧迫骨折でやってはいけないこと

圧迫骨折を起こした後は、患部に負担をかけないようにして、悪化を防ぐことが重要です。ここでは、悪化の原因となる「圧迫骨折でやってはいけないこと」を解説します。

仰向けに寝ること

仰向けに寝ることは、安静にしているため一見良さそうに思えますが、圧迫骨折を起こした後は注意しなければなりません。

仰向けになると、ベッドや布団が柔らかければ身体を丸める姿勢になり、硬いと腰の反りや胸部の丸まりを促進します。どちらも、骨折部の圧迫を助長するため仰向けは避けるべきです。

前かがみになること

前かがみの姿勢は、骨折部を上下方向から圧迫するように力が加わるため、圧迫骨折時には避けなければなりません。

普段何気なく行ってしまう動作のため注意が必要です。例えば、床から物を拾う、掃除機をかける、洗髪・洗体でかがむ、靴の脱ぎ履きなど、考えてみると多くの動作が思い当たるでしょう。

工夫として、物を拾うときは100均一などで売られている「ハンドキャッチャー」を活用するのも1つの手になります。

体幹をひねる動作

生活の中で体幹をひねる動作は、寝返りや起き上がり、後ろを振り向く場合が挙げられます。横方向の動きでも、背骨では上下方向の力が加わり、骨折部の悪化を促してしまいます。

圧迫骨折をしてから間もないときは、「丸太」になったようなイメージで身体を動かすイメージが大切です。上半身のみを動かさず、下半身と連動した動作を行い、体幹を捻らないようにしましょう。

30分以上イスに座り続けること

座る姿勢は安静に見えて、背骨への負担が大きい姿勢です。実は立っているよりも、腰への負担が大きいことがわかっています。30分以上イスに座り続けると、なおさら腰への負担は避けられません。

安静にする場合は、イスに座るのではなく、ベッドに横になった方がよいと言えます。

POINT

座らなければならない場面

生活の中でどうしても座らなければならない場面もあるでしょう。なるべく座る時間を短くして、骨折部に負担をかけないよう心がけましょう。

重いものを持つこと

重いものを持つときは、患部に負担がかかりやすいです。特に、床に置いてある重いものを持つときは、圧迫骨折の起きやすい腰あたりに大きな負担がかかります。物を持ち上げるときにぎっくり腰が起こりやすいのは、それが原因です。

重いものを持つときは、持つときの身体の使い方を工夫したり、カートなどの道具を上手く利用することが重要になります。

圧迫骨折の場合の正しい動作

圧迫骨折の場合の正しい動作

圧迫骨折でやってはいけないことを把握したうえで、正しい動作を学んでいきます。患部に負担をかけないように、普段から意識して生活するようにしましょう。

座り方

座り方のポイントは、次の通りです。

  • ゆっくりとした動作で座る
  • 上半身ではなく、下半身でバランスを取る意識をもつ
  • 座るとき腰を曲げすぎない(曲げなさすぎるのも良くない)

また、座るイスにも配慮が必要になります。

座る場所が柔らかすぎたり、硬すぎたりすると、骨折部に負担をかける可能性があります。適度に弾性のあるクッションを置き、負担を軽減することが大切です。

起き上がり方

起き上がり方は次の通りです。

  • ベッド上で横向きになる
  • 肘や腕を使って上体を起こしながら足を降ろす
  • 手のひらでベッドを押しながら座る姿勢になる

コルセットを装着していると、身体の動きが制限されるため、勢いをつけて起き上がりがちですが、ゆっくりとした動作を心がけましょう。

寝る姿勢

圧迫骨折後は、基本的に横向きをおすすめします。

仰向けやうつ伏せは、どちらも本来の骨の構造(S字カーブ)に変化を与えてしまうからです。横向きであれば、S字となっている骨の構造を維持できます。

しかし、寝返りの大変さや常に横向きでいることがつらい方は、仰向けでも問題ありません。その場合は膝を軽く曲げることで患部への負担を減らせます。

寝てる間はどうしても無意識に膝を伸ばす可能性があるため、膝の下にクッションなどを入れておくとよいでしょう。

圧迫骨折でやってはいけない動作を守る以外にどうしたら治るのか

圧迫骨折でやってはいけない動作を守る以外にどうしたら治るのか

圧迫骨折の治療の基本は、患部の悪化を防ぎつつ自然治癒を促進することです。そのため、圧迫骨折でやってはいけない動作を守るとともに、安静とコルセットでの保存治療を行うことが重要です。

安静とコルセットによる保存治療について詳しく解説します。

安静期間はしっかりベッド上安静

圧迫骨折を起こしてすぐの期間は、ベッド上での安静が基本です。具体的な期間は、圧迫骨折の程度によっても変動し、数日〜1週間程度になります。安静をとる際にも、骨折部に負担のかからない姿勢を心掛けることが重要です。

しかし、安静期間の間、まったく身体を動かさないと全身の筋力や体力が一気に落ちてしまいます。

後述するように、ベッド上での簡単なリハビリも必要です。リハビリの先生の指示に従って、身体が衰えないように少しずつ運動しましょう。

コルセット着用期間も守る

コルセット着用期間は、およそ2か月程度です。医師が「コルセットを取ってもよい」と許可を出すまでは、コルセットを着用して生活しましょう。

コルセットの長い着用は、筋力低下や関節の可動範囲縮小、姿勢不良などのデメリットがあります。

医師から許可が下りたら、コルセットのない生活への不安を抑え、元の生活に戻れるよう努めることが大切です。

関連記事腰痛でも寝るときはコルセットを外すべき?正しい使い方を医師が解説

圧迫骨折の痛みはいつまで続くのか

圧迫骨折の痛みはいつまで続くのか

圧迫骨折の動作時の強い痛みは、約1か月程度続きます。鎮痛薬や骨折部に負担のかからない動作、コルセットの適切な着用で、痛みをコントロールすることが重要です。

痛みの改善が見られない場合、痛みが強すぎる場合は、手術による治療が選択されることもあります。

圧迫骨折の場合に行われるリハビリ

圧迫骨折の場合に行われるリハビリ

圧迫骨折による痛みが続く間、何もしなければ身体が衰えてしまいます。特に高齢者では、身体が衰えてしまうと、他の病気や怪我のリスクが高まります。

そのため、少しでも療養期間中も身体機能を維持するために、リハビリを行っていきます。

急性期はベッドサイドでリハビリが行われる

圧迫骨折をしたばかりの時期は痛みが強く、起き上がりも難しいです。そのため、ベッド上にて肩や腕の体操、膝の上に力を入れる運動、足首を動かして静脈瘤の予防といったリハビリを行います。

圧迫骨折の痛みからリハビリを行う意欲が湧かないかもしれませんが、治癒した後、元の日常生活に戻るには、急性期からのリハビリが重要です。リハビリの先生と少しずつ運動しましょう。

痛みが落ち着いてきたら起き上がりの動作訓練

痛みが落ち着いてきたら、起き上がりの訓練を行い始めます。痛みの出にくい起き上がり方を、リハビリの先生に指導してもらい身に付けていきます。

はじめはベッド柵を用いても問題ありません。介助を必要とせずに、少しずつ自分でできるように練習を繰り返しましょう。

起き上がりは、圧迫骨折によって力が弱まりやすい「お腹」を鍛える訓練にもなります。お腹を鍛えることで骨が安定し痛みの軽減につながるため、意識して行うと、より効果が期待できます。

関連記事整形外科のリハビリにかかる料金目安|保険適用や自己負担額を解説

圧迫骨折でやってはいけないことに注意しつついつもどおりの生活を

圧迫骨折でやってはいけないことに注意しつついつもどおりの生活を

圧迫骨折では、やってはいけないことがいくつもあります。どれも無意識に行いがちな動作ばかりのため、注意が必要です。

常に注意していてもストレスになるため、最初のうちにしっかり意識して過ごし、やってはいけないことを「自然に」やらないようにすることをおすすめします。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

この記事の執筆者

理学療法士 / 柿野 俊弥
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

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