交通事故むちうち。治療方法や慰謝料はどうなる?後遺症が残ったら?
交通事故の被害にあった際に、起こりうる症状の一つに「むちうち」があります。ただし、「むちうちという名前だけなら聞いたことある」という方がほとんどではないでしょうか。確かに、「むちうちがどのような症状なのか」「どこに通院すればよいのか」「どのくらいの期間で治るのか」などの詳しいことは、交通事故でむちうちにならない限り気になりませんよね。
そこで今回は、上記のような「むちうち」に関する様々な疑問について答えていきたいと思います。
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目次
むちうちとは
むちうちとは、主に交通事故やスポーツで体を打ちつけたときの衝撃によって、首に力が加わり、頚椎を損傷する怪我のことをいいます。首が鞭のようにしなることで起きることから、むちうちと呼ばれています。
交通事故によって負う怪我で最も多いのは、むちうちです。ただし、受ける衝撃の程度や身体の頑丈さによって、むちうちの症状や痛みの度合いは異なります。また、走行中の大きな衝突事故に限らず、停車中の後ろからの小さな追突事故でも、むちうちになる可能性があります。
▶︎参考:むちうちの症状は、交通事故後すぐにあらわれるとは限らない!
むちうちは4種類に分類できる
むちうちになると、首の痛みだけでなく、頭痛やめまい、耳鳴りなど様々な症状があらわれます。このように多種多様な症状があらわれる理由としては、交通事故で損傷した部位が異なるためです。そして、むちうちは、損傷箇所によって4種類に分類することができます。
- 頚椎捻挫型(けいついねんざがた)
むちうちと診断された方の7割が「頚椎捻挫型」に該当するといわれています。頚椎捻挫型はいわゆる「首の捻挫」です。首や肩の痛み、動きづらさなどの症状があらわれます。 - バレー・ルー症状型
交通事故の衝撃で自律神経まで損傷してしまった場合に「バレー・ルー症状型」と診断されます。頚椎捻挫になった後、安静が保たれていないと発症する傾向があり、めまい、耳鳴り、息苦しさ、喉・顔・腕の知覚異常などの症状があらわれます。 - 脊髄症状型
交通事故の衝撃を受けて、脊髄まで損傷された場合に「脊髄症状型」と診断されます。脊髄が損傷されるため、体の麻痺や歩行障害、排せつ物が出にくいといった重い症状があらわれ、後遺症が残る可能性もあります。 - 神経根症状型
神経を支えている根本の部分が引き伸ばされたり、圧縮された状態の場合、「神経根症状型」と診断されます。身体の様々な部位にしびれが生じたり、力が入らなくなり、後頭部の痛み、顔面に違和感を感じるといった症状があらわれます。また、首を曲げたり、回したり、くしゃみや咳をした際に、症状を強く感じるのが特徴です。
むちうちの通院先は3つある!
むちうちになってしまったら、一刻も早く痛みを取り除きたいですよね。しかし、自分でマッサージをしたりすることは避けましょう。神経や脊髄が損傷している場合もありますので、症状が悪化することも考えられるためです。
むちうちの通院先としては、整形外科や整骨院があります。
それぞれで受けることのできる治療・施術内容を把握し、ご自身に適した通院先を選択しましょう。
整形外科
交通事故の被害にあったら、まずは整形外科を受診しましょう。医師の診断を受け、交通事故による怪我だと証明するためです。
診断を受けなかった場合、交通事故との因果関係が明らかではないという理由で、保険金を受け取れず、怪我をしたにもかかわらず、不利になってしまうことがあります。また、むちうちの症状は、レントゲンに写らない部位の損傷によって起こります。「精密検査を受けたけど、痛みが引かない」という場合は我慢せず、医師にその旨を伝えましょう。
治療方法としては、痛み止めや湿布の処方です。また、整形外科には理学療法士が在籍している場合もあり、医師の指示をもとにリハビリが受けられることもあります。そして、レントゲンやMRIの検査機器で、骨に異常があるか精密検査を受けることも可能です。
▶︎参考:診断書に納得いかない!取り直しをすることはできる?
整骨院・接骨院
「整形外科への通院は時間的に難しい…」「症状がなかなか良くならない…」という場合は、整骨院や接骨院へ通院するとよいです。整骨院や接骨院では、柔道整復師という国家資格を持った先生が施術を行います。
整骨院で受けることのできる施術内容としては、以下の通りです。
- 手技療法
筋肉や関節、骨などに対して、手で押す、引っ張る、伸ばす、ねじるなどの適度な刺激を加えます。それによって、血液、リンパ液の循環を良くなり、症状が緩和されます。 - 超音波療法
手技の数倍の圧力を身体に与え、炎症や痛みの緩和をするのが、超音波療法です。超音波治療機器からの振動が、深部の痛みに作用し、症状を緩和していきます。 - 高周波療法
体内に高周波を流し、筋肉内の疲労物質や痛みを排出することで、炎症や痛みの軽減が期待できます。ソフトな感触ですので、気持ちよく施術を受けることができます。
鍼灸院(しんきゅういん)
はりと灸の施術は、筋肉の一点を捉え、炎症や痛みの緩和をする効果があります。施術は、柔道整復師ではなく、はり師や灸師のみが行うことができます。はりと灸を使った施術を受けたい場合は、鍼灸整骨院または、鍼灸院へ通院するとよいでしょう。
それぞれの症状によって施術内容は変わってきますので、整骨院の先生に怪我の状態をしっかりと伝え、ご自身に適した施術を受けることが大切です。
整形外科と整骨院の違い
一見、どちらも同じように思える整形外科と整骨院。「呼び方が違うのは分かるけれど、他は何が違うの?」と思われる方もいるのではないでしょうか。
実は、整形外科と整骨院には、大きな違いがいくつかあります。資格や治療・施術内容などについて以下の表にまとめてみました。
整形外科 | 整骨院 |
---|---|
医師が骨や関節、筋肉などの怪我の治療を行う レントゲンやMRIなどの検査が受けられる 湿布や痛み止めなどの、薬の処方 診断書の作成 |
柔道整復師が骨や関節、筋肉などの怪我の施術を行う 手技療法や物理療法での施術 薬の処方は禁止されている |
整形外科と整骨院の一番の違いは、「整形外科には医師、整骨院には柔道整復師」という取得免許です。この違いにより、治療・施術内容なども大きく変わってきます。むちうちで通院先にお悩みの場合は、交通事故病院にご相談ください。
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むちうちの治療期間は?
むちうちは、受ける衝撃の程度によって、症状の度合いも異なります。そのため、個々で治療期間も変わりますが、だいたい3ヶ月程で完治するといわれています。しかし、症状が長引けば6ヶ月、またはそれ以上の期間がかかってしまう場合もあります。
このように、むちうちの治療期間は人それぞれです。しかし、「交通事故にあったら医療機関で診てもらう」ということは、交通事故にあわれた方全員に共通することです。むちうちの場合は、事故後すぐに症状があらわれないケースも多くあります。違和感や痛みがある場合に限らず、特に自覚症状がなくても、交通事故にあったら必ず医療機関へ行くようにしましょう。
▶︎参考:交通事故でむちうちに!どれくらいの頻度で通院をすればよい?
むちうちの慰謝料はどうなるの?
交通事故にあい、むちうちになってしまったら、一刻も早く治療してもらいたいですよね。その際、治療費や通院費などを、被害者の方が支払う必要は基本的にはありません。では、「誰が支払うのか?」「どうしたら支払ってもらえるのか?」これらを一つひとつ見ていきましょう。
慰謝料は誰が支払うの?
交通事故で怪我を負った場合、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などの慰謝料を加害者側の保険会社に請求することができます。
これらの慰謝料を加害者に請求する場合、自賠責保険や任意保険を使うことになります。自賠責保険は、すべての運転手に対して、加入が義務付けられている保険です。一方、任意保険は、文字通り運転手が任意で加入する保険です。
慰謝料は、まず自賠責保険から支払われます。しかし、自賠責保険の支払上限額は120万円となっており、足りない分は任意保険が補われます。ただし、先程も述べたように、任意保険の加入は任意です。したがって、交通事故の加害者が、必ず任意保険に加入しているとは限りません。
▶︎参考:慰謝料相場は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準で異なる!計算方法についてはこちら
治療費や休業損害も請求できる
交通事故の被害者は慰謝料の他に、治療費や通院する際にかかった交通費、仕事を休んだときの減収分を補う休業損害なども請求することができます。
治療費や通院する際にかかった交通費は「積極損害」、休業損害は「消極損害」の中に含まれます。積極損害と消極損害の違いについては、以下の通りです。
- 積極損害
交通事故にあったことによって、被害者が出費を余儀なくされた場合に発生する損害。
例)手術費、入院雑費、付添看護費などを請求することができます。 - 消極損害
交通事故のが原因で、被害者が本来得られるであろう収入や利益が減少したことによる損害。
例)逸失利益
慰謝料を受け取るには人身事故で処理を!
交通事故の慰謝料を受け取るには、人身事故で処理しなければ受け取ることができません。なぜならば自賠責保険は、人身事故にしか使えないためです。
被害者の方がどんなに大きな怪我をしたとしても、物損事故のままでは、自賠責保険は適用されません。
加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社から慰謝料を支払ってもらうことができます。しかし、加害者が任意保険に加入していなく、加害者自身の資金もない場合、慰謝料の支払いを受けることができない、という最悪なケースもありえないことではないのです。
したがって、交通事故による怪我の慰謝料をしっかりと受け取るために、人身事故で処理をするようにしましょう。物損事故から人身事故への切り替えは、診断書を取得し、警察に提出する必要があります。
また、湿布だけ、マッサージだけといった漫然治療を受けていると、慰謝料の打ち切りを打診されることもあり、十分な慰謝料を受け取れなくなるため注意が必要です。
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交通事故の後遺症に慰謝料は支払われるの?
交通事故の怪我は、後遺症が残ってしまう場合があります。後遺症になってしまうと、これから生きていく上で、症状と一生付き合っていかなければなりません。
ここでは「後遺症の定義とは何か」「後遺症が残ったら、慰謝料を受け取ることができるのか」について解説していきます。
後遺症とは
交通事故による怪我を一定期間治療しても、回復の見込みがない状態になり、その時点で残っている症状を後遺症といいます。
医師に症状固定と判断された場合、後遺症となります。むちうちの場合、一般的に6ヶ月以上の通院で症状固定と判断されます。
交通事故の怪我が後遺症になってしまったら、被害者は定期的に通院を続け、リハビリを検査をうける必要があります。しかし、これまで支払われていた治療費や慰謝料は、後遺症になると支払われなくなります。
後遺症が残ったら
後遺症になった後は、基本的に被害者の自費による通院となります。ただし、後遺症が後遺障害と認められ、さらに後遺障害等級が認定されることで、被害者は後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。
後遺症が後遺障害となるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 交通事故と怪我との因果関係があること
- 交通事故による怪我が、今後生きていく上で完治する見込みがないこと
- 交通事故の怪我により、労働力が低下してしまうこと
- 後遺症が医学的に証明または、説明されていること
- 怪我の症状が自賠責保険の等級認定に値すること
後遺障害慰謝料や逸失利益は、後遺障害等級認定で認定された1~14級まである等級に応じて金額が異なります。1級が最も重い症状となり、14級が最も軽い症状となっており、症状が重くなるにつれて金額も上がっていきます。
後遺障害慰謝料を受け取るには
後遺障害の慰謝料を受け取るには、後遺障害等級認定を受ける必要があります。後遺障害等級を認定されるには、症状固定と判断されるまで、通院を続けることが大切です。
次に、医師に後遺障害診断書を書いてもらいます。この後遺障害診断書は、自賠責保険適用の診断書とは異なりますので、注意しましょう。後遺障害診断書を取得することができたら、以下のように事前認定(加害者請求)または、被害者請求で後遺障害等級認定の申請手続きを行いましょう。
事前認定(加害者請求)
加害者側の任意保険会社に手続きを任せる方法です。このように、加害者側の保険会社が手続きを行うことから、加害者請求と呼ばれる場合もあります。
加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を提出すると、任意保険会社が、自賠責保険会社を通じて手続きを行ってくれます。そのため、被害者は後遺障害等級認定の申請手続きの手間を省くことができます。
被害者請求
被害者自身が、加害者側の自賠責保険会社に、直接慰謝料を請求する方法です。
後遺障害等級認定請求をする際には、被害者請求をおすすめします。なぜなら、加害者側の保険会社に任せる事前認定と比べ、自分にとって有利に手続きを進めることができたり、状況が把握しやすくなるためです。
被害者請求は、手続きをすべて被害者自身で行わなければならないという手間はありますが、確実に事を進めていくことができます。
ご相談は交通事故病院へ
交通事故にあったら、必ず医療機関で診てもらうことの大切さはご理解いただけたでしょうか。交通事故による怪我は、事故後すぐに発症するものだけではありません。むちうちのように、時間が経過してから発症するもこともあるのです。
通院先に困ったときや、不安がある際は、交通事故病院相談窓口へご相談ください。交通事故に詳しい専門スタッフが、サポートいたします。
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