×

2019.05.13 交通事故 後遺障害等級認定 慰謝料 自賠責

追突事故でうつ病やPTSDに…後遺障害等級認定は受けられる?

追突事故の影響により、うつ病やPTSDといった精神疾患を発症するケースは珍しくありません。気分が沈んだり、突発的に辛い記憶が蘇るといった症状を感じている場合、精神疾患の可能性があります。また、精神疾患は後遺障害として認められることもあり、後遺障害慰謝料を請求することも可能です。
うつ病やPTSDといった症状の具体例や、どんな状態であれば後遺障害として認められるのかについて、この記事で解説していきます。

追突事故のショックでうつ病を発症することがある

追突事故の様子
追突事故によって、精神疾患を負う可能性もあります。その追突事故が命に関わるようなものであったり、重症を負ってしまった場合、3割の確率で発症するともいわれています。
ここでは、うつ病やPTSDといった精神疾患がどういった症状なのか解説していきます。

うつ病の症状

交通事故により発症する可能性のあるうつ病は、心の風邪ともいわれるほど不安定な精神状態に陥ります。症状も軽度なものから重度なものまで様々です。

うつ病の症状として、以下のような精神的な症状があらわれます。

  • 気分が沈む
  • 不安や焦りを感じる
  • 喜びが喪失する
  • 消えてしまいたい
  • 意欲が湧かない

精神的な症状はもちろんですが、うつ病は悪化すると睡眠障害、食欲不振、慢性的疲労感、のどの渇き、身体の重みといった、身体的にも影響を及ぼす可能性があります。

PTSDの症状

PTSDとは、正式名称を心的外傷後ストレス障害といい、自分自身ではどうすることもできない恐怖体験をした場合に起こりやすい症状のことをいい、その経験が心のキズとして残った場合のことを指します。
誰しもが同じ経験をしたからといってPTSDとなるわけではなく、個人差があります。

PTSDでは、以下のような症状があらわれます。

  • 突発的に辛い記憶が蘇る
  • 恐怖体験をした状況や場面を避ける
  • 日常的に神経が張り詰める
  • 感覚が麻痺してしまう

とても辛い状態が続くため、長期化すると日常生活にも支障をきたす場合もあり、早期に対策する必要があります。

精神科や心療科への通院が大切

交通事故が原因で、うつ病PTSDといった心の病気になってしまった場合、自己判断することなく専門家に相談しましょう。
具体的な解決策として、心療内科精神科を受診することをお勧めします。

心療内科

症状が軽い場合は、心療内科を受診して心理カウンセラーに相談しましょう。
心理カウンセラーは投薬などではなく、対話を通じて心の問題を一緒に解決する道筋をみつけてくれます。
問題を分析しながら解決を目指す認知療法、認知行動療法、言葉にできない状態をイメージしながら回復を目指すフォーカシングなど、様々な専門家が対応してくれます。

精神科

症状が重度の場合は、精神科にて精神科医の治療を受けましょう。
精神科医は心理カウンセラーから紹介される場合もありますが、直接受診することも可能です。精神科医の場合は、薬物療法などの選択肢もあり、専門性が高い治療を受けることができます。

うつ病やPTSDは後遺障害として扱われる?

頭痛1

交通事故の被害により体験した恐怖体験がPTSDを発症させたり、身体的な障害などに悩まされたことにより、うつ病を発症することがあります。このような精神的障害も、後遺障害として扱われることが多いです。
また、交通事故重傷者の3割が、事故発生から約1ヶ月後にうつ病やPTSDなどの精神疾患を発症するといわれています。交通事故が原因の精神疾患も、後遺障害として扱われる場合があります。

後遺障害として認定されるための基準とは

精神疾患が後遺障害として認定されるためには、後遺障害の認定基準に当てはまらなければなりません。

具体的にどういう状態になった時に認められるのか、以下の表をもとに説明します。

精神症状 能力に関する判断項目
抑うつ状態 身辺日常生活
不安の状態 仕事・生活に積極的・関心を持つこと
意欲低下の状態 普通に作業を持続すること
慢性化した幻覚・妄想性の状態 他人との意思伝達
記憶または知的能力の障害 対人関係・協調性
その他の障害(衝動性、不定愁訴など) 身辺の安全保持、危機の回避
困難・失敗への対応

精神状態のうち、一つ以上認められることが必要となり、かつ、能力に関する判断項目のうち、一つ以上の能力について障害が認められることが必要となります。

後遺障害等級認定を受けることで慰謝料を請求できるようになる

家の置物と計算機とお金

後遺障害の基準が認められれば、後遺障害等級認定に進むことができます。では、後遺障害等級の認定は誰が行うのでしょうか。
「保険会社が認定するものじゃないの?」と思われる方もいらっしゃいますが、実際に認定を行うのは、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が後遺障害等級認定を行います。自賠責損害調査事務所とは、事故発生状況の確認や自賠責保険の支払い対象なのか、事故当事者などの障害の程度を慎重に見極めて捜査する組織になります。

後遺障害等級の中でも、精神疾患は第9級10号、第12級相当、第14級相当に認定されることが多いです。それぞれの等級での違いについて説明します。

第9級10号

就労しているか就労意欲がある場合は、身辺日常生活を除いた、能力に関する判断項目のいずれかひとつの能力が
失われているもの。あるいは、能力に関する判断項目のいずれか4つ以上の能力について助言や援助が必要とされる障害が
残っている場合。
就労意欲の低下または欠落により就労していない場合は、身辺日常生活について助言や援助が必要とされる程度の障害が
残っている場合。

第12級相当

就労しているか就労意欲があるものの就労していない場合は、能力に関する判断項目のいずれか4つ以上について、ときに助言や援助が
必要とされる障害を残しているもの。
就労意欲の低下または欠落により就労していない場合は、身辺日常生活について適切または概ねできるもの。

第14級相当

通常の仕事に就くことはできるものの、能力に関する判断項目のいずれかひとつ以上について、ときに助言や援助が
必要とされる障害を残しているもの。

後遺障害等級の認定を受けるためのポイント

交通事故によるうつ病やPTSDで後遺障害等級の認定を受けるには、押さえておくべき3つのポイントがあります。

  • 交通事故との因果関係を証明する
  • 医師による適切な治療を受ける
  • 症状固定の時期

具体的にどのようにすればよいのか、それぞれ解説していきます。

交通事故との因果関係を証明する

うつ病やPTSDは、交通事故との因果関係を証明することが難しいといわれています。
客観的に認められない内面的な症状であったり、事故の前からうつ病やPTSDの傾向があることで、「本当に交通事故が原因で発症したのか」因果関係を疑われやすいからです。
交通事故との因果関係を証明するには、うつ病やPTSDの発症に他の要因が影響していないことを示すことが重要なポイントになります。
家族間や職場関係では問題がないこと、交通事故以外で発症する理由が見当たらないことなどを指摘していかなければなりません。

医師による適切な治療を受ける

身体的な症状とは違い、うつ病やPTSDはレントゲンやMRIなどの画像から異常を確認することができません。
自覚症状を訴えるだけでは、後遺障害等級の認定を受けることは困難です。
精神的な症状があらわれたら、すぐに心療内科や精神科を受診して治療を受けることが大切です。
発症して時間が経ってから治療を受けた場合、精神的な症状は回復したとみられて後遺障害等級の認定を受けられなくなる恐れがあります。

症状固定の時期

治療を受け続け、医師がこれ以上改善する見込みがない(症状固定)と判断することで、後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。
しかし、精神的な症状はある程度続いていたとしても、その後に改善する可能性があることから、症状固定とする時期の判断が難しいといわれています。
医師による診療を受けた上で適切な治療が行われたこと、十分な治療期間あったのに症状が残ったこと、回復の見込みに関する判断が適切に行われていることが重要となります。

後遺障害等級認定の申請方法は2種類

後遺障害等級認定の申請方法には、事前認定被害者請求の2つがあります。それぞれの内容とメリットデメリットについて説明します。

事前認定

加害者側の保険会社に手続きをすべて任せることを、事前認定といいます。
保険会社に任せることで、ご自身で行う手続きなどが少なく負担が軽減されるというメリットがあります。しかし、保険会社にとっての顧客は被害者ではなく加害者です。支払う損害賠償は1円でも少ない方がいいと考えるでしょう。
したがって、相手側の保険会社に手続きをすべて任せたことで、満足のいく等級認定が得られない可能性があります。また事前認定では、示談が成立するまで後遺障害についての賠償を受け取ることができません。

被害者請求

被害者自身が、相手側の自賠責保険会社に対して後遺障害申請を行う手続きのことを被害者請求といいます。
事前認定と比べ、ご自身で行う手続きが増え負担が大きくなるというデメリットもあります。しかし、被害者自らが集めた資料を自賠責保険会社に提出することができるため、メリットにもなります。そのため、必要とされる書類以外にも、後遺障害を認定してもらうために有利な資料を提出することができます。
また、後遺障害等級が認定されれば、示談を待つことなく等級に応じた保険金を受け取ることができます。

事前認定に比べ、被害者請求は手間がかかってしまいますが、被害者が有利になる書類をいくらでも準備し提出することができます。結果として、後遺障害として認定を得られる可能性が高まります。

慰謝料額は3つの基準がある

交通事故の被害にあわれた場合、慰謝料を請求する上で自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という基準があります。
この3つの基準をもとに慰謝料が算出され、基準ごとで金額が大きく変わってきます。ここでは、それぞれの基準について説明していきます。

自賠責基準

自賠責基準とは、交通事故により負傷した被害者に対して、最低限の補償を行うことを目的とした基準のことです。自賠責保険は、公道を走る自動車やバイクを所有する人に加入を義務付けられた強制保険になります。

自賠責保険は、被害者に対する最低限の保障を目的としています。そのため3つの基準の中でも慰謝料額は1番低くなります。

任意保険基準

任意保険とは、保険加入者が任意で加入している保険になります。「自動車保険」と呼ばれているものは任意保険のことで、自賠責保険で補うことができなかった限度額を超えた場合に補填することを目的としています。交通事故の損害を大幅にカバーしているため、自賠責基準よりも高いか同等の慰謝料が保障されます。
ただし、任意保険基準はそれぞれの保険会社で異なるため、詳しい金額は公表されていません。

弁護士基準

弁護士基準とは、裁判所の判例などを参考に、裁判にて認めている慰謝料額を基準に作られています。
過去多くの損害賠償請求事件の判例に基づいているため、慰謝料額は3つの基準の中でも最も高額になります。

後遺障害等級別の後遺障害慰謝料はいくら?

精神疾患は第9級、第12級、第14級と3つの等級に分けられることが多くありますが、実際に弁護士基準で計算した時の自賠責基準との金額の差について紹介します。

等級 自賠責基準 弁護士基準
第9級 245万円 690万円
第12級 93万円 290万円
第14級 32万円 110万円

上記の表をみて分かるように、弁護士基準で計算すると受け取れる慰謝料の金額が大きく異なってきます。満足のいく等級で慰謝料を受け取りたいと思われている方は、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

まとめ

ポイント!
追突事故後に気分が沈んだり、落ち込むことが多くなったと感じている場合、うつ病やPTSDが発症している可能性があります。そんな時には、心理カウンセラーや精神科医を頼りましょう。
事故対応は、被害者自身も正しい知識を持っていなければ、不利になってしまうこともあります。この記事で対応の仕方や知識を得た上で、適切な補償を受けられることを願っております。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.S
大学を卒業し、出版社で取材や編集業務を経験。その後、WEBメディアの執筆に転向し、事故に関する様々な知識を多くの人に届けるべく、日々邁進中。現在は、交通事故専門士の資格を取得するために勉強をしている。座右の銘は、格物究理。

カテゴリ一覧

はじめての交通事故でお悩みの方へ。交通事故に関する知識や通院について無料でサポートいたします。
無料 0120-963-887