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交通事故の怪我でよくある症状と治療法~骨折・むちうち・腰椎捻挫等~

監修記事

影山 睦美

看護師

交通事故の怪我でよくある症状と治療法

交通事故では、普段加わらない大きな力が身体に加わることにより、様々な場所に影響を及ぼします。

警察庁が発表している、2020年の「損傷主部位別・状態別死傷者数」によれば、重軽傷者の中で最も多いけがの部位は「頸部」であり、次いで「脚部」、「腰部」と続いていきます。部位は同じでも、けがの種類によって、様々な症状が出現し、それに対しての治療が必要となってきます。また、交通事故の場合、医師による診察を受けて事故によるものであると認められて診断書がもらえなければ、治療費の保障が受けられません。

しっかりと治療を行うためにも、事故によってどんな怪我が考えられ、症状が現れるのかについて知っておかなければなりません。今回は、交通事故によるけがでよくある症状とその治療法についてご紹介していきます。

交通事故による頸椎捻挫(むちうち)とは

「むちうち」とは?発症の原因や症状等

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等

先ほど示したデータの通り、交通事故で最も多いけがは頸部の怪我であり、その多くは頸椎捻挫、いわゆるむちうちと呼ばれるものです。むちうちは衝撃を受けた際に反射的に頚椎に対する損傷を避けようとして筋緊張が生じ、筋の部分断裂や靭帯の損傷がおきてしまった状態のことをいいます。

交通事故の頸椎捻挫(むちうち)による症状

むちうちの症状とは?むちうちが原因で起こる症状の例

▲むちうちが原因で起こる症状の例

頸部は、頭と胴をつなぐ場所で、たくさんの神経が通っている場所です。交通事故などで頚部を捻挫すると、長期間にわたって頚部痛、肩こり、頭痛、めまい、吐き気、手のしびれ、などの頭部から上半身までのさまざまな症状が出現する可能性があります。また、似たような症状を引き起こす原因として、頸椎椎間板ヘルニアがあります。これは、背骨の骨の間にあるクッションが、事故の衝撃によって飛び出てしまい、周囲の神経を圧迫して症状を引き起こすものです。

むちうちかな?と思ったときは、必ず医師に相談し、診断を受けるようにしましょう。

頸椎捻挫(むちうち)の治療法

治療としてはまずは頸椎カラーなどで2-4週間は患部の安静を保ち、損傷部分の回復を促します。損傷部分が回復してきたら、血行を促すために、医師の指導もと、ストレッチなどで動かすようにしましょう。安静期間が終わったあとは、痛みが残っているからといって動かさないのではなく、できるだけ動かすようにするほうが回復は早くなります。人間の体は使わなければ退化するようにできているからです。

もし、痛みが長引く場合には、医師に相談しましょう。ほとんど回復したと言えるまでは、個人さんがありますが3~6ヶ月程度と言われています。

交通事故による骨折とは

交通事故による骨折の特徴(30日以上を要する重症が多い・患部の強い痛みや腫れ等が特徴)

▲交通事故による骨折の特徴

交通事故による骨折は、ほとんどが治癒に30日以上を必要とするいわゆる「重症」に分類されます。事故の状況によって骨折する部位はさまざまですが、骨の許容範囲を超える強い衝撃が加わったことで負傷してしまうことはすべてに共通しています。事故の衝撃で車のダッシュボード等に身体を打ち付けてしまうことで骨折してしまうことが多いため、ろっ骨や骨盤などの骨折も多くみられます。

交通事故の骨折による症状

骨は、筋肉や皮膚などに包まれて守られています。ですから、外から見てすぐに「折れている」ということがわかりにくい場所でもあります。

骨折による症状として挙げられるものには、患部を押したときの強い痛み、腫れ、変形などがあります。また、腕や脚の場合、折れた骨が周囲の神経を圧迫している場合には、手足の力の入りにくさなどがみられます。

骨折の治療法

骨折かどうかを判断するために、レントゲン撮影を行ったうえで、程度や状況によって医師が治療方法を判断します。

治療方法としては主に2つあり、保存的治療と手術治療があります。

保存治療では、骨折した部分をもとの位置に戻した上で、ギブス等で固定し、患部の安静を保って骨同士が癒合するのを待つ方法です。
一方で、手術療法ではギブス等では対応できないと判断された場合に、ボルト等を用いてもとの位置にもどし、関節を動かしても骨が動かないようにする方法です。

このような治療をしたあと、骨折が治癒するまでには一般的に、年齢や骨折の種類によって異なりますが、通常は約6~8週間程度かかります。この期間は、骨同士をくっつけて修復している期間となります。接着剤が乾く前にもの同士を動かしてしまうとうまくくっつかないように、骨も同じで、できるだけ医師の指示に従い、患部は安静を保てるようにすることが、しっかりと骨折を治すために気を付けることとなります。

交通事故による腰椎捻挫とは

▲交通事故の腰椎捻挫とは

交通事故の腰椎捻挫は急激な痛みを伴う腰痛で動くときに痛むのが特徴

腰部は、胴と足をつなぐ場所であり、人間が様々な姿勢をとるときにとても重要な役割を果たす場所です。腰椎捻挫とは、その重要な腰椎のまわりの軟骨や靭帯(じんたい)といった部分に無理な力が加わって傷つくことで生じる怪我です。

交通事故の腰椎捻挫による症状

腰椎捻挫であらわれる症状の多くは腰の痛みです。安静にしていれば痛みはほとんどないのですが、動くときに痛むので、なにもできなくてつらいという方が多いです。この 痛み以外に、腰から足にかけてのしびれや動きにくさ等がある場合は、脊柱管狭窄症等の別の疾患が隠れている可能性があるため、医師に相談しましょう。

腰椎捻挫の治療法

腰椎捻挫の基本的な治療法としては、痛みに対する対症療法が主流です。

コルセットを使用して、できるだけ患部に負担がかからないように配慮し、シップや痛み止めを使って痛みを抑えていきます。腰部を動かさずに生活をするのは厳しいため、無理をしがちですが、回復が遅れることもあるためできるだけ安静に努めましょう。損傷部分が回復するにしたがって、痛みは改善していきますので、痛みの程度に応じて、痛み止めの調整をしていきます。痛み止めをもらっても体を動かすのがつらいという場合には、医師と相談をして薬の種類を変更してもらったり、再度検査をしてほかに損傷個所がないか精査してもらうと安心です。

こちらも程度により個人差はありますが、治癒までに3~6カ月程度かかることが多いです。

交通事故による打撲とは

交通事故の怪我:打撲の症状とは?

▲交通事故の怪我:打撲の症状とは?

交通事故によるけがで多くみられるのが、打撲です。事故の衝撃で車のダッシュボード等に身体を打ち付けてしまうことで起こります。打撲は、衝撃を受けた部分の皮下組織(筋肉、血管、脂肪組織等)に損傷があるもののことを言います。

交通事故の打撲による症状

打撲の症状としては、衝撃が加わった部分に痛みが出たり、熱をもって腫れたりします。これは、損傷を受けた組織を修復するために、十分な血液が必要となるためです。血管組織が損傷している場合には、内出血もみられます。また、患部を押すと、痛みが増強することも特徴の一つです。

交通事故の場合では、頭部や胸部、背中などへの衝撃を受けることが多いため、「ただ打っただけ」と思わずに、必ずMRI等の精密検査を受けて、内部臓器に問題がないかどうかを確認しておくことも大切です。

打撲の治療法

打撲の治療は、急性期と回復期で異なります。急性期とは、事故直後3日ほどの期間を言います。この時期は、体内で損傷した血管や筋肉に炎症が起きているため、炎症を抑えるために、アイスノン等を利用して冷やすことが大切です。3日経過後は、逆に熱すぎない程度の湯たんぽ等で温めると、回復が早くなります。温めた部分の血行がよくなり、組織の回復が早まるからです。しかし、冷やしたり、温めたりすることの判断は、間違えると症状が長引くなど影響が出る可能性がありますので、必ず医師や看護師に確認してから行うようにしましょう。状態により異なりますが、治癒までに2~3週間程度かかります。

この記事を監修したのは…

看護師として総合病院の救命救急センター、リハビリ病棟を経験。病院勤務の傍ら、老人保険施設、訪問入浴、保育園など様々な場面で看護を行う。現在は日常で生かせる看護の知識を広めるためライターとしても活動中。

この記事の執筆者

看護師 / 影山 睦美
看護師として総合病院の救命救急センター、回復期リハビリ病棟を経験。病院勤務のかたわら、非常勤として老人保険施設、訪問入浴、保育園などさまざまな場面で必要な方への看護を行う。現在は日常で生かせる看護の知識を広めるため、ライターとしても活動中。

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