交通事故でむちうちに…マッサージはしてもよい?
仕事へ向かうために、車を運転していたときのこと。突然、追突事故の被害にあい、むちうちになる可能性もあります。
むちうちになってしまったら、一刻も早く症状を緩和させたいですよね。首や肩甲骨の痛み、肩が凝るような症状もあるため、「マッサージしたら治るかも?」と考える方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、むちうちの症状や治療方法、マッサージを行ってもいいかなどについて解説していきます。「むちうちを一刻も早く治したい!」という方は、ぜひこの記事をお読みください。
むちうちとは
むちうちとは、交通事故やスポーツによる衝撃で、首に不自然な力が加わることで起こる症状の総称です。
首に力が加わる際に、首が鞭(むち)のようにしなることから「むちうち」と呼ばれています。一般的には「むちうち」と呼ばれていますが、正式名称は「頚椎捻挫」や「頚部挫傷」と呼ばれます。
むちうちであらわれる症状は様々
交通事故でむちうちを負うと、首の痛みだけではなく、頭痛やめまい、腕の痛み、吐き気、身なりなど様々な症状があらわれます。
このように、様々な症状があらわれる理由としては、首周辺の筋肉や靭帯、神経など、交通事故の衝撃で損傷した箇所が異なるためです。
むちうちは、損傷した箇所によって、以下4つの症状型に分類することができます。
- 頚椎捻挫型
- バレー・ルー症状型
- 神経根症状型
- 脊髄症状型
上記の症状型のうち、7割から8割の人が、頚椎捻挫型になるといわれています。また、むちうちによって神経が損傷した場合、バレー・ルー症状型に該当します。
むちうちの特徴
また、むちうちには以下のような特徴があります。
- MRIやレントゲンで異常が発見しにくい
- 事故直後ではなく、数日後に症状があらわれる
MRIやレントゲンで異常が発見しにくい
むちうちは、筋肉や靭帯、神経などの損傷が原因で症状があらわれますが、これらの軟部組織や、MRIやレントゲンで写りにくい部位です。そのため、交通事故で筋肉や靭帯、神経などが損傷していても、異常を発見できず「異常なし」といわれることもあります。したがって、交通事故後に痛みや違和感などの自覚症状がある場合は、医師に症状を伝えることが大切です。
事故直後ではなく、数日後に症状があらわれる
交通事故の直後は、突然の出来事で体が興奮状態になってしまいます。体が興奮状態になると、アドレナリンやβエンドルフィンといった物質が分泌され、痛みを抑制します。そのため、事故直後は痛みを感じず、体の興奮状態が落ち着いた数日後にむちうちの症状があらわれることがあるのです。
むちうちとストレートネックは違うもの?
むちうちとストレートネックは、頭痛や肩こり、首の痛み、めまい、吐き気などの似たような症状があらわます。しかし、ストレートネックの場合、むちうちとは異なり、頚椎が真っ直ぐになっているためレントゲンの検査で異常を発見しやすいです。
したがって、むちうちとストレートネックは、画像検査で診断が「できない怪我」と「できる怪我」という点で違うものといえます。
むちうちの通院先
むちうちの通院先として、代表的なものは2つ。
- 整形外科
- 整骨院
上記の通院先では、交通事故の被害者であれば自賠責保険を使うことが可能です。自賠責保険の場合は自由診療となりますが、治療費は加害者に請求できるため、被害者自身で負担する必要がありません。また、それぞれの通院先で、受けられる治療・施術内容は異なります。一つひとつ見ていきましょう。
関連記事物損事故と人身事故の損害賠償の違いとは?<弁護士監修>
整形外科
交通事故にあったら、まずは医師のいる整形外科へ行きましょう。
整形外科では、診断書を取得することができます。診断書は、医師のみが作成できる書面で、怪我の症状や病名、治療期間の見通しなどが記載されています。診断書は、「この怪我は交通事故が原因のものです」と証明するための、大切な書面となります。
整形外科では、レントゲンやMRIの検査機器を使って、骨の異常を診てもらうことができます。また、むちうちの痛みが引かない場合の治療法として、痛み止めや湿布などが処方されることもあります。ただし、このような精密検査や投薬をできるのは、医師のみです。
また、整形外科には、理学療法士が在籍していることもあります。理学療法士は、医師の指示に基づき、運動療法や物理療法などで怪我や病気の回復、悪化防止のリハビリをサポートしてくれます。
整骨院
整骨院では、柔道整復師が施術を行います。また、接骨院は名前が違うだけで、施術者や施術内容は整骨院と同じです。
- 柔道整復師
骨折や脱臼、打撲、捻挫などの怪我に対して、整復法、固定法、後療法の3つの手技を用いて施術を行います。具体的な施術内容としては、コルセットによる固定や電気療法、牽引、手を使って硬くなった筋肉をほぐすなどです。
先程も述べましたが、むちうちの症状は、レントゲンやMRIの検査機器には写らない場合があります。しかし、整骨院では、直接体に触れて施術を行うため、精密検査をしても見つからなかった症状を見つけて施術をしてくれます。
整形外科へ通院を続けても、痛みが引かないという場合は、保険会社から転院の許可を取ってから、整骨院へ通院するとよいでしょう。
【疑問】整体院とは何が違う?それぞれの違い
そもそも整体とは、脊椎や骨盤などの関節のズレを矯正し、骨格筋のバランスを整えることで、血液やリンパの循環を良くする効果が期待される健康法です。一般的に手足を使用して施術が行われます。
また、整体院では整体師が施術を行います。柔道整復師や医師、はり・きゅう師などは、国が認定を行っている国家資格を持っています。しかし、整体師が持っている資格は「国家資格」ではなく、民間団体や企業が、独自の審査基準で認定する「民間資格」です。
整形外科や整骨院、鍼灸院には、国家資格取得者が在籍しているため、各種保険を使って治療を受けることができます。しかし、民間資格の整体師が運営している整体院では、保険は適用されません。
したがって、交通事故の通院先では、整体院を避けた方がよいでしょう。
上記で述べた通院先の違いや特徴を以下にまとめました。
整形外科 | 医師が治療を行う(国家資格) |
---|---|
手術・投薬・レントゲン検査を行う | |
保険が適用される | |
診断書を作成できる | |
営業時間が短い | |
整骨院 | 柔道整復師が施術を行う(国家資格) |
整復法・固定法・後療法による施術 | |
保険が適用される | |
診断書を作成ができない | |
営業時間が長いところもある | |
整体院 | 整体師が施術を行う(民間資格) |
関節のズレを矯正し、骨格筋のバランスを整える施術 | |
保険が適用されない | |
診断書を作成ができない | |
営業時間が長いところもある |
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むちうちに対してマッサージをしてもよい?
交通事故でむちうちにを負った場合、首や肩が凝ったような違和感が症状としてあらわれることもあるため、「マッサージを受ければ、むちうちも治るのでは?」と考えるか方も多いのではないでしょうか。
むちうちの場合、マッサージを受けることで症状を緩和させることも可能です。では、マッサージにはどのような効果があるのでしょうか。
マッサージで得られる効果
むちうちに対してマッサージを行うことにより、首や肩の緊張をほぐし、血行が促されます。血行が促されると、痛みの原因となる物質も流されるため、痛みを緩和させることができるのです。
しかし、むちうちを負った場合、いつからでもマッサージを受けていいというわけではありません。むちうちに対するマッサージは、行ってよい時期と悪い時期があるため、注意が必要です。
マッサージの開始時期に注意!
むちうちには、急性期と慢性期という2つの時期が分けることができます。むちうちに対するマッサージは、慢性期に行うのがベストなタイミングです。その理由は、急性期と慢性期におけるむちうちの症状が関係しています。
急性期
急性期とは、むちうちになり始めた時期(事故直後~1ヶ月程度)のことをいいます。損傷した部位が炎症を起こして熱を持っている状態です。この急性期は、とにかく安静を保つことが重要なため、むやみに動かしたりマッサージをすることは避けた方がよいでしょう。
関連記事むちうちの治療でコルセットを使用する目的とは
慢性期
慢性期とは、痛みや炎症が落ち着き、長期的な治療や施術を行う時期(事故から3ヶ月以降)のことをいいます。そのため、マッサージを行っても症状が痛みが強く感じたり、悪化する可能性も低いです。また、慢性期では、手技や超音波などを使っての施術が中心になります。
むちうちの症状緩和に効果的なポイント
むちうちになってしまったら、「早く治したい」と誰もが思いますよね。ここでは、むちうちの症状を早く緩和させるためのポイントを2つご紹介します。
症状が軽いうちに治療を開始する
むちうちの症状は、首の痛みや肩こりなど軽い症状の場合もあります。そのため、「治療は受けなくても治るだろう。」と考える方もいるかもしれません。
しかし、その考えは危険です。首の痛みや肩こりなど軽い症状だったむちうちが、通院をしていない間に手足のしびれや歩行障害などの症状に悪化することもあります。むちうちの症状が悪化してしまうと、治療も長引くことになります。
したがって、交通事故にあったら痛みや違和感がなくとも、整形外科や整骨院、鍼灸院で適切な処置をしてもらうことが大切です。
適切な頻度の通院
むちうちの症状を早く緩和させるためには、適切な頻度で通院を続けるようにしましょう。通院の間隔が空きすぎてしまうと、身体が治療を受ける前の状態に戻ってしまい、症状の緩和が遅くなってしまいます。最低でも2日に1回の通院を続けることが大切です。
また、定期的に通院を行うことによって、加害者側の保険会社の担当者から治療費を打ち切られる可能性も低くなります。
むちうちの症状が後遺症になったら
むちうちの治療をこれ以上続けても症状が良くならないと、医師が判断する場合があります。これを症状固定といいます。後遺症は、症状固定の段階で残っている怪我の症状のことを指します。むちうちは、一般的に6ヶ月程度で症状固定と判断されます。
後遺症になると、今まで支払われていた治療費や通院交通費などは、打ち切られてしまいます。しかし、後遺症が後遺障害と認められることで、後遺障害慰謝料を受け取ることができます。後遺障害慰謝料とは、「後遺障害になってしまった」という、被害者が受けた精神的苦痛を、加害者がお金で補ったものです。
後遺障害には、1級から14級までの等級があり、等級によって支払われる金額が異なります。1級が最も高い金額となり、14級が最も低い金額となります。むちうちが後遺障害と認められた場合の等級は、12級または14級といわれています。
後遺障害等級認定を申請しましょう
後遺障害慰謝料の支払いを受けるには、後遺障害等級認定を申請する必要があります。
後遺障害等級認定を申請準備にすべきことは、以下の2つです。
- 症状固定まで通院を続ける
- 医師に後遺障害診断書を作成してもらう
後遺障害等級認定の申請方法
後遺障害等級認定の申請方法は、以下の2つです。
- 事前認定
- 被害者請求
事前認定
事前認定とは、加害者側の任意保険会社にすべての手続きを任せる方法です。被害者が加害者側の任意保険会社に、後遺障害診断書を提出すると、後の手続きをすべて行ってくれます。
被害者請求
被害者請求とは、被害者が直接、加害者側の自賠責保険会社に後遺障害等級認定を申請する方法です。すべての手続きを、自分自身で行わなければいけないという手間はありますが、手続きの透明性は保たれます。
むちうちの症状で後遺症を残さないためには…
いかがでしたか。むちうちの怪我を負った場合でも、慢性期に入っていれば痛みも落ち着いているため、マッサージを受けることが可能です。また、むちうちの症状が後遺症にならないようにするには、治療を怠らず、自身の症状に適したところへ通院することが大切です。
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